北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

令和三年度五月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2021.05.01-2021.05.05)

2021-04-30 20:01:10 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 下志津駐屯地にて例年ならば高射学校祭が行われる季節ですが今週末も自衛隊関連行事は行われません、そして緊急事態宣言は継続中となっています。

 ゴールデンウィークがいよいよ始まる、というところではありますが、やはり現在のCOVID-19感染状況は予断を許さない状況が継続しており、今年のゴールでンウィークもまたステイホームウィーク、というところでしょうか。ただ、ステイホームとはいえ多少の買い物はでき、また観光地も閉鎖はされていません、ここまでの自粛の成果といえます。

 自衛隊行事は行われませんが、COVID-19の感染はこのままでは一年間延期された東京五輪が開催不可能となる可能性も出てきています。開催都市は中止となった場合にIOCが受け取る放映権料の立て替えや膨大なスポンサーからの出資金返還などが求められる事となりますが、感染拡大と大会に必要な医療ボランティア確保の難しさ、非常に深刻といえる。

 大阪府は高齢者の入院優先順位を下げざるを得ない、大阪府の医師資格を持つ幹部が4月19日、府内の保健所に宛てて送信したメールがNHKなどで報じられ大きな話題となっています。府内の医療逼迫度が限界を超えており、この現実を受けてのメールですが、大阪府は誤解を招くような表現であるとして、謝罪し29日に撤回しました。撤回はした、と。

 高齢者優先度引き下げ、撤回はしましたが、これで大阪府内の病床が増えるわけではありません、現実問題として重症者病棟は満床状況を大きく越えた状況が継続しており、すでに緊急を要しない手術の延期を要請する状況ではありますが、緊急性を要しない手術は初期白内障など限られたもので、医療逼迫度合いが危機的に高い状況は変わりがありません。

 東京都は緊急事態宣言発令とともに、先行して実施された、まん延等防止重点措置の暫定検証を発表、第二回の緊急事態宣言下では感染状況は沈静化していますが、まん延等防止重点措置下では下げ止まりさえなく拡大傾向となり、また4月28日までの期間では若年層の拡大が顕著、数字として20代と30代の感染者は全体の47.8%に達したとのことでした。

 COVID-19、イギリス変異ウィルス、南アフリカ変異ウィルス、この日本国内での感染拡大が続いていますが、現在インドでは危機的な新しい変異ウィルスが発生しています、それは暫定的研究結果で、イギリス変異ウィルスの特色である高い感染力、南アフリカ変異ウィルスの特色である若い世代への感染力が増大した、両方の危険な特色を併せ持つという。

 感染を日本はなんとしても抑えなければ大変なことになる、ドイツでは十万人あたりの感染者数が100名を越える状況が六日続いた場合に強い制限措置を執る、こうした方針ですが、これは京都に例えれば毎日2300名の感染者が一週間近く続く状況、大阪府ですと8800名となる、ここまで増えれば制御不能、だからこそドイツは一年以上閉鎖措置影響が続く。

 人口比ではありませんが、インドは一日あたりの感染者数が38万6452名に達してしまい、一日あたりの死者数も3498名となっています。これを受け日本からは人工呼吸器や医療用酸素生成装置など数百を緊急援助として送る方針を加藤官房長官が発表しましたが、制御不能となった場合は簡単に十万が死に軌道修正できないのが、このCOVID-19の特徴です。

 若年層への感染は日本でも問題となっていますが、ブラジルでは若年層の死亡率が2021年に入って1000%に急増しており、重症者病床満杯はもちろん一般病床さえも入れず、死者数は遂に40万の大台を越えてしまいました。日本は高齢化もすすみ、感染の抑え故に遅れた確保でワクチン接種が遅れています、なんとかここで踏みとどまらねばなりません。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・今週末の行事なし

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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【京都幕間旅情】平野神社の平野桜,コロナ禍下の二十二社上七社は台風被害修復進む拝殿と桜

2021-04-29 20:03:21 | 写真
■今年も来年も美しく咲く平野桜
 春は曙そして桜、2020年の春はCOVID-19の脅威度情報収集中故に慎重な春でしたが、2021年はなんとか脅威度の全容と対処法が朧に見えてきまして警戒しつつ観桜へ。

 平野神社の桜が今年も満開でした。COVID-19の第四波が日本を狙う昨今、やはりといいますか、平野神社名物の出店などは総退去というコロナ時代の風情でした、賑やか過ぎない観桜を嗜む事が出来る、歴史が千年ほど戻ったような不思議な情感がひろがりました。

 今木皇大神を主神としまして、久度大神と古開大神と比売大神とを祀ります社殿は、京都市北区平野宮本町、西大路通りに面した大学と住宅と神社仏閣が並ぶ一角に静かに佇んでいます。ここは平野の夜桜、日本における観桜発祥の地とされ、桜並木はなにより美しい。

 天変地異といえば日本の専売特許、日本が防衛外交の情報分析には外交の善意と悪意の混合や歴史と文化の知己が織りなす深慮遠謀の観察と分析が、まだまだ不得手ではありますが、相手に悪意の無い災害となりますと、もはや危機管理は専売特許、さて次の手は、と。

