北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】アメリカ空軍e-VTOL評価試験とXQ-58ヴァルキリー無人機自律飛行とB-21戦略爆撃機開発状況

2023-10-31 20:01:02 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 空飛ぶクルマからヴァルキリーまで今回の防衛情報はアメリカ空軍関連の様々な情報をお伝えしましょう。無人戦闘機の在り方や空飛ぶクルマとの関係は自衛隊にも参考となる点があるはずです。

 アメリカ空軍はe-VTOLを運用するジョビーアビエーションと評価試験契約を結びました。9月25日、ジョビーアビエーション社はエドワーズ空軍基地での評価試験契約を結び、空飛ぶクルマとして構想される電動ヘリコプター、e-VTOLの空軍での実用試験を開始することとなります。なお、空軍では構想自体は既に2020年から進められていました。

 e-VTOL、ジョビーアビエーションの航空機は操縦士が1名、そして4名の人員か454㎏の貨物を搭載可能、最高速度は200km/hであり一回の充電で161㎞の航続距離を有するとの事です。空軍は近距離の連絡輸送や貨物輸送にe-VTOLを充てる構想で、当面はメーカーの操縦士が飛行試験と輸送試験を行い、次の段階で空軍操縦士が操縦する計画です。

 ジョビーアビエーションのe-VTOL、用途は幾つかが考えられますが、広大な基地での整備員や整備部品の速やかな輸送、そしてロシアウクライナ戦争での戦訓は戦闘機をシェルターに格納するよりも広く分散させることで、e-VTOLがあれば飛行中隊が広い地域に分散した場合でも備品や弾薬と要員を秘匿したデポから即座に移動できる事でしょう。

 アメリカ空軍はXQ-58ヴァルキリー無人機の自律飛行試験を実施しました。XQ-58はゲームチェンジャーとさえいわれる将来型の無人機で、攻撃能力等は拡張要素という扱いで特筆すべきは長大な航続距離とステルス性を有するのに対して、従来の無人機と比較し破格に取得費用を抑えているため、多数を揃え相手を飽和攻撃できる、という点です。

 XQ-58ヴァルキリー無人機の自律飛行試験は8月22日、第40評価支援飛行隊によりフロリダ州のエグリン空軍基地を拠点に実施されました。今回行われた自律飛行は単なるプログラム慣性飛行ではなくAI人工知能を用いた飛行試験であり、戦闘機とのMUM有人無人共同運用の将来技術開発において重要なマイルストーンを果たした実験となりました。

 XQ-58ヴァルキリー無人機は2019年に初飛行、航続距離は5600㎞で巡航速度882km/h、現在は母機からの管制飛行を念頭、545㎏までの装備を搭載、無人僚機としての運用も念頭に置いています。メーカーであるクレイトス社によれば年間500機程度の量産が可能で、年間50機の低量生産においても製造費用を400万ドルに抑えられるとしています。

 アメリカ空軍と国防総省はB-21戦略爆撃機開発状況の総括報告を行いました。これは9月に行われた空軍協会航空宇宙サイバー作戦能力分科会において発表が行われたとの事で、ノースロップグラマン社によりB-21爆撃機試作機へエンジン搭載とエンジン稼働試験が開始されたことなどを開示しました。そして初飛行はもう少し先の事となるもよう。

 B-21レイダー戦略爆撃機、レイダーの名称は1942年に東京や名古屋などを初空襲したドゥーリットル爆撃機部隊の愛称を冠したものです。エンジンの稼働試験のほかに、関連資材の開発や飛行プログラムについても順調に進められているとのこと、特にノースロップグラマン社は運用開始から初度作戦能力獲得までの短期間化も注力しているとのこと。

 B-21戦略爆撃機の設計にはデジタルツイン方式を採用、サイバー空間にB-21そのものを疑似構築し、開発データを共有する体制を用いており、これにより物理的に遠隔地同士となっていす事業所や開発部署が開発状況を同じ工場内で作業しているほどの共有性を持つといい、この種の技術が爆撃機設計に応用されたのは世界でも初めてのこととされます。

 アメリカ空軍はA-10攻撃機を2029年までに廃止する方針を改めて示しました。これはアメリカ空軍参謀総長のブラウン大将が3月7日に会見で示したもので、A-10攻撃機は頑丈な機体構造と防弾装甲とともに滞空時間の長さや30mm機関砲を筆頭に優れた近接航空支援能力を有するものの、この機体が活躍できる状況は最早将来無い、と結論しました。

 A-10攻撃機は、イラクやアフガニスタンの戦場において絶大な威力を発揮し、基本的に武装勢力が有する火力では落とせない性能をもつとともに、なにより安定化作戦や警備作戦を展開する歩兵部隊に対して常に上空を滞空することで、即座に航空支援を加えられる態勢を維持、厳しい非正規戦闘に際して士気を高める不可欠の要素であると評されました。

 将来戦闘に対してA-10攻撃機が活躍する状況はない、こう評価される背景にはアフガニスタンやイラクの戦場と異なり、中国軍との戦闘を想定する将来には、中国陸軍や空軍の有する膨大な地対空ミサイル部隊を相手に戦闘を展開する必要があり、A-10攻撃機の防弾は確かに23mm機関砲程度には有用でもミサイル戦場では生き残れないという結論です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ウクライナ情勢-ロシア来年度国防費GDP比6%!新しい激戦地クピャンスクとドニエプル川渡河作戦の概況

2023-10-31 07:00:11 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 実質的に国家予算の半分以上が国防費というロシアの現状は特別軍事作戦と如何に言い張ろうとも戦時体制そのものというところ。

