北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

WHO世界緊急事態宣言!PHEICと国内感染爆発阻止する米軍相模原の戦闘支援病院CSH備蓄

2020-01-31 20:05:43 | 国際・政治
■中国全土に渡航中止勧告発令
 新型コロナウィルス2019-nCoVによる新型肺炎は感染者数が爆発的に増大し2003年新型肺炎SARSの感染者数を越えました。

 PHEIC公衆衛生上緊急事態、WHO世界保健機関が宣言しました。1月23日の時点でWHOは中国政府が発表した情報からPHEIC発令を見送りました。しかし、WHO緊急専門家会議が招集された20日、僅か10日前の新型肺炎患者は200名、死者3名となっていました。わずか十日にして、感染者は10000万に迫り死者は200名を越えた、来週はどうなるか。

 アメリカ国務省は中国全土への渡航中止勧告を発令、国務省が発令する最大規模の警告です。また我が国外務省も時を同じくして中国全土に渡航延期勧告を発令しました。中国政府の措置は突然の大都市武漢封鎖、これはパニックを誘発すると共に外国人保護が後回しとなっており、日米に続き各国が自国民救出へチャーター機を運航している状況です。

 PHEIC,これは重要な意味を持ちます。民主主義であり立憲主義国家においては非常事態法制を発動し人権を制限する事は簡単ではありません、しかし、疾病対策には人の移動の制限や集会の制限、仮に悪用された場合には懸念すべき事態となり発動条件が難しい。しかしPHEICは各国政府が一つの判断目安と出来得るものであり、非常措置が疾病を防ぐ。

 PHEIC,我が国では安倍総理大臣がPHEIC発動を受け、指定感染症に指定された新型コロナウィルス肺炎を本来の周知期間などの手続きを省略し、明日1日より強制隔離を含めた強い措置を採れるよう非常態勢に移行すると共に、外務省は中国全土を渡航中止勧告に指定しました。PHEIC発令前であれば、日中経済損害が大きく大変な批判が在ったでしょう。

 PHEIC発動、しかし中国の習主席はWHOテドロス事務局長との会談において、PHEIC発動への懸念を表明すると共に、中国国内からの外国人脱出にも懸念を示しており、中国政府は近く国外ダシュツ以外の選択肢を提示するとの方針を示唆しています。今後は武漢以外からの邦人救出を検討した際、PHEICを契機として何らかの影響が、懸念されます。

 現段階では国内感染爆発の懸念はありません、この為にいわば巨大地震と同じような万一に備える、という視点から本論はお読みいただければ幸いです。日本国内での感染爆発という懸念すべき状況となった場合、通常の病院施設では収容能力が飽和状態となる可能性が非常に高い。発熱外来や指定医療機関も一日千単位の検査には対応する事はできません。

 日中航空航路封鎖や空港の閉鎖、日本には中国や北朝鮮が執るような非常措置を執るには憲法上の制約があり、特に中国からの入国者を完全遮断するというような措置はとれません。また、憲法に示される公共の福祉のための人権との関係ですが、中国が武漢封鎖を行ったような、たとえるならば京阪神封鎖というような措置、現行法では流石に難しいでしょう。

 A/H1N1新型インフルエンザ、しかし過去を回顧しますとWHO世界保健機関が前回2009年に公衆衛生上の非常事態宣言PHEICを発令した際には、コンサートや観劇などのイベント自粛要請が出され、第3師団祭も中止されました。幸い新型インフルエンザA/H1N1は危惧されたような高い致死率は無く、過去実例と今回に繋がる教訓はできているのですね。

 1000床野外病院緊急建設。政府は武漢封鎖とともに拡大し続ける新型コロナウィルス感染拡大を前に十日間で郊外を整地し1000床野外病院緊急建設に着手しました。最初のものは2月2日までに完成、収容を開始するとの事。感染が繰り返されれば感染力が強まる懸念があり、隔離施設を短期間で構築する必要があります。しかし日本にはこうした備蓄はない。

 在日米軍には、戦闘支援病院CSHという資材があります。感染症隔離を想定したものではありませんが、湾岸戦争規模の大規模戦争、当初湾岸戦争では死傷者1万8000名を見越していました、こうした際に旅団前方医療施設が治療できない重傷者等を治療する為の施設、これが戦闘支援病院CSHです。戦闘支援病院CSHがあれば、感染爆発を封じ込め得る。

 相模原の陸軍事前集積貯蔵 APSは、少なくとも武漢市で中国衛生当局が十日間で建設を進める臨時病院施設、その同等以上の備蓄を、在日米軍が有しているのですね。ただ、有事の際、つまり感染爆発の際に自動的に提供されるものではありません、日本国内にこうした装備がある、という認識を厚生労働省が認識する事が最初に必要といえるでしょう。

 戦闘支援病院CSH。600床の病床とともに手術施設を中心に旅団前方医療施設等では対処出来ない重篤患者受け入れを想定し、酸素吸入装置や陰圧テントと浄水施設や発電装備を有する、移動式の病院です。陰圧テントは疾病対策では指定伝染病感染者の呼気等が外部に流失しないよう圧力を調整するものですが、軍用陰圧テントは生物兵器対処を想定する。

 戦闘支援病院CSHは10室の手術室を有し、これは戦闘受傷など外科を想定している為です。テントと云いますと脆弱なものを連想するかもしれません、しかし、風速25m/sまでは耐えられる硬質素材を採用しており、黄色ブドウ球菌など院内感染への対策も抗菌素材多用等で充分です。これを日米相互役務協定に基づき緊急供与を要請する、事も可能だ。

 パンデミーに際して、初期のうちに封じ込めることができれば、中国は失敗しつつあるが、社会への影響を最小限とできます、が、いったん感染爆発が発生するならば、新幹線全面運休や強制操業停止措置に集会禁止や学校無期限閉校といった措置が必要となります、これは絵空事ではなく、実際に新型インフルエンザの際にシミュレートされた事なのですね。

 緊急医療拠点。重要なのは設備をどこに配置するかを事前に調整する必要がある点です、例えば東日本大震災では仮設住宅設置場所を巡って相当に遅延しました、二日で設置できる施設の場所選定に数週間を要しては手遅れです。隔離容易で大規模な平地、例えば高速道路の巨大サービスエリアなどを接収する準備が出来ていれば、戦闘支援病院CSHが拓く。

 CSHを迅速に展開し、感染拡大を封じ込める。ただ、大学キャンパスなどを閉校し接収するという選択肢はあるよう思えますが文教地区は住宅街と隣接しており不適切です。ショッピングモールなどは一見広大な駐車場から候補地となり得るよう思えますが、地域物流の拠点でもあり逆に感染拡大の懸念が生じます、こうした観点からも立地の選択は重要だ。

