「経済が崩壊すれば、政治体制も崩壊が避けられない」と見るのが常識だろう。しかし、そうならないことも多い。
中国がいい例である。1958年から始まった毛沢東の大躍進政策の挫折で、数千万人の餓死者が出て、経済は完全崩壊した。それでも、人民共和国の社会主義体制は崩壊しなかった。:P.272 黄文雄「犯中韓論」幻冬舎
この「経済原則が通用しない」例が2つあります。
- 中国の例 :何千万の餓死者が出ても、中国共産党は崩壊しなかった。
- 北朝鮮の例:国民が餓死し、脱北者が出て、周辺幹部を処刑(死刑・暗殺)しても、「草を食べてでも核開発」と朝鮮労働党は現段階で崩壊しない。
この2国(中国・北朝鮮)は似てますね。
共通するのは儒教の序列意識であり、中国共産党や朝鮮労働党が「未熟で知能が劣る国民をご指導ご鞭撻」する制度のため、国民が餓死しようとも、絶対に崩壊してはならないのでした。そこには経済原則などありません。
中国・北朝鮮では、「党が国民を代表している」のではないのでした。
- 国民が草を食べようが関係なく、一握りの幹部だけが「ぶくぶく」と太り力士でさえ驚くような高いBMIを維持しています。
- 習近平政権が「クマのプーさんを全面的に禁止」したのも、金正恩が太りすぎていながら「側近を次々と粛清している」のも、みな「支配する側がエライのであり国民はそれに従わねばならない」という儒教の序列意識からきています。これを保証するのが「報道規制・言論弾圧・密告制度・取材制限」であることは言う迄もありません。「大混乱」があるとしても、いかに「言論の自由」が大切であるかが、よくわかるのですね。
- 「大混乱」と「言論の自由がない」点では、中国も韓国も同じです。北朝鮮・ロシアに「大混乱」がないとしても「言論の自由がない」ことは衆知の通りです。
同じ共産圏でも、儒教とは縁がないソ連(ロシア)は別の感覚をもっています。
とはいえ私は「ソ連のほうがマシ」と言っているのではなく、ソ連には特有の欠陥があり、これは拭えども拭えども、消えることがありません。
それでも経済的に行き詰まったソ連共産党が1991年に崩壊し69年の歴史を閉じたのは、奇跡だったのかも知れません。
そして来年2018年、中国が建国(1949年)以来その69年目を迎えるのです。今日(2017/10/18)から始まる5年に1度の中国共産党大会が厳戒態勢のもとで開かれ、習近平権力の強化が焦点とする報道もみられますが、69年で終わらせてはいけないというそれなりの理由があると私はみています。
同じ共産党が支配(した・している)国でありながら
「狡猾でずる賢い東アジア」と「打算的・功利的なソ連」が大きく異なるようで、そこから何かがみえてきそうですね。
プーチン露大統領「北朝鮮は雑草を食べても核を開発」:産経新聞 2017.9.5 18:42
もちろんロシアのプーチンは
金正恩が「北朝鮮を代表している」かどうかはどうでもよく「北朝鮮がロシアにとって役に立つかどうか」だけに関心があります。
さらに
アメリカが「北朝鮮に対する制裁でロシアに協力を求めた」ことに関してプーチンが「ばかげている」としたことから、何かが見えてくるようですね。
プーチンが有事に際して本当に北朝鮮を守る意志があるかどうかは別として、ロシアとしてはアメリカへの反発の方が強いため、「形式としては北朝鮮を守る」ことにしているようで、北朝鮮を今のままで有効活用しようとしているらしいことなら、手に取るようによく分りますね。
ロシアとしては、本当は中国のほうが扱いにくいと考えているかも知れませんが、対アメリカを考えると、いつでも中国と手を組む姿勢を見せておかねばなりません。あくまでもその副材料として北朝鮮が存在しているため、北朝鮮の国民がひどすぎる弾圧でどれほど苦しもうと、プーチンには興味のないことでした。国連の制裁決議に賛成してはいても、いつでも北朝鮮とは密輸が可能であり、安い賃金で北朝鮮労働者をロシア国内でわからないように使えるならば、それでいいという考えのようです。
さてさて、皆様はどう思われますか。