北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

陸上防衛作戦部隊論(第五四回):航空機動旅団、機動力富む防衛力期す編成と装備の概要

2016-06-29 22:44:56 | 防衛・安全保障
■航空機動旅団の概要
 今回から航空機動旅団について、その試案の概要を提示してゆく事としましょう。限られた戦車と機動運用部隊、防衛計画の大綱の枠内で陸上防衛において外敵の圧力を確実に跳ね返す抑止力の在り方として構想したものです。

 陸上自衛隊は装甲車こそ先進国中普及度合いは最小限ですが、ヘリコプターの空輸能力と航空打撃力に関しては、アメリカに続く世界有数の規模を有しており、この能力を最大限に活かすほかない。航空機動旅団は普通科連隊とヘリコプター隊を基幹とする旅団編制であり、基本戦術単位は普通科連隊戦闘団を編成し一戦区での防衛任務を達成するところにあります。その上で編成案としては、広域師団を編成する装甲機動旅団と航空機動旅団にあって、連隊戦闘団を独立し編成する能力を維持しつつ、ヘリコプター隊による空輸支援を受けることで迅速な作戦展開、戦略展開機能を発揮させることにあります。

 日本本土防衛を具現化する必勝の部隊編制、陸上自衛隊の半分の旅団をこの航空機動旅団とし、残る旅団を装甲旅団とする、空と陸の連携、と。具体的には装甲機動旅団と航空機動旅団が統一した共同行動をとる為、広域師団の作戦範囲、少なくとも防衛正面の400kmから500kmの距離を迅速に機動する能力が求められ、この目的を達成するための軽量装備と航空機動記事を集約する事となる。その上で、編成概略は、3個普通科連隊、機動砲大隊、対舟艇対戦車中隊、偵察隊、特科隊、高射特科大隊、2個ヘリコプター隊、1個施設隊、1個通信電子戦隊、特殊武器防護隊、後方支援隊、以上を基幹部隊とします。

 105mm砲を装備する機動戦闘車の開発により、軽快な機動力を有する部隊へ直接火力支援の目途が立ちました。機動砲大隊は縮小編制で小回りを重視、特科隊は特科中隊を基幹とする編成、ヘリコプター隊は、多用途ヘリコプター中心のヘリコプター隊と、輸送ヘリコプター及び対戦車/戦闘ヘリコプター等全般支援任務に当たるヘリコプターを主体とするヘリコプター隊とした別編成のヘリコプター隊を隷下に置く構想です。その上で、普通科連隊は航空機動という編成は採るものの可能な限りにおいて機械化し装甲車両を配備する、更に普通科連隊は最大限分散し運用できる体制を基本とする。

 航空機動旅団、ですが、ヘリコプターだけですべての部隊が機動するわけではありません、世界には数多くの国が空中機動旅団を有していますが、ヘリコプターに依存した部隊は着陸後歩兵は徒歩歩兵でしかない実情を突き付けられます、故にヘリコプターが陸上部隊の火力と補給を適宜支援し、その分身軽に陸上部隊の速度を大きくする、という手法が成り立つわけです。分散した上で旅団策源地となる空中機動部隊基点から、連隊戦闘団の作戦基盤であり策源地である連隊段列地区を経由し第一線の普通科中隊までの戦闘支援を展開する構想で、言い換えれば段列地区からの空中機動部隊空輸能力の範囲内において第一線部隊を戦闘継続可能となる範囲内、陸路ではなく空路の連絡線での補給により攻撃衝力や防御戦闘能力を維持できる範囲内に抑えるべきです。

 ヘリコプターによる支援、これは単純に小規模な戦闘部隊という意味ではなく段列地区と第一線部隊の接近経路や後方連絡線に従来の陸上戦闘部隊ほど部隊行動の自由度を制限されないとの意味で重要であり、攻撃の機会や戦果拡張の時機と後方支援基盤の制限が重複した場合、これを超越し行動する能力の付与を意味します。勿論、航空機動旅団は既存編成の管理替え、具体的には現在の方面隊隷下に編成される方面航空隊が保有する方面ヘリコプター隊及び対戦車ヘリコプター隊のたようとヘリコプターや対戦車ヘリコプターを管理替えし取得するという前提です。

 こうした装備であるため、多用途ヘリコプターの空輸能力は必ずしも高くはありません、現在装備されている航空機は基本的にUH-1J多用途ヘリコプターであり、このUH-1は陸上自衛隊第一線部隊からは絶対に期待由来の呼称による墜落事故が起きていない航空機として全般の信頼を勝ち得た機体でして、素晴らしい航空機なのですが、富士重工が主体として開発を進めている将来ヘリコプターUH-XもUH-1系統の双発型であるベル412を原型とし防衛省仕様とする方針が明示されている為、その空輸能力は例えばフランス軍など欧州で広く仕様されるEC-225/AS-332系統とくらべ小規模となるでしょう。

 さらに新型のNH-90等の20名規模を空輸する多用途ヘリコプターや、米軍などが多数を運用するUH-60系統には遠く及びません、なによりも車両を搭載するにはオートバイの搭載が限度で、ジープ、つまり小型トラックの空輸もかなり真剣に討議されましたが吊り上げは兎も角その状態で長距離を飛行する事は不可能とされ、人員の強襲輸送の他は弾薬輸送や医薬品に重要器材等の輸送に限定されました。一方で方面航空隊は、定数割れ部隊も多いのですが少なくとも定数は20機、加えて師団飛行隊や旅団飛行隊として更に2~4機が装備されています、この空輸能力は全体として視た場合、必ずしも小さい訳ではありません、特に一機毎の輸送力ではなく、確実な稼働率見込みを考慮すれば、UH-1系統の能力は高いといえるでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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特集【第24回参議院選挙と安全保障】第四回・・・野党反安保法協力は可能か,社民党の防衛政策

2016-06-28 23:33:01 | 北大路機関特別企画
■社民党,集団安保機構国連重視
 集団的自衛権否定の民進党と共産党及び社民党は安全保障問題で意見集約と合意形成できるのか、非常に大きな関心事です。この上で今回は社民党の防衛政策を見てみましょう、今は政党要件で最小ですが、日本社会党を前身として非常に長い歴史を持つ政党です。

 社民党の安全保障政策について、そのHP参院選公約を見ますと、以下の通りのものが列挙されています。平和創造基本法、自国領周辺で侵略者の攻撃を退けることに徹する「専守防衛」、自衛隊員の安全を確保、非軍事のあらゆる手段、核兵器国による消極的安全保証を再確認、名護市の辺野古新基地建設に反対、駐沖縄海兵隊の全面撤退、日米地位協定の全面改正、自衛隊の「オスプレイ」導入にも反対、など、どれも具体的ですが単なる細分案の列挙に過ぎず、具体的な基盤となる防衛戦略がありません。

 社民党の防衛政策は、今回の参院選では政権公約に当たるものが示されていません。一方、社会党時代に幾度も引用した防衛政策が、坂本義和東大教授が助教授時代の1959年に発表した論文“中立日本の防衛構想”に記された国連警察軍の日本駐留、というものでした。自衛隊は違憲であり解体し国連警察軍の駐留を受ける、というもの。その後社会党は防衛政策を実際に担う機会が訪れたのは1994年の村山内閣で、この際に社会党は自衛隊の合憲を宣言していますが、それに合わせた国防政策は、前例踏襲を維持し、村山改造内閣時代には新たにゴラン高原PKOへ自衛隊を派遣しています。すると、改称し誕生した社民党も広義からは自衛隊PKO派遣を内閣の首班として推進した立場となります。

 国連警察軍、これに当たる組織は実現しませんでした。具体的には朝鮮戦争において朝鮮国連軍、として創設されたものがあります。ただ、常設軍を維持するには至っていません、司令部機構だけが維持されています。日本には国連軍指定設備があります。横田基地に朝鮮国連軍後方司令部が置かれていまして、元々キャンプ座間に駐屯していたものが移駐しました。更に、キャンプ座間、横須賀海軍基地、佐世保海軍基地、横田基地、嘉手納基地、普天間基地、沖縄ホワイトビーチ地区、以上の七カ所が国連軍指定設備となっています。

