北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

トランプ新大統領の外交国防戦略【03】 アジア重視を継続,米比・米台関係修復と南シナ海関与

2016-12-05 21:17:40 | 北大路機関特別企画
■トランプ新大統領東アジア戦略
 トランプ次期大統領の外交防衛戦略、大統領選での発言とは異なり、偉大なアメリカの再構築は西半球籠城路線ではなく、世界に向けての発言であったようです。

 アジア重視政策を掲げたオバマ政権を引き継ぐトランプ次期大統領は、意外な事にアジアへの関与を強化する方針をも引き継ぐこととなる可能性が出てきました。トランプ新大統領は、選挙戦において在日米軍や在韓米軍の撤退を掲げた事で、孤立主義モンロードクトリン時代のようなアメリカ本土へ米軍を撤退させる国防政策へ転換が考えられてきました。

 トランプ次期政権の外交国防戦略、この数日間で一挙に動いた形となっています。先ほど、南シナ海問題について中国の人工島不法構築をアメリカが了解した訳ではない旨を発言し、更にアメリカが敢えて立場を不明確としてきた台湾問題へ台湾の蔡英文総統と電話会談という形で前進し、更に対立が生じた米比関係もドゥテルテ大統領支持を表明しています。

 トランプ次期政権は新しい国防長官にジェイムズマティス退役大将を指名する事としました。マティス退役大将、強権的と云われているようですが、発言が少々パットン将軍的といいますか、第二次世界大戦中までならばギリギリ各国の将官と同水準だったかな、という印象です。一方で実務と編成や装備開発と実戦運用の双務を理解できている人材です。

 国防長官人事に実務経験者、現在のアメリカ軍の必要な視点は、軍事力を技術的問題ではなく予算面で必要な新しい支出を補填する予算確保を既存装備品の調達や部隊の維持費用から捻出している点で、実際に勝てる部隊と勝てる戦略を構築できる人員を構築するならば、技術的蓄積は大きなアメリカは今後も当面は世界での優勢を維持できるでしょう。

 トランプ次期大統領が台湾の蔡英文総統と電話会談、非常に大きなニュースです、こういいますのもアメリカは台湾関係法を制定し、台湾の防衛として中国へ圧力をかける姿勢ですが、一方で台湾の独立についても圧力をかけ続けてきました、独立も併合も認めない、この方針の下で事実上問題解決を延期し続けてきたわけですが、動いた形となります。

 台湾とアメリカ、電話会談の内容は不明です、しかし、電話会談を行った、という事実だけでも大きな意味があります、また、次期大統領の電話回線がどの程度盗聴防止措置が取られているか、即ち中国政府が把握しているのかについても大きな意味があります。少なくとも、台湾を価値観を共有する国家として認識している大きな誇示とはなったでしょう。

 米比関係、意外に簡単に修復する可能性があります。もともと米比関係の悪化は麻薬戦争があり、オバマ大統領がドゥテルテ大統領の麻薬戦争への強硬手段を麻薬戦争が実際の戦争に近いテロ対策戦争の強硬手段を通常の刑事事件への行き過ぎた対処であり、人権上問題が大きすぎるとの批判から、オバマ大統領とドゥテルテ大統領の関係が悪化しました。

 フィリピン政府はアメリカ政府からの人権問題を契機とする関係悪化に対し、中国ロシアへの接近を示唆してきました、中国ロシアは非人道国家へも軍事援助を惜しまず、人権問題を無視する外交関係を締結できるためです。しかし、トランプ大統領はこうした部分には、必要な強硬手段がある、という認識でドゥテルテ大統領と認識が一致したようです。

 日本の防衛政策に大統領選当時のトランプ氏が掲げた政策は、アメリカがアジア関与から撤退する可能性を示し、南シナ海問題等我が国シーレーン防衛へ影響する事態へ単独でも防衛力を投射する必要性が危惧されてきましたが、結果的にアジアの現在の秩序を維持し、地域閉塞化へは確たる手段を執る事を示唆する今回の明示は、大きな安定要素といえます。

北大路機関:はるな くらま
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【日曜特集】百里基地五〇周年航空祭【1】快晴の青空彩る首都防空精鋭部隊(2016.11.26-27)

2016-12-04 19:41:11 | 航空自衛隊 装備名鑑
■百里基地五〇周年航空祭
 日曜特集、百里基地五〇周年航空祭、先週開催されました首都圏唯一の自衛隊戦闘機部隊基地でファントムの祭典、百里基地航空祭の模様をお伝えしましょう。

 日曜特集、と銘打って今回から日曜日の自衛隊行事写真特集を掲載します。Weblog北大路機関では様々な行事を撮影してまいりましたが、今回から日曜特集としまして、行事の写真を数十枚に厳選し、二回から三回に分け紹介してゆく事としました。写真枚数と解説本文等の関係から不定期掲載となる可能性がありますが、活況を少しでもお伝えできれば幸い。

 百里基地五〇周年航空祭、今年、航空自衛隊百里基地は創設から五〇周年を迎えました。百里基地は第7航空団の展開基地です。2000年頃には第204飛行隊と第305飛行隊のイーグル飛行隊二個が首都防空を担っていましたが、現在は最前線となった九州沖縄へイーグルを転出させ、ファントムを運用する第301飛行隊と第302飛行隊を運用している基地だ。

 百里基地航空祭二〇一六、百里基地は茨城県に位置し我が国首都圏の防空を担う唯一の要撃航空団となっています。航空自衛隊は全国を北部航空方面隊管区と中部航空方面隊管区に西部航空方面隊管区及び南西方面航空混成団管区に分け防空任務に当たっています。平時に在っては対領空侵犯措置任務に当たり、常時実弾を搭載し緊急発進に備えています。

