北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

Weblog北大路機関創設11周年 榛名研究室/鞍馬事務室創設11周年

2016-07-29 22:51:24 | 北大路機関特別企画
■ありがとう11周年
 Weblog北大路機関は11年前の今日、2005年7月29日、阪急十三駅にて誕生しました。

 北大路機関、自衛隊関連行事紹介を通じた我が国防衛力の現況を紹介、防衛外交関連に関する分析を通じた我が国防衛に関する一考察の提示を通じた安全保障関連の広い理解への一助としての提示、周辺情勢の考察を通じた防衛安全保障に関する予防外交という施策への機会の提示、先端技術及び防衛装備品技術動向の紹介、毎年元日の二次元脱線、など毎日記事を掲載しています。

 北大路機関そのものは実はもう少し長い歴史があり、2003年に大学学内の安全保障問題に関する自主ゼミとして創設されたもので、Weblog北大路機関は神戸市内で行われました学内の慰労会からの帰路、マルーンの特急が行き交う神戸本線から京都本線への乗り換えの最中、十三駅ホームのベンチに座り、膝の上に置いた東芝製dynabookとPHS回線によりOCNブログとして立ち上げたものです。

 防衛関係のWeblogとしまして、Weblog北大路機関は多くのご声援を頂いていまして、何分、夕食後の限られた時間に記事を作成し掲載している、もしくは電子印字端末POMERAによる列車移動中の記事作成という手段で執筆する為、誤字脱字は勿論、充分な資料を精査し文章を作成できないことで、少々、ご覧になっている方の数に対し、不完全な記事を紹介する事は残念ではあるのですが、本日で11周年を迎えました。

 11年続けて掲載していますと、これは本当に得難い幸運と云いますか、様々な出会いに恵まれます。例えば、自衛隊関連行事へ足を運びますと、Weblog北大路機関を御読み頂いている方とお話できる機会も多く、御縁というものは広いものだなあ、と驚かされ、また、掲載して得るものがある、と実感します。GOOブログサービスによれば、7月28日のアクセス数は閲覧数5806で、GOOブログ2565499ブログ中順位113位 とのこと。

 創設当初、写真掲載には、当時デジタルカメラ導入以前、フィルム式カメラを愛用していた時代ですので、運用開始当初はコンテンツの不足の中、2005年に撮影しました第7師団創設50周年記念行事、横須賀地方隊伊勢湾展示訓練、岐阜基地撮影、と幅を広げ、陸海空自衛隊関連行事、時事問題や防衛外交問題、京都の日常風景、寺社仏閣名所旧跡、日本の城郭探訪、鉄道車両、今に至ります。

 新しい記事を日々掲載する、今日では毎日の更新となっていますが、運用開始当初はそこまでの記事作成能力が無く、文字通り手さぐりでの准隔日更新という体制を採っていました。2006年10月には日刊更新体制へ移行、撮影機材を強化すると共に、この日刊更新と同時にOCNブログ有料サービスへ移行、OCNブログ時代、写真アルバムがサイドバーへ増設されたのもこの時でした。

 北大路機関は様々な技術に支えられていまして、dynabookは創設当初、HDD容量が僅か20GB、PHS回線は128kbpsという限られたもので撮影しており、当時主流の大容量CFカードは512mb、発砲焔を撮影するにも性能の限界が立ちはだかった時代です。しかし今日、タブレットPCが普及しREGZA Tabletが即座に情報を送受信、カメラには64GBという当時としてはSF水準の容量のものが搭載されています。

 東芝dynabookは重かった、なにしろ毎日更新するのですから毎日携行しなければならず、北海道から九州までカメラバックに収容して移動するのですが、十年以上前のノートPC、それなりの寸法と重さがありましたので大変でした。近年はPC関連資材はどんどん小型化し、楽にはなりました。ただ、撮影機材のほうはどんどん高性能なものを求め大型化、今に至ります、この当たりは仕方ないですね。

 2008年2月には予備ブログ第二北大路機関を創設、創設当時はメンテナンス情報などを通知し、技術的問題からWeblog北大路機関が更新できない場合に予備記事を掲載するブログとして機能しまして、それ以外は、名鉄と阪急、舞鶴基地と岐阜基地、を扱う特殊なブログとして運用、その後、榛名の旅、鞍馬の考、というWeblog北大路機関がコンテンツ不足時に掲載していました内容を移転し掲載、今に至る。

 第二北大路機関は独自記事としまして、榛名の旅、鞍馬の考、これは榛名の旅が自衛隊関連行事などを中心に観光旅行の際の様々な写真を紹介する連載記事を中心として作成していまして、鞍馬の考は時事関連の記事として海外報道の関心事に重なる記事を独自に分析し検証記事としたものです。Weblog北大路機関がかつて扱っていた領域ですが、記事一つ当たりの文章量から、第二北大路機関記事として区分化し、その分、出来るだけ多くの頻度で掲載する事としました。

 2014年11月24日、Weblog北大路機関はOCNブログサービス終了に伴い、現在のGOOブログへと移転、この移転により任意時間自動投稿が可能となり、実のところかなりの記事安定行進へ寄与する事となりました。日刊更新は、さすがに負担が大きく、任意時間自動投稿機能により、繁忙期等における記事更新の目途がつき、掲載維持を継続できたかたちです。現在は特集記事を軸に時事情報を第二北大路機関とWeblog北大路機関特集とに区分し、長期的な運営計画としています。

 毎日更新、そして11年の継続、阪急十三駅にて創設した2005年7月29日には想像も出来なかったところですが、幸い多くの方に支えられ、本日、創設11周年を迎える事が出来ました。北大路機関は多くの閲覧していただきます皆様のおかげで維持することができています。なかなか、北大路機関のHP化や、自衛隊関連行事連載再開などの目途はたちませんが、今後とも最大限良い記事をお届けできるよう努力しますので、今後ともご笑覧いただければ幸いです。

北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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平成二十八年度七月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2016.07.29/30)

2016-07-28 22:52:46 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 梅雨明けながら梅雨のような天候が続く中、北日本では豪雨の報道、皆様いかがお過ごしでしょうか。今週末の自衛隊関連行事について。

