hiyamizu's blog

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松本侑子『赤毛のアンのプリンスエドワード島紀行』を読む

2020年08月05日 | 読書2

松本侑子『赤毛のアンのプリンスエドワード島紀行』(楽学ブックス 文学歴史18 JTBパブリッシング(2013年1月)発行)を読んだ。

 

宣伝文句は以下。

『赤毛のアン』の舞台プリンス・エドワード島を、毎年現地を訪れる翻訳者ならではの視点で物語や著者モンゴメリとの関連を明らかにしつつ徹底ガイド。特にグリーン・ゲイブルズについては見落としがちな部分も含めて詳細に解説。島でお勧めのホテルやレストランも紹介。物語に登場する花を含め、全ての写真は実際に現地で撮影したもの。

写真が紙面の7割は占めようとする写真集。写真はすべてこの本のために新たに撮られたもので、その2/3が著者自身によるもの。さすが凝り性な松本さん。

 

グリーンゲーブルズの展示施設

「この農場は、1800年代に、モンゴメリの祖父のいとこ、デイヴィドとマーガレットのマクニール兄妹が所有していた。二人には子どもがなく、親を亡くした親戚のマートル・マクニールを引き取った。

 

キャベンディッシュ共同墓地

モンゴメリ67歳は1942年トロントで、鬱病の睡眠薬過剰摂取で死に、プリンス・エドワード島(Prince Edward Island、略称PEI)に運ばれてお墓に埋葬された。

 

プリンス・エドワード島(PEI)の風物

プリンス・エドワード島(PEI)の花というとルピナスの写真が目立つが、19世紀、アンの時代には島になかった植物だそうだ。私たちが訪れた9月末はリンゴの木が目立った。

食べ物といえばなんと言ってもロブスターだ。

 

宿

松本さんお勧めの宿、キンドレッド・スピリッツ・カントリー・イン KINDRED SPRITS COUTRY INN の写真を見て、私たちが宿泊した宿だと思い出した。女性受けするカワイイ宿だった。

「赤毛のアン」全巻紹介(第1巻~第九巻)

マシューは世間づきあいが苦手で、女性と口をきくこともできませんでした。社会的には未熟だったと言えるかもしれません。

 しかし彼は、アンがグリーン・ゲイブルズに(手違いで)来た夜、マイラが「女の子は農作業の役にたたない」と言うと、「自分たちがこの子の役に立つのではないか」と答えます。

妹マイラもアンを育てるうちに

心をおおってきた固い鎧をとりさり、愛の表現ができる女性へ、生まれ変わったのです。……

『赤毛のアン』は子どものすこやかな成長とともに、大人の成熟、後半生の再出発を、明るく幸福感に満ちた世界のなかに描いています。だからこそ、百年をこえて世界中の老若男女に読みつがれているのでしょう。

 

 

私の評価としては、★★★★★(五つ星:読むべき)(最大は五つ星)

 

プリンスエドワード島のグリーンゲーブルズを訪ねたことのある人は写真を見て懐かしく、まだの人は一層のあこがれが募る一冊だと思う。

 

旅行案内としてもすぐれているが、本『赤毛のアン』の写真付き解説、さらにアンの著者モンゴメリーの生涯もよくわかる。

 

私のブログ「プリンス・エドワード島(1)~(10)」。

 

松本侑子(まつもと・ゆうこ)

1963年出雲市生まれ。筑波大学卒、政治学専攻。

テレビ朝日系列「ニュースステーション」出演をへて

1987年『巨食症の明けない夜明け』(集英社文庫)ですばる文学賞

1990年『偽りのマリリン・モンロー』が野間文芸新人賞候補

2008年NHK教育TV「赤毛のアン」英語番組で講師、テキスト全3冊を執筆

2010年評伝小説『恋の蛍 山崎富栄と太宰治』で新田次郎文学賞受賞

2013年本書『赤毛のアンのプリンス・エドワード島紀行』が全国学校図書館協議会選定図書

他に、幕末維新小説『島燃ゆ 隠岐騒動』『春の小夜』など。

村岡花子訳『赤毛のアン』は名訳だが省略がある。松本侑子さんは、英米文学からの引用を詳解した全文訳『赤毛のアン』の翻訳本を出した。英検1級。

2008年、NHK教育テレビ放送の『赤毛のアン』の英語番組に講師として出演。『アン』の解説書として、『赤毛のアンへの旅 秘められた愛と謎』(NHK出版)、DVD+ブック『赤毛のアンへの旅 あこがれのプリンスエドワード島へ』(NHK出版)、『赤毛のアンに隠されたシェイクスピア』(集英社)等がある。毎年、アン・シリーズの舞台を旅するカナダ4州ツアーに解説者として同行。プリンスエドワード島訪問は10回をこえる。

 

 

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