hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

渡辺淳一『老いかたレッスン』を読む

2012年12月15日 | 読書2
渡辺淳一著『老いかたレッスン』(2012年10月新潮社発行)を読んだ。

定年後、老後を積極的に生きるための渡辺淳一の主張。 居場所、行き先がない定年後、体力が衰える老後を、前向きに生きる。そのため、「自分史を書いてみる」「恋をする」「選り好みしないで、まず彼女をつくる」など、新鮮な老後を自ら活動して創り出そうと呼びかける。

「第一部 定年後はどこへ」
医者でもある渡辺さんも、転んで初めて意識と身体のずれを実感した。
それにしても、人間とは面白い生きものである。この世に生まれ、成長し、体力を増し、強くなる過程が二十五年なのに対して、力が衰え、弱くなる過程がその倍以上あるとは。


「第二部 F君の退職」
F君の退職後を具体的に描く。やることがなくなる、行くところがない、年賀状・お歳暮が激減するなど。いまや退職者はだれでもあらかじめ覚悟しているだろう。

「第三部 新鮮な老後を」
「ちょっとお茶でも飲もうか」など付き合ってくれる程度の彼女が必要。具体的おすすめは、女性が多い華道、茶道を習うこと。
自分のために、自分史を書くのも良い。本にするためでなく、書きたいようにただ書けば良いのだ。



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

書いてあることは今や世の常識で、皆に苦笑されていることだ。渡辺さんらしいのは、「70歳を超えて明るく前向きに生きていくには、恋をすることだ。自由で軽薄なおじさまになり、邪念で若返り、元気になるのだ」という話ぐらいだろう。

とくに、「第二部 F君の退職」の92頁分は退屈だし、嫌なことをわざわざ読みたくない。退職者の無聊、寂しさは、経験者ならだれでもわかりすぎている。
私の場合は、このブログもそうだが、時間つぶしや趣味はいろいろできるのだが、社会とのつながりを感じられないのが物足りない。もはやボランティアもルーチンワーク化しているし。



渡辺淳一
1933年北海道生れ。札幌医科大学医学部卒後、母校の整形外科講師のかたわら小説執筆。
1970年『光と影』で直木賞
1980年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で吉川英治文学書
その他、『失楽園』『あとの祭り 親友はいますか』『鈍感力』『熟年革命』など。






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