 一国安全保障という理念は国連加盟国としての責務と合致しません、義務を果たさず利益だけを得ようという施策はあたかもEU離脱のイギリスが経済的恩恵だけ得ようとして全欧州からの批判を集める構図と同じです。社民党は2013年の総選挙公約で“軍事同盟依存から多国間の安全保障体制構築へ転換”を呈示していますので、集団的自衛権を容認している事が受け取れます。その上で、国連軍に日本の防衛を充てる、という事は現段階では常設国連軍制度が無く、更に常備軍と共に安全保障理事会のもとに国連憲章47条が規定している軍事参謀委員会も設置されていません。仮に日本が軍事政策を国連に委ねるならば、安保理改革を行う必要が生じまして、また国連憲章には加盟国の協力義務が明記されていますので、経済力に応じた国連軍の派遣要請に対応できる海外派遣用緊急展開軍を日本が編成しなければなりません。

 2013年の公約では“国連中心の外交政策をすすめ、非軍事面の国際協力を推進”としていまして、非軍事面での協力を掲げていますが、推進するだけで限定とは明示していません、現在のところ平和維持任務は国連憲章上、軍事任務と非軍事任務を明確に分けていません、これは軍事と安全保障の日本語における定義と国内法における定義、国連憲章における定義の境界線が不明確となっており、軍事と非軍事を明確に分ける必要性が無かった故ではありますが、自衛隊が派遣する任務であっても非軍事任務である、と決議された場合、展開せざるを得ません。

 その上で結果として戦闘に巻き込まれた場合、集団自決という選択肢はありませんので、必要な措置を取る事となります。このように実は公約などに消極的に明示しない事で社民党の安全保障政策は非常に不透明な要素を有しているわけです。公約では“自衛隊を縮小・改編します”としています、ただ、国連警察軍という国連軍へ一部改編とも受け取れるでしょう。実際、社会党時代の代議士経験者の方に、平和とは長期視野で解決するとの施策は紛争地へスローガン以外の停戦措置を排除し静観した上で戦闘員が文民を巻き込む大規模戦闘の連続により死に絶えるまで介入しない事か、と問うてみますと、違う、と。

 即ち可能な選択肢を選び静観するだけではない、という声がありました。日米地位協定、という単語はよく使われるものですが、これを外国軍地位協定、と用いず日米地位協定と限定しているのは、地位協定が日米地位協定以外の諸国と結ばれている為です。もともと、地位協定は司法制度が異なる国へ外国軍が駐屯する際に結ばれるもので、各国間の国内法を共通化しない限り無くなりません、そして国際人権規約B規約に加入していない日本の司法制度は必ずしも先進国において先進的な地位を占めている訳ではありませんし、沖縄での在日米軍家族への基地ゲート付近での罵声などヘイトスピーチを取り締まれない様子がアメリカでも報じられています。現在日本国内には国連軍駐留を前提としたイギリス、フランス、オーストラリア、ニュージーランド、フィリピン、タイ、韓国、トルコ、以上の諸国との間で国連軍地位協定が締結されています。この法基盤を元に国連軍を配置させる、という方策は不可能では、ないかもしれません。しかし、これは余りに長期的な理論を考えたもので、全軍事力の世界同時放棄の夢のようで、実現は武器の定義を変えるか戦争の定義をかえない限り、相当先まで実現できません、しかし、夢を語るならば可能です、ですが夢は夢であり公約とはなり得ない。

 社会党が引用した時代は自衛隊発足草創期の論文、自衛隊の装備は第二次世界大戦中のアメリカ軍軽歩兵部隊を念頭とした編成でしたので派遣要請をそもそも受ける程経済成長を遂げる事は想定していませんでした。ただ、国連軍という制度そのものは日本において、国連軍在日大使館付駐在武官合同会議も定期的に実施されていまして、社民党が国連重視を掲げるならば、国連軍への協力推進により防衛政策の一端を担う事は出来るかもしれません、ただ、国連は集団安全保障機関ですので必然的に集団的自衛権を名目上否認したとしても実態的には容認している事となり、このあたりで合意形成が難しいでしょう。

 上記の理想論を実現するには非常に大きな時間を要しますが、冒頭の安全保障政策、具体的に可能か、と問われますと細部が公約に明示されていませんので一概にはいえませんが、不可能ではありません。平和創造基本法は名称だけですので安全保障関連法制を名称を変えると共に自衛隊の必要最小限度の規模は既に防衛計画の大綱に明示されていますので着々と整備する事で達成できるでしょう。自衛隊員の安全を確保、装備の充実のほかありません、国土戦を想定する以上、引くべき地積は全て同胞の居住地です、この為には重装備の充実と戦術火力の強化が挙げられるでしょう。

 自国領周辺で侵略者の攻撃を退けることに徹する「専守防衛」、これは冷戦時代の規模まで自衛隊を拡大改編する事により達成できます、自衛隊の規模を縮小しようにも脅威が増大して位ならば逆に拡大しなければ仮称となった防衛力が侵略する外国軍で満たされる事となりかねません。更に国土域外での抑止ではなく着上陸を待って防衛任務を展開すればそれを振り払うだけの必要な防衛力が増大する事は当然で、隣家の蝋燭が倒れた時点ならば窓をけ破り消火器にて消火可能ですが、自宅に燃え移ってから消火を開始すれば本格的な消防車が必要となる、防衛線を縮小する事で防衛力の最低量は増大、ということ。非軍事のあらゆる手段、社民党は非軍事による効果的な抑止力手段について真剣に討議してきませんでしたが、民間軍事会社による対処や電子偵察機による情報収集と海洋法執行機関による海上臨検強化や、準軍隊に定義される法執行機関執行部隊の増強など、選択肢は意外と広いのです。

 核兵器国による消極的安全保証を再確認、これは核抑止力を黙示的に認めた形です。名護市の辺野古新基地建設に反対、これは那覇空港拡張工事に合わせ拡張部分を米軍基地へ転用する事により実現します。駐沖縄海兵隊の全面撤退、これは現在の第3改編師団から、陸軍緊急展開部隊としてハワイの第25軽歩兵師団や本土の第101空中機動師団や第82空挺師団への交代を真剣に要請する事は可能です。日米地位協定の全面改正、これは基本的に同じ内容で国連と結ぶ国連軍地位協定に移管する事で対応は可能です。自衛隊のオスプレイ導入にも反対、総務省等に移管し政府専用機や防災用に用いると共にMV-22以外の空中機動手段を充分な数、MV-22を17機導入する費用でCH-47JAを34機取得可能ですので沖縄と九州と中部方面隊に空中機動部隊を創設する事で代替できるでしょう。

 重要なのは、防衛問題へ真剣に取り組み、調整し且つ現代戦闘を認識し、その上で国家経済維持と国民の人権、平和的生存権だけではなく財産権から幸福追求権までを蔑にしない防衛観を構築できていない、という事です。政治家を選定する選挙ですので、夢想家を選ぶ人気投票大会ではない、この、政治を志す、という命題に取り組まず、具体的政策を調整の上で実現し、段階を踏んで大きな政治目標の具現化を目指すという政治プロセスに向き合えないようでは、政党そのものの意義がなくなるのではないか、非常に危惧するところです。

北大路機関:はるな くらま
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熊本地震災害派遣総括【後篇】:自衛隊と消防・警察・海上保安庁・協力団体・在日米軍の活動

2016-06-27 21:20:42 | 防災・災害派遣
■災害派遣情報最終報
 今回は5月30日、6月6日、記事に続いて熊本地震災害派遣の総括、その最終報を掲載します。

 自衛隊災害派遣と共に政府は被災地へ4月17日から25日までに食糧204万食を供給しており、パンおにぎりパック飯96万食、カップ麺52万食、レトルト食品14万食、ベビーフード1万食、介護食品1万食、缶詰20万食、栄養補助食品12万食、ビスケット9万食、が供給されていまして、加えて、米116t、水24万本、清涼飲料水2万本、粉ミルク2tが供給されました。5月6日までこの支援は継続され59 万食が更に供給されました。