 ロシア国防費は2024年度予算でGDP比6%に達した、10月23日付イギリス国防省ウクライナ戦況報告によれば、ロシアの国防費は2023年度予算と比較した場合、2024年度予算は実に68%増大するという。ロシアではインフレが続き、前年度と同額を確保したという教育費と医療費は国防費増大を前にインフレにより実質目減りしたとのこと。

 68%増額した国防費について、アレクセイヴォフチェンコ労働次官は10月17日の発言で、負傷したロシア兵の20%が四肢切断という重傷を負っており、これら傷病兵は生涯にわたりロシア政府が医療負担を行う必要が生じていることを示しています。ロシアは不足するルーブルを増刷し国防費を確保していることから、インフレは高止まりする懸念がある。
■激戦地クピャンスク
 このクピャンスクが現在最大の激戦地となっている模様でロシア軍はこの地域だけで最大8個旅団を投入しているといわれる。日本が教訓とすべきは戦略的重要性は軍事要件ではなく政治要件で決まってしまい攻撃されるということか。

 ロシア軍はクレミンナ地区において前進している、ISWアメリカ戦争研究所が10月22日付発表においてその概要を示しています。これはこの数週間重視しているクピャンスク-スヴァトフ-クレミンナ線でのロシア軍攻撃の戦果であり、クピャンスクの北東21km及び南東22km地点、クレミナの西方17kmの地域で前進、ウクライナ軍と交戦した。

 ウクライナ軍報道官の発表としてクピャンスクにはロシア軍が新たに新編した囚人部隊であるストームZを重点的に兵力として増強しており、このところロシア軍は予備戦力の確保に成功しているとのこと。他方、ウクライナ軍はバフムト南方地域での確保した鉄道線付近を中心に戦果拡張に成功、バフムト南西12㎞地域にて新たに鉄道線を確保した。
■ドニエプル川渡河作戦
 ロシア軍が引抜いた間隙での戦い。渡河作戦にも水陸両用部隊の能力がかなり活用されていまして具体的に言えば水陸両用部隊は揚陸艦に頼らずとも一定の両用作戦能力を持つ事は意味があるということか。

 ドニエプル川渡河作戦の概況について、ISWアメリカ戦争研究所が10月22日に発表したところによれば、ウクライナ軍は22日時点で東岸地域の一部を確保しているとのこと。これに対してロシア軍はヘルソンの北東30㎞地域にあるクリンスキー地区においてウクライナ軍と交戦中と、ロシアミルブロガーの発表を引用するかたちで報告している。

 東岸地域を占領するロシア軍部隊は第18諸兵科連合軍第70自動車化狙撃師団、黒海艦隊第810海軍歩兵旅団と第126独立沿岸警備旅団及び第127独立偵察旅団と第8砲兵連隊、カスピ小艦隊第126海軍歩兵連隊と第127海軍歩兵連隊及び177海軍歩兵連隊であり、授記と同じミルブロガーの発言として善戦し、東岸地域を抑えているとのことです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【防衛情報】パトリア6×6装輪装甲車とボクサー装甲偵察車,M-2A4装甲戦闘車追加生産にLRSS軽装甲車両偵察システム

2023-10-30 20:23:41 | インポート
■防衛フォーラム
 今回は装輪装甲車や装甲戦闘車など装甲車関連の話題を中心にいろいろおりまぜて各国の陸軍関連の最新情報をお伝えしましょう。

 スウェーデン陸軍はパトリア6×6装輪装甲車の受領を開始しました、パトリア6×6装輪装甲車はクングセンゲン駐屯地のスウェーデンライフガード連隊へ配備される計画で、スウェーデン国王近衛部隊であるとともに首都ストックホルムの警備任務も担う連隊です。受領した車両は初度検査を経て8月以降、部隊へ配備が開始される見込みとのこと。

 Pansarterrängbil 300の名称でスウェーデンに配備されるフィンランド製パトリア6×6装輪装甲車、スウェーデン軍は2022年6月に国際共同開発計画へ参加を表明、2023年4月に最初の20両は発注され汎用装甲車として400両の追加計画があります。2022年ロシアウクライナ戦争を受け増強を開始したスウェーデン軍は装甲車が不足しています。
■K-9A1自走榴弾砲48両
 韓国のK-9は売れているなあと思いつつ自衛隊の99式自走榴弾砲と比較した場合打撃力は大差ないけれどもエンジンはK-9の方が強力なものを搭載しているので不整地に強い。

 ポーランド軍はK-9A1自走榴弾砲48両を追加受領しました。これは8月15日にポーランドが実施した大規模な軍事パレードの際に発表、この軍事パレードはポーランド国内で実施されたものでは冷戦終結後最大規模のものであり、ロシアウクライナ戦争とベラルーシ軍のポーランド国境近くでの緊張増大に対応する示威的なパレードでした。

 K-9A1自走榴弾砲は2022年8月にポーランドと韓国のハンファディフェンス社が212両の24億ドル調達契約を結んでいます、調達は2026年までに完了する計画で、併せてポーランド国内でのライセンス生産部品が含まれ、ポーランド国産のAHSクラブ自走榴弾砲にも車体部分が応用されているほか、その能力向上型にも応用される計画です。
■BT-3F自走対戦車ミサイル
 コルネットE対戦車ミサイルは一年前まで世界最強と強調されていましたがレオパルド2はもちろんブラッドレイにもきかないという。

 ロシア軍はBT-3F自走対戦車ミサイルシステムを発表しました。新型装備ではあるものの既存のBT-3F車体部分に対戦車ミサイルを搭載したもので、その発表は8月11日にロシアメディアがテレビ報道により紹介するというもの。もともとこのBT-3Fは水陸両用装甲車で、その車体上にコルネットE対戦車ミサイルを搭載したものという。