 今週末の自衛隊関連行事は館山航空基地ヘリコプターフェスティバルが行われます。ヘリコプターフェスティバルは毎年十月に行われていました航空基地祭ですが、本年は毎年七月に行われている館山海まちフェスタを拡大し、館山航空基地ヘリコプターフェスティバルとして実施、SH-60J/KやUH-60Jの飛行展示やシミュレータ一般開放、模擬店や救難消防車展示などがおこなわれる、とのこと。

 館山航空基地は、東日本の海上自衛隊哨戒ヘリコプター部隊総元締めである第21航空群司令部が置かれ、基地には第21航空隊隷下の第211飛行隊と第212飛行隊のSH-60J/K哨戒ヘリコプター部隊、第73航空隊が救難航空部隊としてUH-60J救難ヘリコプターを運用、東京湾の入り口にて海上防衛の要衝としての一角を担っています。

 さて、夏の駐屯地祭一休みの時期ではありますが。戦車の発砲焔、空包射撃でも発砲焔は確実に撮っておきたい重要なテーマです、何が何でも空包の発砲焔を撮影しておかなければなりません、特に74式戦車の発砲焔は今のうちに撮影しておかなければ、あと数年内には74式戦車は機動戦闘車に一気に置き換えられる事でしょう、そして74式を強調するのは90式戦車や10式戦車の空包は発砲焔が小さいため。

 74式戦車は第9戦車大隊、第6戦車大隊、第1戦車大隊、部隊評価支援隊第1機械化大隊、戦車教導隊、第10戦車大隊、第3戦車大隊、第13戦車中隊、第14戦車中隊、第4戦車大隊、第8戦車大隊、に残っていますが、第1戦車大隊と第8戦車大隊は半分が10式戦車に、北海道からは74式戦車は全廃、第14戦車中隊も新年度には部隊は廃止解体の予定です。

 機動戦闘車は毎年、2~3個中隊所要の規模で配備されてゆく事となりますので、それこそ、1中期防衛力整備計画の5年間でかなりの代替が廃止される事となります、機動戦闘車の空包は90式戦車や10式戦車と同程度の空包となる事が予想され、大きな、叩きつけるような空包の迫力は74式戦車だけのもの、撮影できる機会は逃さないようにしたいですね。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭
・7月29日:館山航空基地ヘリコプターフェスティバル…http://www.mod.go.jp/msdf/tateyama/

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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将来艦隊戦闘と巡航ミサイル【1】 新しい任務対応能力と技術変化を受けた海上防衛力整備

2016-07-27 23:07:18 | 先端軍事テクノロジー
■将来艦隊戦闘と巡航ミサイル
 将来艦隊戦闘と巡航ミサイル。海上自衛隊は将来の艦隊戦闘を俯瞰し、巡航ミサイルの運用を念頭に装備体系を検討するべきではないか。今回から考えてゆく事としましょう。

 新しい装備体系は何故必要になるのか。様々な技術発展や情勢変化を受け、2020年代以降の海上防衛を考える際、一つの大きな命題となるでしょう。最大の転機は中国空軍の天剣07巡航ミサイルの大量配備です。これはH-6戦略爆撃機など様々な運搬手段より投射され、その射程は1500km、日本本土よりも遙かに遠隔地域から日本本土の指揮中枢や防空施設、人口密集地などを攻撃可能となります。

 脅威の顕在化という状況の現出。こうした情勢変化からこの種のミサイルが日本本土の攻撃へ使用されないよう、抑止力を持たなければなりません。一方、ロシア海軍によるシリア内陸部武装勢力目標攻撃にカスピ小艦隊所属のコルベットより長距離巡航ミサイル攻撃が敢行され、その成果や敢えてコルベットからの投射を行うことの是非はともかく、大きな衝撃を世界に与えました。

 特にミサイルの長射程化はミサイル本体を大型するものであると同時に、ミサイルの目標発見能力は少なくとも既存の技術の延長上にあることから限界はあり、かならずしも長射程の優位性を担保するには様々な制約が加わるものなのですが、他方、無人偵察機を筆頭に索敵手段は大きく多様化しています。また、F-35戦闘機に代表されるステルス戦闘機への情報共有能力の付与は、第一線の索敵手段が更に多様化することを示しています。

 ステルス機が積極的に行動する事は運用上リスクがあります。この場合、特にステルス戦闘機などはそのステルス性を保持するために搭載できる武装には限界があるとともに、ステルス戦闘機はミサイルなどを投射するさいに兵装格納庫を開閉する必要があり、この部分がレーダー反射面積RCSを著しく拡大させることから瞬間的とはいえステルス性を喪失させるリスクを有します。

 RCSが増大する戦力投射の瞬間を局限すべき、このため、ステルス機が発見した目標を瞬時に伝送する情報共有能力が整備されることは、同時のその戦闘行動半径内に発見された目標を打撃し無力化しようとしたさいに、射程が不足するため、護衛艦が全速力でその射程圏内にはいることができるよう、いわば航空機を艦艇が速力で追う、というナンセンスな状況は回避されなければなりません。

 また、巡航ミサイルを必要とするもう一つの情勢変化は艦対空ミサイルの長射程化です、RIM-174ERAM,いわゆるスタンダードSM-6の射程は従来のイージス艦に搭載されたスタンダードAIM-120AMRAAMよりも数段上の射程を実現するもので、AIM-120AMRAAM空対空ミサイルのシーカー部分を採用しアクティヴホーミング方式の自律した目標の索敵が可能となるとともにSM-2の強力な弾頭部分も備えています。

 SM-6の射程はSM-2よりも大きくなる。射程は従来のSM-2の90kmから110kmにたいし、370kmから600kmと大きく、こちらの誘導はE-2D早期警戒機との情報連接による誘導も可能です、こうしてイージス艦のSPY1レーダーは従来、水平線を越えた見通し線外の目標を探知することはできなかったわけですが、この部分をSM-6は情報共有によりE-2Dなどから、もしくはほかの艦船から得て、従来のイルミネータによる誘導では困難であった見通し線外の目標への誘導はスタンダードミサイルそのものがAMRAAMのような目を持つことにより可能となったわけです。