 政府の物資支援は、肌着下着ソックス20万枚、マスク170万枚、ハンドソープ13万個、手指消毒液2万個、ウェットティッシュ16万個、ボディーシート6万個、化粧水シート2万個、ガスコンロ0.2万台、ガスボンベ0.4万本、ビニールシート0.8万枚、土嚢袋1万枚、簡易トイレ20万個、仮設トイレ0.1万個、トイレットペーパー7万ロール、と細部に至り実施、こちらは過去の災害派遣の教訓が戦訓として活かされたといえるでしょう。

 熊本地震は全ての省庁が支援へ展開しました。警察は熊本県警災害警備本部と警察庁災害警備本部が4月14日2131時に世設置され警察災害派遣隊体制としまして熊本県警察では本部長以下最大時2200名が対応にあたりました、警察庁からの応援を受けての最大時 派遣体制は2751名で4月19日に実施され、救出救助捜索活動、航空警察活動、交通警察活動、生活安全、地域警察活動、検視、捜査活動、機動通信活動、にあたっています。なお、熊本県警による災害対応は今後も警備強化などの面で継続される事は云うまでもありません。

 消防機関は最大活動時の人員は熊本県968名、大分県378名が4月16日に出動しました消防団を含めますと熊本県と大分県両県の消防団最大活動時人員9200名に上り、緊急消防援助隊は出動部隊総数20都府県1400隊で、ヘリコプター18機が全国から支援へ展開しました。緊急消防援助隊は京都府、大阪府、兵庫県、鳥取県、島根県、山口県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県の各派遣隊が人命救助等消防活動にあたりました。

 海上保安庁は、第十管区海上保安本部に地震災害対策本部設置、日本航行警報、NAVTEX航行警報発出し航行警戒情報を出すと共に、巡視船巡視艇等のべ373 隻が港湾での支援に当たりました、内訳は三管区11隻、五管区9隻、七管区103 隻、八管区 10 隻、十管区240隻です。更に航空機のべ91機が派遣され、固定翼18 機、回転翼73 機が出動、加えて特殊救難隊のべ18名、機動救難士のべ90名、潜水士のべ22名が災害派遣に当たっています。

 加えて、DMAT合計51チームが熊本に展開し、日本医師会16チーム、日本歯科医師会2チーム、日本看護協会16チーム、日本赤十字社3チーム、DPAT14チーム、が現地での医療支援や巡回医療と避難所での健康管理などに対応、加えて全国からドクターヘリが最大9機、展開しました。医療設備の損傷などにより、目の前の建物に機材があるにもかかわらず使用できない、という状況へ対応したものです。

 今回の熊本地震では、米軍輸送機による輸送支援が4月18日から23日に掛け実施されたことも特筆されるもので、UC-35用心輸送機1機とC-130輸送機が延べ4機、更に海兵隊のMV-22可動翼機が延べ12機輸送支援として参加しまして、輸送実績としまして自衛隊員22名と車両8両、更に生活支援物資36tを輸送しています。MV-22はフィリピンにて訓練中の機体が転進したもので、米軍の緊急展開能力の高さが端的に見る事が出来た、ともいえるのでしょう。

 災害派遣は自治体と自衛隊の通信方式や物資集積の認識と共通化、平時手続きと有事の切替や、医療設備及び自治体庁舎の全壊や通常医療患者という大規模災害では見落とされがちな医療支援が長期の余震活動により急患以上の切迫性を帯びる、また、海上輸送能力への課題や充分というには上限がない航空輸送能力、復旧手続の民間協力企業の平時手続きと有事手続きの東日本大震災以降の非常手続き制度整備の不備、災害という有事における有事法制の不備や手続きの面での課題が残りました。

 教訓としては、自治体庁舎機能の予備施設という視点,非常時における通信確保と情報の意思疎通の問題への認識、避難施設での情報収集基盤の効率化、港湾施設及び道路施設の復旧と暫定復旧の区分の必要性など、挙げる事が出来ます。最後になりましたが、熊本地震は多くの被害と犠牲者が事態となり、その爪痕は今も残ります、熊本地震により被災された皆様へ心よりお見舞い申し上げます。

北大路機関:はるな くらま
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特集【第24回参議院選挙と安全保障】第三回・・・イギリスEU離脱,通貨危機とポピュリズムを越えて

2016-06-26 22:09:46 | 北大路機関特別企画
■ポピュリズム(大衆迎合主義)を越えて
 今回は前回の続編です。イギリスの欧州連合脱退に伴うポンド暴落による通貨危機、多国籍企業撤退等を契機とする世界経済危機、この事案を世界危機へ展開させない為の処方箋を、参院選に臨む各党は日本の選挙民は勿論、我が国の影響力の大きさを考えれば世界にも示さなければなりません。

 EU離脱とは、大変な決断をしてくれた、が、何か助けになることは?とイギリスの友人に聞きますと、大変なことになった、といいつつ、気持でも無理のない範囲内でイギリス製品を、という事でしたので、ジカ熱対策を含め、キニーネの風味を含むというボンベイサファイアのドライジンを購入、綺麗な瓶だ、と何杯もやりつつ、これは呑みなれたゴードンよりも美味しいジンだ、今度は続いてお勧めのタンカレーも買おうとおもいながらm映画マルタ島攻防戦を鑑賞しつつの記事作成です。

 この世界経済危機の回避という部分は、単純な国内景気対策の手法が応用できるものではありませんし、更に無分別に政治家が財務官僚と外務官僚に適切な対応策を求めるだけでは務まりません、様々な選択肢がありますが一つは、イギリスへの影響を短期化する場合は、イギリスという国家そのものの損切りを早めに行ってしまう事でしょう、投資協定や関税協定でEU加盟国に準じるEUと有利な離脱交渉を行おうとして長期化すれば、その期間が長期化するだけ投資が滞り、些末な交渉過程の政治家の文言一つ一つで市場が乱高下します。

 それならば、日本とEUとの関係と同程度かそれ以下の関税障壁や投資手数料を念頭に、一ヶ月二ヶ月の内に損切りを行い、イギリスから離脱する多国籍企業を一旦全て国外に出したうえで、純粋にイギリスの高い人件費に裏打ちされた労働力と英語力を頼りに新規投資を募る選択肢が、短期的には激震ですが長期的には影響を局限化出来るでしょう。これは政治指導者、つまり日英関係を司る与党の代表が政権を運営する際の姿勢が影響されるものといえる。

 これには国際政治と国際経済及び国際金融への調和した世界観を持つ政治家が関与するか否かの違いも大きいのです、これにより危機回避の可能性もやはり大きくなる。日本の役割ですが、実はこのイギリスEU離脱に伴う世界危機の第一線において政治的安定性を有している国の中で最も経済的政治的に安定し、影響力を有しているのは日本であるのです。トランプ氏、イギリスのEU離脱を称賛、とのこと。

 それではポンド下落阻止へアメリカのFRB連邦準備制度理事会介入という施策は、トランプ氏も支持する、ということなのでしょうか。最後の貸し手の役割はイングランド銀行に対して、欧州通貨政策の伝統からドイツブンデスバンクの流れを継ぐ欧州中央銀行の役割が大きかったのですが、文化的やナショナリスティックな視点だけでEU離脱を見るのではなく、経済的影響がアメリカへ波及し、結果的に世界恐慌へ繋がる実情をどこまで理解しているかということ、こうしたポピュリズムに依拠した政治家とも対話できる外交力が日本の為政者には求められます、もちろん、ポピュリストとして揚げ足を取るような主張を行う政党には務まりません。