 高速道路の巨大サービスエリアなどは接収する緊急措置さえ採れるならば、理想的な戦闘支援病院CSH展開の立地といえるでしょう。サービスエリアは交通の結節点にあり、救急搬送を高速道路から迅速に実施でき、また駐車場が十分に確保されているため、臨時ヘリポートとして自衛隊機空中物資搬入やドクターヘリによる航空救急搬送も可能となります。

 高速道路サービスエリアはその上で、電力や水の供給では余力がありますし、給食設備や冷蔵施設まで十分ある。感染拡大防止に重要な隔離という視点からは十分であり、高速道路が運行している状況でもこれだけ離れているならば感染の懸念はありませんし、基本的に住宅街からも飛沫感染はもちろん空気感染の懸念が及ばないほどに距離があります。

 高速道路の巨大サービスエリア以外にも地方空港のエプロン施設、巨大港湾のコンテナターミナルや郊外大型総合商業施設駐車場、大規模競技場施設、地域ごとに最悪の状況を想定し、接収する特別措置法の準備を行うか、内々の内に政令指定都市を中心に個々の地域ごとの立地調整を行う、そうした必要もあるでしょう。次の段階を考慮すべき時でしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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令和元年度二月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2020.02.01-02.02)

2020-01-30 20:00:29 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 暖冬に梅が咲き新型コロナウィルスが猛威振るう中ではありますが皆様いかがお過ごしでしょうか、今週末の行事紹介です、が行事はありません。

 外洋練習航海江田島出航、2月4日火曜日に挙行されます。部内幹部が対象であり、一般公開行事ではありませんが第53期一般幹部候補生課程(部内課程)修了者が3月16日までの期間、第1練習隊司令遠藤昭彦1佐隷下の練習艦しまゆき、せとゆき、とともにマーシャル諸島やミクロネシアとグアムを航海します。艦隊出航は1235時から1300時にかけて。

 伊勢湾機雷戦訓練。こちらも一般公開ではありませんが2月1日から10日まで掃海隊群幕僚長渡邊浩1佐を統裁官として実施します。参加艦艇は掃海母艦1隻と輸送艦1隻、掃海艦艇16隻と掃海管制艇2隻及び航空機2機が参加し、アメリカ海軍から水中処分員10名も参加します。四日市港と松阪港を1日早朝出港、岸壁から望見する事も出来るでしょう。

 今週末は自衛隊行事無し、とした週末にはほっこりと紅茶の新しい茶葉を買いに出かけたいところですが、一つ大きな港町へ行ってみてはどうでしょうか。大きな港町と云えば大阪や東京だなあ、と思われるかもしれませんが、そうした街並みでももっと臨海部の街など、また海上自衛隊の艦艇広報で御馴染みの神戸に敦賀や清水の街並み、等が良いです。

 艦艇広報で散策してみますと、なにしろ入港している護衛艦や輸送艦に潜水艦救難艦といった艦艇がどうしても中心となってしまいますが、護衛艦が寄港する街にはそれだけの歴史があります。実のところこうした港は護衛艦や掃海艇という単体で進出するにはちょっと費用対効果という雑念で考えてしまう様な遠い場所であっても、港街観光が面白い事も。

 艦艇広報で入港する際にはその港町と艦艇の御縁というものがあるのですから、艦艇が入港していないような際にも一つ散策してみますと、見つかるものが多いかもしれません。大きな港町ですと、大規模災害などの有事の際に展開する地誌研究を含めて入港実績を重ねる、というものもありますので、その散策は中々に興味深いひと時を過ごせるでしょう。

 戦闘糧食、自衛隊関係撮影には肩肘張ったものではありませんが、防水パックに保存食一式を携行していた頃がありました。手製戦闘糧食、というと中二病っぽい響きではありますが、自衛隊撮影で長時間食事を執れず、特に急な予定変更で昼食時間が別にある筈が無くなってしまい、食事を執れないまま丸一日頑張ったという状況への反省でやったもの。

 レトルトビーフシチューかレトルトカレー、リッツクラッカー一袋、野菜パック、果物保存パック、のど飴という。これ、結構受けました。メインディッシュと主食を配慮して防水パックに収容してしまいますとかなりコンパクトになります。コンビーフやツナもビニールパックのものが発売されていまして、もしくはサラミソーセージ等の蛋白源を加える。

 メインディッシュに種類を持たせてみました。プラスチックスプーンを一本入れておくだけで、一食分なんとかなります。防災用アルファー化米は即座に喫食出来ない為にクラッカーとしまして、時間が無い瞬間でも十分程度確実に休める時間帯があれば、そのまま喫食できたという。この取り合わせ、防災用にも活用できまして、一定数常備しています。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・今週末の行事なし

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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中国感染爆発!新型コロナウィルス肺炎,中国本土SARS超える六〇〇〇名感染者と日本流入

2020-01-29 20:20:09 | 国際・政治
■2019-nCoV封じ込めるCSH
 新型コロナウィルス2019-nCoVが中国本土で猛威を振るっており、感染者数は遂にあのSARSを越え感染拡大が止まりません。

 2019-nCoV、新型コロナウィルスについて。中国では感染爆発が発生しています。27日の感染者数は4515名と一日で1771名増大、28日には朝の時点で5974名と1459名感染増大が報じられています。2003年に中国を中心に流行したSARS新型肺炎感染者は中国本土において5327名、中国本土の2019-nCoV新型コロナウィルス感染者はSARSを越えた。

 封鎖都市武漢へ中国は人民解放軍衛生部隊を中心に6000名を全土から集結させ、治療に向かっており、軍衛生学校を解散し派遣するなど戦時体制に近い勢いです。しかし武漢では検査キットが払底している状況であり、実際の感染者数はこの数倍に上るとの懸念があるほか、生活物資枯渇が始り次段階を迎えると共に、上海や北京と香港でも緊張が広がる。

 日本国内では奈良県で初の国内感染、武漢滞在歴のない日本人バス運転手の男性が新型コロナウィルス肺炎と診断され、中国人観光客からの感染の可能性が示唆されると共に、日本国内を旅行中の中国人観光客や中国からの駐在員、新型コロナウィルス肺炎発症が相次ぎ報道されています。邦人救出や水際検査を進めると共に、次段階を警戒すべきでしょう。

 WHO世界保健機関テドロス事務局長は北京を訪問、中国の習近平国家主席と会談し、習主席は2019-nCoV新型コロナウィルス封じ込めに自信を示し、WHOへ衛生緊急事態宣言PHEIC発動を抑制するよう要求しました。その上で習主席は各国が進める自国民の武漢からの退避を、“退避に代替する”手段を話し合い、今後外国人脱出困難化を示唆しました。