 コロナ時代は、なにしろCOVID-19の病魔よりもワクチンの副作用の方を懸念する程に感染拡大を抑えていますので、それでも副作用込みでワクチン緊急認可を急いでいれば、と一手読み違えた口惜しさはありますが、各国の戦時下に対し日本は未だ平時、と安心する。

 台風と巨大地震、思い起こせばこの2021年という年はあの東日本大震災から丁度10年という節目の年ですが、忘れてはならないのが平成最後の巨大台風といえる平成30年台風第21号、大阪を中心西日本全域に甚大な被害を及ぼした最大です。平野神社も例外でない。

 拝殿の修復が漸く完成しようとしています、2018年の平成30年台風第21号、暴風により倒壊した拝殿の修復です。この拝殿は慶安3年こと西暦1650年、東福門院徳川和子の寄進によって創建されたものですので、物凄い暴風でしたが、まさか倒壊するとは、と驚く。

 二十二社上七社、平安朝の頃より国家に危急存亡の危機が迫る際に勅使の勅令を以て国家鎮護の祈祷を行う歴史があります。その社殿は二十二社註式に記されていまして上七社は、太神宮こと神宮伊勢神宮は三重県伊勢市に、石清水こと石清水八幡宮は京都府八幡市に。

 上七社は京都周辺を護るように配置されていまして、賀茂こと賀茂別雷神社は上賀茂神社京都府京都市北区へ、賀茂こと賀茂御祖神社下鴨神社が京都府京都市左京区に、松尾こと松尾大社が京都府京都市西京区に、そして平埜ことこの平野神社が京都府京都市北区、と。

 稲荷こと伏見稲荷大社は京都府京都市伏見区に鎮座していまして、春日こと春日大社は上七社にあって唯一現在は府外となります奈良県奈良市に鎮座しています。神社について10世紀初期に記した延喜式神名帳のものを更に高い格式としたものが二十二社上七社という。

 COVID-19のコロナ禍下だからこそ、上七社に祈りたい、という程ではないのかもしれませんが、あの平成30年台風第21号により倒壊した拝殿が、このCOVID-19のコロナ禍下にあっても再建が順調に進む情景は、なにかこう、復興の力強さを感じさせるものですね。

 第四波のCOVID-19コロナ禍下、実のところ世界を見渡しますとCOVID-19コロナ禍下に感染対策の成功を自称する各国はその直後に虚を突かれ大打撃に見舞われる例外なき状況故に、日本のCOVID-19コロナ対策もまだまだ及第点というところですが、及第点でよい。

 平野神社の桜が今年も満開でした、桜並木を眺めるにはまだまだ第四波のCOVID-19コロナ禍下に慎重であるべきではあると思い、致死率2%という危険な感染症の広がりを前に、報道に見る繁華街の喧騒は若干憂慮するものがあるのですが、桜はまた来年も咲くのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】二条城桜花,令和平成耐震補強工事前の二の丸御殿と京都襲った文政京都地震

2021-04-28 20:00:38 | 写真
■さくら満開の二条城登城
 さくらの季節、二条城は堀川通りから眺めても美しいのですが登城しますと更に美しいのは当然でしょうね。

 二条城、桜の季節には二条城の周囲を散策する事はとても楽しい発見の連続なのですが、昨今はCOVID-19により二条城はその城内も閑散、とまではいきませんがかなり人出は、それこそ2000年代初頭の水準まで落ち着いていましてゆっくりと散策を愉しむ事が出来る。

 耐震工事進む二条城、本丸御殿は2023年に耐震工事完了となりますのでもう少しとなっていますが、二の丸御殿の耐震工事が2024年にも開始されますので、まだ時間はあるのですけれども歴史情緒をゆったりと眺めるには、今の閑散期というコロナ禍下が時機なのやも。

 阪神大震災、1995年に神戸市を襲った巨大地震は、実はここ京都にも影響を及ぼしていまして2007年の耐震診断の結果、思いのほか広範囲に被害が及んだ事から倒壊を避ける為には耐震補強工事の必要性が指摘され、順次工事を実施してきました。ここでも間もなく。

 東日本大震災から10年となりますこの2021年ですが、忘れてはならないのは日本列島の人口密集地は、都市が河川の水利とともに発達しており、その河川が火山性地形のにほんでゃほぼ定期的に動く活断層上に形成される為、大都市ほど活断層に近いという現実です。

 1830年8月19日、当時の年号では文政13年7月2日となりますが、実はここ二条城を筆頭に京都が大打撃を受ける巨大地震が発生しています。歴史地震の一つであり、当時に地学研究は幕府も陰陽師もやっていませんので未だ研究中ですが、直下型地震がありました。

 文政京都地震。この直下型地震はマグニチュード6.5前後と出師区されていまして、京都府の亀岡付近の断層が引き起こしたものと考えられています。もっとも、研究途上であり、亀岡周辺が震源というに神護寺や愛宕神社の被害が少なく、分らない事が多い地震という。

 亀岡断層あるいは神吉越畑断層とする説、亀岡盆地北東部の活断層を原因とする説、京都西山断層群と三峠断層群が連動して局地的な激震を引き起こした説、亀岡の被害状況から逆に愛宕山周辺を震源とする説など、あるようですが、西日本もこの通り活断層は多い。