 こうしたうえで、トランプ氏もイギリスEU離脱と並ぶリスクとなりつつあります。そして、フランスのオランド大統領とドイツのメルケル首相は、影響力こそ大きいですが、イギリスが離脱する事での影響、EU瓦解を回避するという危機への対処が第一となりますので世界経済危機への対応策は後手となりますし、欧州理事会再編、イギリスが抜ける事で、この衝撃を世界に波及しないよう収集する陣営ではなく、受ける衝撃の当事国となってしまいました。

 イギリスのキャメロン首相はEU残留を果たせなかった責任を取り辞意を表明、その後継にはEU離脱派の中心人物である、同じ保守党のボリスジョンソン前ロンドン市長が有力視されていますが、EU離脱、その後は事前にソフトランディングできる、という方策以外を示してきませんでしたので、当面はEU離脱後の混乱の責任を求める短命政権となる可能性、もしくはEUと穏健に交渉できる為政者を求める声によりイギリスの政治が不安定化する可能性も否定できず、当事国の政治混乱を背景に世界危機回避を担う為政者が必要、となる。

 そして、アメリカの新政権、クリントン政権かトランプ政権となるかは未定ですが、こちらと英米関係の進展も真剣に調整できる外交手段を持つ与党が求められるでしょう。もっとも、アメリカでは保護貿易主義を掲げるトランプ氏のような大統領選の発言がありますので、イギリスとアメリカの関係が今後どのように発展するのかが不透明でもあります。さて、このなかでオバマ大統領は、ドイツのメルケル首相との間で電話会談を行った事を明かしまして、ドイツは欧州連合における金融面での主導権を有する国であり、イギリス脱退を秩序だった移行となるよう、譲歩を促す要請を示したことが考えられるでしょう。

 参議院選挙の争点としては世界経済危機への解決はあまりに大きすぎる命題ですが、少なくとも一貫した外交政策と国際禁輸政策への世界観を持ち、朝令暮改とするような政権では担えるものではありません。すると、単純には自民党公明党連立政権であれば、リーマンショックやアジア通貨危機等過去の経済危機にも対応し影響を局限化した実績があります、ただ、民進党共産党社会民主党については、アメリカとイギリス欧州連合離脱に伴い生じる世界危機、そしてこの影響が欧州の団結と対ロシア関係、更に世界経済危機の段階をどのように見極め、外交防衛分野への波及も含め影響を局限化できるか、という視点から連携する対英対米対欧政策について、調整し、示す事ならば今からでも可能です。

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特集【第24回参議院選挙と安全保障】第二回・・・イギリスEU離脱,通貨危機勃発と危機対処

2016-06-25 21:22:00 | 北大路機関特別企画
■参院選で求められる危機管理
 第24回参議院選挙と安全保障、この命題にイギリスの欧州連合脱退を受けて突発したポンド危機と欧州経済危機、欧州の団結維持と世界経済危機の回避という課題が急浮上しました、この問題は単に為政者が完了に丸投げするのではなく、解決策の展望を具体的に示し、各国首脳とも共有示できなければなりません。

 日米安全保障の視点から検証する予定でしたが、イギリスのEU離脱を受け急遽差し替えました。参議院選挙では、日本国憲法施政下の日本では内閣の首班は衆議院での最大与党から選出されますので、政権交代に繋がる事はありませんが、衆議院選挙へ重大な影響を与えるものです。ここで、参院選では今回のイギリスEU離脱に伴う世界危機への対処が可能な施策を示す能力を持つ政党に躍進が求められるでしょう。ポンド暴落、日本政府が対策の主導権の一端を担います。イングランド銀行支援へFRB連邦準備制度理事会と日本銀行が介入の姿勢を示したことで、下げ幅が縮小しました。

 この施策は政府が主導したものですが、他方、イングランド銀行との歴史的関係がその草創期から非常に長い欧州中央銀行の去就がどのように示されるかにより、ポンド危機の鎮静化の道筋が示される事となります。一方で、ドル、ユーロ、円、に並ぶ為替媒介通貨であるポンドの下落影響がどのように進むかにより、EUの次の段階、ユーロを共有する各国のEUとの関係にも影響する問題といえるでしょう。経済力の大きな中国の人民元ですが、変動相場制を導入していない為、為替媒介通貨としての機能を持ちません、すると、世界主要通貨ではドルとユーロに円がポンド危機対処へ重責を担い、此処で誤れば世界通貨危機へと展開しなけません。

 今回の参院選では国際金融の安定化を争点とした政党はありませんが、民主党政権時代の様に注視のみ続ける選択肢では通貨危機を放置するばかりか助長しかねません。実際問題、民主党政権時代に生じた幾つかの世界的事象は、適切に日本政府が関与する、若しくは対応策を壴解すれば回避できるものでした、この中で、今回の事象についても主導的な役割を欠けば危機を助長する事になります、欧州中央銀行と日銀の協力関係を政治主導で強化し、ポンド危機に立ち向かう事が必要です。この点でイギリスのポンド暴落に対し欧州中央銀行の反応が鈍い実情が、イギリスのEU離脱に対する制裁的な意味合いを有しているのか。

 欧州中央銀行の行動は一方でギリシャ支援への資金拠出により資金が枯渇しているのか、という不透明さが指摘されていましたが、ギリシャと共に経済不安が指摘されるイタリアへ総額3990億ユーロのうち4分の1以上の供給されていた、とのこと。ただし、欧州中央銀行はこのほか、国家債務不履行の懸念が続くスペイン支援等を求められており、長期的に視た場合では資金枯渇の懸念は否定できません、最後の貸し手、として安定化へ責任を持つ体制が日本政治に求められるでしょう。

 世界経済危機の回避への主導を日本政府がどのように考えるのか。伊勢志摩サミットにおいて警鐘を鳴らした危惧が、ポンド危機により現実となりましたが、危機の拡大回避という従来の経済危機の対処手法は機能しません、何故ならば、ポンド危機はイギリスEI離脱による経済混乱の最初の序章であり、今後イギリスがEUを離脱し、EUとイギリスの新関係締結が画定されるまで続くのです。故に世界の投資家の間ではリーマンショックとは違う懸念が、と。

 日本外交には静観ではなく関与が求められる。単純に考えた場合で専門分析を受けずともイギリスへの新たな投資は当面不透明過ぎてハイリスクとなる、これが影響の長期化を生む要素となるかもしれません、イギリスに新しい投資を行おうにもその産業がEU域内へ輸出を念頭とするならば、EU離脱と共に関税障壁により阻まれる事となりますので、それならば東欧のポーランドや中欧のハンガリーへ投資した方が良い、となります、イギリス国内向けの輸出、と言いましても今後は深刻な景気後退となりますので、販路を確保できるとは限りません 。

 アメリカの大統領選による外交戦略の変動を視野に、欧州とイギリスの関係を再構築する、トライラテラル外交関係、こちらも日本外交に求められるものとなります。オバマ大統領はイギリスのEU離脱を秩序だった対応の上で進める事を望む、としました、アメリカの反応ですが為替介入や市場の激変というもの以上に英米は安全保障上の関係がNATOとイギリス以上に大きく、これによりイギリスが弱体化する事を避けなければなりません。

 一方でEU脱退について、アメリカがこれまで進めてきました自由貿易の実現という視点からは多少、受け入れる要素があります、関税障壁の撤廃と公正な競争を掲げている為です。ただ、短期的な影響が大きすぎ、これは原則論を単純に掲げただけに過ぎません、しかし日本が放置すれば、EUは介入の距離感を此れから欧州理事会で画定する混乱段階、アメリカは今後大統領選挙により方向性が右往左往、この部分から日本は確たる国際経済の視点から対応が求められることとなります。 これは、単純に話し合いで解決を、と一言で済むような単純なもの代ではなく、各国の指導者と調整し、且つ我が国の精度に適合させたうえで具体的な施策を採る必要があり、この為には政党党首の価値観と世界観、そしてこれらを共有させる調整力が大きく反映されるものです。

北大路機関:はるな くらま
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イギリス“EU脱退”を国民投票で画定!ヨーロッパのいちばん長い日と世界危機回避の協調