 BT-3F装甲車はBMP-3装甲戦闘車の車体設計を応用したもので、しかしBMP-3の派生型ではありません。特色としてはBT-3Fは海軍歩兵部隊での使用を想定し浮航時に波浪の影響を抑えるスクリーンを装備した点です。コルネットEは射程5500m、ウクライナ軍のレオパルド2戦車にも発射され貫通はしませんでしたが命中することは出来ました。
■ボクサー装甲偵察車用にスパイクLR2
 陸上自衛隊の偵察戦闘車もどうなるのか。

 オーストラリア陸軍ボクサー装甲偵察車用にスパイクLR2ミサイルの取得が契約されました。これはラファエルオーストラリア社とオーストラリア国防省が締約したもので、オーストラリア防衛産業であるヴァーリーグループとの合弁会社ヴァーリーラファエルオーストラリア社がライセンス生産することで迅速な引き渡しと装備化を目指しています。

 スパイクLR2は2018年に開発された最新型、ミサイル本体は12.7kgとスパイクLRよりも軽量化されているものの、射程延伸と非冷却型シーカーの採用、そしてAI人工知能を用いたスマートターゲットトラッカーを採用し目標が回避行動をとった場合でも追尾が可能であり、そして射程は地上発射型5.5㎞、空中発射型10㎞と延伸しています。
■ハンガリーリンクス装甲戦闘車工場
 ハンガリーはオルバン政権がウクライナ支援に消極的ということで親ロシア政権ではないかともいわれていますが、ハンガリー動乱の再来に備えてロシアへの警戒は緩むどころか強化されている。

 ハンガリーはリンクス装甲戦闘車工場を開設しました。リンクス装甲戦闘車はドイツのラインメタル社が独自開発した重装甲を誇る装甲戦闘車ですが、ドイツ連邦軍はプーマ装甲戦闘車を採用しているため、リンクス採用国はハンガリーがローンチカスタマーとなりました。そしてラインメタル社はドイツ政府の政策に基づき製造ラインを削減している。

 ラインメタル社はこうした背景から、自社製品の現地生産に積極的であり、ハンガリー政府はリンクス採用に併せて国内生産を希望、これを受けザラエゲルシェクへ建設されていた工場がこのほど完成したもの。ハンガリーはズリーニ2026計画として防衛装備国産体制強化を掲げており、今回建設のラインメタル社新工場はその中枢を担う見通しです。
■アロー3大気圏外ミサイル迎撃システム
 イージスミサイル防衛システム以外にも選択肢がある事を示している構図ですが射程がやけに長いのですよね。

 ドイツ政府が導入するイスラエル製アロー3大気圏外ミサイル迎撃システムの輸出をアメリカ国務省が承認しました。イスラエル防衛産業市場最大となる140億ドルもの巨額の防衛装備輸出となります。アロー3はイスラエルが独自開発したミサイル防衛システムであり、1991年湾岸戦争に際し有効な弾道ミサイル防衛手段の欠如を受け開発された。

 アロー3の特筆すべき点は2500㎞以遠の弾道ミサイルを迎撃可能である点で、これはアメリカのミサイル防衛システムをはるかに上回ります、その理由として1965年の米ソABM制限条約により、一定以上の距離での弾道ミサイル迎撃能力は相手の報復を回避し核攻撃が可能となる懸念を受け米ソ両国が制限、この合意は米ロ間でも維持されている。

 イスラエルとドイツの正式契約は2023年11月ごろに予定されていますが、このアロー3はイスラエルが開発したものであるとともに、アメリカの資金援助と技術援助を受けており、輸出にはアメリカの承認が必要でした。ドイツは2022年ロシアウクライナ戦争を受けミサイル防衛システムの必要性を痛感、アロー3導入交渉を続けていました。
■戦車乗員パイロットプログラム
 急造チームでもチームワークを組めるようにするというガルパン的な発想なのですね。

 アメリカ陸軍は戦車乗員パイロットプログラムを推進中です。これは気候旅団戦闘団の即応性強化を企図したもので、現在テキサス州フォートブリス第1機甲師団第1機甲旅団戦闘団とカンザス州フォートライリー第1歩兵師団第1機甲旅団戦闘団がその評価試験を行っています。この計画は近年の旅団以上の戦闘能力重視回帰に合わせたものです。

 パイロットプログラムとは、いままで戦車であれば乗員4名の能力を基本として年次検定などを行ってきましたが、例えば疾病例えば産休に際し車長や砲手に操縦手や装填手一人でも欠ければ再検定が必要でした。しかし、今後は個人の特技能力として資格化し、必要に応じて即座に乗員チームを組めるよう切り替えるのは、パイロットプログラムです。
■LRSS軽装甲車両偵察システム
 自衛隊も一種類の共通車輛で一気に置換えられればいいのですが、例えば軽装甲機動車と高機動車をハーケイかイーグル4一種類の大量調達で置換えるとか。

 カナダ陸軍はLRSS軽装甲車両偵察システム計画を推進させます。現在カナダ軍はスイスのモワク社が開発したピラーニャシリーズをライセンス生産したコヨーテ装甲車を偵察用装甲車として運用していますが、防御力や不整地突破能力等で2020年代の装輪装甲車としては陳腐化しており、ピラーニャシリーズの新型LAV6.0導入を模索していました。

 LAV6.0は陸上自衛隊の次期装輪装甲車船艇でも候補となりましたが、期間内に試験車が納入されずパトリアAMV装甲車が採用されています。一方でLRSS軽装甲車両偵察システムはこれまで大きく遅延していました。それは単に装甲車としての性能だけではなく偵察システムを備えた装備であるため、ソフトウェア開発のセキュリティが要求されたため。