 対空ミサイルの長射程化に合わせ対艦ミサイルも相応の距離を持ち均衡を保たせるべきという視点。SM-6をそのまま対艦ミサイルへ転用するとの技術的模索も為されているようですが、こうしてイージス艦の艦隊防空能力が向上する点にあわせ、対水上打撃力の向上、あわせて従来の艦対艦ミサイルの射程からは度外視されていました対地打撃能力、策源地攻撃能力も考慮されてしかるべきでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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将来小型護衛艦の量的優位重視視点【10】 最終回、その運用基盤構築と量産体制

2016-07-26 22:59:34 | 先端軍事テクノロジー
■将来小型護衛艦の量的優位重視視点
 将来小型護衛艦の量的優位重視視点、将来小型護衛艦は小型艦ですので、様々な意味で小回りが利きます。

 国内での運用としては、将来小型護衛艦は警備隊の運用ですので、様々な港湾に出入港する事となりますが、基準排水量を護衛艦いしかり同程度に抑えるならば、漁港であっても外洋大型漁船が入港する水準の港湾設備であれば接岸可能です、そして大型護衛艦ほど多くの物資を必要としませんので、様々な港での補給が可能です。

 これは言い換えれば、欧州諸国の沿岸海軍艦艇の様に2クルーによる交代が可能となる事も意味します。海上自衛隊では3クルー制度を採用し長期間の航海に対応させていますが、将来小型護衛艦は小型であり頻繁に入港するという前提ならば外洋用の大型護衛艦のような三交代制度とせず二交代制度でも対応できるでしょう。これは乗員を最小限度で運用できることを意味する。

 二段寝台を基本とし、有事の際に長期航海をおこなう場合には予備海上自衛官を招集し三段寝台として補完的に用いる事も可能でしょう。魚雷攻撃などへの損害を割り切るならば、つまり潜水艦発射の長魚雷の大型水上戦闘艦をも切断する威力に対しては船体が維持できなくなるという意味ですが、ダメージコントロールをミサイル艇程度に簡略化し、自動化を優先、二交代制度で50名程度での運用も現実的に可能となるでしょう。

 将来小型護衛艦は小型艦であるということで、これは第三国への輸出を念頭とする事が出来る、こういった小回りも考えられます。具体的には海上自衛隊が独自の運用基盤を構築する事で、日本がその周辺での厳しい国際情勢を背景に対応可能という部分を示唆し、その上で、費用を非常に大きく抑え自動化を進め、必要ならば確立した運用基盤の一部を輸出先の諸国へ供する事が出来る、という利点を示し海外へ提示する事も可能となります。

 この輸出という利点ですが、輸出向けの廉価版ではなく開発国が運用している、という意味での実績です。更に将来的には、コンパクト護衛艦、そして続いて計画されるべく技術開発が進められている将来三胴船を応用した水上戦闘艦が完成した際に、耐用年数があればとの前提ですが、余剰となる将来小型護衛艦を第三国へ安価に供与するという選択肢も考えられるでしょう。

 その上で、将来三胴船として防衛装備庁が開発を進める将来水上戦闘艦について、その将来三胴船用戦闘システムの開発基盤へ、実用化まで一定以上の期間を要する事から将来小型護衛艦により戦闘システムを完熟させ、応用させることも可能です。将来小型護衛艦の量的優位重視視点、としましたが、いきなり高跳びした技術的冒険を避ける観点から、手堅い設計を示したのはこの為です。

 将来三胴船は、基準排水量ベースで掃海艦やえやま型と同程度を志向していまして、その上で護衛艦あきづき型と同程度の航空機甲板な格納庫の付与を念頭として上部構造物の甲板面積を拡大させた設計です、将来小型護衛艦において水上戦闘艦システムを小型化し搭載する開発作業を実施しておくならば、次の技術開発へつなぐことができる。

 更に将来三胴船として甲板容積を拡大させた場合、その水上戦闘艦能力の高さに加えて航空機運用能力を付与させ、新しい水上戦闘艦の方式を構築する事も可能となります。こういった意味からも、数的不利を補い、地方隊の警備隊へ配備できる水準の水上戦闘艦を設計し配備する意味は大きいと考える次第です。将来小型護衛艦の量的優位重視視点、10回に分け、その有用性を示しました。

 実際問題、護衛艦は大型化が進み、艦長を練成し、且つ艦隊を建設し、現在の海上防衛力は極めて高い外洋作戦能力を整備する事が出来ましたが、脅威の多方面化やシーレーンへの中国海軍による海洋閉鎖化という圧力、ロシア軍の再建と米ロ対立の波及など情勢変化を鑑みますと、沿岸防備に特化し、かつ多用途の運用が可能で、加えて大型護衛艦の艦長と艦隊幕僚を錬成する新しく古い装備体系は必要ではないか、こうした視点から論理を展開しています。

北大路機関:はるな くらま
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ASEAN外相会談南シナ海問題共同声明、中国反発と防空識別圏設定海域閉塞化の危機

2016-07-25 22:50:00 | 国際・政治
■ASEAN外相会談“深刻な懸念”
 ラオスで開催中のASEAN外相会談、会談における南シナ海問題は共同宣言への盛り込みにたいしカンボジア政府が強く反対したことで大きく遅れることとなりました。そして共同声明で仲裁裁判に触れず妥結しました。

 これは多国間協議による問題の解決を目指すことへ中国政府が強く反対したことを受けてのもので、国際法と仲裁裁判の尊重という水準を盛り込む範疇に終わり、中国を名指しで非難する直接対立という構図は回避されることとなりました。二国間での解決を求める中国ですが、そもそも南シナ海における南沙諸島問題は、同じく南シナ海の西沙諸島問題とも密接にリンクしている問題です。

 この海域に領土を有する国はフィリピン、ヴェトナム、マレーシア、ブルネイ、中華民国と多くの国が島嶼部をゆうしており、この海域へ実行支配を行っている現状さえも無視し、南シナ海全域を自国領域であるとの宣言を行っていることがそもそも無理があることから、国際仲裁裁判は勧告的意見に国際法上のある種、常識的内容を示したものです。南シナ海での問題は同時に東シナ海での問題へ直結している命題であり、特に東シナ海において防空識別圏を宣言した中国が同様の措置を南シナ海において実施する可能性を示唆したことは、何を意味するのか。