2016-06-24 23:30:04 | 北大路機関特別企画
■ヨーロッパのいちばん長い日
 本日、欧州連合EUからのイギリスの脱退がイギリスにおける国民投票の結果画定しました。

 マーストリヒト条約により成立した欧州での価値観の共同体と呼ばれた欧州連合は、初めての脱退国をその加盟国から出す事となりました。欧州連合は従来の経済統合を第二次世界大戦後に鉱業資源の共有化から端緒につき、その後経済統合を期した自由貿易協定や国境移動の自由と共に、制度面や人権と社会保障や財政政策、資源保護等の面での深化を続けてきました。そこからイギリスは脱退します。

 イギリスの欧州連合EUからの脱退討議は、イギリスへの東欧EU加盟国からの安い労働人口の流入が続き、イギリス国内の雇用へ影響しているとの批判、社会保障を伝統的に重視したイギリスは過度なグローバル化に際しては社会保障に限界のある諸国からの流入が続き、労働人口流入を社会保障の負担と見出す視点から、国境移動の自由をEUがシェンゲン協定により認めている実情から、脱退を求める声が続いてきました。

 脱退はイギリス経済にとり致命的である、という残留派の主張に対し、離脱派は離脱する事により経済政策や対外政策においてイギリスは主導的な選択を採る事により更なるイギリスの発展を実現できる、として反論、イギリス国民は後者の自決する権利を維持し、独力で欧州の外に出る事となりました。この国民投票は2013年にイギリス国内からの要請に応え実施が決定していましたが、結果を受け残留を主張していたイギリスのキャメロン首相は辞任の意向を示しています。

 今後のEUからの脱退ですが、イギリス政府はEU欧州理事会との間で離脱交渉を二年間の期限で実施します。EUから脱退の後、EUとの金融関係や関税協定、人的移動と財産保護、国境移動自由と欧州公務員制度、情報共有制度や共通安全保障制度との今後の関係、これらをどのように取り扱うか、欧州連合は今後の離脱国を抑制する観点からイギリスに対して、事実上の第三国扱いとして、これまでの関係をゼロベースから脱構築する厳しい交渉が待っています。

 影響は早速生じました、証券取引市場では東京市場では一挙に日経平均株価が1000円以上暴落する事となり、欧州では軒並み株価が10%から16%が下落、為替相場ではボンドが歴史的大暴落を遂げ一挙に1985年の水準まで減退してしまいました。日本円など安全資産へ流動資金が集中し1ドル99円まで円高が進むことで、イギリスEU脱退決議は僅か三時間でリーマンショックを越える経済恐慌の様相を呈しました。

 世界経済危機へ展開するのか。イギリス経済には非常に大きな危機が迫っています、イギリスは金融業を中心とした経済構造に移行した事で、重工業が大きく減退し、2007年にはイギリス最後の自動車産業が海外企業へ買収、イギリスでは最後の製鉄所もEU離脱機運の高まりと共にインドの親会社から閉鎖の決定を下されました。イギリスにおける重工業や先端工業はイギリスへ出資している多国籍企業の施設であるため、イギリス内需以外では関税障壁の無いEU域内への輸出を基本とした工場の多くは、基本的に人件費の安い中東欧諸国へ移動する事となるでしょう。

 イギリス経済は、金融業が破綻する懸念が高くなっています。イギリスはEU加盟国でありながら欧州共通通貨ユーロの導入をブレア政権時代に却下し、EU域内では資金の移動が自由である中でユーロに加入していないことで欧州中央銀行の取引規制を受けない為、金融取引手数料等を欧州のユーロ加入諸国よりも低く設定することで、欧州全域の金融取引を一手に引き受ける事が出来、薄利多売の構図にて金融業が基幹産業へと育ちましたが、今後はロンドンでの取引にはEU離脱後、EU域内からの資金移動に制限が加わる事となり、ロンドンに代わりドイツのフランクフルトが欧州の金融中心となります。

 BAE等イギリスの多国籍企業は、本社機能のみをイギリスに置き、生産拠点をEU域内へ移動する事でしか生き残る事は出来ません。暫定的に、国有企業化し保護するという選択肢もありますが、現在のイギリス与党である保守党は伝統的に産業自由化路線を示しているほか、労働党も1990年代に基幹産業国有化路線を党綱領から削除しているため、こうした選択肢を採る事は出来ず、その前途は明るくはありません。イギリス政府は今後、イギリス国内へ進出する多国籍企業、日系企業では日産や日立、東芝や小松製作所、松下電業、ソニーなど1000事業所を展開していますが、慰留を求められるものの、輸出できる見通しやポンド下落の影響が部品調達に及べば、維持できず、仮に工場を残した場合でも生産量へ栄養を避ける事は出来ません。

 離脱の最大の焦点、東欧移民はEUからの離脱により移動が制限される事となります。ただ、イギリス国内の人件費は高く、実際、東欧からの労働移民がイギリスの雇用を奪っているとの批判が集まる背景には、ハンガリーやポーランドからの労働移民がイギリス人最低賃金の四割程度の賃金で雇用されている為に過ぎません、この為、単純労働を中心にイギリスでは今後人件費が二倍以上に急騰する事を意味します。ただ、今後イギリス国内において人件費高騰に伴う物価上昇、インフレの長期化を避けるべきとの要求が高まれば、パキスタンやバングラディシュ、ナイジェリアやケニアなど英連邦からの出稼ぎ労働者がその需要を担う事となり、衝撃を緩和する事が出来るでしょう。

 安全保障面への影響ですが、北大西洋条約機構加盟国であるイギリスの地位は不変ですので短期的には生じません。しかし、長期的にはロシアとの関係においてEU全体の団結が試される事となります、特に東欧加盟国の経済的発展と欧州連合の関係は深く、EU加盟までは軽工業と無農薬野菜のみを輸出の軸においていた中東欧諸国は、今や人的供給の拠点と工業近代化を同時に実現しています。しかし、人的移動と大きな就労先であるイギリスの脱退は東欧諸国へ影響を及ぶことは否定できず、この地域での景気後退が及べば、防衛力近代化へ影響が及ぶことは容易に想像できます。

 安全保障面では付け加えて欧州の団結瓦解の端緒となる危惧があります欧州連合は、欧州経済共同体の時代からその加入へ厳しい制限がありました、具体的にはドイツとスペインの物価の統合さえも欧州連合条約採択の際には問題となりましたほどです。しかし、欧州連合の中欧諸国や東欧諸国加入を進める動きによりこの障壁は緩和され、更にEUへ他の加盟国がイギリスと同じように懐疑的な視線を突き付ける背景には、かつて欧州の壁、として欧州域内へ非加盟国国民が入る際の壁が非常に厳しく非難されていましたが、この壁を下げた事で、イギリスのEU域内移民ではなく、中東アフリカ難民が地中海沿岸のEU加盟国や北欧EU加盟国の一部から離脱の機運を高める事となりました。

 EU共通安全保障政策として安全保障面での協力関係や欧州常設軍等の構想は実現せず、安全保障面において特に防衛政策では北大西洋条約機構が大きな役割を担っている事実とは変わりありませんが、EU本部とNATO本部が同じブリュッセルに置かれているように人的交流や政策交流の幅が広いことも事実です。故に、欧州全体の団結、というものが今後危機に曝される事も否定できず、これを防ぐためにも、欧州連合とイギリスの脱退交渉では非常に厳しい、次の脱退国を生まない為の措置が含まれ、大きな摩擦となる事も否定できません。

 しかし、イギリスは英連邦の盟主としての地位がありますので、必ずしもこの危機を乗り切れないとも言い切れません。英連邦は、互恵的なものですが連邦市民権を認めており、法制度整備の協力や文化協力、英語の共通化等で協力関係を持っています。加盟国は個別に様々な経済統合や経済統合へ参加している為、これがイギリスの経済活動へ及ぼす影響は限定的ですが、少なくともアイディンティティを維持する事は、景気後退と貧窮が一定期間続いたとしても、精神的に乗り切る基盤となるかもしれません。