 LRSS軽装甲車両偵察システムはもう一つ、車体部分を製造するカナダ国内の防衛産業下請け会社が倒産するという問題に直面、これを受け全体を製造するジェネラルダイナミクスランドシステムズカナダ社は新しい下請け企業を探す必要に見舞われ、その開発が大きく遅延したのでした。今回は試作車が納入され、計画はひょうか試験へと前進します。
■トルナードG
 低価格で大量に生産していたもののソ連時代の遺産が潰されていて決して安価ではない新造装備で代替する、日本の隣国はこんな感じなのです。

 ロシア陸軍はBM-21ロケット砲後継として9A53GトルナードG多連装ロケット砲量産を発表しました。BM-21は1960年代初頭にカチューシャロケットの後継として開発され、トラックにロケット発射筒を40連装するという簡易な構造ながら高い信頼性を持つ装備ですが、2022年ロシアウクライナ戦争で既に300両以上が全損しているという。

 9A53GトルナードG多連装ロケット砲は元々BM-21の能力向上型として2012年に発表されたものですが、BM-21でも十分であり36両が試験的に製造されただけでした。しかしこの評価が一転したのは大量のBM-21喪失です。今回量産が決定された9A53GトルナードG多連装ロケット砲はグロナス衛星座標システムと連動した火器管制装置を積む。

 BM-21ロケット砲のウクライナでの喪失は決して長くない射程の122mmロケットが射撃を行った数分後にカエサル自走榴弾砲など高精度の榴弾砲で40㎞以遠から撃たれるためで、車体部分には小銃弾を想定した防御と車体下部には6㎏までの地雷やIED簡易爆発物への防護能力が付与されているといい、ウクライナでの損耗を補填するのが狙い。
■ブラッドレイ追加
 自衛隊は2004年度を最後に89式装甲戦闘車の調達を中止していますが調達中止よりも柔軟に生産ラインを再開できる能力の方が重要なのかもしれませんね。

 アメリカ陸軍はBAEシステムズ社との間でM-2A4ブラッドレイ装甲戦闘車追加を契約しました。この契約では1億9000万ドルをとうじてテキサス州テクサーカナのレッドリバー陸軍補給廠と、サウスカロライナ州エイケンのBAEシステムズ社工場においてM-2A4装甲戦闘車及びM-7A4砲兵観測車を含め70両が追加調達されることとなります。

 M-2A4ブラッドレイ装甲戦闘車は、近年のアメリカ陸軍機甲旅団戦闘団再評価の中に在って従来のM-2A2などと比較しエンジン性能の強化とIED簡易爆発物対処能力の向上と車両事故診断装置による故障予防性能の強化などが加えられています。ブラッドレイはロシアウクライナ戦争においてT-72戦車砲弾に耐えるなど強靭な防御力を誇示しています。
■段ボール無人機
 自衛隊は戦闘ヘリコプターや対戦車ヘリコプターという40年以上に渡り整備した航空打撃力を全廃し無人機へ切り替える最中ですが、ここまで無人機いという手段が普及すると対策手段が大規模に開発されてしまいそう。

 ウクライナ軍はオーストラリア製段ボール無人機での長距離攻撃に成功したと発表しました。攻撃はクルスクにあるロシア軍航空基地に対して実施されMiG-29戦闘機とSu-30戦闘機など4機や地上防空システムなどに損傷を与えたとしていますが、特筆すべきは前述の通り、この攻撃を果たしたのは段ボール製自爆用無人機であったということです。

 段ボール製無人機を開発したのはオーストラリアのスタートアップ企業SYPAQ社で、もちろん紙飛行機のような安易なものではなく耐水性を増すために蝋引きした段ボールと主要部分の制御には輪ゴムを大胆に使用し、一回限りの使用となる自爆用無人機故に徹底した低コストにより数を揃えられるように敢えて段ボールを用いたという大胆な設計という。

 Corvo Precision Payload Delivery System 、略してPPDS無人機の特筆すべき点は納品段階では段ボールは平積みの状態で梱包され、四角い胴体の内部にエンジンと航法装置を搭載し、一定程度の爆薬を搭載可能、面倒なフラップなどの制御は輪ゴムを用いるというもの。なおロシア軍は模型飛行機用発泡スチロール製自爆用無人機を開発しています。

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【M-5撮影特報】エアフェスタ浜松2023,晩秋の青空のもと開かれた浜松基地航空祭の活況(2023-10-29)

2023-10-30 07:00:20 | 詳報 陸海空自衛隊関連行事
■航空祭へ行ってきた!
 ミラーレス一眼で撮影した話題を"詳報 陸海空自衛隊関連行事"カテゴリにて速報記事という形でお伝えしましょう。

 浜松基地航空祭へ行って参りました、浜松基地、久々に静岡県の航空祭へ行ったわけですがシャトルバスの発着場所やバス路線などがちょっとかわっていまして、始発新幹線で行くにはちょっと難渋してしまい、多少難しくとも浜松か豊橋に一泊すべきなのかな、と。

 T-400練習機、美保基地から浜松基地へ移駐してから当方にとって初めての航空祭となります、前回美保航空祭に行った際にはT-400が機動飛行を頑張っていましたが、現在その場所には最新鋭のKC-46A空中給油輸送機が配備されているという時代の変化を感じますね。

 E-767早期警戒管制機の飛行展示、M-5というミラーレス機で撮影したのですがEF-Mレンズは望遠レンズが殆ど出されておらず、今回はスナップ撮影用の15-45mmレンズを一眼レフの隣に括り付けて撮影しました、ただ、E-767は期待が大柄なので、助かるのです。

 E-2D早期警戒機、三沢基地からの外来機で、今年の浜松航空祭の目玉、いやこのE-2Dが来なかったら恐らく浜松基地にはいかずに八尾駐屯地祭に行って帰路に桂駐屯地祭の装備品展示を巡っていただろうなあ、とおもう。今回初めて見ました最新鋭の自衛隊装備だ。