 言い換えれば中国自身が南シナ海問題と東シナ海問題をリンクさせた措置であり、日本の日中間問題とも密接に関係する部分となります。中国政府は我が国南西諸島の一部を自国領土であると宣言したことで、併せて当該海域は中華民国の領域であるという宣言にもつながり、北京と台北が同様の宣言を行うに至っています、これは東シナ海での摩擦が事実上多国間の摩擦に展開しているものであり、同様の構図は、南シナ海と東シナ海において共通の自国法解釈を適用しようとする姿勢が維持される限り、結果的に関連づけられる状況も維持されているといえるでしょう。

 我が国の指針は一貫しており平和的解決を求めているのですが、仮に南シナ海のこの海域に対し東シナ海と同様に防空識別圏が構築された場合、問題は東シナ海よりも複雑化します。中国はこの海域の飛行情報区を付託されていませんので、飛行情報区にもと付く航空管制の権限を有していません、一方南シナ海においては防空識別圏の設定を宣言したものの、飛行情報区は我が国の管内にあるとともに防空能力では那覇基地の第9航空団が防空識別圏を担当しており、第5航空群による紹介飛行も持続的に展開してきました。

 ここへ中国戦闘機などが侵入すれば即座に対領空侵犯措置を発動し那覇基地から緊急発進を実施しています。戦闘機数においては那覇と中国沿岸飛行場では那覇基地が劣勢ではありますが、我が国は長く高い稼働率を実現するための様々な施策、NATO共通運用基盤に匹敵するライセンス生産による国内部品供給体制と定期整備基盤を構築し、更に全国の要撃飛行隊より増援の航空機を暫時ローテーションさせる戦闘加入、支援体制を構築しているため、その長期化を前にしても必要な要撃体制を維持することができました。

 しかし、ASEAN諸国に関しては、フィリピンはF5軽戦闘機が運用終了となっていこう長らく戦闘機を有せず近年勧告からFA50軽攻撃機を導入することで防空体制の再構築を図っている段階、ヴェトナム空軍はSu-27戦闘機を保有していますが元々Su-27戦闘機は、中国空軍がコピーした機種も含め高い稼働率を想定しているものではない一点、そして既に西沙諸島紛争により中国軍に武力奪取され、ここへレーダー施設などを建設されているため、現時点ではこの施設を返還させないかぎり、初動では不利な態勢が構築されるに任せています。

 各国の防空能力、マレーシア空軍はF/A-18,MiG-29と特筆される航空装備体系を構築していますが現時点で領域を死守しており、戦闘行動半径の関係上現時点では静観の構えです。ブルネイは特筆すべき航空戦力を有していませんが、まだ自国領域を防衛しており静観という状況です。台湾は太平島へ航空基地を2003年に建設、こちらはF-16A,経国、ミラージュ2000と有力な航空戦力を維持していますが、同時に本土防衛という重大な問題を抱え、必ずしもこの海域に対し全ての軍事力を投射できるわけではありません。

 防空識別圏を設定された場合には、上記状況があるが故に、これに伴う南シナ海海域への中国軍の戦力投射にたいし、これを抑止する能力が十分ではなく、突発的な航空戦闘へ発展する可能性があります。一方、ここが問題の根底なのですが、中国は南シナ海の海域閉鎖化を示唆する施策を継続的に実施しているため、紛争の発生を根拠としてこの海域を一挙に閉鎖化する懸念があります。

 この場合、我が国シーレーンが直接脅かされることを意味し、回避させるには、この海域での防空識別圏設定と排除行動を実施した場合には、強い姿勢を示すと周辺に示しつつ、その上で南シナ海東シナ海諸国との連携を図ると共に、その枠組みへ中国を迎え入れる模索を行い、平和的解決を最大限模索しつつ、必要ならばシーレーン防衛を軸とした海上警備行動を行うという姿勢を明確化するべきでしょう。

 我が国領域外での海上警備行動は、ソマリア沖海賊対処任務の初期段階において既に実施の事例があり、特に我が国船舶や関連機材を運ぶ商船に対し影響が生じる蓋然性がある場合には、ソマリアにおいて実施したような、船団護衛方式による海上交通路維持の姿勢を示す必要があります。併せて重要なのは、この周辺事態や重要影響事態というべき事態を待って後手に対応する、言い換えれば紛争が本格化するまで関与しないことで深刻化を許すのではなく、予防外交の視点から、次の段階へ発展しないよう圧力、対話と圧力の姿勢を強調し、平和的解決を図ることでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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アメリカのリスク 大統領選にみる変容と国際公序再構築【7】 超大国と非知性主義の危機

2016-07-24 21:56:10 | 国際・政治
■超大国の非知性主義
 共和党指名候補へ指名されましたトランプ候補は、指名候補争いでの一つの主要公約にイスラム教徒の入国禁止を挙げていました。これは現在はあまり取り上げられませんが、こうした安直な発想の指導者候補を支持する国とどのように付き合ってゆくべきなのか、リスクです。

 共和党候補に指名されて後触れられなくなったように、共和党指名が確実になりますと、非現実的な政策についてはやや語調を弱めたものとなりましたが、この意味がどのようなものであるのかを本人と支持者が正確に認識しているか、という問題があります。逆に、安易な思い付きを具体的な政権公約に掲げる可能性を示唆しているものであり、その一言一言で世界の安定は大きくかき乱される、という可能性があるということ。

 安直にこうした政策への支持が集まる事の危険性について。イスラム教徒は世界三大宗教と云われる通り現時点で17億人、2040年には世界の経済人口の三分の一近くを入国禁止するというものであり、併せてアメリカ国内へイスラム教徒を入国させないと云う事であれば、必然的に中東産油国との関係を非常に悪化させることとなりますが、この事実をどの程度認識しているのか、またアメリカが中東諸国から政治的のみならず人との移動と交流を禁止する事で経済的にも距離を置くのであれば、どうなるのか。