 英連邦はイギリスを盟主に欧州ではキプロスとマルタ、北米ではカナダとジャマイカやグレナダにドミニカ、セントルシア、バハマ、ベリーズ、トリニダートトバコ、バルバドス、セントビンセントグレナディーン、セントクリストファーネイビス、アンティグアバーブーダ、南米のガイアナ、太平洋ではオーストラリア、ニュージーランド、フィジー、パプアニューギニア、バヌアツ、トンガ、ナウル、キリバス、サモア、ツバル、ソロモン諸島、アジアではインド、シンガポール、パキスタン、マレーシア、スリランカ、バングラディッシュ、モルディブ、ブルネイ、アフリカではナイジェリア、ケニア、ウガンダ、カメルーン、ガーナ、シエラレオネ、ザンビア、ナミビア、ボツワナ、タンザニア、モーリシャス、モザンビーク、レソト、南アフリカ、と加盟国は多い。

 どのように表現しようと前途多難です。月曜日までにポンド暴落への世界主要国、G7の協調介入態勢を取らなければ、世界恐慌へ発展する可能性が否定できません。しかし、限られた報道でも、我が国をはじめ、世界はイギリス危機というべき今回のEU離脱による経済的影響をソフトランディングさせ影響を局限化する協力を開始しており、今後の展開を見守る事としましょう。

北大路機関:はるな くらま
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平成二十八年度六月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2016.06.25/26)

2016-06-23 22:29:48 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 梅雨の最後に猛烈な大雨、豪雨に深夜たたき起こされると共に土砂災害と浸水被害の広範化、山陽本線脱線報道等が伝えられる中、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 イギリスの欧州連合EUからの離脱の是非を問う国民投票が日本時間の本日1500時から開始されました。仮に離脱となれば、イギリスからのEUへの輸出を前提に建設されている多国籍企業の製造拠点が本国からの輸出か東欧への移転となる可能性が高く、明日日本時間昼ごろには国民投票の結果が示されるとみられ、世界はその行方を見守っています、このため自衛隊関連行事の紹介も一日前倒しし掲載する事としました。

 北千歳駐屯地祭、今週末最大の行事はこの行事です。野戦砲兵部隊としては世界最大規模の部隊である第1特科団が駐屯しています。第1特科群、第4特科群、第1地対艦ミサイル連隊、第2地対艦ミサイル連隊、第3地対艦ミサイル連隊、などを本部の置かれる北千歳駐屯地、上富良野駐屯地、美唄駐屯地、美幌駐屯地、真駒内駐屯地に配置、大陸からの巨大な軍事圧力へ備えています。また、第7師団隷下の第71戦車連隊も置かれ、90式戦車5個中隊が式典を盛り上げる。

 倶知安駐屯地祭、ニセコを望む北海道の駐屯地ですが、自衛隊最精鋭の要員を練成する冬季戦技教育隊の拠点であると共に、北部方面対舟艇対戦車隊や第1陸曹教育隊上級陸曹教育中隊に第13施設隊第361施設中隊が駐屯しています。北部方面対舟艇対戦車隊は長射程の96式多目的誘導弾システムを装備する部隊で、様々な装備品が並ぶことでしょう。

 留萌駐屯地、第26普通科連隊が駐屯しています陸上自衛隊の駐屯地です、路線廃止区間が報じられますJR北海道留萌本線留萌駅の最寄駐屯地、と言いますとお気づきの方もいらっしゃるでしょうか。第26普通科連隊は第2師団隷下の普通科連隊で、師団普通科連隊の重厚な編成を有していますが、一部中隊を師団再編に伴う分散配置に充てている連隊です。

 島松駐屯地、北海道補給処本処が置かれる北海道兵站支援の拠点であると共に北部方面後方支援隊本部及び第101全般支援大隊が駐屯、更に第1高射特科群隷下の第303高射中隊と第304高射中隊のホークミサイル部隊、などが駐屯しています。ただ、多種多様な部隊が駐屯していますが補給処の行事という事で、札幌市内から程近く、装備品展示中心のゆったりとした行事とのこと。

 さて、自衛隊行事へ何を期待するかは様々な課題となるものですが、自衛隊行事だけ、という事で遠出すると数年後に写真を見返したところでどうしても物足りない印象を受けてしまうと事があります、それこそ人によりけりだ、という事もあるのでしょうが遠出するという事は一種旅行ですので、単純に目的地と自宅の往復に終わるというだけは避けたいところ。

 観光を、それも限られた時間で、となりますと移動できる時間は限られているのですが、頼りにしたいのは観光地図や自衛隊部隊HPではなく曹友会や協力団体のHPです、隊員家族向けの情報で、駐屯地はこんな場所、という事であまり有名ではなくとも駐屯地に足を運んでこその観光地などが記されています、そして何よりも駐屯地から距離が近い。

 富士地区では、富士山の火山活動で生まれました駒門風穴や浅間神社等、有名ではあるがその知名度は全国規模ではないという場所、戦車の今津駐屯地では今津港、ミサイルの美唄駐屯地では炭鉱跡地、道北防衛の要衝旭川駐屯地では護国神社等、観光地以外でも少しでも高い場所からの俯瞰風景は遠くに来た、と数年後に続く満足を得る事が出来ます。それでは今週末の行事をお楽しみに。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭
・6月26日:留萌駐屯地創設63周年記念行事…http://www.mod.go.jp/gsdf/nae/2d/unit/butai/rumoi/rumoi_top.html
・6月25日:倶知安駐屯地創設61周年記念行事…http://www.mod.go.jp/gsdf/nae/11d/jgsdf-post/images/kucyan/
・6月25日:島松駐屯地創設64周年記念行事…http://www.mod.go.jp/gsdf/nae/nadep/dep.html
・6月25日:第1特科団創設64周年北千歳駐屯地祭…http://www.mod.go.jp/gsdf/nae/1ab/

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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特集【第24回参議院選挙と安全保障】第一回・・・公示日の北朝鮮弾道弾実験と集団的自衛権

2016-06-22 22:43:29 | 北大路機関特別企画
■第24回参議院選挙公示日
 本日、第24回参議院選挙が公示となりました、18日間の選挙戦の始まりです。そこで今回から、第24回参議院選挙と安全保障、としまして様々な視点から考えてみる事としましょう。

 第24回参議院選挙が公示となりましたその当日の早朝0600時頃、北朝鮮が新型弾道ミサイルムスダンの日本海に向けての発射実験を実施、この実験は失敗したとみられますが0900時頃に第二発目の発射、こちらは高度1000kmに到達した後に400km先の日本海海上に落下しました。今回のミサイル実験では北朝鮮は実験に伴う危険海域の宣言を行っていなかったため、高高度からの弾頭部分再突入体試験を行った可能性があり、この視点からは実験が成功している可能性がある。

 今回の参院選の争点の一つは、野党が民主党母体の民進党と共産党が合同して、安全保障協力法制への反対が明確に示されています。ここで新型弾道ミサイルムスダンの発射実験は非常に重要な意味を持つものでして、第24回参議院選挙公示日に重なったこの実験は、弾頭部分再突入体試験を行った可能性を併せ、重要な意味を持つといえるかもしれません。それは、再突入体は弾頭部分の形状を防護するものに当たりますが、これは非常に重要な意味を持つといえるでしょう。

 安全保障協力法制と今回の北朝鮮弾道ミサイル実験ですが、日米の集団的自衛権強化の路線は、特に大きな部分としまして、弾道ミサイル防衛という部分での集団的自衛権行使の必要性と密接に関係している訳です。アメリカのレーダー情報に基づき日本が迎撃ミサイルを発射する、アメリカは東西冷戦時代から宇宙空間にDSP衛星、一定以上の高度へ上昇する弾道ミサイル等飛翔体を検知するシステムが構築されています、ここと日本は連接している。