 二条城や御所では石垣や堀塀が倒壊する被害がありまして、興正寺、北野天満宮などにも被害、また町人の下町では土蔵に被害が集中したと所司代に記録されているとともに、被害は周辺部の伏見、宇治、淀にも達しています。神泉苑の軟弱地形にあった二条城は特に。

 神泉苑は元々の京都の水源で有りまして二条城の掘割はこの水利を利用しているのですが、同時にここは軟弱地形である事の証左でもあり、局所的に被害が集中する事となりまして石垣の崩壊、櫓や門と土塀の倒壊が相次いだと記録されています、過去に在ったのですね。

 二ノ丸御殿や遠待は部分的な損壊に留まったといい、これは言い換えれば頑強な建築物は軟弱地形にも耐えうることを証明したに他ならないのですが、被害拡大の背景には天明の大火の影響もあるのだという。天明8年1月30日こと1788年3月7日に発生したもの。

 天明の大火は京都市1967町の1424町が焼失し、焼失家屋3万6797、焼失世帯6万5340、焼失寺院201、焼失神社37という、応仁の乱を上回る大火災となりました。これにより京都市内は瓦屋根による防火対策が徹底され、建物が重くなり、耐震性が低下したのですね。

 摩耶水害受け屋根を頑丈にした神戸の街並みが阪神大震災に軒並み破壊された事と重なりますが、その阪神大震災を契機とする二条城修理、唐門は完了していますが、二の丸御殿の耐震補強が本格化します、綺麗になるのは楽しみですが、その前に見ておきたいですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【防衛情報】ベルV-280評価試験とUH-72B配備開始,15式軽戦車とASCOD軽戦車砲塔採用

2021-04-27 20:13:25 | インポート
■週報:世界の防衛,最新13論点
 今回はヘリコプター等の話題と軽装甲車や軽戦車の話題を中心に13の最新情報を観てゆきましょう。

 アメリカ陸軍FLRAA長距離強襲機計画に基づくベルV-280可動翼機試作機試験は発着試験から機動性評価試験へ前進したとのことです。ベルV-280ヴェイロー可動翼機はアメリカ陸軍で大量に運用されるUH-60ブラックホーク多用途ヘリコプターの後継機を目指し2019年に初飛行した機体で2020年末までに試作機は200時間の飛行試験を完了しました。

 V-280は巡航速度520km/h、これは280ノットを示しV-280の由来となっています。航続距離は3900kmでアメリカ陸軍では2030年から配備開始を予定しています。海兵隊のMV-22オスプレイに対し、主翼の格納等の条件を緩和し取得費用を抑えているのが特色で、しかし高速性能は匍匐飛行等の機動性に条件を課すことから、この試験が始まったのです。
■UH-72Bラコタ配備開始
 UH-72Bラコタは小型で最前線での運用よりは支援用ではあるもののアメリカがUH-1Hの後継に選定したもの。

 アメリカ陸軍州兵は最新型のUH-72Bラコタ小型多用途ヘリコプターの受領を開始しました。最初の受領は21機となっており、州兵航空部隊の近代化を更に進める計画です。UH-72B小型多用途ヘリコプターはUH-1H多用途ヘリコプターの後継機として配備が進むUH-72A小型多用途ヘリコプターに続いて導入されるエアバス製のヘリコプターです。

 UH-72Bの前型であるUH-72Aはミシシッピ州コロンバスで製造されるユーロコプターEC-145ヘリコプターの軍用型で、LUH軽量ヘリコプター計画として導入されたもので、2020年9月に463号機が納入され生産終了となりました。UH-72Aと比較しUH-72Bは回転翼が四枚から五枚となり、またテイルローターが従来型から一体型へ転換しています。
■IM-SHORADストライカー
 IM-SHORADストライカーは既存装輪装甲車に詰め込めるだけ色々なものを詰め込んだもの。

 アメリカ陸軍は2021年1月22日、IM-SHORADストライカー統合兵器プラットフォームシステムに関してエネラルダイナミクス社とレオナルド社との間で6億ドルの契約を締結しました。ストライカー装甲車の派生型、当面は28両が初期教育所要として納入され、アメリカ陸軍における地上戦闘や戦術体系などを大きく変えるものとなるかもしれません。

 IM-SHORADストライカー統合兵器プラットフォームシステムはXM914/30mm機関銃とM-240/7.62mm機関銃及びスティンガーミサイル四連装発射装置と二発のロングボウヘルファイアを搭載、MHR多機能型レーダー装置を搭載します。このMHR多機能型レーダーは敵味方識別装置と連接し、無人機や航空機及び地上車輛に対する火力戦闘を実施します。
■中国人民解放軍15式軽戦車
 15式軽戦車は軽戦車とはいうものの重量は61式戦車と74式戦車の中間あたりで、近年の戦車重量化は軽戦車にも及ぶ模様だ。

 中国人民解放軍は山岳専用に開発された15式軽戦車の新規量産分を取得した、1月31日に新疆ウイグル自治区において撮影したという、その訓練の様子を中国中央テレビCCTVが報じた。15式軽戦車は標高4000m以上の山岳地域での運用を念頭に開発された新型戦車で、軽戦車として軽量に収めている背景には山間部での地盤脆弱性適合を考慮したため。