 これは結果的に中東でのパワーバランスの変容を起こすものとなりますし、イスラム教徒の入国を禁止するのであればアメリカ国籍を持つイスラム教徒は出入国の地涌を失いという国際人権規約A規約に反する施策を国内法として制定するのか、という意味にも繋がりますし、事実上アメリカを鎖国させるという宣言に他なりません。

 非知性主義、これは知性よりも大衆迎合主義的な政策でも支持するという新しい価値観がアメリカで定着しつつある、という非常にさびしい実情を示しているのかもしれません。非知性主義の蔓延、アメリカ大統領選挙での大きな憂慮すべき命題は、トランプ氏の躍進そのものではなく、あの程度のポピュリズムを理論的に矛盾点を突いて合理的な政策以外の提案を払拭する有権者の認識が落ちているという事に他なりません、仮にトランプ氏が大統領に当選するかしないかを度外視したとして、あの程度の候補を支持した世論の大きさが相当規模に上る、という事実には変わりないでしょう。

 実際問題かなり矛盾をはらんだ政策を受け入れるアメリカの世論の後退性については、あたかも我が国が2009年に自民党から民主党へ政権交代を成りましたあの時の民主党を支持していた我が国の選挙民の論理体系を併せて考えますと納得する部分があるのですが、それ以上にアメリカはこれまで世界における国際公序の牽引車であり、自由主義に依拠した世界政治への関与の度合いを強め国際社会に地位を築いてきたと云う事実、と。

 事なかれ主義を社会の価値観の起点に置いたといわれる我が国との対比があったにもかかわらず、朝令暮改朝三暮四を地で行く候補者への支持の集まりには、非知性主義というものの実情を突き付けられた印象が拭えません。そしてポピュリズム、大衆迎合主義の発展型として生じている非知性主義は、迎合する施策が大きく異なる事からこれはトランプ氏の発言に見られるように朝令暮改として一つの支持層がウケる政策を掲げつつその政策はもう一方にウケないという状況がしょうじる為、影響がでます。

 即ち、此処を本来の政治家は政治システムにおける利益配分として利害を調整するものなのですが、ウケない層にたいしてウケる政策を呈示する、事により相互の矛盾が発生した場合でも調整せず、朝令暮改に終始する、その矛盾を誰も気にしない、という非知性主義が構成されます。これは一人花火大会の様にはた目には無害のようにも見えるものですが。

 言い換えれば、これも前述する民主党鳩山政権時代の様に、一貫した政策とその根底の政治哲学に基づかない政策を採る為、次に何をやらかすのか分からない、という不確定要素を世界政治に押し付ける事となる訳です。非知性主義の蔓延は、一旦広まれば打撃を受けるまで政策が継続される点で、一旦知性を否定すれば回帰するには非常に大きな時間を要する、リスクといえるでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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巨大災害,次の有事への備え 05:有事を想定した軍事機構と平時の民間企業能力

2016-07-23 21:48:47 | 防災・災害派遣
■軍事機構の能力と限界
 自衛隊の災害派遣ですが、自衛隊の能力を理解し上限と限界を踏まえて政治は任務を要求しなければなりません、上限を大きくする必要があるならば、部隊と装備を平時から大きく確保しなければなりません、政治の責務はここでしょう。

 自衛隊は国土防衛に当たる軍事機構であり、自衛隊へ過度な期待をしてはならず、復旧においては自己完結能力を持つ自衛隊の即応性が必要であるが、復興への着手は自衛隊は軍事既往であるため民間の能力が必要である、即ち自衛隊の災害派遣は民間インフラが復旧するまでの短期的なものであるべきで、軍事機構の特性を考えた災害派遣の方式を考えてゆかなければならない。

 これは大きな教訓として考えなければなりません。実際には東日本大震災において最初に10万の動員が政治決定となり、そのまま展開しました。陸上自衛隊は首都直下型地震へ陸海空自衛隊の13万の動員計画があり、偶然三月に、つまり東日本大震災発災直前の時期に首都圏の駐屯地を中心に指揮所訓練及び駒門駐屯地などでの物資集積訓練が実施されており、僥倖ではありますがこの動員計画を転用できたものでした。

 しかし、自衛隊でなければ対応できない能力はありますが、道路が復旧し電力供給が再開した後は、自治体が主体となり輸送等は民間の指定協力企業に、避難所運営等もイベント企画会社に、給食支援業務等は飲食系企業が、実施した方が効率的です。輸送能力一つとっても、民間業者の方がインフラを利用できる限り大きいでしょう。

 例えば陸上自衛隊の第1ヘリコプター団は32機のCH-47輸送ヘリコプターを装備しており同時空輸能力は1760名分に上ります、空中機動能力としては世界有数の能力ではありますが、東海道新幹線の一編成座席数は1322名分で、世界有数の空輸能力とは言いましても新幹線1.5編成分にも満たない数である訳です、速度は最高速度と巡航速度の面でCH-47とN700A新幹線は概ね同程度ではありますが。

 この通り、輸送能力一つとって民間の輸送能力の大きさが見えてくるでしょう。輸送車両一つとっても陸上自衛隊が保有する3t半トラックと10tトラック等輸送車両の総数は1000両程度、対して日本国内の陸運車両即ちトラックは1000万規模で運用されており、民間と自衛隊の輸送能力は大きく違います。実際問題、大規模な演習を実施する場合でも自衛隊は演習場内での輸送や物資集積と糧食支援等は自己完結していますが、駐屯地営舎地区への物資搬入は民間企業が担うものが基本です。

 それでは、民間企業が全て担えるのかと問われれば、演習場内には不整地が多く、また交通統制は行われていても標識等は殆ど皆無で峡谷にもガードレールはありません、集積地は露天で電力は発電装置を持ち込む必要はあり水源はあっても浄水装置は自前で用意しなければなりません。

 ここで分かる事は、自衛隊は文字通りインフラが機能せず道路や橋梁さえも崩壊し使用できない状況で自己完結が求められる状況では有利ですが、それ以外の状況では民間が持つ資材の能力が総量として優位である点です。自衛隊は92式浮橋や重パネル橋に07式機動支援橋により橋が無くとも測量の上数時間で架橋出来ます。