 ファントム、百里基地には第301飛行隊と第302飛行隊に偵察機を運用する第501飛行隊と、三個ものファントム飛行隊が展開しています。実に70機ものファントムが配備されている事となりまして、世界中のファントムファンの聖地というべき場所、整備員からは古すぎて整備というよりも介護、介護施設と悩ませる名機の拠点でもあり、航空祭は、混む。

 F-4ファントムは1959年にアメリカ海軍の空母艦載機として誕生しました、当時、世界の戦闘機はミサイル万能論が幅を利かせており、空戦機動を度外視したミサイル運用重視の機種が主流となりつつありましたが、F-4ファントムは海軍空母航空団からの要望で高い運動性能を求められ、この卓越した性能が戦闘機の要求変化を越え名機となった所以です。

 アメリカ海軍機として開発されたF-4ファントムは、イギリスをはじめアメリカの同盟国や友好国へも多数が供与され、実に5000機以上が生産されました、この為F-4ファントムに愛着を抱く方は操縦士から航空愛好家で多く、日本では三菱重工によりライセンス生産が実施、この整備基盤運用基盤により21世紀の今日でも運用を継続する事が出来ました。

 要撃飛行隊は北部航空方面隊管区に千歳基地第2航空団と三沢基地第三航空団、中部航空方面隊管区に小松基地第6航空団と百里基地第7航空団、西部航空方面隊管区に新田原基地第5航空団と築城基地第8航空団、南西方面航空混成団に那覇基地第9航空団を置く。この他に教育訓練部隊として浜松基地第1航空団と松島基地の第4航空団が置かれている。

 首都防空の要衝に当たる第7航空団は、第301飛行隊と第302飛行隊が配置されており、共にF-4EJ改戦闘機を運用しています。F-4EJ改は航空自衛隊が1971年より144機を導入した戦闘機で、実は航空自衛隊では最も古い戦闘機となっています。ただ、機体が大型で新器材を収容する設計余裕がある為、近代化改修と延命改修を幾度か施し今に至ります。

 百里基地航空祭、首都圏の基地なのですが、余りに交通難所にある事から航空自衛隊隔離基地、と呼ばれています。何しろ、基地と駅の距離が絶望的に遠く、バス停はありますが内陸の石岡駅と鹿島灘側の新鉾田駅を結ぶバスが一日上下線全部合わせて3本しか運航されておらず、基地と周辺が隔絶されているのです、これでも多少は改善されたとのこと。

 茨城空港が2011年に開港しまして、百里基地の一部を茨城空港に転用しましたので、茨城空港と周辺地域を結ぶ道路網が整備され、東京駅やTXつくば駅と石岡駅から茨城空港を結ぶバス交通網が整備され、高速道路も茨城空港まで延伸されましたので道路網は楽になりました。しかし、茨城空港は百里基地航空祭駐車場用地に建設、車では難しくなりました。

 航空祭へ行きたいのであれば駅から徒歩で移動すればいいではないか、そう簡単には参りません。そもそも隔離基地と呼ばれ、隊員が休日に移動するにも難儀する場所、厳しい任務と体力練成で毎日基地を走り回る航空自衛官でも遠いのです。最寄の鹿島臨海鉄道新鉾田駅は徒歩11.4km、鹿島臨海鉄道は本数が少ない。JR常磐線石岡駅からは21.1kmある。

 基地までタクシーは無いのか、と思われるかもしれませんが石岡駅前にはタクシー乗り場があります、百里基地まで21.1km、京都駅から叡山電鉄鞍馬駅まででも17kmですので少々値が張ります、特に航空祭の当日は大渋滞が発生しますので時代祭の鞍馬の火祭の日に大渋滞を乗り越えて鞍馬寺まで京都駅からタクシーで移動するほど費用を覚悟すべきです。

 シャトルバスが石岡駅から運行されているのですが、確実に大渋滞に巻き込まれますので0700時に出た始発バスが百里基地へ到達したのは0900時、結局、基地から5km圏内の民間特設駐車場に駐車し一時間ほど歩いて基地へ向かうという方策か、前日から基地周辺を遊弋する、いっそ移住する、という選択肢が、開門と同じくらいの時間帯に入る方法です。

 今年の百里基地航空祭は例年の大渋滞に加えて当日の悪天候が予報されていました。そこで当方は金曜日の夜行高速バスにて新宿まで前進し、そのまま山手線常磐線経由で石岡駅まで進み茨城空港行バスに乗車し茨城空港隣接航空公園まで進出、前日行われる予行を撮影しまして、本番は基地内にて地上展示機等を撮影するとの行程で撮影する事としました。

 実は東京の友人が同日程で撮影に展開していまして、夜明け前から茨城空港付近の特設民間駐車場に車両を展開させ、OPフライトから撮影していました。当方は、山手線遅延等の影響で現地進出は0900時頃となりましたが、予行のファントム大編隊から撮影する事が出来た訳です。それにしても9機のファントム大編隊、何か視てしまいました、凄いものを。

 土曜日の百里基地は特別公開日として、周辺住民の方へ航空防衛への意義と努力への協力を期して、事前応募制の特別公開日となっています。この為、総合予行以上にしっかりと日曜日の航空祭と同じ飛行展示が行われますので、まだ、渋滞の規模が小さな特別公開日に百里航空祭を、特別公開招待券が無い場合は基地周辺からでも撮影するという方は多い。

