MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

メタボ退治

2008-06-22 12:26:47 | 健康・病気

4月から始まったメタボ健診、もとい、特定健診。

疾患を見つける検診ではなく、

疾病予防のための健診を義務化するという画期的な施策だ。

メタボ基準にひっかかった人は、その(違反の?)程度に応じて

情報提供、動機付け支援、積極的支援などに振り分けられ、

特定保健指導を受けなければならない。

まるで運転免許更新の時、違反歴によって

優良運転者講習、一般運転者講習、違反運転者講習へ

振り分けられるのと同じ感覚で、

メタボの人々は、まさに罪人のように扱われることになりそうだ。

国民を対象にした実験的研究ともいわれる特定健診、

海外へはどのように伝えられているのだろうか?

6月13日付 New York Times 紙より

『ほっそりとしたウェストめざして国民を測定する日本』

( ↑ 記者は日本人)

日本は、別段太りすぎの人間が多い国ではないが、

国民をスリムにしようとする、国を挙げてのキャンペーンが始まった。

2ヶ月前に施行された法律(医療制度改革関連法)の下に、

企業や地方自治体は40才から74才の日本人の腹囲を

毎年の健診で測定しなければならなくなった。

これは 5,600 万人以上の腹囲を測定することになり、

対象は全人口の44%に相当する。

政府は、International DiabetesFederation により

日本向けに 2005 年に策定された健康リスクのガイドラインにある

男性 33.5 インチ、女性 35.4 インチを基準値(閾値)と決めた。

この値を越える人たちや、肥満に関連した異常を示す人たちは

もし3ヶ月後に体重減少がない場合、栄養指導を受けることになる。

もし必要なら、それらの人たちは6ヶ月後に再教育に回される。

今後4年間で10%、7年間で25%、肥満人口を減少させるという

目標を達成するため、政府はこれにに達しなかった企業の

健康保険組合や自治体に財政的ペナルティを課す目論見だ。

厚生労働大臣はこの制度により糖尿病や脳卒中などの

疾患の拡大をコントロールすることができるだろうと論じている。

同大臣はまた、腹囲増大の抑制は、今日日本が直面している

急速な高齢化社会における医療費の急増を抑えることが

できると考えている。

しかし、この政府のガイドライン、特に男性の腹囲については

厳しすぎて全男性の半数以上が肥満と診断されてしまうだろうとの

批判もある。

また、その影響により過剰投薬を助長し、

結果的に医療費を増加させることにつながる可能性もあるという。

東海大学医学部教授で公衆衛生の専門家である大櫛陽一氏は

日本人が体重を落とす必要はまったくないと言う。

「私はこの制度のプラス効果はないと思う。

米国でこれをすれば有効だろう。

アメリカでは 100 kg 以上(約 220 ポンド以上)の体重が

ざらにみられるわけだから。

しかし日本人はすでに細く、これ以上体重を落とす余裕はない。」

大櫛氏の見解は、ちとアメリカ人に手厳し過ぎるようだ。

National Center による Health Statistics の調査では

コーカサス系アメリカ人男性の平均腹囲は 39 インチであり、

International Diabetes Federation により設定された

40 インチの基準値より1インチほど小さい。

逆にアメリカ人女性の平均腹囲は 36.5 インチで

34.6 インチの基準値より2インチ大きい。

基準値が日米間で異なっているのは、それぞれ

身長や体型の違いによって決められているためだ。

これまで腹囲は公式に測られてきていないため、

今回日本人に用いられた数字は確定的なものではない。

尼崎市では、

政府が特定健診(special checkups)と命名した

この健診における腹囲測定に積極的に動いてきた。

しかし、市はこのたび40才から74才までの

国民健康保険受給者の65%を測定しなければならず、

これは『きわめて困難な』目標だ、

と市職員のMidori Noguchiさんは言う。