 15式軽戦車は戦闘重量36t、これは山岳戦用に維持されていた62式軽戦車と同程度であり、近代化改修の限界を超えている62式軽戦車を置換える為の開発と読み取れる、主砲は105mm戦車砲で99式戦車や96式戦車と比較し、過給装置の容量を強化することで酸素濃度の低い地域での運用を念頭としている。15式軽戦車は中印国境等に重点配備されている。
■エルビットシステム社軽戦車
 主力戦車の巨大化と重厚化により主力戦車を安易に保有できない諸国へエルビットシステム社の提案です。

 イスラエルのエルビットシステム社は国名非開示のアジア太平洋地域某国へ軽戦車販売契約を1億7200万ドルで締結したと発表しました。アジア太平洋地域では、いまだにM-41戦車を運用する台湾とタイ、軽戦車導入計画を進めているフィリピンなどが考えられますが、特にフィリピンはイスラエルより軽戦車砲塔導入の交渉を進めていた事で知られます。

 サブラ-ASCOD,イスラエルはスペインとオーストリア共同開発のASCOD装甲戦闘車車体へ105mm砲塔を搭載し電子光学照準器及び射撃統制システム、TORCH-XTM戦闘管理システムとE-LynXTM無線システムを一体化させた軽戦車を提案しており、このサブラ砲塔システムはオーストリア製パンドゥール2装輪装甲車にも搭載する事が可能だとしています。
■CV-90装甲戦闘車新型砲塔
 オランダ軍の話題です、欧州共通装甲戦闘車というべきCV-90装甲戦闘車が近代化改修を受け砲塔を換装するとのこと。

 オランダ陸軍は現在運用中のCV-90装甲戦闘車について新型砲塔搭載に関する5億ドル規模の契約をBAEシステムズ社との間で締結しました。オランダ軍は122両のCV-90を近代化改修の対象とする計画で、新型砲塔と共に車体部分の延命改修が予定され、改修作業はBAEより提供の構成要素を、オランダ防衛調達公社により整備される計画とのこと。

 CV-90装甲戦闘車はスウェーデンのヘルグランド社が開発しましたが現在同社はBAE系列となっています。この改修により、乗員は周辺目標の発見と弾薬選定を大幅に自動化する事が可能となり、また新型砲塔は装甲防御力が強化されるとともに車体側面部分や正面部分の防御力も大幅に強化される構想です。なお、主砲は35mm機関砲のままになります。
■北朝鮮軍の軽装甲機動車型装備
 いやあ自衛隊の装備が強そうなのでパクられる時代になったのですね。

 北朝鮮軍の軽装甲機動車型新型装甲車は三菱自動車製パジェロ四輪駆動車の改造型か。これは北朝鮮軍が2020年と2021年に実施した夜間軍事パレードに日本の小松製作所が量産する軽装甲機動車と非常に類似した軽装甲機動車輛を指揮官車として参加させていますが、2021年の北朝鮮発表映像から運転装置や車体底部の形状から推測できるとのことです。

 北朝鮮がどのようにパジェロを取得したかは定かではありません、三菱自動車はパジェロの製造を終了していますし、また北朝鮮へは経済制裁により日本からパジェロを取得する事は出来ず、中国から中古車を取得したと考えられます。もし中古車由来であれば、北朝鮮製兵器についてパレードに示される性能や量産性について、新しい視点となりましょう。
■パンドゥールEVO装輪装甲車
 パンドゥール装輪装甲車といえば原型が六輪型で82式指揮通信車のような印象の装甲車でしたが。

 オーストリア軍は2021年1月、30両のパンドゥールEVO装輪装甲車を新規取得した。パンドゥールEVOは六輪式の装輪装甲車でパンドゥール2の八輪型を六輪型としたもの、1980年代に大量配備されたパンドゥール1装輪装甲車の改良型に当り、原型パンドゥール装甲車はオーストリアのステアーダイムラープフ社により1979年に開発されたものです。

 今回のパンドゥールEVOはパンドゥール2の高価な車体、砲塔搭載などを前提とした車体の廉価版に当り、砲塔搭載などは重量制限が厳しいもののコンパクトな車体設計に11名の兵員輸送能力を付与、1979年の原型設計当時には想定されていなかった新しい脅威、簡易爆発物IEDへの防御力を有しており、オーストリアは更に64両の増強を軽悪しています。
■M-109自走砲近代化改修
 M-109A6自走榴弾砲の継続的な近代化改修の話題ですが、もともとM-109は1960年代の装備です故いつまで使うのでしょうか。

 アメリカ陸軍ではM-109A6自走榴弾砲の継続的な近代化改修評価試験がすすめられている。既に方針を改良したM-109A7への更新も開始されるが、並行して既存型のM-109A6の改良も継続されるとのこと。一方、M-109A7への改修は大量生産され部品単位で保管されているM-109の改良に留まらず、車両構成部品の一部を新造部品により置換えるという。

 M-109A7は車体部分を従来のM-109から汎用装甲車共通車両に応用されるM-2ブラッドレー装甲戦闘車車体部分の新造車体構造に置換えるとともに、砲身を除く基部等は既存火砲をそのまま応用することで、車体寿命を延伸すると共に第一線での運用能力を維持するとされます。M-109は基本設計が1962年と古いものの、改修を重ねて今日に至ります。
■ウクライナ装甲ハンヴィー取得
 装甲ハンヴィーというと装甲防御力が限界もある故にMRAPが開発されている印象ではあるのですが。

