不適切な表現に該当する恐れがある内容を一部非表示にしています

北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

南太平洋バヌアツ共和国を巨大サイクロンが直撃 首都ポートビラ中心に被害甚大

2015-03-15 00:44:02 | 防災・災害派遣
◆サイクロン“パム”、瞬間最大風速85米
 CNN等が報じたところによると、超巨大サイクロンが南太平洋のバツアツ共和国を直撃、首都ポートビラ等で甚大な被害が出ているとのこと。

 現地時間13日0800時頃、南太平洋のバヌアツ共和国へ超巨大サイクロン“パム”が上陸し、瞬間最大風速85mという猛烈な突風により首都ポートビラは壊滅状態となり、オーストラリアの赤十字社等によれば、ポートビラ以外の被害状況は情報が途絶し不明だが、首都政府庁舎など多くが突風で倒壊しており、緊急の人道支援が必要な状態となっており、情報収集などを含め支援を求めていると報じられています。

 バヌアツ共和国は人口24万人、南にニューカレドニア、東にフィジー、西には慣れてオーストラリアという立地で、英連邦に加盟する独立国で国土の大半は800kmという広範囲に島々が分布する島嶼部国家で、環太平洋火山帯に位置し標高数百m級の火山が複数あり、火山性地震や噴火活動がたびたび観測されています。

 首都ポートビラ市が所在するエファテ島のほか、太平洋戦争中は豪州と米本土を結ぶ戦略上の要衝としてエスピリトサント島が活用され、有名なエロマンガ島もこの領土に含まれています。島嶼部国家であるため、島々の間の情報が途絶している現状では被害の全容はつかめません。

 今回の被害は既に数十名の死者が出ているとの報道がありますが、サイクロンの規模がハリケーンカテゴリ換算でカテゴリ5という最大規模のものとなっており、南半球でここ数年内に発生したサイクロンとしては最大のものとなり、アメリカハワイの太平洋合同台風警戒センターも規模予報を修正しているほど。

 住宅被害が大きく、多くの住民や公官庁が破壊されると共に避難所も破壊されているため、食料と飲料水などの緊急支援、住居などの資材と医療などの支援が迅速に求められている、報道は出始めたばかりであり現地からの情報はツイッターに限られる状況、今後情報の更なる収集が求められます。

 当初の想定以上の規模となり高潮と共に沿岸部を破壊すると同時に突風がかなりの建造物被害を出していることから、バヌアツ共和国だけでは対応できません。近傍にはフランス太平洋艦隊司令部の置かれる仏領ニューカレドニアやオーストラリア本土がありますが、バヌアツ政府からの要請があれば、我が国からも国際緊急援助隊が編制し派遣される可能性があります。

 空港設備の機能不随や沿岸部の被害に病院機能の喪失が想定されますので、海上自衛隊の輸送艦による沿岸部の救援と輸送機による人道物資緊急空輸等が求められるところです。しかし、距離があるため、空輸支援などと異なり艦艇による支援は時間を要し、この点被害状況を冷静に見てゆく必要があるでしょう。

 なお、来週18日に南極観測支援を終えて日本へ帰途に或る砕氷艦しらせ、がオーストラリアのフリーマントル港に入港しますので、仮に自衛隊が人道支援に当たる場合、こちらが転用される可能性もあります。砕氷艦は極地観測支援へ大きな物資輸送能力とヘリコプターによる空輸能力を有しており、病院設備も有しています。実際、立ちえば昨年のエアアジア旅客機墜落事故では、ソマリア沖海賊対処任務から帰途にあった護衛艦が捜索支援に当たりました。

 他方、サイクロンの規模はハリケーン換算でカテゴリ5から4に下がってはいますが、勢力は下がっているものの未だ大きく、バヌアツへの再上陸は現在の進路では心配がないとのことですが、負傷者救護や救援物資などが遅れた場合、更なる被害拡大が懸念されます。サイクロンは日曜日15日0800時の時点でニュージーランド北方へ南下しており、ニュージーランド東部沖を通過する可能性が生じているとのことです。

北大路機関:はるな
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 対領空侵犯措置任務と増大す... | トップ | 対領空侵犯措置任務と増大す... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
巨大災害 (専ら読む側)
2015-03-15 10:14:49
何処か平和な呼称(パムっ)とは裏腹の吸引力
「が丸々ぶっ飛んだ」の一言で脅威と恐怖を実感

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

防災・災害派遣」カテゴリの最新記事