 ブルーインパルス、エアフェスタ浜松2023の特色は、飛行展示が非常に少なくオープニングフライトと救難飛行展示にE-767飛行展示、岐阜基地からのF-15とF-2が飛行展示を行い1100時までの二時間で基地の飛行展示は終了、あとは午後からのブルーインパルスという内容でした。

 T-4練習機とE-767早期警戒管制機、ちょっと驚いたのはT-4練習機は第1航空団、浜松基地の主役なのですが機動飛行を全く行わず、オープニングフライトで編隊飛行しただけでそれきりということ、ブルーインパルスのような外来のT-4練習機ががんばっていました。

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【日曜特集】海上自衛隊60周年観艦式【19】こんごう型後継-日米韓駆逐艦共同開発の論調(2012-10-08)

2023-10-29 20:22:15 | 海上自衛隊 催事
■いまの駆逐艦は凄いぞ
 ミサイル防衛専用艦改めイージスシステム搭載艦をアメリカも採用しようという流れなのでしょうか。

 アメリカと日本と韓国の駆逐艦を統合共通設計とできないか、アメリカではこうした論調があるようです。日米間の駆逐艦共通化、日本の場合は駆逐艦ではなく護衛艦ですが、その論調の背景にはやはりといいますか中国海軍に対応するインド太平洋戦略がある。

 いまの駆逐艦は凄いぞ最高だ、という台詞がSF映画にありましたが、日本の場合は実際に全通飛行甲板型護衛艦という、DD艦隊駆逐艦の符号を有する艦艇としては満載排水量で三万tちかい“駆逐艦”なんてものが存在する、ただアメリカはもう少し違うものを。

 こんごう型ミサイル護衛艦の後継か、若しくは汎用護衛艦として一時代を築いた護衛艦むらさめ型の後継艦などを想定しているのでしょう。韓国は長らく陸軍国ではありましたが、先ごろセジョンデワン級ミサイル駆逐艦の4番艦が公試開始の一方が記憶に新しい。

 海上自衛隊の場合は今後、ミサイル防衛専従艦改めイージスシステム搭載艦が建造、基準排水量1万2000t前後のかなり大型の水上戦闘艦を整備します、長期の警戒監視とミサイル防衛を見込んだ結果であり、満載排水量は1万7000t規模くらいとなるのでしょう。

 ひゅうが型護衛艦が基準排水量1万3500tで満載排水量が1万9000tですので、こうした全通飛行甲板型の護衛艦と比較しますと、多少は収まっているような印象が生まれるのですが、それでも、これぞ水上戦闘艦、という艦容を備えた艦艇の中では破格の大きさ。

 タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦の後継艦研究がアメリカでは開始されています、アーレイバーク級ミサイル駆逐艦で対応できるものではなく、空母打撃群を防衛する防空中枢艦は相応の指揮能力と司令部機能を求められるため、やはりどうしても大型艦が、と。

 セジョンデワン級、しかし問題はセジョンデワン級4番艦の公試を開始したばかりの韓国で、イージスシステム搭載艦の大きさ、有名なドクト級揚陸艦に排水量で迫る水上戦闘艦となると大きすぎるとともに、4番艦はバッチ2の1番艦、設計は変えられない。

 まや型護衛艦として日本はイージス艦の整備をひと段落していて、いや決してイージスシステム搭載艦が、こんごう型代替艦になるという決定は無い故に、どう展開するのかは分からないのですが、インド太平洋を中心に考える日米と歩調は合うのか、という疑問も。

 むらさめ型後継艦が大型化する可能性、ここで考えるのは海上自衛隊幹部学校記事など内部での自由な議論に、オールイージスという、汎用護衛艦の艦隊防空能力を抜本的に強化しなければ中国海軍の海軍力増強に対応できないという危機感に基づく提言が。

 蘭州型ミサイル駆逐艦から始まった艦隊防空艦整備は、既にDDGに当たる広域防空艦が基本であり、江凱Ⅱ型フリゲイトなど艦隊護衛艦の段階でスタンダードSM-2ミサイルの射程を凌駕する長射程の艦対空ミサイルをVLS垂直発射装置に常備し、普及する。

 あさひ型護衛艦の満載排水量は7000tに達しており、イージス艦フリチョフナンセン級よりも五割大型であり、アルバロデバサン級ミサイル駆逐艦より若干大型となっている、続く汎用護衛艦が、これまで通り一割五分大型化すると、イージスシステム搭載は。

 日本で建造し、アメリカ海軍のアーレイバーク級駆逐艦を補完する艦隊防空艦を、FMS域外調達の逆方式でアメリカに供給し、コンステレーション級ミサイルフリゲイトとともに運用する選択肢はあるのかもしれませんが、向こうの識者の視座、実に興味深い。

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【G3X撮影速報】小松基地航空祭2023【2】イーグルとイーグルそしてイーグルのおおぞら(2023-10-07)

2023-10-29 20:00:15 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■大編隊ではないけれど
 浜松基地航空祭の日に小松基地航空祭の話題とは一文字違う印象かもしれませんが浜松の速報はもう少しお待ちください。

 F-15戦闘機の4機編隊、小松基地航空祭はこれまで私が撮影した範疇で最も大きな編隊飛行は12機編隊飛行でした。いや、実は今年度航空祭もF-15戦闘機は10機離陸していたのですが、飛行隊ごとに4機編隊、飛行教導群から2機、合計10機という陣容だった。

 F-35戦闘機とF-15戦闘機の編隊飛行、を撮影してみた。結果はご覧の通り、編隊飛行が規模が小さいのでF-35のほうが目立ってしまったかな、という構図でした。これはF-35から少し距離を置いて望遠レンズを使い、圧縮効果で編隊に絡める構図とすべきだったか。