 前回は特別公開日に招待を頂きましたが、なんといいましても今回当方の展開は急でした、大村駐屯地祭展開を計画していたのです、百里基地航空祭や築城基地航空祭に展開するように見せかけ大村四部隊合同行事へ、帰路そのまま佐世保基地で護衛艦くらま撮影の後に長崎空港から神戸空港へ、という計画でしたが、くらま横須賀入港に合わせ変更しました。

北大路機関:はるな くらま
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護衛艦FRAM近代化改修と艦隊維持【04】艦隊の護衛艦第一線能力維持の意義と事業評価

2016-12-03 20:52:05 | 先端軍事テクノロジー
■艦隊能力水準の維持
 たかつき型護衛艦は非常に高性能を誇る護衛艦でしたが、しらね型護衛艦等システム艦の時代に入りますと、状況は変わってきました。

 FRAM,近代化改修について、建造当時想定されなかった対艦ミサイルの広範な海上戦闘での運用へ対応する、という視点が追加されたため、と前述しました。実際問題、たかつき型護衛艦を念頭に置きますと、5インチ単装砲2門、アスロック対潜ロケット発射機、ボフォース対潜ロケット発射機、三連装短魚雷発射管では改修しなければ生残れませんでした。

 たかつき型護衛艦とクリヴァクⅡ型ミサイル駆逐艦の艦隊戦闘、クリヴァクⅡ型ミサイル駆逐艦はSS-N-14対艦ミサイルを投射する想定で音速飛行する目標を30kmの見通し線で捕捉した場合、戦闘は、目標探知から目標識別を経て目標追尾に移行、脅威判定と武器選択の後に武器指向と発射し誘導命中、この八段階を踏んで展開され、所要時間は30秒ほど。

 対艦ミサイル迎撃へ30kmの距離をミサイルは飛翔する猶予時間は概ね40秒間です。ここで短SAMを使用した場合はマッハ3で迎撃を展開するため、概ねミサイル最大射程から最低射程まで2発を迎撃可能、続いて艦砲とCIWSにより各1発を迎撃し、撃ち漏らしたミサイル等についてはチャフやECM等ソフトキルにより回避する、4発の同時攻撃に耐える。

 護衛艦隊が護衛隊群規模での海上戦闘を展開する場合、この外郭防空へミサイル護衛艦のスタンダードミサイルを使用でき、スタンダードMRの防御線は40kmと大きくなるため、余裕が生じます。従って、艦隊規模での戦闘を考えた場合、各艦4発の対応能力は更に底上げされる訳ですが、近代化改修を行わない従来艦では各艦1発にしか対応できません。

 一方、護衛艦のレーダーは電波が直進する特性上、ミサイル護衛艦の三次元レーダーからも水平線を超えた目標は探知できず、従って40kmの射程を有するスタンダードMRも、目標が高高度か中高度を飛行していなければ性能を最大限発揮出来ず、低空を飛翔するシースキミング方式ミサイルに対してはやはり、30kmの見通し線内しか捕捉できません。

 FRAM改修ではデータリンク能力が付与され、たかつき型へも当時最新鋭の護衛艦はつゆき型用に開発された戦術情報処理装置OYQ-5が搭載、受信に重点を置いたリンク14データリンクシステムを搭載しており、攻撃兆候をいち早く艦隊で共有する能力へ繋がり、FRAMはミサイル攻撃へ護衛される護衛艦から艦隊の一員へ昇華させる意味がありました。

 護衛艦を長期的に艦隊の一員として運用するためには、こうしたFRAM近代化改修は非常に重要な手段です。しかし、たかつき型護衛艦、はるな型ヘリコプター搭載護衛艦、のFRAM以降、海上自衛隊では機関部の延命など、延命改修に重点が置かれ、FRAM改修は一般的に行われていません、実施する事で長く艦隊の一員として対応できるにも拘らず、です。

 この背景には、FRAM改修には、二年以上の時間を要する、また、搭載する電装品などは新造艦と同じ費用を要するため、FRAM改修により現役期間を数年延長する場合でも、費用対効果を視た場合、それよりもFRAM改修期間の二年以上の期間を現役護衛艦として目いっぱい活躍させた方が、合理的だ、との判断故です。この問題は一筋縄ではいかない。

北大路機関:はるな くらま
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平成二十八年度十二月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2016.12.03/12.04)

2016-12-02 20:07:21 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 師走となりますが、カストロ前国家評議会議長死去に朴槿恵大統領辞意表明と海外では大きな事件が相次いだ今週末ですが、我が国では高病原性鳥インフルエンザが東北と新潟に上陸、激震が走りました。

 今週末の自衛隊関連行事ですが、最大の行事は新田原基地航空祭、新田原エアフェスタ二〇一六でしょう。新田原基地は七月の飛行教導群小松移駐、F-4戦闘機を運用する第301飛行隊の百里基地転出、一方で百里基地からF-15を駆る精鋭第305飛行隊が移駐しまして、自衛隊最初のF-15飛行隊を起源とする第23飛行隊と併せF-15二個飛行隊体制となった。

 新田原基地航空祭は、第305飛行隊と第23飛行隊のF-15編隊飛行や機動飛行、F-15一色の新田原基地航空祭の実現です。そしてブルーインパルス飛行展示も予定されています。JR九州日向新富駅から4kmほど進んだ高台の場所にあり、シャトルバスが運行されていますが、混雑する場合は徒歩でも移動できるでしょう、臨時駐車場も設けられるとのこと。

 峯岡山分屯基地記念行事、第44警戒隊のレーダーサイトで、首都防空の一環として第1高射群から指揮所運用隊峯岡山派遣班が展開しています。千葉県南房総市の愛宕山に位置し、対空機関砲射撃展示が予定されているとの事です、20mmVADSかM-16/12.7mm四連装機銃となるのでしょうか、なお、愛宕山とはいっても、護衛艦あたご、とは関係ありません。