 ウクライナ軍はアメリカから新たにM-1151装甲ハンヴィー20両を追加調達すると発表しました、これは2020年12月にアメリカのトランプ政権との間で締結した防衛装備品契約に基づくもので、ウクライナ軍では多数の旧ソ連製重装備などを維持していますが、M-1151装甲ハンヴィーについては陸軍特別機動部隊へ配備し、機動運用に充てる構想です。

 ウクライナ軍ではこれにより100両以上のハンヴィーを導入する事となります。ただ、ウクライナ東部紛争では開戦緒戦に際しロシアからの非正規部隊浸透が指摘されており、M-1151はこうした状況に際しては非常に有用ではあると考えられますが、重戦力を維持するロシア軍と対峙するウクライナ軍には充分な装甲車とは言い難い実情もあるのでしょう。
■ドイツ軍イヴェコ製トラック
 イヴェコのトラックをドイツ軍が導入するとの事でMAN社製トラックを先日大量取得したばかり、ドイツ軍はいまトラックがブームだ。

 ドイツ軍はイタリアのイヴェコディフェンスビーグル社より1048両のトラッカーシリーズトラックを調達する方針を示しました。これは2021年1月から本格化する防衛装備品調達交渉の一環で、イヴェコ社は欧州連合EURO-6環境排出規制適合規格で、ドイツ連邦軍が必要な簡易爆発物IED防護構造キャビンを有する軍用トラックを多数生産しています。

 イヴェコトラッカーシリーズ。ドイツ国内にはMAN社をはじめとして多くのトラックメーカーが存在しますが、IED対策構造ではイヴェコ社の方が先進的な設計と実績を有しており、今回この部分が反映されているとのこと。ドイツ連邦軍ではドイツ製を始め連邦軍の旧式化したトラック刷新を進めており、最初に八輪型の224両が納入される方針です。
■チベット用新型全地形車両
 新型全地形車両を人民解放軍が配備を開始したもようで、この種の装備は山間部と峻険地形の多い自衛隊にも必要だと思うのですが。

 中国人民解放軍はチベット地域での作戦用に新型全地形車両の調達を開始したとのこと。これは中国のオーディナンスインダストリーサイエンステクノロジー誌が伝えたもので、全地形車両の先駆者であるスウェーデン製BV-204,BV-206と同じ形式の連接型車体を採用し、人民解放軍配備車輛では前部分に人員と機関部、後半部に開放型荷物室を持つ配置に。

 全地形車両は標高5000m以上の山岳地域において歩兵支援用に用いるもので、オーディナンスインダストリーサイエンステクノロジー誌によれば、山岳歩兵部隊へ飲料水や携行食料などを輸送する訓練支援を実施しているようです。この種の車両は2020年代に入り、アメリカ陸軍でも採用の動きがある等、新しい局地戦に対応する動きが潮流となりつつある。
■タイがLG-1-Mk3榴弾砲取得
 日本では野砲といえば155mmに統一しましたが105mm榴弾砲はかなり軽量な榴弾砲であり維持している国も多い。

 タイ陸軍はフランスネクスター社製LG-1-Mk3/105mm榴弾砲12門を新たに導入する計画を発表しました。タイ陸軍には前型にあたるフランスネクスター社製LG-1-Mk2/105mm榴弾砲24門を装備しており、純粋にこの増勢に充てられる砲身です。LG-1-Mk3/105mmはLG-1-Mk2/105mmと比較し新型砲弾に対応し、標定装置等が自動化されています。

 LG-1-Mk3/105mmは30口径砲身を採用、NATO標準弾薬各種に対応しており、その射程はUSM-1通常榴弾を用いた場合の射程は11km、ネクスター拡張弾薬を用いた場合の射程は17kmとされており105mm榴弾砲としては比較的長い射程を発揮します。タイ陸軍では軽量な105mm榴弾砲を耐爆車両に牽引させる事で第一線での運用を行っています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【防衛情報】第四世代戦車の展望,レオパルド2トロフィー搭載とEMBT-ASCALON将来戦車砲

2021-04-26 20:02:18 | 先端軍事テクノロジー
■特報:世界の防衛,最新論点
 第三世代戦車に続く第四世代戦車はどうなるのか、今回は将来戦車の在り方へ試金石となる新動向を見てみましょう。

 戦車について、世界は冷戦時代後期に開発した第三世代戦車が、いまだ防御力強化などの改修を重ねつつそのままであり、M-1戦車やレオパルド2主力戦車は基本設計が四十年以上そのまま、改修を積み重ね重量だけが増大するという状況にあります。しかしドイツなどはフランスと将来戦車模索を始めています。さて、第四世代戦車はどうなるのでしょう。

 第四世代戦車、恐らく大口径戦車砲と複合装甲に高出力エンジンという定義はそのままであると考えます、更なる重装甲化が進む可能性はありますが70tの現状で戦車は重量過大、戦車砲も140mmは威力過大かもしれません。ただ、新たな世代の定義として、アクティヴ防御システムの採用、電子光学情報と複合監視装置、この二つが加わるのかもしれません。

 ドイツ連邦軍はイスラエルのラファエルアドバンスシステムズ社より戦車用トロフィーアクティヴ防御システムに関する導入計画を進めているとの事です。トロフィーアクティヴ防御システムは対戦車ミサイルやRPG対戦車擲弾等に対しミリ波レーダーを用い感知、即座に小型指向性散弾等の対応手段を投じ脅威の戦車到達前に撃破するという新装甲です。