 施設機材隊の装備は不整地を舗装道路へ整備可能です、坑道掘削装置を持っておりトンネルさえも自前で構築可能、ダンプ中隊の車両を用いれば法面復旧も自前で可能です、が、やはり数の上で民間建設企業のような長大な道路を舗装し自前で整備できるかと問われれば別です、例えばダンプ一つとっても方面施設団のダンプ車両中隊には40両程度のダンプしか装備されていません。

 自衛隊の即応性と自己完結能力が求められるのは、自己完結できない状況がインフラの崩壊により生じる為であり、こうした状況においてその能力を最大限発揮出来ます一方で、民間企業が行動できる道路網が復旧し鉄道や船舶による物流が回復できれば、速やかに民間へ移行した方が円滑な復旧活動と復興へ移る事が出来るといえまして、なんでも人員を大量投入すればよい、という認識は改めるべきで、防災担当者は自衛隊の能力を上限も含め把握すべきでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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平成二十八年度七月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2016.07.23/24)

2016-07-22 22:15:23 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
ドナルドトランプ氏が共和党指名候補へ正式に指名され大統領選が白熱する中、皆様いかがお過ごしでしょうか。

今週末の自衛隊関連行事について。北海道を中心に陸上自衛隊行事が行われ、本州では海上自衛隊航空基地一般公開が行われるもよう。陸上自衛隊関連では北恵庭駐屯地創設66周年記念行事、別海駐屯地創設51周年記念行事、幌別駐屯地創設63周年記念行事、出雲駐屯地サマーフェスタ、海上自衛隊基地関連では小月航空基地キッズフェスタ、航空自衛隊関連では八雲分屯基地創設39周年記念行事、車力分屯基地創設36周年記念行事、が行われます。

北恵庭駐屯地、戦車部隊の駐屯地で100両の90式戦車が配備されています。第7師団管区の駐屯地でかつては第1戦車群、第7師団の第72戦車連隊と第73戦車連隊に戦車を移管した第1戦車団が司令部を置いていました、北部方面隊直轄戦車旅団の駐屯地でした。第7師団隷下第72戦車連隊、第11旅団隷下第11戦車大隊が駐屯、第11戦車連隊は真駒内駐屯地から第1戦車群廃止に伴い移駐した部隊です、恵庭は南恵庭駐屯地もありますのでお間違いなく。

別海駐屯地、第5偵察隊と第27普通科連隊第3普通科中隊が駐屯しています。野付郡別海町にあり僻地手当が支給されるほどの厳しい立地にあり、北方領土方面からの着上陸を警戒する部隊です。実はここ、航空自衛隊の補助飛行場である計根別飛行場と隣接していまして、有事の際の緊急発着施設として1590mの滑走路が維持されています、偵察隊中心の行事ですが、普通科中隊も駐屯していまして、一種混成大隊のような趣がありますね。

幌別駐屯地、北部方面施設隊隷下の第13施設隊と第302水際障害中隊の駐屯地です、北部方面施設隊は第3施設団を縮小改編し創設されたものですが、まもなく第3施設団へ増強改編を受けます、陸上自衛隊ではいったん廃止された連隊などは欠番扱いとなる印象でしたが、第3施設団の復活と聞きますと、大久保の第45普通科連隊などもいつか復活、を期待したいところ。第13施設隊は第13施設群が縮小改編されたもので、本部管理中隊、第360施設中隊、第361施設中隊、第383施設中隊という編成、第361施設中隊は倶知安駐屯地駐屯です。来年三月に第13施設群へ拡充再編されますので、施設隊としての行事は今年が最後となるでしょう。

出雲駐屯地サマーフェスタ、名前事夏祭り的ですが訓練展示模擬戦闘等も実施されるれっきとした駐屯地記念行事です、が、今年はオートバイドリルのみのもよう、北部法延滞で発生した空包実弾取り違え事故の影響もあるのでしょうか。第13偵察隊と第4施設団隷下の第304施設隊が駐屯していまして、偵察隊駐屯地ですので87式偵察警戒車や軽装甲機動車、地上監視レーダ装置や携帯無人機などの装備が揃っています。

八雲分屯基地、北海道二海郡八雲町の航空家遺体分屯基地で三沢基地の分屯基地という位置づけです、第6高射群隷下の第20高射隊と第23高射隊が展開するミサイル部隊基地でペトリオットミサイルを運用しています、基地内に八雲飛行場が置かれていまして、こちらも別海駐屯地の補助飛行場と同じ航空自衛隊の補助飛行場、1800mの舗装滑走路が維持され、有事の際に千歳基地や三沢基地の補助飛行場として運用されます、今週末は別海と八雲、自衛隊補助飛行場強化週間、というところ。

車力分屯基地、今週末、ちょっと注目の行事といえるかもしれません。青森県つがる市富萢町に位置する分屯基地は、三沢基地の分屯基地という位置づけですが、第6高射群、第21高射隊、第22高射隊のペトリオットミサイル部隊であるとともに、移動通信群の第4移動通信隊が展開する防空野戦通信の拠点、そしてアメリカ陸軍防空砲兵部隊が移動型XバンドレーダーであるAN/TPY-2レーダーを前進配置し、ミサイル防衛の拠点として機能しています、THAADミサイル防衛システムのレーダー部分ですね。つい先日北朝鮮がノドンミサイル二発を含む3発の弾道ミサイル実験を強行したばかり、AN/TPY-2レーダーは公開されるかは難しい所ですが、防衛の要衝、雰囲気だけは味わえるでしょう。

小月航空基地、小月航空教育群の基地です。幹部航空基礎課程と航空学生課程を受け持ち海上自衛隊の航空部隊操縦要員を養成する教育部隊で、第201教育航空隊がT-5練習機を運用しています。第201整備補給隊、小月航空基地隊、小月警務分遣隊も展開していますが、今週末に行われるのは小月航空基地キッズサマーフェスタ、航空祭に当たる小月航空基地祭スウェルフェスタとは別の行事ですので、ご注意ください。