 くらま最後の航海、今週は高松港において明日土曜日に一般公開が予定されています。金毘羅山と掃海慰霊祭という海上防衛と非常に所縁ある高松港では土曜日に一般公開され、高松港HPによれば日曜日午後に出港します。その後は江田島呉方面に向かうものと考えられ、お時間がある方は、最後の従来型ヘリコプター搭載護衛艦の雄姿をご覧ください。

 さて行事撮影、情報優位こそが全ての戦場を制する、という事は現代戦の鉄則ですが、これは模擬戦においても同じことです。なにしろ、現代戦ですからね。そこでやはり考えたいのは、訓練展示の内容を現地で情報収集する、というところです。仮設敵陣地はどのあたりになるのか、攻撃部隊はどう進出するのか、そもそも災害派遣展示か模擬戦か分かるだけでも大きい。

 豊川駐屯地や福知山駐屯地に久居駐屯地と大津駐屯地など、式典会場が沿道からそのまま見える場所ですと、自称地元民のおっちゃんが何故か全部知っているという、そんなこともありますので、周りの人と迷惑にならない範囲での雑談や、その道何十年と通い続けた人がいたりしますので、聞いてみるのもいいでしょう、案内の隊員さんに聞いてみるのも。

 情報優位とはこの為にあるような言葉でして、こうした情報を元に撮影位置を選定し、必要ならば陣地変換も行う。これがカッコイイ写真を撮影する一つの方法となるのかもしれません、どうせ撮影するならいい写真を撮りたい。まあ、情報が外れる事もありますが、それはそれで、ね。予防線を張るのは、自分もよく間違うため、では、ない、と、思う。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭
・12月04日:峯岡山分屯基地記念行事…http://www.mod.go.jp/asdf/mineokayama/
・12月03日:くらま高松港一般公開…http://www.mod.go.jp/pco/kagawa/
・12月04日:新田原基地航空祭二〇一六…http://www.mod.go.jp/asdf/nyutabaru/

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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宇宙戦闘の現実化、中国ロシアの衛星攻撃脅威【前篇】アメリカ宇宙軍の衛星防護任務

2016-12-01 20:23:48 | 先端軍事テクノロジー
■現実化する宇宙空間での戦闘
 宇宙戦争というとSF古典的な響きがありますが、偵察衛星へ自爆攻撃を加えるキラー衛星とこれを防ぐF-15戦闘機からのASAT衛星迎撃ミサイル、イージス艦からの降下衛星迎撃と言い換えれば現実味が増すでしょうか、この脅威が現実化しています。

 次の戦場は宇宙、米軍が準備加速 衛星に迫る中ロの脅威、CNNにて興味深い特集が組まれました。宇宙空間での戦闘はSFでは一つの定番ですし、数多の映画でも描かれました。しかし、通信衛星や放送衛星にGPS衛星と宇宙空間への依存度が高まると共に、この宇宙空間での攻撃への脆弱性を払拭する事は安全保障政策上の重要度を刻々と高めています。

 特集では米戦略軍のジョンハイテン司令官の“人類が物理的に進出するたびに衝突は起きる。我々はそれに備えなければならない”という発言に加え、民間衛星調査企業AGIの経営者ポールグラジアニ氏の商業衛星防衛の必要性、そして現在の米軍の体制を米軍高官デービッドバック氏やロバートワーク国防副長官の言葉で説明した記事となっています。

 ロバートワーク国防副長官が昨年、アメリカは宇宙空間におおいて攻撃を受ければ反撃し撃破する、という発言で注目されましたが、既に宇宙空間での戦闘はSFの分野ではないとのこと。日本の安全保障及び防衛政策に照らし合わせますと重要な情報収集衛星打ち上げ施設が南西諸島を中心に在り、中国の巡航ミサイル射程内にある点が大きいのですが、ね。

 将来戦は宇宙戦争へ、これは最近言われ始めたかに見えて最も激烈であったのは情報収取衛生とキラー衛星の全面衝突を念頭に米ソが宇宙開発を実施した冷戦時代であった訳ですが、冷戦後宇宙開発の莫大な費用に追随できず、一旦、安定が保たれてきました。しかし、中ロのキラー衛星技術の進展と共にアメリカも新しい技術開発の必要性が生じています。

 宇宙分野での防衛を急務としている背景には、人工衛星には情報収集衛星や早期警戒衛星という国防に不可欠な要素と共に、通信衛星や放送衛星とGPS衛星という民生分野と深くかかわる宇宙空間の利用があり、例えば通信衛星や放送衛星とGPS衛星へ、大きな攻撃を受け機能を喪失した場合、民心動揺の増大、経済活動、航空や交通に大きな影響を与える。

 人間は社会性の生き物である、とは社会学の基礎ですが、通信衛星や放送衛星への停滞の発生は、民主主義の形成に不可欠な情報共有の基盤へも影響を及ぼしかねません。また、民間衛星ならではの脆弱性があります、情報収集衛星では冷戦時代の戦闘ではキラー衛星により早期に消耗するとして陸上へ情報収集衛星の予備機を一定数待機させていました。

 軍事用衛星は損耗を想定し、撃墜された場合には続座に次の予備機を打ち上げる、偵察機のような運用でしたが、通信衛星や放送衛星には民間が運用するものが多く、そもそも攻撃を想定せず、予備機がないものが多く、影響は長期に及びます、甚大ですし保証制度や保険制度も攻撃には想定外です。防御には攻撃を受けた場合、積極策が必要となります。