 トロフィーアクティヴ防御システムは擲弾の他に中和バブルという周辺歩兵へ配慮した対処も出来、更に脅威対象を撃破すると共にミサイルや擲弾の飛来方向を検知標定可能で、搭載するサムソン30RWS遠隔操作銃搭を連動させる事で自動的にミサイル発射地域へ機銃弾による弾幕を張り、次弾発射を妨害すると共に対戦車兵を無力化する事が可能です。

 対戦車ミサイルの威力は年々、タンデム弾頭の採用などで強化されており、各国戦車は複合装甲により防御力を向上させていますが、全周に渡る複合装甲防御は不可能であり、更にミサイルは装甲車両の防御が車高を抑える為に限界とせざるを得ない上部装甲を狙うものが増えています。この為、当る前に落とす、アクティヴ防御が近年開発されています。

 上記のようなトロフィーアクティヴ防御システムと同等の戦車防御システムは我が国でも防衛装備庁が開発中ですが、対戦車ミサイルの威力が更に向上し、徘徊型弾薬という自爆無人機の脅威を目の前にしますと、装甲で耐えるという現行方式は際限ない戦車重量肥大化を招き、動けなくなります、するとアクティヴ防御システムは必須となるやもしれない。

 電子光学情報と複合監視装置、要するに戦車がAIと連動した光学監視装置やレーダーを備える等、今以上にハイテク化する、という事です。センサーは五感には敵わない、敵戦車の音を察知しエンジン駆動の匂いと変な木々や梢の揺れなどから気配を察知する、これは必要ですが、音は狙撃監視装置の様な音響解析装置で、木々の揺れはカメラで察知できる。

 戦車のハイテク化については、いまのところ実用戦車にこうした装置を搭載するものは無く、ロシアのT-14アルマータ戦車等が無人砲塔化を実現している事から五感に代わるセンサーを有しているのではないか、という範疇です。ただ、装甲戦闘車ですと、ドイツのプーマ装甲戦闘車の電子化にこうした兆候が見られるのですね、技術が五感に追いつくのか。

 ドイツ連邦軍はプーマ装甲戦闘車に適合するIdZ-ES将来装甲擲弾兵戦闘システムの完成を宣言しました。連邦軍のアルフォンスマイス中将によれば、システム装甲擲弾兵とも称されるIdZ-ES将来装甲擲弾兵戦闘システムはデジタル無線通信により各プーマ装甲戦闘車と歩兵用携帯端末とを結び、必要な情報を共有し戦闘を効率化させる事が可能という。

 プーマ装甲戦闘車そのものにもデジタル無線通信能力が付与されると共に各員が装備する個人用通信端末の充電なども想定しており、2021年2月よりドイツ北部のリューネブルガーハイトのベルゲン演習場において3週間にわたる総合評価試験を実施、この試験が高評価を以て完了した為、IdZ-ES将来装甲擲弾兵戦闘システムの完成を宣言に至ったとのこと。

 ドイツ連邦軍はNATO即応部隊へ提供する高高度即応統合任務部隊VJTF2023についてプーマ装甲戦闘車とIdZ-ES将来装甲擲弾兵戦闘システムを参加させる方針です。VJTF対応型プーマIFVは40両で一個大隊を構成、MELLS対戦車ミサイルやC4I装備を保有するとの事です。また高度なセンサーを搭載したプーマは複数のカメラを分散配置しています。

 VJTF対応型プーマIFVは、従来のドイツ製装甲車両が外部視察にペリスコープを用いていたのに対し、熱線暗視装置と光学カメラを一体化させた外部センサーを搭載する事で、車長や砲手と操縦手はペリスコープではなく、カメラ映像を車内において表示させる方式へ転換しており、これは将来、プーマ装甲戦闘車の無人運用へ可能性を拓いたと云えます。

 140mm戦車砲弾は威力過大かも知れない、こう前述しましたが、一方で2050年代の戦車防御力向上を考えた倍、120mm戦車砲では威力不足となる可能性もある、そこで従来の技術常識に140mm砲は巨大すぎて戦車砲に搭載出来ない、という常識を、極めて小型の大口径機関砲として開発された40mmCTA機関砲技術を戦車砲に応用する動きが、あるもよう。

 フランスのネクスター社はASCALONコンセプトとしてEMBT独仏共同開発戦車用に画期的なテレスコープ弾方式の140mm級大口径戦車砲及び弾薬システムの研究を発表しました。ASCALONコンセプトは2030年代に開発されるEMBT戦車へ2040年代から2050年代までに物理的に想定される重装甲の戦車脅威へ対抗する現実的な戦車砲の開発です。

 ASCALONコンセプト、これは日本の10式戦車用135mm戦車砲やレオパルド2戦車用140mm戦車砲等が過去に開発されているものの、弾薬の大型化や巨大な反動から50t乃至60t台の車体へ搭載する事が現実的ではなく70tや80t台まで戦車が巨大化する為、現実的ではないとされてきました。ASCALONコンセプトは小型化で50t台の戦車へ搭載可能に。