 10機編隊、F-15戦闘機は10機離陸しましたので10機編隊を組むものとばかり思っていたのですけれども、10機が、4機と4機と2機で分かれて飛行するというところまで考え及ばず、やはり予行の編隊飛行をしっかりみておかなければならないのかなあ、と実感する。

 編隊飛行、異なる飛行隊ごとに大きな一つの編隊を組むにはある程度の練習が必要という、それは戦闘機部隊の任務は航空祭で密集した編隊を組む事ではないので、実任務に向けた訓練飛行とは別に航空祭の予行に向けて、その前段階での訓練が必要、という意味でして。

 実任務増大により広報にまで時間を確保出来ないという事情があるのは理解しているのですけれども、2019年の、つまりCOVID-19新型コロナウィルス感染症世界拡大の前の航空祭の時代と比較すると、台湾海峡やウクライナにカフカス地方、国際情勢は緊迫している。

 飛行教導群の独特の迷彩、新田原基地に長らく展開していました飛行教導群が広大な日本海の訓練空域を活用すべく小松基地に移駐し、結果的に3個のF-15飛行隊が展開する事となりました小松基地、この独特の迷彩を撮影出来るだけでも、小松基地航空祭は面白い。

 基地へ編隊飛行を終えて続々と着陸します。今年の小松基地航空祭は脚立禁止に椅子禁止が徹底されていまして、こう、カメラを手にぐんと伸ばして適当に、勘を頼りというが場数を踏むとそれでもある程度良い構図を収められる、そんな撮影をしてみましたが、さて。

 最前列で戦闘機の発着を撮影しておきますと、北大路機関が散々紹介する時事情報の際に、航空自衛隊の戦闘機のイメージ写真として活用できるのですが、そちらは普段撮りとして今年は充分撮影出来ましたので、そう、人がいっぱいいるぞ、というお祭りの様子を撮る。

 救難飛行展示の開始、さて。撮影位置ですが、選んだ場所は、少々間延びした雰囲気に、よーく目を凝らしてみるとF-15のキャノピーの奥に救難ヘリコプターへ収容される想定要救助者が見えます、なにかこう、UFOにゆうかいされているような構図になってしまうなあ。

 UH-60J救難ヘリコプターが少し移動しましたが、迫真の飛行展示とともに整備に当る隊員さんという、これは考えれば航空祭らしい構図、といってしまっていいのかな、みようによっては面白い構図の写真を撮影できた。小松名物VADS機関砲展示はVADS廃止で無し。

 飛行教導群飛行展示が続いて開始されました。F-15戦闘機は1970年代に量産された戦闘機で自衛隊は1980年代から運用、改良と能力向上を重ねているとはいえ2020年代において最新鋭とはまったく言えない機種ですが、戦闘機としての機動性の高さは今なおたかい。

 混雑度をみますと、それほど混雑していない様子が見えます、そう、最前列付近は確かに混雑しているのですが。最前列、小松基地は小松空港に隣接していますから、普段の日常訓練はそれなりに発着する迫力の構図を小松空港展望デッキから撮影できるのですよね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都発幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌-東海道新幹線,シンカンセンスゴイカタイアイスカウントダウン

2023-10-29 18:22:06 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 東海道新幹線車内販売終了は今月31日でもう間もなくです。

 東海道新幹線、普通列車でのんびりと東京まで行くのも実は大好きなのです、途中下車して美味しいものを頂き、平素には兎に角買って積むだけの小説を目いっぱいバッグに詰め込んで、ロングシートに座りレールの音に揺られながらひたすらに読むという。

 シンカンセンスゴイカタイアイス。まあそんな風に言われる、ドライアイスで徹底的に冷やして車内販売するアイスクリーム、東海道本線は好きなのですがこればかりは東海道新幹線でしか味わえない、前は北陸本線特急でも普通に売られ、雷鳥で食べた思い出の。

 十月末日、つまりもお直ぐじゃないかあ、東海道新幹線は車内販売を全面的に終了します。そしてシンカンセンスゴイカタイアイスというのは、車内販売で溶けないようにするためにドライアイスで徹底的に冷やしているのだから、もう食べられない。最後、か。

 感傷的になっていましたが、さっそく滋味あふれたスジャータのアイスクリームを頂こうじゃあないか、と、スプーンを刺したところ、刺さった。スゴイカタイ、防災用の缶飯を思い出す、でもこれがこの醍醐味なのですよね、ゆったりと新幹線でアイスを頂く。

 ゆったりと。ゆったりと。ゆった、り、と。って次京都じゃないか、そう月末で販売終了という事を思い出して大急ぎで買ったときにはもう新幹線は名古屋を出て岐阜羽島や米原を過ぎて、そうここもう滋賀県か京都府か、というところなのだ、は、早くしないと。

 アイスが固い場合はしばらく待ってから。有難い解説があるんですが、そんなことしたら京都駅ついちゃうんだってば、醍醐味じゃなくてさっき車窓に見えたの醍醐寺じゃない、もう山科区入ってる、シンカンセンヤマシナクハイッテル、でもスプーン刺さらない。

 京都、京都です。わかってるよ。まもなく京都です、みりゃあ分かる。でもシンカンセンスゴイカタイアイスはスプーン刺さるだけで削れないんだってさ、あとドアはこっちが開くのね。と。こういう緊張感でアイスを愉しめるのも、もうあと僅かなのですよ、ね。

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【京都発幕間旅情】伊豆箱根鉄道3000系電車,Aqoursラッピング電車受け継ぐ幻日のヨハネラッピング電車