 DSP衛星情報、仮にアメリカが核攻撃を受ける場合、どの国が発射したかを即座に把握し反撃できる態勢を構築してきましたので、この技術は非常に先進的であり、我が国のミサイル防衛もこのシステムとの連携を念頭に整備されてきました。防衛省による分析の進展が求められるものですが、再突入体は長射程化し速度が増大する事を受け弾頭部分を保護する上で必要な技術であるとともに、日本の安全保障上、非常に懸念すべき命題に繋がる危険な技術を孕んでいる、といえます。

 弾頭部分を保護、HE弾頭のような従来弾頭ではなく変形から防護しなければならない物体、つまり、核弾頭の運搬手段としての実験の側面が高い訳です。再突入体実験は、ムスダン弾道ミサイル以外にも流用可能な技術であり、例えば北朝鮮が射程から対日戦用に位置付けているノドンミサイルを用いた日本本土への核攻撃へも応用できるものであり、安易にこれまでの弾道ミサイル実験と同列に観る事は出来ません。

 日本は冷戦時代、核攻撃という脅威を正面から受け止めてきませんでした。核シェルターを、スウェーデンやフィンランド、スイスなどの永世中立国のように整備してきたならば、核攻撃を含む恫喝に対してもある程度、国家主権を維持しつつ毅然と核恫喝を撥ねつけ、その上で国民の安全を守る事も出来たでしょう、また、核シェルターが十分整備されていたならば、大規模地震や原発事故に対しても国民を防護できたはずですが、整備されませんでした。

 北朝鮮の核恫喝に対しては選択肢は三つ考えられます。第一に現在の自公連立政権が進めている集団的自衛権強化を更に進め日米の弾道ミサイル防衛を強化し核攻撃を跳ね返すというもの。第二に日米集団的自衛権行使を一歩引き、F-2支援戦闘機の増勢やF/A-18E戦闘攻撃機等対地攻撃能力の高い戦闘機や新たにトマホーク巡航ミサイル等を整備し、核攻撃以前に核ミサイルそのものを無力化するという選択肢もあります。

 第三の選択肢としまして、今更ですが全国民が退避可能な一億総核シェルター退避体制を宣言し公共核シェルターを全国に整備する、というもの。第一の選択肢は自公連立政権が進めています、第二の選択肢として航空打撃力を強化しミサイルを撃破、第三の選択肢として一億総核シェルター退避体制の構築、野党連合は民進党、共産党、社民党、共にこの二つを選ぶものではなく、無為無策を代案としています。

 つまり、核攻撃に対しては一緒に死のう、と突き付けているようなもので、視点としては核攻撃の脅威が現実化しても原爆の火球で蒸発する直前まで何も考えず幸せに過ごすという選択肢は哲学的には成り立つものでしょうが、為政者はこの危険を放置しては務まりません。民進党と共産党は、この視点を抜きに、集団的自衛権行使は憲法違反であるとして、平和主義以外の憲法上の権利、生存権や財産権の視点から、今回の命題に向き合おうとしません。

 もちろん、集団的自衛権行使の視点、安全保障協力法制の全文からは、自衛隊による在外邦人救出を、これまで海外で有事に巻き込まれた場合には邦人は自分で運命を切り拓くほかなかった状況を異常であったと素直に認め、自衛隊が救出できる体制を構築しましたし、国際協力活動では世界中の紛争地の安定化に国連が主体となって進める行動に対し、万一を考えてこなかったこれまでの施策の限界を認め、法整備しました。超法規の可能性を排除したものなのですが、云い方によっては海外で戦争をできる国として、つまり海外でも自国民を守れる国という形に変容している事は否定しません。

 ただ、これが立憲主義の観点から否定されるかは議論の余地があり、日本国憲法は国家に平和主義を求めると同時に国民に平和的生存権を認めています、平和主義は軍事的に国家が何もしない要求ですが、平和的生存権は国が国民を戦争の脅威から守るための行動を求めているもので、共に日本国憲法第九条から求められるものです、日本国憲法第九条において平和主義と平和的生存権が矛盾してしまった故の一つの回答としての安全保障協力法制ですので、安易に与党を憲法違反と批判する野党にも憲法違反を進める施策を提示させている、といえるでしょう。

 民主主義の正統性と正当性は選挙が重要な位置を占めるわけですが、その第24回参議院選挙公示日に弾道ミサイルによる恫喝と云わざるを得ない状況、民主選挙をミサイルで恫喝したのはあたかも中国による台湾総統選挙への恫喝、1995年7月21日から1996年3月23日までの台湾海峡ミサイル危機を思い出させるものですが、為政者を目指す政治家は、問題を無視しいざ有事の際には想定外として責任を選挙民の危険に突き返す無策ではなく、国民の平和的生存権を守る施策を、公約として求めたいものですね。

北大路機関:はるな くらま
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北朝鮮がムスダン弾道ミサイル発射の兆候、自衛隊へ破壊措置命令発令!ミサイル迎撃部隊展開

2016-06-21 23:45:25 | 防衛・安全保障
■明日にも発射可能性,厳重警戒
 政府は北朝鮮が日本海沿岸に新型弾道ミサイル地上発射装置を展開させているとの情報を受け、自衛隊へ破壊措置命令を発令しました。

 これを受け、自衛隊は航空自衛隊及び海上自衛隊が中心となり、万一我が国へのミサイル落下となった場合に備え迎撃準備に当たっています。今回のミサイルに関する情報は、米韓により確認されているもので、潜水艦発射弾道弾ムスダンの移動発射装置が日本海沿岸に配備されているものとみられます。ムスダンは5月30日にも発射兆候があり、迎撃態勢を固めたところ実際に31日に発射され、日本海へ落下しています。過去の事例から明日にも発射の可能性が高く、厳重な警戒が必要です。

 破壊措置命令は、北朝鮮が日本本土上空を飛行させるミサイル弾道を選択した場合で、ミサイル本体、若しくは切り離した燃料タンク部分が日本国内へ落下する場合、迎撃ミサイルを発射し空中で爆破、ミサイルの推進剤として用いられる有毒物質や、ミサイルの弾頭部分を高高度で爆破し地上への被害を防ぐものです。即ち、破壊措置命令が発動する瞬間は日本国土へ落下している場合であり、迎撃を実施しなければ地上へ甚大な被害が生じる事を意味するものです。

 万一ミサイルが人口密集地へ落下する弾道を飛翔した場合、全国瞬時警報システムJアラートにより全国へ警戒警報が発令されます。自衛隊の迎撃準備としまして、航空自衛隊と海上自衛隊が展開中です。航空自衛隊はレーダーサイトでの弾道ミサイル飛来を警戒すると共に、全国の航空自衛隊高射群が射程15km、終末段階の弾道ミサイルを空中で無力化するペトリオットミサイルPAC-3を射撃準備態勢に移行しました。

 ペトリオットミサイル部隊は更に、東京都心部への落下に備え、防衛省本省が置かれる新宿区の市ヶ谷基地へペトリオットミサイル部隊を展開、海上自衛隊は射程1300kmの中間段階迎撃ミサイルスタンダードSM-3を搭載したイージス艦を海上へ展開させ、イージスシステムの高度な監視能力と併せ警戒に当たっているとのこと。

 また、弾道ミサイル防衛については、航空自衛隊横田基地の航空総隊司令部に日米のミサイル迎撃への調整所が配置され、同じ横田基地に展開する第五空軍司令部と緊密な情報調整を実施、在日米軍は終末高高度防衛ミサイルTHAADのAN/TPY-2レーダーを青森県の車力分屯基地と京都府の経ヶ岬分屯基地に展開中であり、ミサイル情報等で協力体制が強化されている事でしょう。

 北朝鮮は1998年に東北地方上空を通過した弾道ミサイル実験により国際的批判を集め、2006年の核実験及び弾道ミサイル実験を受け、国連安全保障理事会決議1695号が採択、全ての核開発及びミサイル関連技術開発の停止が決議に盛り込まれました、国連安保理決議には国際法としての法的強制力があります、こうした制裁が加えられている中でのミサイル開発と核開発を継続している実情は以上というほかありません。

