MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

セレブの品格

2008-06-02 22:07:04 | 国際・政治

『四川大地震は中国のチベットに対する悪政の業(カルマ)』発言で、

『石(stone)のような冷たい心を持つ女(うまい!)』などと

ハリウッド女優、シャロン・ストーンは中国から怒涛の非難。

Sharon_stone

彼女がモデルを務めるディオール社の中国国内の広告からも外され、

今まさに四面楚歌状態のシャロン。

挙句に誠意のない謝罪コメントでは中国の怒りは収まりそうにはない。

彼女出演の映画は中国から駆逐される勢いだ。

謝罪はしたものの、発言の一部が歪められて強調されたため

真意が伝えられなかったとシャロンの抵抗も見られる。

そんな中、件の言質だけに捉われず、彼女の意見全体を捉えると

そこまで非難されるべき暴言ではないとの擁護的意見もある。

きっこの日記『シャロン・ストーンの災難』を参照いただきたい。

きっこ氏によれば、シャロンはそのインタビューの中で、

「自分は20年以上も慈善活動を続けて来た」

「中国の人たちを支援したい」

「そのために自分の友人が代表をつとめる慈善団体と協力して、

募金活動を始める準備をしている」等の内容も語っているらしい。

一方、中国の若手人気作家の韓寒氏もシャロンを擁護する一人だが、

当然のごとく中国国内からは非難の集中砲火を浴びている。

それでは、シャロンの発言は実際にはどんなものだったのか。

"YouTube" の映像も前後が割愛されているようだが、

報道内容よりは若干長いため、つたないヒアリング力と

ネット報道を参考に、その発言を検証してみることにした。

Of course, I have.  Well, you know, it's very interesting,

because at first I'm, you know I'm unhappy about

the way Chinese are treating the Tibetans

because I don't think anyone should be unkind

to anyone else. 

And so, I've had been very concerned about

how to think and what to do about that,

because I don't like that. 

And I've been this, you know, concerned about,

oh how should we deal with the Olympics

because they're not being nice to Dalai Lama,

who's a good friend of mine. 

And then all this earthquake, and all this stuff happened,

I thought, is that Karma?

When you are not nice, the bad things happen to you?

And I got a letter from the Tibetan foundation that

they wanted to go and be helpful,

and that made me cry.

And they asked me if I'd write a quote about that

and I said I would.

It was a big lesson to me that sometimes

you have to learn to put your head down and

be of service even to people who aren't nice to you. 

And that was a big lesson for me.

a

以下訳(Celebrity らしく横柄に訳してみました〔笑〕)

『(今、中国で起こっている状況についてご存知でしょうか、

という質問に答えて) もちろん知っているわ。

そう、大いに関心を持っているのよ。

当初から、中国のチベットに対するやり方が感心できなかったし。

だって、すべての人たちは他の誰に対しても思いやりをもって

接するべきでしょ。

それと、私は、この件に対してどう考え、何をすべきかをずっと

気にかけてきてたわ、根本的にああいうことって好きじゃないのよね。

また、私達がオリンピックに対してどう向き合うべきかについても

考えてきた、それは、私の大切な友人であるダライ・ラマにも

ひどい仕打ちをしてきたと思うからよ。

そんな時、今回の地震や、起こってることすべて、

これって、カルマじゃないのかなって思ったの。

行いの悪い人には、悪いことが起こるものでしょ?

それから国際NGOチベット・ファンデーションから

現地に行って援助したいって手紙をもらったんだけど、

それを読んで涙うるうるになっちゃった。

彼らはこの地震に関して何か書いてもらえるか聞いてきたので

私は喜んでそうするって返事したわ。

自分達にひどい仕打ちをしている人々にさえ、頭を垂れて

救いの手を差し伸べることを学ばなければならないってことが

私にとって大きな教訓だった。大いに教えられたわ。』(訳終わり)

チベット問題に何の関係のない、多くの子供達やチベット人をも含む

7万人近い犠牲者をもたらした大地震に対して、

中国という一国の『カルマ』を持ち出したのは明らかに間違っている。

IQ 200 を超える才女が、自信満々に興奮し、つい

のたまっちまったのだろう。

確かにここで問題となるのは、

カルマの言質とその次の一文だろう(上記下線部)。

だから文章全体から彼女の真意を汲み取り、極力寛大に解釈すれば、

問題の発言にも目をつぶることができるのかもしれない。

ただ、MrK 的に問題ありと思うのは、

こういった celebrity の発言に出てきがちな、

『私の大切な友人である…』にあるような、

Big Shot (大物)との個人的親交を強調する態度だ。

ダライ・ラマ14世が万人からの尊敬に値する優れた人物であることは

間違いない。

しかしこんな女にダチ扱いされるのは大いに迷惑に違いない。

思うに celebrity には、もっと博愛的な姿勢が求められるべきだ。

つまり、人類すべてを分け隔てなく重んじる発言をすべきだと。

そういう信念の欠落が、今回のような無実の大勢の人々の落命を

『カルマ』に結びつけるような浅慮な暴言を招いてしまうのだろう。

世界的な著名人には、(たとえそうは思っていなくても)世界中の

人々を愛しているという最低限のポーズと、

そうしなければならない立場にあるという自覚とが必要だと思う。

それが celebrity に要求される品格だと思うのだ。

コメント (2)
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