2023-10-29 07:00:06 | コラム
■幻日のヨハネ
 鹿島臨海鉄道がガルパン列車運行を終了した事が先日報道されましたが。

 伊豆箱根鉄道、ラブライブ電車で有名な鉄道といいますか、ラッピング電車と大ヒットしたコンテンツとの相関関係でここまで成功し、旅客需要を掘り起こしているというのは珍しいなあ、と思います。ちょうど鹿島臨海鉄道が昔同様の成功をおさめたが。

 幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR、長いので幻日のヨハネラッピング電車というほうが通りが良いのでしょうか、ラブライブsunshineのスピンオフ作品がアニメーション化されまして、スピンオフ作品に対応したラッピング電車を早速運行中です。

 大雄山線と駿豆線、この大雄山線は小田原駅を起点とする路線なのですが、幻日のヨハネラッピング電車が運行されているのは三島駅と修善寺駅の19.8 kmを結ぶ駿豆線、特急踊り子号が東京駅から東海道本線軽油で乗り入れることでも知られる温泉街の路線で。

 幻日のヨハネ、というのは、学校廃校系アニメーションの金字塔というラブライブsunshineが現在の沼津市を舞台としているのに対して、スピンオフ作品は別の世界にヌマヅという街がある、要するに異世界が舞台なのですが、今はやりの異世界転生ではないもの。

 伊豆箱根鉄道3000系電車がラッピング電車として活用されているのですが、Aqoursラッピング電車として所謂ラブライブ電車が運行開始されたのは2016年であり、これは現在の幻日のヨハネ電車とは異なる、本編の方のラッピング電車として一部好評でした。

 ヌマヅも沼津も作品世界に描かれている、アニメーション愛好家が言うところの“聖地”であり、こうしたコンテンツによる需要掘り起こしと話題というもので地方鉄道が工夫し活況化に頑張っているというのは、ある種注目出来る事例かな、と思うのですね。

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CB90/Stridsbåt90H【5】小型である襲撃艇は輸送機搭載や陸上輸送さえ可能という利点

2023-10-28 20:12:46 | 先端軍事テクノロジー
■陸上自衛隊も使う前提で
 第四回を最終回とする予定でしたが、小さすぎるのではないかという指摘がありまして逆に小さい事は利点でもあるという視点を第3.1回改め5回ということで記載してみました。

 哨戒艇の性能を兼任する高性能な小型艇として最初に思い浮かべたのはアメリカ海軍が運用するMk5特殊哨戒艇でした、ステルス性に配慮されており一定の装備を付与可能で、水陸機動団や特殊作戦群の輸送にも対応ですし、最高速力は65ノットで航続距離は500浬、特殊部隊員を充分な装備と共に16名輸送するか2tまでの装備を輸送、装載艇も積める。

 20tを超えると船舶免許は途端に面倒になる、Mk5などは外洋航行能力があるのですが、日本で運用する事を考えた場合、満載排水量57tのMk5特殊哨戒艇は運用に必要な免許が途端に複雑になるという点が、これは自衛隊で鋼鈑に配備する場合は不向きなのだなあ、と考えさせられた点でした。この点でCB90/Stridsbåt90Hは排水量は13tでしかない。

 海技士免許と船舶職員、排水量が20tを超えますと船舶の場合は航海海技士免許六級以上の船長が航海計画を立案しなければなりませんし、機関士として機関海技士免許六級以上の、そして電子通信海技士四級以上か通信海技士三級以上、つまり必要な国家資格が単なる船舶免許だけではなく海技士資格が必要な人数が複数となり海技免許取得の幅が広がる。

 CB90/Stridsbåt90Hは陸上自衛隊にも必要だと提唱する上で、海技免許は乗船履歴の有無、乗客ではなく運行要員や船員として必要で、その上で国家資格試験に臨む必要があります。そして調べてみますとAAV-7両用強襲車や94式水際地雷敷設車の運用実績では必要な乗船履歴とは認められず、海技免許の障壁を考えると排水量13tは非常に使いやすい大きさ。

 プレジャーボート程度しか航行能力の無いCB90/Stridsbåt90Hは外洋作戦に不向きであることは理解するのですが、プレジャーボートと同じ船舶免許で運行できるため、海技士免許を持つ船長と機関士と通信士が各艇毎に必要な、より大型の、艦艇は導入に障壁が一挙に高まるのです。もちろん、海技士免許を陸自でも取得できる事が利点と成れば別ですが。

 陸上自衛隊に入隊すると無料で大型免許がとれる、ということは一時期に大型免許が大きな収入に直結していた時代、なにしろ1990年代の大手運送会社が募集した初任給は40万円代後半、大きな募集への強みとなっていました。陸上自衛隊へ入隊すると海技士資格が取れるという事が募集上大きな利点と成れば、大型船を導入する意義になるやもしれない。

 かつ大品輸送。陸上自衛隊で導入する利点として、行う必然性はないのですが必要ならば可能であるというCB90/Stridsbåt90Hの長所に、必要ならば陸送できるという部分が有ります。全幅が3.8mですので道路管理者の許可を受ければ90式戦車などを輸送する特大型運搬車に積載し、陸上を輸送する事が可能だ、ということです。これは大きな利点である。

 地方隊に配備するならば、海沿いに移動できるのですが、配備する必然性は別として、陸上自衛隊の方面隊は海上自衛隊の地方隊と異なり、海沿いではなく陸上を日本海側と太平洋側に関係なく装備されています、例えば能登半島と伊勢湾を警備管区とする第10師団、若狭湾と大阪湾を警備管区とする第3師団、松島湾と日本海を警備区とする第6師団など。

 陸上輸送よりも平時の訓練展開ならば、金沢から名古屋までは、襲撃艇の要員だけ移動させる、どうしても移動しなければならない場合は下関を経由する海上移動の方が、無理に輸送するよりも安上がりであると思うのですが、必要ならば特大運搬車に装載して輸送する事が出来る点は、第3師団や第10師団は北陸自動車道と名神高速道路を使えば早い。