 EMBT独仏共同開発戦車は、レオパルド2戦車及びルクレルク戦車の後継を目指す戦車ですが、1979年に試作車が完成したレオパルド2と同様にEMBTも将来に渡り半世紀近い運用が見込まれます、その為には将来にわたる強力な敵戦車の装甲を貫徹する必要があり、実用的な戦車砲は120mm級まで、という現代の常識を打ち破ろうとする挑戦の一つです。

 第三世代戦車は、複合装甲と120mm級戦車砲に1000hp以上のエンジン、こうした定義が成立ちましたが、2030年代以降に開発される第四世代戦車はアクティヴ装甲による化学エネルギー弾やミサイルの無力化、AI利用等戦車乗員補助機能の強化と自動化、140mm級戦車砲の実用化と重量維持の両立、こうした技術が、その条件定義となるのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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潜水艦救難任務にC-2輸送機&US-2救難飛行艇活用を【1】インドネシア潜水艦ナンガラ遭難

2021-04-25 20:18:32 | 防衛・安全保障
■日本の救難艦派遣は間に合わず
 潜水艦の事故は恐ろしいものです。二月に発生した潜水艦そうりゅう衝突事故は潜舵破損という修理可能なものでしたが4月21日にインドネシア潜水艦の事故が発生しました。

 潜水艦救難事案に際し、航空機を活用することは出来ないでしょうか。こういうのは21日、インドネシア海軍潜水艦ナンガラが消息不明となる事案が発生したのに際し、一応訓練水準では世界最高峰の水準にある海上自衛隊へ捜索協力要請がでなかった為です。もちろん現場まで間に合わないことは自明でしたが、対岸の火事には思えない事故といえます。

 航空自衛隊のC-2輸送機に搭載可能な小型のDSRV深海潜水艦救難艇を開発するとか、これが不可能であれば海上自衛隊のUS-2救難飛行艇に搭載可能なROV無人潜水艇を開発し、兎に角DSRVを搭載した潜水艦救難艦が到着するまでに事故潜水艦の位置だけでも標定しておくというような、航空機の速度を活かした潜水艦救難の装備開発が必要であると思う。

 インドネシア潜水艦ナンガラ、バリ島沖で消息を絶った事案では潜水艦内部の部品や備品と思われるものが海上で回収され、恐らく圧壊したものとおもわれます。非常に残念な出来事でしたが、耐圧隔壁の一部が無事であれば、と希望も残っておりインドネシア海軍では捜索を続行しているようです、艦内酸素は24日まで、と当初発表されていました。

 海上自衛隊は2隻の潜水艦救難艦を配備しています、実は海上自衛隊はこの種の装備着手が草創期から行われており、初の潜水艦くろしお、がアメリカ海軍から引き渡された5年後には潜水艦救難艦ふしみ、を竣工させています。また旧海軍でも工作艦朝日、戦艦朝日を改造した大型の工作艦が潜水艦救助の任務に当たっていました、この分野の先駆者です。

 多国間潜水艦救助訓練では何度も海上自衛隊が参加していますし、今回遭難したナンガラの同型艦であるドイツ設計209型潜水艦との海中での人員移譲訓練もDSRVを投入して実際に実施しています。ただ、日本から潜水艦救難艦を派遣したとして事故現場はバリ島沖、五日はかかる計算ですので、間に合わないといわれれば、確かに進出は間に合いません。

 潜水艦救難艦、速力は20ノットと支援艦としては比較的高速の部類に含まれるのですが、潜水艦事故という緊急性を考えますと、果たしてこれで十分なのか、という素朴な疑問です。もちろん、潜水艦救難艦を40ノットのウェーブピアサー船とすべき、なんていう発想ではありません、DSRVを搭載した大型艦を高速で航行させることは難しい部分も多い。

 しかし、潜水艦救難の迅速化、という必要性はあるように思います。実際問題、海上自衛隊潜水艦は潜水艦おやしお型以降、そうりゅう型、たいげい型と大型化を進めており、潜水艦行動範囲は大型化にあわせて広域化しています。航続距離は友好国オーストラリアやインドまで充分含まれ、この点、現実的に事故の危険性もこの海域で皆無ではないのです。

 US-2救難飛行艇にROV無人潜水艇を搭載し、潜水艦事故が発生した場合には潜水艦救難艦に先行して現場海域へUS-2が着水、対潜飛行艇PS-1は動き回る潜水艦の捕捉へ技術的問題から早期に運用を終了していますが、概ねの海域が絞り込まれた状況であれば潜水艦救難艦到着前に標定やロボットアームによる支援、こうした運用は考えられるでしょう。

 DSRV,アメリカ海軍などはDSRVをそのままC-5戦略輸送機に搭載し事故現場近くの飛行場まで輸送し、飛行場からトレーラーを用いて港湾に進出、救難艦や潜水艦にDSRVを載せ替えて事故現場に向かうという、世界を舞台に行動するアメリカ海軍ならではの運用です。もっともC-2輸送機には現行のDSRVは40t以上もあり巨大、搭載不可能ではある。

 海上自衛隊が装備するDSRVは水深2000m程度までは潜航可能です、具体的に潜航深度は公表されていませんが潜水艦を発見する無人潜水艇ROVが2000mまで潜れるものとなっており、ROVが発見した潜水艦を救助する能力がDSRVにはあると説明されていることから逆算できます。ただオーストラリアのLR-5のように数百m程度の小型のものも世界には存在する。