 習主席による“退避に代替する”手段が検討される中、昨夜邦人救出へ出発した全日空チャーター機の第一便が本日羽田空港に帰国、武漢からの帰国希望者のうち206名が脱出に成功しましたが、発熱症状のある4名が東京都内の指定病院へ搬送されると共に政府は帰国者全員を千葉県南部などに政府が用意したホテル等で経過観察を行うという方針です。

 米中航空便封鎖措置回避、アメリカ政府は一時アメリカと中国を結ぶ全旅客機の停止を検討していましたが本日、実施見合わせで米中間が合意します。他方、日本が先陣を切った自国民救出、同じく武漢から自国民救出を進めるオーストラリア政府は、クリスマス島等を検疫地に指定し、チャーター機を一時潜伏期間中を強制隔離する方法を検討中という。

 武漢市内では特に中国国内の死者が100名に達した時点での致死率は3.6%と、中国政府が示した闘鶏通りであれば急上昇しました。武漢以外の中国国内での新型コロナウィルス致死率の微妙な差異がある点に注目すべきでしょう、中国国内の致死率は27日までの時点で3%弱で推移していましたが、28日と29日とにかけて感染者数の拡大は余りにも急です。

 少なくともこの33名に一人が死亡する致死率は、中国国内での死亡事例は幸い未だ無く、中国以外の感染者の致死率では低くなっている点が読みとれます。武漢に死者が集中しており、周辺部にじりじりと犠牲者の分布が拡大している状況ですので、武漢では既にウィルスが変異しており、感染拡大が進んでいる、こう類推することができるかもしれません。

 重要な点は高致死率の新型コロナウィルスと新型コロナウィルスを分けうる点で、邦人保護の観点から、武漢の500名を救うのか、中国全土42万の在留邦人を保護するのか、この判断の分水嶺となるでしょう。しかし、高致死率のコロナウィルスにほかの地域でも変異する懸念はあるのですが。変異の驚異的速度、流行相の脅威度はここにあるように思える。

 中国衛生当局は26日の記者会見において、感染力がやや強くなった、として新たにウィルスが変異しつつある状況を発表しました。また、発症前の無症感染者からも感染する可能性が本日27日に入り指摘され、これでは空港でのスクリーニングなどを発熱の確認に依存しており、感染を発見できず通す懸念が各国の防疫担当者に新しい頭痛の種を示しました。

 ウィルススプレッターという、一人から周辺へ多数の感染源となる事例が今後もっとも警戒されるところです、特に現時点で新型コロナウィルスは潜伏期間が七日前後、最短は先週まで四日でしたが二日で発症する事例が示され、他方で最大二週間ちかい潜伏期間が確認、現在では発症しないまま感染させるウィルススプレッターの問題が新しい脅威です。

 感染拡大の可能性、ウィルスは変異しているという前提で、感染力を増した新型が日本国内に流入する、次の段階の脅威です。また日本国内に入り始めている感染者で無症患者から感染が始まり、ヒトヒト感染を経て日本国内で変異する、この可能性もあります。対策は必要でしょう、例えば臨時の野外病院を構築できる病院法の特措法による改正などです。

 新型コロナウィルス肺炎について。今回の中国での感染爆発について、SARSやMARSといった過去のウィルス性肺炎と比較し、感染力の拡大や致死率の上昇まで、ウィルス変異に関して時間が非常に短いように報道の間隔から考えます。すると、日本への伝播、つまり単なる新型肺炎伝播ではなく感染爆発事態そのものの伝播を、留意せねばなりません。

 厚生労働省は、基本的な手荒いうがい、この二つの励行を示唆していますが、果たしてこの二つだけで感染爆発を抑制できるのか、悲観的な視点と対策というものを考える必要があるでしょう。場合によっては在日米軍、その保管設備提供を踏まえ今後数ヶ月の危機管理体制を確立の必要があるでしょう。希望はあります。新型インフルエンザの教訓という。

 新型インフルエンザ、前回にWHO世界保健機関が緊急事態宣言を示したパンデミー危機に際して、対策が構築されました。新型インフルエンザはWHO正規の誤報といわれ、当初は10%近い致死率を保った新型インフルエンザが世界規模で大流行すると考えられた。スペイン風邪以来の危機が懸念され異例の速さで衛生緊急事態PHEICを宣言しています。

 PHEIC,これにより各国は非常態勢に移行しました。しかし、当初の高い致死率は誤報であり、0.1%以下という通常のインフルエンザ並であったのですね。PHEIC,しかしこの新型インフルエンザとともに、発症患者はそのまま医療施設に向かうのではなく、保健所への連絡とともに多数指定された発熱外来において発熱の原因を特定する手順が組まれました。

 新型インフルエンザかほかの疾病かを把握し、院内感染を防ぎつつ検査を行い、その上で陰圧病棟等に移すという手順が。こうした手順で感染拡大を阻止する施設へ集約し集中治療する枠組みが。武漢での現状の中国衛生当局対処は、発熱外来設置が1月23日以降であり、流感でも肺炎でも新型肺炎でも、発熱があった市民は衛生当局の指定病院へ急ぎます。

 武漢市では最大の総合医療設備に殺到し、結果的に院内感染が感染爆発を助長させたように懸念します。危機管理の視点からみますと、この点、中国当局は新型肺炎の奇襲に平時手続きから有事への切り替えが遅れた。我が国では、幸い未だ感染爆発は国内で発生しておらず、危険性が通常の肺炎とは異なるものであるという共通認識が確立しています。

 感染に対し、時間的な余裕はあるといえましょう。その上で、感染爆発が日本国内に伝播した場合、実のところ在日米軍資材提供要請が必要です。相模原総合補給処、ここには軍団用の、陸軍事前集積貯蔵 APSが備蓄されており、この中には戦闘支援病院CSHというものがあり過般式病院施設、中でも600名規模の病床を有する機材が備蓄されています。

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【京都発幕間旅情】近江神宮,令和時代初の正月初詣は時計と時を奉じる近江大津宮所縁の社殿

2020-01-28 20:18:34 | 旅行記
■近江は大津京にも遷都の歴史
 この一月の初詣は昨年平成31年に続きます令和時代最初の正月初詣となるのですが、皆様は新年の祈念をどちらへ参られたでしょうか。

 近江神宮。滋賀県大津市神宮町に鎮座します神社です。京都から地下鉄東西線で大津へ、そして京阪石山坂本線は近江神宮前駅から徒歩にして五分強、神宮の森は参道を神々しく覆い、その先に二の鳥居、そして更に歩み進めますと朱色の楼門が参拝者を迎えます。