 第3師団や第10師団に絶対配備しろという訳ではなく、海上自衛隊ではなく陸上自衛隊の所掌に入ると考えるならば、これは陸上輸送することは可能であると強調する背景にこの利点は上げられます。そして、このCB90/Stridsbåt90Hは、C-2輸送機に搭載できる。もちろんマストの一部は折り畳み式とする必要がありますが、C-2輸送機は幅4mまで積める。

 C-2輸送機に搭載できるという事は、何らかの必要性から自衛隊の緊急展開として艦艇を送る際、これまでは最大速力で急行する他なかったのですが、CB90/Stridsbåt90Hであれば、C-2輸送機に載せられるという利点は他の装備、複合高速艇には無い利点となります。C-2輸送機を8機投入するならばCB90/Stridsbåt90Hを8隻、6500km先に数時間で運べる。

 CH-47輸送ヘリコプターでは流石にCB90/Stridsbåt90Hは吊下げ空輸できないのですが、アメリカ海兵隊に装備されるCH-53Gキングスタリオン重輸送ヘリコプターならば空輸可能だ、11.2tまで吊下げ空輸可能であるCH-47Fならば、不用品を撤去した場合は短距離の吊下げ空輸も可能である余地がある。CB90/Stridsbåt90Hはそういう点で機動力がたかいのです。

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【京都発幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:静岡-御殿場,絶品なハンバーグをさわやかに240分まってから頂く

2023-10-28 14:11:14 | グルメ
■榛名さんの総監部グルメ日誌
 うまいハンバーグのはなしをしよう。

 浜松基地航空祭といえば。静岡県です。いやあ忘れてたよ、という方は少数派なのでしょうけれども静岡県といえばもう一つ、美味しいものがあるのですね。もちろん太平洋の海の幸は勿論、アニメ“ゆるキャン”で改めて注目された浜名湖のウナギなどもひとつ。

 静岡県、東海道本線と東海道新幹線という物流と交通の大動脈が走るものの、のぞみ号にて270km/hで通過する方が多いという方にはもう一つ思い出してほしい、さわやかな風とともに通過するのではなく静岡のもう一つの名物、さわやかハンバーグの美味しさ。

 さわやかハンバーグ、静岡県を中心に展開していますハンバーグレストランチェーンで、実は浜松基地の近くにもありますし、東海道本線沿線にもしれっと駅前にお店があるのですが、東京の友人が、あの店は凄い、と強調され、御殿場店にいくこととなりました。

 ジャックダニエルを傾けて待つ。なぜポケットボトルなのか、と訝しむ方がいらっしゃるかもしれませんが、この先ほどの店舗で名前を告げますと、店員さんに言われたんですよ、240分待ちです、と・・・、240分、60で割ってみよう、つまり4時間待ちということ。

 ディズニーランドとかUSJとか富士総合火力演習の開門待ちみたいな感じですね。一泊する予定があったので急遽昼食を断念して夕食とし、まあ、ホテルにチェックインしてホテルのラウンジでジャックダニエルとビジネスホテルにありがちなミックスナッツを頂く。

 さわやかハンバーグ。気を取り直して。四時間経ったところがこちらです、とお料理番組のような展開になるのですが、写真はさて場面は変わる、という一言で済むのかもしれないが、ポケットボトルを一本半空け漸く四時間という、飲食でこんなに待ったのは初めて。

 フレッシュなトマトサラダと、名物というハンバーグを注文して待ちます。ここでワインを注文することも出来たのですが、もうジャックダニエルのダブルジャックダニエルといいますか、ポケットボトル無くなるの早いなあ状態でしたので、もうアルコールは、ね。

 ハンバーグ。こぶし大のハンバーグ、個人的に240分ハンバーグといいたいところですが、時計を見ると更に待ち時間その他で30分ほど加わっていますので270分ハンバーグと勝手に命名してみた。じゅうじゅう爆ぜるような迫力で鉄板と共に目の前にやって来る。

 こぶし大ハンバーグ、正確な名前は忘れたのだけれども、この真球のようなまあるいハンバーグこそが、ここさわやかハンバーグの真価という話でした。かなりの火力で、しかしさっと素早く焼き上げて、そう転がりそうなはらはら感とともに運ばれてくるのだ。

 ヒッサツシゴトニン!、という感じで一刀両断する。もちろん両手を使ってハンバーグを真っ二つにするところを三脚の上にセルフタイマー付きデジカメで見事に撮影した、なんてわけではなく、真っ二つにしてくれているのは調理の一環でこれは最後の仕上げ。

 一刀両断して鉄板にぐいぐい押し付けじゅうじゅう言わせる、そうさわやかハンバーグの真価は、真球の形状ゆえに中心部が半生に近い状態であるのを目の前で最後に深部を焼き上げて、そうまだ生なのか焼きたてなのかという分水嶺の瞬間の旬を頂く、さっと。

 さわやかハンバーグ、ここはもう240分待ちというほどの名店なのですが、チェーン展開しているのが静岡県に限られるのは、半生ではないのか、という衛生当局の圧力が東京では強すぎるので、静岡県に限定しているのですね。こういう事か、食べたければ静岡に来い。

 270分ハンバーグと勝手に命名したものですが、なるほど、これは美味しい。あっという間に頂ける肉のうま味と酸味、待った甲斐が、できれば270分ではなく27分くらいで頂きたかったものだけれども、東京からも食べにくるのだなあ、と感心するのですね。

 御殿場店は特別混雑するだけで基本的に60分以上待つのはほかの支店ではあまり聞かないよ、特に平日、と静岡の方にお教えいただきまして。いやあ平日なあ、とちょっと考えてしまうのですけれども、旅先のこんな経験も、美味しいし、面白いのかもしれません。

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