北大路機関:はるな くらま
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韓国朴槿恵大統領辞意表明!混迷度増す韓国政局問題と日韓関係等北東アジア情勢へ影響必至

2016-11-30 20:52:42 | 国際・政治
■北東アジア地域への不安定要素
 わが国の隣国、韓国の朴槿恵大統領が辞意を表明しました、韓国民主化後初の大統領辞職、特別検察官任命や新大統領選出等、混乱は必至で、北東アジア地域における新しい不安定要素の現出と顕在化です。

 朴槿恵大統領辞意表明、昨日韓国の朴槿恵大統領が突如辞意を表明しました。これは知人で実業家の占い師の崔順実氏へ外交機密漏えいの疑いがあると共に、側近の秘書官と共謀し崔順実氏の財団に対し大統領府が韓国国内の財団に対し多額の出資を要求する等、不透明で違法な関係の疑いが指摘、韓国国内で辞職を求める声が大きく支持を完全に辞職しました。

 日本政府は朴槿恵大統領との間で様々な日韓関係良好化の努力を重ねてきましたが、主任当時に日韓関係の良好化を掲げつつ早々に日本に敵対的な政策を展開し、この中で漸く信頼関係構築を進められたものの、朴槿恵大統領は韓国民主化以降初めて任期満了を前に辞任する事となり、また、民主化以降初めて一度も日本を訪問せず辞職することとなります。

 日韓は過去に不幸な歴史がありましたが、日韓併合は百年以上前、現在は重要な隣国です。朴槿恵大統領辞意表明では当面問題となりうる問題に、日中韓首脳会談、日韓包括軍事情報協定GSOMIA、物品役務相互提供協定ACSA、在韓米軍THAAD配備問題、従軍慰安婦政府間最終合意、というものがどのように展開するのかが重要な問題となるでしょう。

 日中韓首脳会談は、今年度に日本で開催される予定となっていましたが、朴槿恵大統領の外交機密漏えいの時期から韓国政府は火消しに忙殺され、結果的にどの時期に日中韓首脳会談を開催するのかについての明確な日程調整が出来ず今に足ります。日中の二か国間は現在、南西諸島問題で摩擦があり、信頼醸成へ重要な機会を失った事は非常に憂慮します。

 日韓包括軍事情報協定GSOMIA、先日締結したばかりの日本と韓国の防衛情報協力体制ですが、韓国国内では日韓友好反対の勢力が根強く、朴槿恵大統領の主導により進めたこのGSOMIAについても撤回すべきとの主張が、野党等からも示されています。仮に次期政権が反故とする状況に進めば、北朝鮮核開発に対する日米韓の協調へも影響するでしょう。

 物品役務相互提供協定ACSA、日韓の防衛協力は例えばACSAのようなより深化した協力体制へ進む、その第一歩となり得るのがGSOMIAです。ACSAは先日日豪での締結への合意が為され、我が国ではインド政府やフランス政府とのACSA締結も模索しています。隣国との関係強化を忌避する必要は無く、こうした意味でACSA等への経路途絶は避けたい。

 在韓米軍THAAD配備問題、中国からの軍事圧力と政治圧力により先送りとしていたアメリカの新型弾道ミサイル迎撃ミサイルについて、朴槿恵大統領が漸く今年に入り受け入れを決定し、具体的な受け入れ基地と配備計画が進められていますが、こちらも不透明となりました、THAADのレーダー情報は自衛隊も共有し、この有無は迎撃精度に関わります。

 従軍慰安婦政府間最終合意、日韓関係を阻害する韓国世論の大きな要素は、1965年の日韓基本条約を韓国政府が国民に開示しなかった為、賠償請求権を全て1965年の条約での支払いを完了している事に反発し、安倍総理と朴槿恵大統領との間で漸く、基金創設等、日韓基本条約の補完で合意されたばかりですが不充分との声もあり、反故にされかねません。

 朴槿恵大統領の辞意表明は辞任時期を不明確とした為、韓国国会での弾劾裁判の時間稼ぎではないかとの指摘や、大統領事件に当たる特別検察官国会任命の遅滞を期した行動ではないかとの批判もあり、韓国国内の混迷はさらに続きそうです。他方この混乱は北朝鮮に利するもの、日本に隣接する朝鮮半島全体の安定へも懸念が及ぶ事となるかもしれません。

北大路機関:はるな くらま
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新潟県・青森県でH5型高病原性鳥インフルエンザの国内家禽類感染確認、自衛隊災害派遣

2016-11-29 23:18:04 | 防災・災害派遣
■政府関係省庁自治体全力対処
 非常事態です、海外ではカストロ前国家評議会議長死去に朴槿恵大統領辞意表明と大きな出来事がありましたが、我が国ではH5型高病原性鳥インフルエンザの発生です。

 高病原性鳥インフルエンザの日本国内での発生です、放置すれば変化し新型インフルエンザとして大規模流行のリスクが高まると共に、際限なく家禽類への感染を繰り返し、我が国家禽産業への致命的な打撃を与える危惧がある為、政府主導による全力対処が実施されています。発生地は新潟県と青森県、新潟県での対処へは陸上自衛隊が派遣されています。

 家禽産業へ、昨日新潟と青森県で鶏や家鴨等が相次いで死に、県などが検査したところ高病原性鳥インフルエンザが検出されました。しかし、今月半ばから国内の野鳥に高病原性鳥インフルエンザ感染が確認されており、検査の結果、現在韓国国内で流行している高病原性鳥インフルエンザと同型のものであり、渡り鳥に感染し侵入の可能性が高いとのこと。