 初詣は近江神宮。ここ数年は滋賀県と御縁が深くなりまして、初詣は平野神社に下鴨神社や伏見稲荷大社と巡っていたのですが昨今はお隣の滋賀県へ詣でている次第です。御縁というものは大切にしたいものですが、そんな中でも近江神宮は不思議な歴史を湛えている。

 紀元二六〇〇年。近江神宮の建立は歴史が新しく日米関係が風雲急告げた開戦前夜昭和15年の紀元2600年を記念し創建された、本当に新しい社殿です。昭和の造営ながらその社格は旧官幣大社に列せられる勅祭社であり、現在は神社本庁の別表神社に列せられています。

 天智天皇を祭神として奉じる社殿。実は大津の方とお話しした際に、この社殿の創建を千年ほど勘違いしていたという話題がありまして、昭和初期の創建と伝えますと、最後まで信じてもらえませんでした。新しいのに昔からあるような、大事にされている社殿ですね。

 大津京。湖西線の西大津駅が平成後期に入り大津京駅へと駅名が改められましたが、歴史を遡れば天智天皇年間の西暦667年に時の天智天皇が飛鳥宮から近江大津宮へと遷都した歴史がありまして、近江神宮の祭神に天智天皇を奉じる所縁には近江大津宮がありました。

 近江大津宮遷都は、我が国と親交のあった百済国が滅亡し、続いて大陸からの軍事圧力が本土へ迫るのは必至と危惧した朝廷が、大阪湾からの侵攻に脆弱性の高い飛鳥宮から内陸部の近江へ遷都したという、太平洋戦争末期の松代大本営造営と似た背景があったのです。

 白村江の戦い、663年に朝鮮半島出兵による日本影響下の同盟国再建が試みられますが、日本軍敗北という緊張下での遷都ではありますが、日本最初の戸籍制度である庚午年籍作成や後の律令制に繋がる近江令等、強靭な中世国家への整備が行われたのは大津宮、という。

 古くからある神社という認識、これは考えてみますと近江神宮の歴史というよりは平安遷都に遡る大津京の歴史、大津宮の歴史と重ねての印象、そんな背景もあるのでしょうか。そして大津には三井寺はじめ連綿歴史を紡ぐ寺社仏閣も多く、古い趣きの街並みが広がる。

 飛鳥への帰京は天武天皇元年の672年である為、大津宮として朝廷がこの地に置かれたのは667年から672年まで、日清戦争時代の広島遷都、あの遷都は最前線に向けて東京から国会や政治中枢と皇居を前進させた構図ですが、大津宮は一種の戦時下の施策といえます。

 太平洋戦争前夜といえる紀元2600年、西暦1940年に造営された近江神宮ですが、1941年の日米開戦と共に戦い抜いた後の1945年、我が国は敗北したのは世界が知る通り。しかし、この1945年、戦後翌月に近江神宮は昭和天皇勅願により官幣大社となったのですね。

 戦後復興を祈念すると共に天智天皇は漏刻時計として我が国初の時計を国産したという遺功から、近江神宮には数多古式時計が並びまして、近年は競技カルタの聖地としても全国に知名度を伸ばすところです。日時計に火時計、機械時計、実物が参拝者を迎えています。

 大津宮。さて実に短期間の臨時遷都と云えた造営であり、その遺構はあまり残っては居ません、しかし1974年に近江神宮前駅その駅前に柱の跡や建築物の痕跡など遺構が発見されていまして、近江神宮と大津宮、造営の頃に位置は不明瞭だったはずですが縁を感じます。

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邦人救出発動!中国新型コロナウィルス拡大と都市封鎖に日本政府決断と懸念される次の段階

2020-01-27 20:07:48 | 国際・政治
■都市封鎖!中国全土厳戒態勢
 中国新型コロナウィルスによる感染拡大とウィルス変化や無症患者と長い潜伏期間、今回のパンデミーは流行相が読めません。

 中国新型コロナウィルスによる肺炎蔓延は本日、李克強首相が武漢に入り疾病対策の陣頭指揮を執る国家非常態勢に移行しました。武漢市では犠牲者の多くが集中していますが、死者の発生地域が次第に拡大、中国政府は、武漢、黄岡、黄石、仙桃、顎州、潜江、利川、赤壁、咸寧、孝感、恩施、枝江、次々と都市を封鎖しています。実に数日間の間に、です。

 武漢封鎖とともに懸念するのは中国政府のなりふり構わずの都市封鎖であり、現在イギリス一国の人口に等しい規模の都市が封鎖下にあり、そして市街地では物価高騰や生活物資枯渇など、影響が顕在化し始めている点で、特に在留邦人の保護が現実的な課題となっています。現在、武漢空港は閉鎖されており、邦人保護へ日中間の調整が進められている。

 邦人保護へ政府は昨日、チャーター機により封鎖が続く武漢への在留邦人輸送を、帰国希望者全員を輸送させる方針として発表し、武漢の法人保護を所管する北京の日本大使館より武漢へ特別チームが派遣されている旨を公表しました。邦人輸送には現在、全日空があたるという。全日空のチャーター機運航、イランイラク戦争の頃より順調にすすみました。

 イランイラク戦争に際しての混乱テヘラン邦人緊急輸送に際して当時政府が日本航空のチャーター機運航を打診するものの安全が確保できないとして断られた経緯があり、若干の不安をもって推移を見守っていましたが、あれから40年、今回は全日空がチャーター機運航を了承し、実費のみ負担で帰国できるという。空港まで集合できれば、帰国が出来る。

 感染拡大、しかし武漢からの邦人救出は、武漢市内の邦人は一時滞在者を含め770名、感染拡大前に帰国できた邦人も多く現状では500名規模ということですが、中国国内には42万名もの邦人が居住しており、一時滞在者を含めれば更に多くの邦人が中国国内に居ます。武漢に領事館が無く今回外務省は後手を強いられた構図ですが、事態は更に流動的です。

 中国政府の封鎖強化により、武漢の人口の六倍近い人口地域が現在封鎖状態にあり、今後、観戦拡大が阻止できず、特に武漢市内のように死亡率が上昇した場合、この地域への邦人輸送を検討する必要性も生じるでしょう。中国政府は混乱下にある、これが現状への率直な印象です。故に領事関係条約にもとづく外国人保護まで手が回らない状況があります。

 外務省は今後、中国における公館、特に領事館拡大に乗り出すべkと考えるのですが現状の在外邦人孤立、これはアメリカや韓国とロシアはじめ各国の中国滞在者を含めてですが、混乱に紛れている状況といえるのかもしれません。武漢の状況、新型コロナウィルスの感染拡大状況、いずれも中国政府は未だ、情報統制を継続している状況であり、判断難しい。

