一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

2023年度下半期・私が勝手に選ぶ、驚愕の一手

2024-04-01 23:11:04 | 将棋雑記
きょうより2024年度が始まった。そこで、ひそかにシリーズ化している「私が勝手に選ぶ、2023年度下半期・驚愕の一手」を発表する。といっても今回はちょっと異色で、大悪手編である。
それは2023年10月11日に行われた、第71期王座戦第4局・▲永瀬拓矢王座VS△藤井聡太竜王。名人戦である。
ここまで永瀬、藤井、藤井の勝利で、本局に藤井竜王・名人が勝てば王座奪取で、八冠王。永瀬王座が勝てば2勝2敗となり、名誉王座獲得への夢が繋がる大一番だった。
この将棋、角換わりの形から、永瀬王座が単騎の桂跳ねを敢行し、決戦になった。
以下も難しい将棋だったが永瀬王座が抜け出し、最終盤の局面で、AIの評価は「永瀬98:藤井2」。これだけ差が開いていれば、勝っている方には勝ち筋が見つかるものだ。
永瀬王座はすでに1分将棋に入っていたが、永瀬王座は▲5四の馬をひとつ進めて▲5三馬!!

この瞬間、永瀬王座の手から、勝利がこぼれ落ちた。控室では▲4二金以下の詰みを見つけており、騒然としたという。
藤井竜王・名人は、もちろん△2二玉。金城湯池に逃げ込んだ気分だっただろう。
数秒後、おのが悪手と勝ち筋を同時に見つけた永瀬王座は、激しく動揺し髪の毛をかきむしった。後世に語り継がれるであろうシーンである。
▲4二金は、私にはなかなか打てないが、プロ的には易しい。ふだんの永瀬王座なら、ふつうに正着を指していただろう。
しかし、それを指させないところが藤井竜王・名人の強みである。ここまでの長い戦いで、藤井竜王・名人は永瀬王座の体力をじわじわと消耗させていたのだ。かつての大山康晴十五世名人のようである。
永瀬王座はここで受けに回ったが、もうダメである。以下、138手まで藤井竜王・名人の勝ち。ここに歴史的な八冠王が誕生したのであった。
コメント (2)
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