ムスダン弾道ミサイルの実験を繰り返し実施し、全て失敗しています。これはソ連製潜水艦発射弾道ミサイルR-27/SS-N-6をコピーした新型ミサイルであり、既に完成している地上発射弾道ミサイルのノドンやテポドンと異なり、潜水艦からの発射能力を整備する事が目的と考えられ、潜水艦発射弾道ミサイルと、現在建造中であることが衛星写真などから解析されている弾道ミサイル潜水艦と併せ、アメリカ本土や太平洋地域における米軍基地への核攻撃を想定している事が分析できるでしょう。

 日本海沿岸へミサイルが漂着しています、鳥取県湯梨浜町園の泊漁港海岸で発見されたものは北朝鮮の弾道ミサイル部品であると報じられました。このように北朝鮮のミサイル実験の連続は一つの社会不安を醸成しつつあります。また、ミサイル実験の徴候が出るたびに迎撃態勢を執っていますが、この負担も非常に大きく、北朝鮮にはミサイル開発の中止と核開発の破棄が強く求められます。逆にこの二つを履行し、世界との関係を再構築してこそ、北朝鮮にはその労働力と勤勉な国民を活かした新しい発展の端緒に就けるのかもしれません。

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沖縄“県民集会”で海兵隊撤退を求める声、在沖海兵隊なき日本防衛戦略を模索する必要性

2016-06-20 23:11:37 | 国際・政治
■独力防衛、検討の余地は必要
 沖縄県知事主宰の沖縄米軍属事件追悼行事においてアメリカ海兵隊の沖縄からの撤退を求める声が大きく主張、ロイター通信やAFP通信など海外メディアも報じる事となりました。

 アジア太平洋地域の一員である日本は、アジア太平洋地域での平和と安定が維持されなければ国家を維持できず、基本的に平和憲法に基づき周辺国での事態に対し介入できない日本では、独力での、つまり沖縄県を基点として西太平洋地域への平和維持へ大きな役割を担うアメリカ海兵隊を撤退させたうえでの安全保障政策は有り得ない、という前提ではありますが、このアメリカ海兵隊撤退を望む声が広範に広がることがあるならば、その可能性を肯定的に考える選択肢は絶無とすべきではありません。そこで、野党が仮に安全保障面で呈示出来得る施策から、日本独自の防衛力を、という提案を列挙してゆきましょう。軍属の犯罪で海兵隊の撤退要求、という視点は一つ、置いておいて。

 昨日、独力防衛力の整備のむずかしさを強調したばかりで恐縮ですが。そこで、嘉手納基地の米空軍第18航空団の航空戦力を維持した上で、第七艦隊との連携も視野に、自衛隊の能力により、在沖海兵隊なき日本防衛戦略を模索する必要性という視点から考えてみる事としましょう。単純な話ですが、安全保障協力法制や有事法制は冷戦時代に制定しておらず、当時の防衛庁は有事の際に衆参両院に一括し法案を提出し、即座に有事法制を発動するという非常に綱渡りの施策を考慮しつつ、ソ連軍の圧力を目の前に専守防衛を維持していました。

 冷戦時代の防衛力は戦車1000両、火砲1000門、13個師団2個混成団18万名、護衛艦60隻、潜水艦16隻、戦闘機350機、という防衛力を整備していました。潜水艦は冷戦時代よりも6隻増強されていますが、その他の装備は縮小されており、戦車700両、火砲700門、4個師団、人員3万5000名、護衛艦12隻、戦闘機70機、を造成すればその水準に戻す事が出来るもので、非常に単純な視点ではありますが、まず、提案として、“海兵隊に依存しない防衛力の再整備”を念頭に、防衛力の総合再構築を、実行する施策は考えられるでしょう。

 実際問題荒唐無稽、と思われるかもしれませんが、旭川の第2師団のような、戦車連隊、3個普通科連隊、特科連隊、を中心とした防衛力を整備し、展開させる事は不可能ではありません。ただ、現代陸上戦闘の前線火力を考慮すれば、装甲化しなければ部隊が生き残る事は出来ず、重装備に見合う師団の装備体系は相応に大きなものとなるでしょう。その上で、13個師団2個混成団の編成の内、混成団は四国と沖縄に配置されていますが、四国の混成団を山陽山陰地区の師団管区へ編入するかたちで沖縄に転地し、沖縄に2個混成団を配置し、実質師団を置く体制に近づければ、海兵隊を沖縄に置かない、日本防衛の体制は構築する、少なくとも構図だけは成り立つ。

 戦闘機に関しても、冷戦時代と比較し数の上では70機、定数が縮小しています。その分早期警戒管制機や戦闘機教育部隊が増強されているのですが、一方冷戦時代には補助戦闘機として使用可能な型を含む超音速練習機が90機以上配備されていました。この点について、航空自衛隊が練習機と攻撃機を併用できるジャギュア攻撃機、またはJAS-39戦闘機、などを160機程度導入し、F-4の後継機となるF-35戦闘機と併用運用する態勢を乞うしくすれば、少なくとも冷戦時代の水準には戻ります。JAS-39は航続距離が限定される小柄な戦闘機ですが、中立政策を採ったスウェーデンの戦闘機ということで、増勢には世論の理解も得られる部分は出てくるかもしれないところ。

 護衛艦については、護衛艦隊の32隻という護衛艦は能力的に十分なものを有していますので、地方隊に冷戦時代沿岸防衛用に配備された護衛艦、横須賀、佐世保、舞鶴、呉、大湊、の地方隊へ2個護衛隊各6隻程度の護衛艦が配備されていましたが、沿岸防備と対潜戦闘を展開し得る満載排水量で3000t程度の護衛艦を、あぶくま型が2800tですので若干強化した護衛艦を量産することで、数の上では冷戦時代の抑止力の水準を再構築することはできます。

 この水準の防衛力を整備した上で、日本独自の防衛力を整備し、沖縄の海兵隊駐留を前提としない独自の防衛力を検討する端緒につけるのだろう、こう考える次第です。現代の海上戦闘や航空戦闘は冷戦時代の数的優位と質的優位の均衡が大きく転換していますので、数的整備に着手した場合、個々の装備の取得費用や全体のシステムとしての整備費用は大きく増大する事を意味しますが、米軍の負担、米軍駐留による沖縄県民への負担を日本全体が防衛力を整備する負担に置き換えて防衛力を整備する、こうした主張は、特に野党の駐留なき安保を求める視点からはあってしかるべき、ではないでしょうか。

 日本は憲法の問題から周辺情勢へアジア西太平洋諸国の一員として防衛上の責任を共有する事が出来ない、という問題がありますが、野党ならば一つの選択肢があります、それはベ平連、です。ベ平連、という、ヴェトナム戦争時代にヴェトナムに平和を求める市民運動がありました。この視点から、日本の防衛力をヴェトナムやフィリピンと協同し、防衛協力を図るという選択肢を含めればもう一つ、日本の防衛負担を日米同盟にのみ求めず構築する事が出来るでしょう。野党の視点ですが、左翼運動としてヴェトナム戦争時代にベ平連へ参加した代議士が多い野党ならば、今こそベ平連、としてヴェトナムとの防衛協力を進める事は出来ない案ではありません。

 防衛力を冷戦時代の数的規模に再構築し、その上でヴェトナムやフィリピンとの防衛協力を維持する、アメリカは海兵隊を沖縄に置かない体制で海兵隊主力をグアム若しくは可能であればフィリピンに移転させ、その上でアメリカ第七艦隊やアメリカ第五空軍、陸軍第1軍団と協力し、自衛隊の能力と連携させる、こうした施策です。海兵隊撤退を、という提案だけで許されるのは小学生の学級会までです、中学校の生徒会以上となれば代案が無ければなりません、野党が代案を示し反対したのは民主党政権時代の野党自民党位のもので、現代の代替電力なき原発反対、財源無き所得再配分促進、などなど、現実味を欠いた野党の提案を越えた、現実的な案として防衛力整備へ国民の理解を求め、その分、沖縄の海兵隊基地負担の代替案とする、こうした視点を示してみました。

北大路機関:はるな くらま
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