 各国政府も大規模な自国民退避の可否を決めかねている状況です。もっとも現状は初動を誤った故の中国危機管理能力の限界であり、瑕疵には必ずしも当たらないよう思えるのですが、もともと隠す国であり、情報統制解除に時間が掛かるのでしょうか。ともあれ、邦人救出が決定した上で、今度は武漢市内からどう空港へ集まるのか、課題はまだあります。

 嘉手納基地や横田基地への中国脱出同盟国民収容、実はもう一つ、この問題は忘れられていないでしょうか。実のところ政府は自国民救出へチャーター機派遣という決断に至ったのですが、現在警戒せねばならないのは次の段階、中国政府が制御不能の、2004年SARS以上の疾病事態となった場合への、各国が進める自国民救出へ大規模飛行場が足りません。

 国連軍指定基地である嘉手納基地や横田基地、WHO世界保健機関の支援と各国が進める自国民救出の拠点として使用する場合の準備、というところでしょうか。実のところ政府はここまで踏み込んだ準備を公には行っていません。制御不能の事態はあるのか、と問われれば中国当局が発表した情報としてNHKが報じたところでは現在、懸念すべき数字が在る。

 武漢では発症患者の四分の一が重篤、全体の3%から4%が死亡する、という数字を示しており、併せて感染力の拡大、という情報を提示しています。これは感染者25%の重篤、重篤患者の15%が死亡する、という状況であり、致死率以前に社会不安を醸成する緊張感のある数字です。武漢以外にこの制御不能の状況が拡散した場合、状況は次段階となります。

 各国の自国民期救出への拠点航空施設は必要となり、この為に中国周辺で現実的に用いうる飛行場が韓国の烏山、そして嘉手納基地や横田基地しか考えられないためです。新型コロナウィルスは、致死率3%と決してエボラ出血熱やマールブルク熱といったものと比較した場合、高くはないのですが、大都市を次々と封鎖し物流途絶、これが新しい問題です。

 中国、最大の課題は世界第二位の経済大国となった中国、故に通商関係の多数の外国人が居留する中で1000万都市の閉鎖を筆頭に人の移動を外国人も含めて無通告で広範囲に実施し、しかし物価統制例や配給支援なども行わず避難所開設もおこなわないことで外国人が危険に晒されている事、そして情報開示を充分行わないことで危険度が未知数なのですね。

 外国人を救出する、そのための飛行場提供を日本国内に求められる可能性を真剣に検討せねばなりません。横田基地や嘉手納基地が救出拠点となる可能性、これは可能性であり示唆はありませんが、想定外とせぬよう、周辺自治体関係者と政府の調整、決定では無いとしつつ土壇場の想定外は避けたい、不用意な調整は混乱を招きますが最悪に備えるべきだ。

 3.11、実のところあの2011年東日本大震災福島第一原発事故と当時の民主党菅政権の情報不開示で各国が受けた不信感と、現在の中国への情報開示への不満は重なるところがあり、これは悪意にもとづくものではなく危機管理能力の多寡、視点が必要でしょう。その上で、理解せねばならないのは3.11の際に、アメリカ政府は放射性降下物拡散情報に不満でした。

 アメリカ国務省は実際、東京を含めた名古屋までのアメリカ市民を圏外の京阪神地区ないし九州あたりまで退避勧告を示唆していました、関西国際空港や中部国際空港へアメリカはもちろん、欧州各国が自国民救出航空機の乗り入れ打診をおこなったのもこの頃でして、状況はここに近い。コロナウィルスの原発事故との相違は、疾病が見えにくい点でしょう。

 放射性降下物はモニタリングにより拡散状況が開示できますが、武漢封鎖を筆頭に都市封鎖が連続しますと、湖北省湖南省のみならず華南地域全域は大丈夫なのか、上海や香港の封鎖可能性はあるのか、不明、ということです。上海などは地域人口2400万、東京と近県を含めた首都圏に匹敵する人口です、この為に各国が自国民救出を真剣に実施する場合は。

 どうしても中継点となる飛行場が求められ、中国国内の巨大空港が影響を受ける前提では、日本の飛行場施設が有する重要度が高騰する、ということ。もちろん、疾病と人道の問題であり、中継点として用いるならば、問題ない、として周辺自治体が好意的に受け止める可能性もあるのですが、そうならない可能性もある、故に調整を行うのが危機管理です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【G3X撮影速報】はぐろ&まや(DDG179-DDG180)イージス艦建造進む(2020-01-11)

2020-01-26 20:16:17 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■はたかぜ練習艦改造も進む
 最新鋭イージス艦まや型が現在一番艦まや、二番艦はぐろ姉妹艦が2隻揃って現在横浜にて建造が進められています。

 はぐろ。海上自衛隊最新のイージス艦はぐろ建造中の様子を年始の11日に建造が進められるジャパンマリンユナイテッド横浜事業所磯子工場の様子とともに撮影して参りました。海の守り建造その様子は磯子海づり施設やジェイパワー磯子から一望することが出来ます。

 まや型護衛艦二番艦はぐろ、平成28年度計画8200t型護衛艦として建造されたもので、満載排水量10250t、建造費は1730億円、初のイージス艦こんごう、から数えて八隻目のイージス艦となります。これにより四個護衛隊群全てにイージス艦2隻体制が整備される。

 あたご型護衛艦、あたご、あしがら2隻が建造された。イージス艦はぐろ含む護衛艦まや型は前型あたご型を基本としていますが、ガスタービンエレクトリック複合推進方式として電気推進を取り入れた設計となっており、これにより全長が170mと大型化しています。

 こんごう型護衛艦こんごう、から数えて8隻目となるイージス艦は、はるな型しらね型ヘリコプター搭載護衛艦を中心とした海上自衛隊の作戦単位である護衛隊群四個体制において、各2隻のイージス艦を配備するという1993年からの長い防衛事業の管制を意味します。

 イージス艦2隻という運用はイージス艦導入前夜に実施のオペレーションリサーチにおいて2隻のイージス艦を有する護衛隊群が当時最大の脅威、ソ連バックファイア超音速爆撃機60機による攻撃を受けた場合、第一撃被害を15%に抑えられるとの試算がありました。

 はたかぜ型護衛艦、こんごう型護衛艦に先立つ前型はターターDシステムを搭載した広域防空艦であり、高価ではある、こんごう型一隻に相当の艦隊防空を実現するには最低7隻から11隻を配備する必要があるとされ、イージス艦の整備は大きな意味があったのですね。

 ひゅうが型ヘリコプター搭載護衛艦、いずも型ヘリコプター搭載護衛艦、海上自衛隊の護衛艦が全通飛行甲板型護衛艦へ進むとともにイージス艦の意義は更に大きなものとなりました。現在護衛艦隊にはターターDシステム艦が二隻残っていますが、この2隻について。