 新潟県では本日0437時、新潟県知事より陸上自衛隊第12旅団に対し災害派遣要請があり、新潟県岩船郡関川村の農場での高病原性鳥インフルエンザ発生に対し、迅速な殺処分の支援要請が出されました。これを受け、第12旅団司令部と新発田駐屯地の第30普通科連隊が災害派遣で出動、現在人員340名と車両35両、更に連絡要員14名と車両6両が派遣されました。

 青森県での高病原性鳥インフルエンザ感染確認はH5型高病原性鳥インフルエンザの感染が昨日28日に簡易検査で発見され感染が疑われる家鴨1万6500羽の処分が決定するとともに、感染が確認された農場から半径10km以内の養鶏場に対し、家禽類の移動を禁止する非常措置を採り、併せて周辺地域での消毒所を設置、感染拡大の阻止に尽力しています。

 事態の発生、新潟県では28日に入り鶏が死んでいるとの通報があり、簡易検査により28日、H5型高病原性鳥インフルエンザが確認されました、死亡した鶏全てからH5型高病原性鳥インフルエンザが確認され、これを受け新潟県はこの養鶏場で飼育されている鶏31万羽全ての処分を決定、処分する鶏の数が非常に多く、陸上自衛隊に対して災害派遣要請を出したかたち。

 政府は、自治体及び関係省庁と緊密に連携し情報収集に努めるとともに即応態勢を確保し、準備に万全を期すとともに、今後の状況の推移に応じ、適切に対応せよ、との命令を出します。新潟県も半径10km以内の59カ所の養鶏場などを対象に鶏や卵の移動や出荷を禁止する措置を採ると共に、国道7号線や国道113号線沿いに複数の消毒施設を設置しました。

 自衛隊の高病原性鳥インフルエンザ対処の派遣部隊は人員規模で南スーダンPKO部隊と同規模の派遣が実施されています。特に留意すべきは、今回発生した高病原性鳥インフルエンザは渡り鳥により感染が拡大している点で、シベリアからの経路と朝鮮半島からの経路があります、この為現在発生しているのは新潟県と青森県のみですが拡大の可能性もある。

 肝要の人間への感染ですが、現在のところ出荷された鶏肉等からの経口感染や接触感染は世界では確認されていません、ただ、家禽類から人に感染する事例は報告されており、更にこれが人と人との間で感染するよう変化した場合世界的な流行禍へ繋がる懸念があり、他の地域への感染拡大を警戒すると共に現在確認されている状況の鎮静化へ官民一体となった協力体制が敷かれています。

北大路機関:はるな くらま
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榛名防衛備忘録:日本独自の国際貢献,多用途機U-4の医官衛生班国際緊急人道支援任務派遣案

2016-11-28 23:38:17 | 国際・政治
■国際FAST-Force案
 日本の国際貢献において、国連PKOが2002年以降、国連憲章七章措置として軍事任務の要素が大きくなったいま、日本は国連とは異なる防衛力の国際貢献任務の模索を行うべきではないでしょうか。

 この視点から航空自衛隊はU-4多用途機を4機装備し、指揮官連絡任務や軽輸送に運用しています、この活用の施策を考えたい。日本は東日本大震災を始め巨大災害に幾度も襲われ、今後は南海トラフ連動地震という巨大災害の脅威にさらされています。最大想定犠牲者は32万という文字通り空前の被害であり、これは広島原爆投下による被害と東京大空襲の犠牲者を合わせた規模となります。

 U-4でなくとも必要な能力を有する機種を待機させるという方法でも可能ですが、当然、この規模の災害へ余裕を以て対応できる医療や防災の能力は日本には不充分な規模となり、このまさに有事というべき事態には、海外からの支援に頼るほかありません。すると、同時に平時から我が国は積極的に海外の災害現場へ人道支援部隊を即応派遣し、相互互助の国際基盤を構築すべきでしょう。

 航空自衛隊はU-4多用途機を装備しています、このU-4ですが、海外への緊急人道支援任務として医官衛生班緊急人道支援任務派遣に運用する事は出来ないでしょうか。U-4はガルフストリームⅣビジネスジェットで19名の人員を輸送可能ですが、特筆すべきは航続距離は7820kmと非常に大きい点で、例えばアフリカ方面への飛行であっても一回の給油地を経由する事で飛行可能、人員輸送任務での航続距離はC-130H輸送機は勿論、最新鋭のC-2輸送機よりも大きくなっています。

 この装備を海外での災害へ、FAST-Forceの国際版として派遣する事は出来ないか、というものです。具体的には、常時医療部隊を数名規模でU-4が配備される入間基地へローテーション配置しておき、邦人の安否確認を必要とする規模の災害が発生すれば、即座に派遣する、災害版のスクランブル発進のような体制を採る、ということです。言い換えれば、海外での大災害の現場に被災地域の当事国に続き、自衛隊機が現地へ展開する、という体制を目指すもので、C-130よりも規模は小さいが少ない人員だけに即座に対応できる。

 自衛隊の海外派遣任務と云いますと主流は部隊規模での人道支援任務等ですが、実際のところ、医官1名と看護官数名に通訳の隊員と外務省職員、必要ならば警護と連絡に連絡幹部と特殊作戦群要員等を増加配備し数名から十数名で対応できる分野も少なからずあり、医療品は大規模な外科手術を独自に行う能力となりますと、C-130輸送機等で空輸する機動衛生ユニット等重装備が必要となりますが、携行医療装備で対処出来る医療も意外と広い。