丘珠駐屯地第24回航空ページェント、隔年開催される空の日記念行事、となっていまして、北海道航空協会の行事です。ただ、規模は民間の航空行事としては最大規模の行事でして、民間機に加え官庁機と陸海空自衛隊機に米軍機など50機以上が参加、自衛隊機等の飛行展示が実施荒れ、様々な航空機が参加しますが特筆すべきは航空自衛隊のブルーインパルス飛行展示、RF-4偵察機の編隊飛行、米空軍F-16C二機の機動飛行、陸上自衛隊ヘリコプター13機による編隊飛行など、航空祭としての規模もなかなかの規模といえるでしょう。

さて。自衛隊行事を撮影する上で、当方がある程度意識しているのは可能ならばテーマを決めて撮影する、というものです。テーマ、師団部隊改編等を控え、大きく削減される部隊ならば、整列の際の旗の敬礼動作にて多数の中隊旗が振り上げられ降ろされる瞬間を撮影しますし、観閲行進よりも車両の待機車両等を選らんで多くの車両が並ぶ様子を撮影します。

そんななか、テーマと並んで個性、この駐屯地ならでは、という写真を撮影しようと考える次善の策があるのですが、一番迫力があるものの一番撮影が難しいのは普通科部隊の突撃だ、と気づきました。やはり陸上防衛力のテーマは普通科の精強さを軸に展開しているものですので、小銃を振り上げ力強く敵に迫る様子を撮影したい、というものなのですが。

普通科部隊の迫力の突撃を敢行するのは、基本陸上戦闘でもそうなのですが、近接戦闘は戦闘の最終局面となります、ので、文字通り訓練展示模擬戦の最終段階で展開します、それまでの仮設敵と接近経路を、訓練展示会場の限られた配置などから見抜き、装甲車両等からの下車展開の位置、攻撃発起点を考えてレンズや撮影位置を選ぶ必要があり、奥深い。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭
・7月24日:幌別駐屯地創設63周年記念行事…http://www.mod.go.jp/gsdf/station/na/horobetsu.html
・7月23日:別海駐屯地創設51周年記念行事…http://www.mod.go.jp/gsdf/nae/5d/01_unit/butai/05_betsukai.html
・7月24日:北恵庭駐屯地創設66周年記念行事…http://www.mod.go.jp/gsdf/nae/7d/index.html
・7月24日:八雲分屯基地創設39周年記念行事…http://www.mod.go.jp/asdf/misawa/
・7月24日:車力分屯基地創設36周年記念行事…http://www.mod.go.jp/asdf/misawa/
・7月24日:出雲駐屯地サマーフェスタ…http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/13b/izumo/
・7月24日:小月航空基地キッズフェスタ…http://www.mod.go.jp/msdf/oz-atg/

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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将来小型護衛艦の量的優位重視視点【9】 沿岸運用に特化する故の運用の多用途性

2016-07-21 22:11:35 | 先端軍事テクノロジー
■沿岸運用に特化する意義
 小型護衛艦、小型ですがミサイル等はその分陸上に置き沿岸部の運用へ特化する、という前回の視点について。

 地対艦ミサイル連隊と相互支援する将来小型護衛艦ですが、第二に防空ピケット任務が挙げられます。もちろん、将来小型護衛艦は高度なレーダーを搭載するものではない為、レーダーピケット艦として任務に対応する訳ではありません、しかし、データリンクにより連接している部分は大きい。

 更に将来小型護衛艦そのものは高度な個艦防空システムを搭載する前提ではない為、航空攻撃を受けた場合には即座に陸上に展開する防空網の支援下に退避しなければなりません、つまり陸上自衛隊の高射特科群が運用する03式中距離地対空誘導弾や航空自衛隊のペトリオットミサイルとの連携がその任務として加わるでしょう。

 陸上自衛隊の高射特科群が運用する03式中距離地対空誘導弾や航空自衛隊のペトリオットミサイルとの連携、具体的には、潜水艦から発射される巡航ミサイルが、航空基地や燃料集積所に策源地や発電所など高付加価値目標を攻撃する場合に洋上での低空目標監視を行う手段が一つでも存在する事は非常に大きな意味があります。

 高射特科群と高射群との連携、というものを提示しました。またその上で、有事の際、場合によっては防空監視所、つまり航空自衛隊のレーダーサイト支援、という任務、レーダーサイト周辺に展開し潜水艦などからの巡航ミサイル攻撃を感知し、レーダーサイト防備に展開する基地防空地対空誘導弾等への情報連接を行うという運用も考えられます。

 一方で副次的に、将来小型護衛艦は小型であっても沿岸部を哨戒しており、特殊部隊浸透などへの小型潜水艦、所謂ミゼットサブによる浸透対処や、重要海峡への機雷敷設対処、日施掃海として重要海峡の定期掃海を行う重要港湾部航路防備の掃海艇を潜水艦攻撃から防護するなどの運用が考えられ、こちらは小型護衛艦として本来考えられる任務ではありますが。

 沿岸に限定して運用する艦艇、補完的に対艦ミサイルの不足は地対艦ミサイル連隊、艦対空ミサイルの不足は地対空ミサイルの、防空の傘に入る、掃海艇支援へ大型護衛艦を恒常的に随伴させることは有事の際の運用に大きな制約を付与するため、沿岸部の能力に限定した護衛艦を貼り付ける事は意義がおおきいでしょう。大型護衛艦は日本沿岸以外の場所でのシーレーン防衛や外洋任務に専従できる。

 水陸両用作戦支援、第三の任務に水陸両用作戦というものも将来小型護衛艦の任務には考えられます。地方隊警備隊に所属させるという前提ですが、地方隊の任務には海洋観測艦以外の手段による致死研究、沿岸部の調査などが加わります、言い換えれば離島沿岸部の水路などの観測任務も地方隊の任務となりますので、この任務も含む、ということ。

 警備隊に所属する将来小型護衛艦は、水陸両用作戦では、沿岸部へ展開する輸送艦の支援、場合によっては水陸両用強襲車両の強襲任務に際し大型護衛艦の艦砲射撃を補完するような小口径火砲による沿岸砲撃を、直掩射撃の形で展開する、というものも想定されますし、エアクッション揚陸艇LCAC等への支援、沿岸部からの攻撃などにより損傷した場合では、曳航しての離脱等も可能です。