 はぐろ就役とともに練習艦隊へ転用されるという。まや竣工は来る本年3月となっていますが、まや建造もここジャパンマリンユナイテッド磯子工場にて進められています。まや竣工間近の様子を撮影したかったのですが、よくよくみてみますとステルスマストが。

 はぐろ奥にもう1隻望見できまして、竣工直前の艤装工事を進めていることがわかりました。そしてその隣にもう一隻、護衛艦のマスト、ラティスマストが見えるのですね。はたかぜ、なのでしょうかターターDシステムを構成するSPG62イルミネータが見えます。

 SPG62はスタンダードSM-1ミサイルを誘導するものなのですが、よくみますとイルミネータにクレーンが牽釣の作業を行っているようにも見えます。練習艦改修作業が行われているのでしょうか。もっとも、そう見える様にワイヤーが重なっているだけの可能性も。

 かしま旗艦とする練習艦隊には護衛艦はつゆき型を転用した練習艦が配備されていますが、はつゆき型は老朽化が進み、はたかぜ型の護衛艦はたかぜ、しまかぜ、が転用される事となります。しかし、練習艦の任務にはスタンダードミサイル運用は必須ではありません。

 おおなみ、定期整備中の様子が見えます、たかなみ型護衛艦の二番艦です。一番艦たかなみ、がアラビア海へイラン情勢緊張を受け情報収集への派遣が決定したばかりで、現在、ソマリア沖海賊対処任務として派遣中の護衛艦はるさめ、と合流予定、出航は来月です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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衛生自衛隊が必要だ:3.11東日本大震災追悼【2】巨大災害,不可避の被災地極限医療崩壊

2020-01-25 20:02:11 | 防災・災害派遣
■衛生部隊の機動運用が必要
 巨大災害において数年分の死傷者が数時間で生じる事から医療従事者に対し機能が飽和状態に陥る医療崩壊は確実に起こります。

 自衛隊においては、統合機動防衛力と多次元機動防衛力整備、その新しい防衛力整備とともに戦域単位で集結する部隊規模が拡大し、いわばその機動運用には衛生部隊の集合分散を高める必要があるとともに、衛生を含めた兵站全般においても機動運用が求められることとなります、従来の基盤的防衛力整備に基づく衛生部隊の配置では不十分、ということ。

 これらを併せて、有事の際に負傷者を極限し任務遂行に必要な人命を維持するという視点から変革を考える必要はないでしょうか。陸海空自衛隊に加えて衛生自衛隊、陸上自衛隊に衛生集団を置くだけで充分ではないか、情報本部と同格の衛生本部を置く、という選択肢もあるでしょうが、有事の際に平時インフラに依存できるかで評価は変わるでしょう。

 医療崩壊、これは過疎地域では既に医師不足にて顕在化している問題ですが、大規模災害発生時や大規模航空攻撃が実施された場合には急激な負傷者の増大に対応できず軽傷者が重篤化し死者に含まれるという最悪の状況が、既に首都直下型地震や南海トラフ地震において想定されています。普段から十分な医師を、という想定ではとても足りないのですね。

 10万名都市に一説には1500名程度の医療従事者が必要になる、とも。トリアージ、医療崩壊を防ぐ視点からは最後の選択が必要となります。我が国ではトリアージを一般診療では、黒の無呼吸と赤の重篤に黄の重傷と緑の軽傷を区分しており、重篤を優先治療し無呼吸は蘇生措置を断念する、重傷者は待機であり軽傷者は治療しない、という想定とのこと。

 首都直下型地震では重篤患者を救命する間に重傷患者が重篤化する、という懸念が示されています。重篤患者は治療できないのが現実ではないのか、野戦医療では衛生要員が不足する状況には無呼吸と重篤負傷者を黒として重傷者を赤とすることで応急治療させます、それ以外は包帯所や個人用衛生装備により対応する、というもので医療崩壊を防ぐ構図だ。

 首都直下地震や南海トラフ地震に際しても、こうした、要するに医師と医療器材が足りない分に応じたトリアージを行うことで医療崩壊を防ぐことが出来ます、が、これを納得できるのでしょうか。重篤患者をトリアージの黒とする、理解は出来るが納得はできないところではないでしょうか、重篤患者には呼吸があり混濁しているものの意識があります。

 トリアージにはこうした生命の選別という社会科学と倫理哲学が摩擦を起こす難題を含みます。しかし、医師一名が一時間に治療できる最大数を考えれば助かりそうな順番から一人当たり数分を目処に助かるかが難しい人命の取捨選択を行うと云うよりも、医療破綻か治療遅延で落命という、その状況にほかの選択肢がない状態に追い込まれる、ということ。

 医師を増やし衛生基盤を高めるほかない、現実としてはそうなのですが、安易に医療施設を増強したとしても、なにしろ需要以上の病院設備は経営を維持できません、医学部学費は法学部や文学部に国際関係学部と比較して異常に高く、病院の経営破綻は回避されなければ、今度は平時に病院をトリアージする事と成りかねません。有事の前に平時に破綻へ。

 自衛隊に陸海空自衛隊とは別に衛生自衛隊という、もちろん人員規模としては海上自衛隊などと比べさらに少ない規模となりましょうが、独立した衛生部隊と衛生施設部隊及び搬送部隊や倉庫兵站群として準備する事が出来たならば、衛生部隊には平時よりも有事の治療規模を念頭に整備させる余裕はあります。衛生自衛隊、具体的にはどう考えられるか。

 野戦医療部隊はそのまま維持する必要があります、が、衛生学校を中心に看護士を養成し、場合によっては衛生自衛隊から陸海空自衛隊への衛生要員を派遣するという枠組みへ転換し、また防衛医科大学校の定員を増勢する。その上で即応予備自衛官の医官枠を増大し平時には地域医療を支えつつ有事の際には召集、というような選択肢が考えられましょう。

 地区病院機能と野戦病院機能を有事の際には集約させ、戦闘地域の後方段列地区か大規模災害時には被災地へ巨大な医療基盤を構築する、という必要性です。もちろん予算は必要となります、防衛予算には限度がありますので本来は医療や救急を所管する官庁、厚生労働省や総務省消防庁の施策を代行するという構図で別枠の予算が必要となるでしょう。

 しかし、トリアージというもの、生命の選別をする、災害時に医療崩壊という現状を突き付けられ、その選択肢以外何も選べない状況に追いやられる事を受忍するか反対するか、これは最早政治問題であり主権者たる国民が税金の負担という意味で受入れるか、トリアージを受け入れるかを決定せねばならない命題でもあるのですよね。こう考える次第です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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令和元年度一月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2020.01.25-01.26)