 小規模な緊急人道任務派遣は、医官の外科医療や内科診療等での経験を積むことに大きく寄与しますし、大規模災害などの人道危機に際しては数名の医官と看護官の派遣であっても大きなポテンシャルを発揮できるでしょう。その上で、U-4であれば地球の裏側であっても十数時間で展開可能ですし、大型機ほど地上支援設備を必要としません、併せて近傍の厚木航空基地などに人員輸送も可能であるP-3C哨戒機やP-1哨戒機にも同様の体制を採らせ、ローテーション待機する事も可能でしょう。

 医官は、ローテーションで対応するものですが、医官であれば航空自衛隊にこだわる必要は無く、統合任務として陸海空の持ち回りで対応出来ます。これは医官の規模には必ずしも余裕がある訳ではない為、常時待機する、という負担は長期的に待機するならば無視できないものとなるでしょう、このため、ローテーション待機するという方式が理想的で、併せてこれら部隊は勿論、国内での災害へも隊区部隊の支援へ展開可能です。

 沿岸部の災害へは、岩国航空基地のUS-1やUS-2飛行艇を直接被災地域の沿岸部、港湾へ展開させ人道支援に充てるという事も、地理的に可能であれば検討すべきでしょう。また、人道危機に際して即座に派遣する体制の構築は対日感情や邦人保護等好影響も多いと考えます、打算的と非難されるかもしれませんが、対応できる装備があり、その能力があるならば、長期的に日本の国益にかなうもので、あとは費用の面で主権者が選んだ政府が判断すべきところです。

北大路機関:はるな くらま
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検証:イラク派遣と駆け付け警護【後篇】課題示す5.10サマーワ橋上オランダ軍襲撃事件発生

2016-11-27 20:44:47 | 国際・政治
■警護要請の可能性はあった
 自衛隊のイラク復興人道任務は部隊の努力により戦死者を出すことなく、この意味では予定派遣期間を満了し成功裏に撤収しました。しかし、これは努力の結果で、安定した治安状況であったとはとても言えません。

 イラク邦人人質事件、平和団体関係者3名が不用意に競合地域へ足を踏み入れ武装勢力に拘束、武装勢力が自衛隊の撤退を要求する事件が発生し、自衛隊はイラク国内の報道関係者を中心に当時の邦人保護法にあたる自衛隊法100条を適用し、クウェートへ96式装輪装甲車で護送する決定を下します、初の邦人保護任務及び在外邦人輸送任務を実施したところで一転しました。

 その後、自衛隊は警戒態勢を強化、しかし、戦闘防弾チョッキ2型を着用し、機銃を搭載した軽装甲機動車の支援下、自衛隊は給水任務や文化交流事業など復興人道支援任務を継続しました、イラク国民は日本への親近感が大きく、また、純粋な復興人道支援という好意を邪推なく受け入れたという心の対話の成果が、成し遂げた、というべきなのでしょう。

 5月10日現地時間2245時、事態は急変しました、オランダ軍がサマーワ市内にて襲撃されたのです。襲撃を受けたのはユーフラテス川橋上、メルセデスクロスカントリーヴィーグル、優秀な四輪駆動車ですが装甲はありません、遭遇戦に備え機銃を配置可能とするべく開け放たれた車体上部へ、忍び寄ったバイクから手榴弾が投擲され車内に落下、2発が爆発、戦死者が、でた。

 オランダ軍は即座にM-16小銃で反撃、宿営地から装甲車を派遣し12.7mm重機関銃による反撃を実施しました、手榴弾を投擲した武装勢力はバイクで逃走した為、重機関銃は威嚇発砲であったのでしょうが、翌日まで市街地は封鎖、イラク国内で唯一安定していたというサマーワは、日本政府の判断はさておき、オランダ軍の主観では戦闘地域となります。

 駆け付け警護任務、自衛隊はこの際に発動はしていません、戦闘とは言っても手榴弾2発が投擲され、その後の持続的な戦闘が展開された訳ではありませんでした、この際に攻撃を実施したテロリストは80km離れたナジャフからのサドル派民兵であったのか、単なる暴漢が手榴弾を投擲したのか、逃走し捕縛できなかった為、現時点でも判明していません。

 しかし、持続的な戦闘となった場合、オランダ軍は装甲車両としてフィンランド製XA-180装輪装甲車等を派遣していたようですが、数は不充分、現在でこそオランダ軍はこの種の任務に必要な、自衛隊も採用した、オーストラリア製ブッシュマスター耐爆車両等を、その後のアフガニスタン派遣任務用とも併せ配備しましたが、当時は装甲車が不足していた。

 サマーワ派遣の時点ではオランダ軍の軽装甲車は不足、対して自衛隊は50両もの軽装甲機動車や96式装輪装甲車を派遣していた訳ですから、緊急支援の要請、駆け付け警護ではなく、負傷者収容や戦闘に関係しない警戒支援任務、場合によっては、駆け付け警護を、要請していた可能性はありました、実際は起きなかった、といわれればそれまでですが、ね。

 自衛隊の警護任務に当たるオランダ軍が市内において戦闘に巻き尾まれ、この攻撃が手榴弾2発の投擲という小規模なものでは収まらなかった場合、オランダ軍が実施できる手段は限られています。勿論、近隣のイギリス軍へ支援を要請する事は出来たでしょうが、イギリス軍は同時期ナジャフに加えナシリヤ市内でも民兵が攻勢に転じ、余裕はありません。

 オランダ軍の任務が自衛隊の警護であった事から自明の通りオランダ軍管区に程近い場所に陸上自衛隊は駐屯していた訳ですので自然な流れとして要請が出ていたことは考えられます。当然第一線指揮官である派遣隊長は東京へ可否を確認するでしょうが、時間的な余裕からは確認を出しつつ事後承諾を想定した上で部隊を派遣する他なかったのではないか。