 また、将来小型護衛艦は航空機格納庫について、その排水量と船体規模の限界から無人機以上のものを想定しませんが、飛行甲板は必要としています、この為、島嶼部防衛に展開する多用途ヘリコプターの緊急着艦等を受け入れ、また、洋上の給油拠点としても寄与できます。更に、フランス海軍の通報艦のような、十数名程度の特殊部隊や両用戦部隊収容能力を持たせるならば、初動の情報収集などに寄与するでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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陸上防衛作戦部隊論(第五五回):航空機動旅団、機動力最大限発揮する普通科連隊の在り方

2016-07-20 21:51:43 | 防衛・安全保障
■航空機動旅団普通科連隊
 航空機動旅団普通科連隊、その編成は普通科中隊を戦闘基幹部隊とし、普通科中隊を増強普通科中隊、中隊戦闘隊として増加配備部隊を合わせ戦闘展開する方式を採ります。

 航空機動旅団と云いますと、第1空挺団の様に輸送機により全ての装備品を空輸する、という方式を思い浮かべられるかもしれませんが、この場合、ヘリコプターから降着後、ただの軽歩兵部隊となってしまいます、そして車両を空輸する空輸能力は膨大となります、しかし、空中機動に拘らず航空機動力を活かすというかたちで、第一線の近接戦闘部隊が上空から戦闘ヘリコプターによる火力支援を受けつつ、多用途ヘリコプターによる補給連絡線の維持、輸送ヘリコプターによる戦術機動を組み合わせ運用する方式ならば、非常に機動力を高める事が出来ます。

 普通科部隊はあらゆる機動力を応用し全ての地形を克服し、近接戦闘においては骨幹戦力となる部隊です。その為の編成として、普通科連隊の編成は本部管理中隊、4個普通科中隊、という編成を基本とします。これは現在の師団普通科連隊から重迫撃砲中隊を省いた編成で、重迫撃砲については本部管理中隊重迫撃砲小隊が装備するほか、普通科中隊の中隊本部へ重迫撃砲班を置き2門程度を分散運用する、という方式、これらの併用を行う事も可能でしょう。

 この重迫撃砲を第一線中隊の中隊本部へ直接配備するとの方式は意見特殊な手法に見えるものではありますが、陸上自衛隊では実際に、第4師団対馬警備隊、西部方面隊隷下の西部方面普通科連隊隷下の中隊などで実際に行われている方式です。一方現在の旅団普通科連隊と比較した場合、普通科中隊が旅団普通科連隊では3個中隊編成をとりますが、この案では4個普通科連隊を基本としていまして、編成規模としては若干大きくなっています。

 中隊は戦闘基幹部隊ではありますが、中隊単体での戦闘能力は限界があります。そこで中隊戦闘隊、若しくは中隊戦闘群という表現にて提示している編成案は、普通科中隊に増強普通科小隊を組み込む編成を構想するものです。普通科中隊は4個中隊を基幹とする、と明示しましたが、この内1個普通科中隊は軽装甲機動車を装備し、乗車戦闘を基本とし機動運用とする。

 地域制圧には下車戦闘が不可欠です、このため3個普通科中隊は四輪駆動軽装甲車としてこれまでに明示しました小型の小銃班用装甲車、若しくはその配備までの時間を要する場合には高機動車を小銃班用機動車両として運用します。必要に応じて山間部や地形踏破に装甲車両が最適とは言い難い状況では、下車戦闘により錯綜地形と山間部を、更には人員のみ戦術的な空中機動という選択肢も考えられうるかもしれません。

 四輪駆動軽装甲車という装備は、82式指揮通信車の四輪駆動型試案を念頭として、3t半トラック、当時の73式大型トラック操縦資格を有する隊員は全員運転できる車両とし、装甲戦闘車のような乗車戦闘能力を念頭としないものを提案していましたが、これは操縦要員を最小限度と出来るため、小銃班の大半の人員を下車戦闘に応用できることとなります。こうすることで、戦略機動時の不期遭遇や陣地間の交通壕の代わりとして人員を防護しつつ機動が可能となるのです。

 軽装甲機動車ですが、この装備としての最大の特色は、小銃班を複数車両に分散運用させる点であり、7名編成の小銃班であれば対戦車組と機関銃組を分散運用、当初10名編成の小銃班が運用されていた当時はその小型装甲車として軽装甲機動車が研究されていた時代には3両での分散運用が念頭とされていました、即ち、装甲車両は従来下車展開する事で小銃班を装甲車から火力基点を分散させ地域線量や突撃等に対応していましたが、軽装甲機動車は一個班を乗車させたまま三箇所へ分散する事を念頭としていた訳です。

 その上で小銃小隊を考える場合、小隊隷下を3個班として小隊本部を置く場合、小隊は3個班が各2両の軽装甲機動車を運用し小隊本部車両を合わせ7両から構成される事となります、7両が各分隊軽機関銃と軽対戦車誘導弾により乗車戦闘を展開する場合の能力は小隊とはいえ侮る事は出来ません。そこで、四輪駆動軽装甲車か高機動車により機動する普通科中隊へ、この軽装甲機動車小隊を増加配備する場合、戦術的な運用の幅が大きく広まる事となるでしょう。一個中隊が中隊戦闘隊や中隊戦闘群として同一行動をとる際に、装甲車両が二種類存在する事は後方支援の面で不利は生じるものではありますし、更に戦闘損耗や機動時の不具合頻度を考える場合について。

 これは指揮官裁量の立場から考えますと、単一車両よりも戦術の幅が増えるわけです。二種類の車両が存在する事は例えば複数車両が損傷する際にどの車種が損傷するかにより影響は変化するものではあります。この不具合を見込んだうえで、二種類を併用する提案の背景には、機動力を維持し、速度の有する戦術展開全般への好影響を勘案した上での視点で、装甲車両数では二個中隊に匹敵する車両数を有している、いわば縮小大隊としての能力を持つ一方、増強中隊規模の兵站所要での任務遂行が同時に可能、という利点がある。

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