2020-01-24 20:04:01 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 中国新型コロナウィルスが拡大し不安な最中ではありますが皆様いかがお過ごしでしょうか。今週末の行事紹介です、が、実は今週末行事はありません。

 今週末には自衛隊行事ないです、そんな週末にはゆっくり冷凍庫の霜取りに専念したいところですが思い切って家電量販店へ行ってみてはどうでしょうか。家電量販店、スーパーマーケットに入る旧家電売り場代わりの電気店ではなく、京都駅前とか大阪駅前に在るようなフルサイズ一眼レフから各社ミラーレス一眼機種まで揃っている大きな量販店です。

 家電量販店は各社最新機種を、試用する事が出来ます。実は撮影機材は一眼レフからミラーレス機種へ部分部分で転換期を迎えている過渡期でして、一昔では全く使い物にならなかった機種が世代交代でかなり実用性を高めているものがありますし、従来でも充分高性能であった事が従来機種が動画など高性能化する事で急に価格帯を上げてしまう転換期が。

 これが高性能機種だ、というカタログスペックは年々上がるのですが、どういった機種ではなく、どういった性能が必要なのか、を吟味するには実機を操作する他ありません。しかし、気軽に試すには、機材レンタルを行うメーカーも在るには在りますが、家電量販店、広い店内で長々、試してみる方が、撮れるものと環境は全てではありませんが効率的です。

 さて撮影の話題を。カメラ用レインコート、様々な機種がありまして用途から色々と迷ってしまうのですが、裏ワザがあるという、いやこちらが王道なのかもしれませんが。使い捨てビニールレインコートの袖口部分にレンズフードを合せまして、そのままカメラ本体をレインコートでくるむように撮影する、という方法があるとのこと。成程これならばカメラは濡れませんね。

 二人羽織的な構図となりますが、レインコートを頭から被る構図で撮影するならば、成程自分もレインコートを着ているのに合わせて濡れませんし、レインコートの広い部分でカメラに屋根の様に被るのでしたら、カメラのレンズを交換する瞬間にもカメラ内に雨粒が入る可能性を払拭できます。そして考えてみますとカメラ用レインコートよりも利点が。

 ビニールレインコートは最悪の場合、コンビニで販売しています。もちろん山間部の駐屯地や離島のレーダーサイトではコンビニが近くにない、という事もあり得るのですが、大きな駐屯地で有れば使い捨てレインコートくらいであれば駐屯地の売店で販売しています。入手可能な機材を最大限活かしますと、突然の雨天豪雨にも無理なく対応できるのですね。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・今週末の行事なし

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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武漢封鎖命令!中国新型ウイルス肺炎感染拡大-WHO緊急事態宣言示唆と武漢市内邦人保護

2020-01-23 20:01:24 | 国際・政治
■非常事態!武漢封鎖と邦人保護
 武漢新型ウイルス肺炎が猛威を振るっています。感染拡大まで疾病を否定し対策が後手に回った中国政府は本日にはいり、一千万都市武漢封鎖という非常措置にでました。

 新型コロナウィルスによる重篤肺炎が中国武漢市内を中心に流行しています。このまま推移しますと、邦人保護へ航空自衛隊輸送機を武漢市内の空港へ派遣する必要はないでしょうか。武漢市内の邦人居留者は500名、チャーター機でもよいのですが政府専用機B-777であれば一機、KC-767空中給油輸送機ならば2機、最新のC-2輸送機ならば3機分です。

 中国政府がこの新型疾病について発表したのは2019年12月30日、“原因不明の肺炎”として公文書が作成され、一部がWeb上で提示されました。しかし、中国国内RTHK報道では12月8日に最初の患者が武漢市内で確認されたとされ、この情報は12月31日に武漢市疾病予防センターも肯定しています。既に発生から一ヶ月半が続いている事になりますね。

 武漢市疾病予防センターは1月5日の時点で、重篤患者は7名であり59名が感染しているが快方に向かっているとして楽観視する内容を発表しました。しかし1月9日、最初の犠牲者が出ました。大きな危険はないように報じられた一方、13日に隣国タイでの感染者が確認、我が国でも1月16日に初の感染者が確認されました、3日から発熱していたという。

 邦人感染者初確認、本日1750時にNHKにて武漢居住の邦人一人が重度の肺炎を発症し隔離されている事が報じられました。既に日本国内では中国国籍の感染者が確認されていますが邦人感染者は初の事例であり、そして中国当局は感染者を571名、内死者17名としているのですが、この数字について武漢の邦人感染により疑義を挟む余地が出てきた訳です。

 2万2000名程度の感染者が武漢市内で出ているのではないか、こう考えるのは邦人感染者が出た事での罹患率の問題です。武漢市の人口は1089万名、ここは中国自動車産業の拠点都市の一つであり、ジェトロによれば日本からも自動車関連企業を中心に500名の駐在員が在留、ここで本日一人目の感染者が出たのです、罹患率は1/500、ここを逆算します。

 武漢市人口1089万名で邦人在留者と同数の1/500が罹患したと仮定しますと、概ね2万2000名の感染者が出ていてもおかしくなく、更に死者数が中国政府の発表では概ね2%で推移していますので、2万2000名の感染者の内で2%といえば440名となります。中国国内ではSARSの再来ではないかというWeb投稿が削除される等、情報統制が厳重となる。

 SARS,重症急性呼吸器症候群です。2003年に中国国内で確認され、休息に中国国内で拡大すると共にカナダなどでも感染が拡大、罹患者8422名のうち死者774名となっています。中国国内では、一説にはかなり強引な隔離措置が採られたともされ、恢復患者にはPTSD心的外傷患者が確認されている程です。そしてSARSの再来とは情報統制の再来でもある。

 2003年のSARSについては当初中国政府がSARS発生の情報を隠蔽し、中国国外での感染が拡大した時点で漸くWHO世界保健機関始め世界への情報開示に踏み切りました。感染拡大を隠蔽した事は結果的に感染拡大対策が後手に回る事を意味し、今回の武漢市での状況にはSARSと重なる状況が見て取れます。ただ、邦人救出が必要である根拠はもう一つ。

 武漢閉鎖。湖北省武漢市の当局はこれ以上の感染拡大を阻止する為に日本時間本日23日1100時より無期限で航空便や鉄道の運休を開始し、市民に市内を離れないように求めています。武漢市の武漢天河国際空港や武漢漢南空港等は閉鎖され、中国の正月に当る春節を前に高速鉄道拠点駅である漢口駅や武昌駅、武漢駅からの列車も当面運休するとのこと。