 自衛隊が駆けつけ警護の決断を第一線指揮官の判断、切迫し東京へ問い合わせられない状況は、サマーワにおいて、オランダ軍襲撃事件や、クウェートからのイラク展開時等で考えられた訳です、要請を受ければ拒否する事は簡単ですが、拒否した後に相手国と関係が良好化する事は考えられません、要請受けられぬ事を予め周知させる事も現実的ではない。

 このイラクでの事例ですが、指揮官が政治的判断を突き付けられる事は、イラクでの事例のほか、ルワンダPKOでのゴマ暴動の際、NGO組織AMDAの邦人医師団が難民に襲撃される事件が発生、当時ルワンダへは自衛隊PKO部隊を派遣中であった為、派遣部隊指揮官が超法規措置として部隊を派遣、戦闘前に解放されるも問題視される事案がありました。

 万一の際には責任を持つ、という発言で部隊を守る事は簡単ですが、現場に押し付けていることになります。軍事機構である以上は政治が責任を持つ以上、これを書面で残る命令の形としなければ、文民統制の責務を放棄していることとなります、そして法治国家である以上は超法規措置以外選択肢がない状態を放置する事は妥当ではありません、法整備は政治の派遣命令を出す以上の責任の一つ。

 自衛隊が組織として派遣される以上、受入国は日本国憲法や自衛隊法を熟知せぬ限り、軍事機構として受入れます、軍事機構には専管事項があり、救援要請や難民保護等を当然受け入れられるものとして提出する、実情は忘れてはなりません。自衛隊の能力では駆けつけ警護は可能かとの視点も必要ですが、法整備はこれに応える第一歩といえるでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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護衛艦FRAM近代化改修と艦隊維持【03】護衛艦たかつき型能力向上とミサイル戦時代の到来

2016-11-26 20:50:57 | 先端軍事テクノロジー
■将来戦対応がFRAMの主眼
 しらね型護衛艦、はるな型護衛艦、建造当時の想定以上の長期運用へFRAMか延命改修を受け運用継続した護衛艦は多々ありますが、海上自衛隊におけるFRAMの始まりをみてみましょう。

 たかつき型護衛艦、一番艦たかつき、は1967年に就役した護衛艦で、ヘリコプター搭載護衛艦ひえい、等を建造しました石川島播磨重工業東京第2工場にて建造されました、社名は代わりましたが、ヘリコプター搭載護衛艦ひゅうが、いせ、いずも、かが、海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦建造を一手に担います、世界的に見ても経験豊富な造船所です。

 海上自衛隊最大の任務は有事におけるシーレーン防衛で、対潜戦闘を創隊以来最重要視してきましたが、たかつき型護衛艦はその象徴というもので、対潜兵装は、無人ヘリコプターDASHを搭載しソナーがとらえた遠距離の潜水艦への短魚雷投射能力を持ち、更にアスロック対潜ロケットを装備し水平線近くまでの敵潜水艦攻撃能力も付与という三段構え。

 満載排水量4300t、たかつき型護衛艦は探知能力も高く、AN/SQS-23ソナーは当時最新のアメリカ製低周波ソナーで捜索と解析や攻撃へマルチモードソナー機能を保持するものといい、ジェーン年鑑によれば最大37km以遠の潜水艦を探知する能力を持ち、加えて海水変温層の下に隠れる潜水艦へは、曳航式のAN/SQS-35可変深度ソナーを装備していました。

 しかし、護衛艦の障害は長く、第二次防衛力整備計画の時代には艦対艦ミサイルが護衛艦の標準的な対水上装備となる見通しは無く、当時搭載されていました5インチ単装砲の長大な射程で充分と考えられていた訳です、実際、初期の対艦ミサイル、イスラエル製ガブリエル対艦ミサイル等は哨戒艇へ5インチ砲の火力を装備させるための代替手段でした。

 これがミサイル時代という変革を受け、護衛艦のシーレーン防衛実施海域へもその脅威が及ぶようになり、護衛艦にもミサイルを搭載するとともに、相手が発射するミサイルへの迎撃能力の必要性が高くなったためです。対艦ミサイルの脅威はソ連のカーラ級巡洋艦、クレスタ級巡洋艦等がありましたが、アメリカ海軍との戦闘用という認識であったもよう。

 クリヴァクⅡ型ミサイル駆逐艦の大量建造、海上自衛隊が汎用護衛艦への全般的な対艦ミサイル及びその防御手段を必要とした転換点はこの一例であったといわれています。元々ソ連ミサイル巡洋艦はアメリカ海軍空母機動部隊への対抗が主眼であった為、海上自衛隊との戦闘において虎の子巡洋艦隊を消耗する事は避けるという想定が一転したかたちです。

 ソ連巡洋艦のミサイル攻撃を想定する場合、海上自衛隊も虎の子であるミサイル護衛艦あまつかぜ、を投入する事で防空体制を暫定的に確保する構想でしたが、ミサイル駆逐艦の大量建造と共に、ソ連軍が重視した沿岸部でのミサイル艇の延長運用ではなく、外洋を航行する汎用駆逐艦への対艦ミサイル搭載となれば、護衛艦隊正面に展開する可能性が高い。

 対空レーダーは護衛艦からの運用では見通し線30kmとなり、たかつき型は従来、小型飛行目標であるミサイルへは艦砲防御線8kmの防御能力のみ、ここで、短SAM防御線を18kmとして確保し、内側にCIWS防御線2kmを構築、クリヴァクⅡ型ミサイル駆逐艦の駆逐隊に対し、護衛隊一個で対応できる防空能力を確保する事が望ましい、としてFRAM計画が立てられた訳です。

北大路機関:はるな くらま
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