このキャンペーンが始まった2、3年前、

厚生労働大臣は

血管障害や糖尿病に進行するリスクを高める諸因子の

集合体であるところの metabolic syndrome という、

当時まだほとんどの日本人が聞いたことのなかった

医学的状態を派手に宣伝し始めた。

これには、腹部の肥満、高血圧、および血糖、脂質の高値が含まれる。

その後ほどなく、この恐ろしい響きを持つ言葉は、

一般向けに少々滑稽な表現の『メタボ』に短縮され、

太りすぎ状態を示す手ごろな言い方に変化した。

三重県のある町の町長は、

このアンチ・メタボキャンペーンに熱を入れあげ、

彼と6人の職員からなる、『7人のメタボ侍』と称する

減量グループを結成した。

しかし、そのキャンペーンは 腹囲 39 インチの47才のメンバーが

ジョギング中の心臓発作で死亡したことであえなく終了した。

「メタボという言葉の普及により、

医療者が患者に減量を勧めやすくなった。」

パナソニック製品を作っている松下の健康保険組合の

Yoshikuni Sakamoto 医師は言う。

同医師によれば、「以前は肥満という言葉を使って

問題を切り出さなくてはならなかったが、

この言葉はネガティヴなイメージを持っていた。

しかし『メタボ』は包括的な響きを持っていて都合がよい。」

今回の通達がある前から、松下は毎年の健診で、

従業員の体重に焦点を当ててきた。

今回の新しい法律により、同社は従業員だけでなく、

彼らの家族や退職者の腹囲も測定しなくてはならなくなった。

推進の一策として、同社は従業員に巻尺を兼ねた

『メタボ・チェック』タオルを配布した。

「メタボと名指しされたい人間はいないでしょう。」

同社の看護師である Kimiko Shigeno さんは

キャンペーンに関連して言う。

「今日喫煙者を容認しない禁煙キャンペーンと

同じ効果をもたらすようになるでしょう。」

松下などの企業は少なくとも80%の従業員の腹囲を

測定しなくてはならない。

また、メタボとみなされる人のうち、

2012 年までに10%、2015 年までに25%の人たちの体重を

減らさなくてはならない。

日本で有数のパソコン・メーカーであるNECは、

もしその目標を達成できなければ 1,900 万ドルの

ペナルティーを被ると言う。

同社は、範囲を広げ

30才以上の全従業員の腹囲を測定するとともに

従業員家族へのメタボ教育を後援することで

メタボを未然に防ぐことを決めている。

腹囲から血圧までのすべての政府のガイドラインは厳しすぎて、

目標をクリアすることは不可能だろうとみる専門家がいる。

彼らは、政府の真の狙いは

医療費を民間部門にシフトすることにあるのだと言う。

日本人間ドック協会理事の山門實氏は、

このたびの政府のキャンペーンと予防医療への傾注については

支持していると言う。

しかし、同氏は、政府の真の優先事項は、先進国の中で

いまだ最高の部類にある喫煙率の減少であるべきと主張する。

日本において喫煙率が高いのは、たばこ圧力団体の力が強いことが

大きな理由の一つだという。

「喫煙はメタボリック症候群の原因の一つである。

もしメタボを心配するのなら、たばこを止めさせることが

最優先であるべきだ。」と彼は言う。

様々な疑念は残されているものの、

とにかく日本は前に進めようとしている。

このキャンペーンのメリットについては

まだまだ議論の余地があるとの意見がある。(要約終わり)

『そこまでする?』的論調だ。

記事中にもあるが、

年間数兆円もの医療費を増大させ、周囲の人たちへの悪影響を

及ぼすことが明らかとなっている喫煙がいまだ自由な一方で、

個人の太りすぎについては厳しく指導される。

今ひとつ納得がいかないところだ。

(一応、今回、喫煙は追加リスクに含められることにはなっている)

おいしいものを腹一杯食べたり、運動せずにごろごろするのが

好きだったりしてメタボになる人がいても、

それは個人の生き方の問題、

人や政府にとやかく言われる筋合いはないように思うのだが、

みなさんはいかがお考えだろう。

コメント (2)
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