 ウイルスの潜伏期間平均7日前後。これは武漢市へ派遣された中国保健当局専門家チームが症例から確認した情報であり、武漢の封鎖状態は長期化する可能性があります。そしてもう一つ、邦人保護は領事館責務ですが、残念ながら武漢市内に日本領事館はありません。実はこの点についても、武漢邦人救出任務を真剣に検討せねばならない事由の一つです。

 WHO公衆衛生上の緊急事態。実はもう一つ、邦人救出を検討せねばならないのは現在進む世界保健機関WHOでの緊急会合の進展です。2005年に国際保健規則が改訂され、WHOは世界規模での疾病拡大が世界の公衆衛生に悪影響を及ぼすと懸念された際には“公衆衛生上の緊急事態宣言PHEIC”を発令する可能性があるのです。エボラなどを想定したもの。

 PHEICについて、WHOは感染拡大の速度や致死率から判断しますが、WHOのテドロス事務局長によれば中国当局から感染者数を除き感染状況や発症までの時間といった必要不可欠の情報が開示されず、必要な情報が充分に無いとして中国政府の情報提供強化を求めています。ただ、人口1089万の武漢を封鎖した中国政府の緊張感はただ事ではありません。

 PHEICが発令された場合、WHOは出入国を制限でき、文字通り中国在留邦人は中国国内から出国できなくなる可能性があるのです。もともとPHEICは2003年の中国政府の夜SARS隠蔽を受け、国際法上の拘束力を以て国際保健規則が改訂された背景があるのですが。そしてこの経済的悪影響が起きい為にWHOはPHEICについて慎重でもあるのですが。

 邦人救出。勿論簡単ではありません、既に中国では21の省や市での感染が確認されており、武漢市内の邦人救出については500名という規模であるのですが、中国全体の在留邦人は外務省によれば12万76名、アメリカ在留の44万7000名に次いで多いのです。一方、輸送機さえ行ければ武漢封鎖下でも市内の交通は一部可能で、今ならば空港へ移動は可能だ。

 我が国厚生労働省は注意喚起を行うと共に空港での発熱患者スクリーニング等の施策に留められていますが、実のところ国内への流入阻止というよりも、1000万規模の大都市が封鎖されるという状況下、その市内に取り残された邦人をどのように保護するのか、総領事館が無くPHEIC発令の可能性が高まる中、政府は邦人保護を慎重に検討すべきでしょう。

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【京都幕間旅情】因幡薬師平等寺,京都市内中心部ビジネス街に佇む大病平癒のぞむ町衆の願い

2020-01-22 20:19:25 | 写真
■建保木造釈迦如来立像を拝む
 京都市内の散策は、何処其処に云々の講釈抜きに先ず散策し、いっそ迷ってでも歩みをすすめ、そして知る歴史の縁と妙を愉しむ事が街歩きの一つの極意かもしれません。

 因幡薬師平等寺、下京区松原通烏丸東入ル上ル因幡堂町に所在する寺院です。寺社仏閣溢れるという印象の京都ですが、下京区松原通烏丸までやってきますと電気街とビジネス街の狭間に住宅街、という印象ですが散歩していますと仏光寺始め寺院もやはり数多い。

 洛陽三十三所観音霊場27番札所であり、京都十三仏霊場7番札所且つ、京都十二薬師霊場1番札所という。どう行くのか、と問われますと仏光寺通りを烏丸通へ散策していまして洛陽三十三所観音霊場札所があると聞き、歩みを進めたという、文字通り街中の札所ですね。

 京都は寺社仏閣の街、そんな先入観がありますが、平安遷都は元々南都平城京の仏教勢力政治介入を厭い長岡京等を経て京都へ至った経緯に見られるように、元々京都は東寺と失われた西寺のみが官寺として在ったのですが貴族の持仏堂と町の辻堂は認められています。

 癌封じの寺院として知られていまして、毎年一千もの祈祷が行われるとも。宗教で医療を置き換える荒唐無稽な集金民間療法とは異なり、現代医学と仏教連携を重視していまして講演会等を通じ、現代医療へ向き合う際に患者が最後まで希望と意志を失わぬよう説く。

 橘行平は因幡薬師平等寺開山、少将で大納言橘好古の孫に当ります。長徳年間の997年まで因幡国司の大任を果たした橘行平、しかしいざ帰京と任期を終える過渡期に重い熱病に置かされ、その夢枕のお告げに従い部下に因幡賀露津の浪間を探させると、漂流物が。

 山城名勝志因幡堂縁起によりますと、因幡薬師とは、夢枕のお告げに天竺より賀露津に流れ着いたものが有るとの事で、部下に命じ此れを引き上げるとそれは流木などではなく等身薬師如来像であったという、そして等身薬師如来像と共に熱病は平癒し帰京成った、と。

 長保年間の西暦1003年、橘行平の邸宅、即ち今日の因幡薬師平等寺この場所に等身薬師如来像が辿り着きまして、持仏堂を建立する事となります。山城名勝志には薬師如来像自ら飛んできたとあるようですが、国司治世を慕う賀露津の領民が運んだ、という事でしょう。

 等身薬師如来像はこうして御本尊として持仏堂に安置されたのがここ因幡薬師平等寺の始まりとされます。賀露津の御本尊と伝わる木造薬師如来立像と鎌倉初期の建保木造釈迦如来立像に木造如意輪観音坐像が安置されており、共に国指定重要文化財となっています。

 辻堂へ、と転じたのは持仏堂として安置した等身薬師如来像の御利益が広く町衆の信仰を集めた為と云いまして、成程平安朝末期には天候不順の飢饉に栄養状態の悪い厳しい環境に当時は鴨川の堤防も無き時代故に多少の大雨が洛中を泥で覆う、病平癒は重要でした。

 高倉天皇治世下の承安元年即ち1171年、辻堂として町衆の信仰を集めた木造如意輪観音坐像は朝廷が知るところとなり、高倉天皇により平等寺の山号が下賜される事となりまして、今日では嵯峨釈迦堂釈迦如来と信濃善光寺阿弥陀如来と併せ日本三如来と崇敬を集めます。

 明治初期の本堂に建保木造釈迦如来立像始め御本尊は祀られています。実は街中の立地にあり、この平等寺は度々火災被害に見舞われてきました。幸い御本尊はその都度僧侶門徒らの尽力にて難を逃れ、本堂は維新動乱の焼失を最後に明治初期の本堂を維持しています。

 癌封じの寺院、考えてみれば戦争も昭和の敗戦から平成年間全てと令和時代まで平和な時代が続き、交通事故さえも最盛期よりはるか少なく、残るは癌等病魔のみ、市内の京都大学ではIPS細胞研究も進む、そんな時代の科学と魂の不可分性を考える探訪となりました。

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