 C-2輸送機の格納庫は全長15.7mと全高4.0mに幅4.0mで最大搭載能力は36tです、するとオーストラリアが開発したLR-5-DSRVであれば潜航深度は650mと重量24tで全長9.6m、全幅3.2mと全高2.7mですので、C-2輸送機に搭載出来、また16名を救助可能です。もっとも国産DSRVも大きさではC-2に搭載出来る為、軽量型が出来れば、とも。

 潜水艦事故は必ず深海で発生するものではありません、もちろん水深が浅い海域であればスタンキーフードという脱出救命器具が潜水艦にも搭載されているのですが、C-2輸送機の最大搭載能力である36tと機内容積を念頭に、空輸可能であるDSRVを潜水艦救難艦搭載用よりも潜航深度が著しく劣るものでも、即応用に開発する必要は、あるように思います。

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【京都発幕間旅情】呉海軍カレー巡り,護衛艦せとゆきビーフカレーと潜水艦せきりゅうカレー

2021-04-25 18:29:22 | グルメ
■榛名さんの総監部グルメ日誌
 海軍の街というものは不思議な伝統を紡いでるものですがグルメというものもその要諦の一つでしょう。

 江田島、東日本大震災のその年度もそうでしたし、国が困難にあろうとも有事に備えるからこそ日常を維持しているのが、練習艦隊出航です。練習艦隊の江田島基地出航、2020年も2021年もCOVID-19広がる最中に粛々としかし堂々と大海原に錨を上げてゆきました。

 海軍とグルメ、海上自衛隊とグルメ、これは中々に切り離せないものがありまして、駐屯地と演習場と自宅を往復するという概念ではなく、護衛艦や潜水艦は其処が生活の場であり任務地です、すると上陸という言葉だけでも甘美であり、また生活の場の食事も重要だ。

 榛名さんの総監部グルメ日誌、こんな感じで自衛隊の総監部所在地域を散策してみましょう。呉は江田島の練習艦隊出航に併せて幾度も探訪していますが、2020年も新型肺炎と当時呼ばれたCOVID-19コロナウィルス感染症の脅威はあるものの、散策をすこしだけ。

 せきりゅうカレー。海上自衛隊潜水艦は広大な太平洋を任務管区として長期航海という厳しい任務と運用が続いています、なにしろ潜水艦は娯楽と云えば食べる事と寝る事、故に潜水艦の食事は例外なく美味しいと云われ、毎週金曜日の海軍カレーはその頂点のひとつ。

 駅膳、ここはJR呉駅の駅ビルにあります一階の駅前食堂兼居酒屋という面持のお店で、潜水艦のカレーと気合を入れて入店しましたが、家庭的なカレーが出されていまして、ハーフサイズとフルサイズを選べます。フルーチェの小鉢が付くのも、せきりゅう伝統という。

 カキフライを、呉に来たという事で追加してみました。家庭的なカレーは何杯でも食べたくなる優しい味わいでしたが、今回はハーフサイズで。こういうのも練習艦隊出航を経て江田島から呉まで進出しましたので時刻は既に夕刻、フルサイズはまた次回ということで。

 せきりゅう、は潜水艦そうりゅう型の8番艦として2017年に竣工しました水中排水量4200tのAIP動力潜水艦です、呉市では海上自衛隊と観光協会が協力し、海軍カレースタンプラリーを実施しており、乗員協力のもとその味わいを正確に再現し提供しています。

 JR呉駅の駅膳-eki-zen、隣が呉駅改札へのエスカレータという正に駅前食堂なのですが、しかし惜しむべくは新型コロナウィルスCOVID-19感染拡大により、夏ごろに閉店してしまったという。潜水艦せきりゅう、は健在ですので何処か味わいを継承してほしいですね。

 ワインを頂きつつ、この日撮影した練習艦隊の写真を見返す、ここは駅向かいの大和温泉物語、ホテルじゃありません。呉駅とは呉線を挟んで向かい側に在りますスーパー銭湯でして、サウナもありますし食堂にカレーを提供しているところ、ホテルじゃありません。

 せとゆきビーフカレー、はつゆき型護衛艦10番艦せとゆき、現在は練習艦に転籍していまして、1980年代に12隻もの多数が建造された護衛艦はつゆき型の数少ない現用艦として活躍しています。此処の名物はしっかりと牛肉を煮込んだビーフカレー、旨みが自慢です。

 海軍カレースタンプラリーにも参加している護衛艦せとゆきカレー、溶け合う程に長時間煮込まれたビーフカレーです。そしてポテトフライが付け合せとして添えられているのも特色ですね。海上自衛隊では曹士はカレーも自分盛り付けで自由にお代わりできるという。

 呉カレースタンプラリーは30店舗が参加していまして、もちろん一日で30杯ものカレーを平らげる人は恐らくいないと思いますが幾度かに分けまして、カレー巡り、自衛艦の方か仕事か地元の方を除けば呉を探訪する方の多くは観光でしょうから、巡るのも楽しそう。

 大和温泉物語。しかしこちらも残念ながら昨年に廃業し閉店してしまったという。カレーの食堂ではなく大和温泉物語そのものが廃業してしまったといいまして、なにしろスーパー銭湯はCOVID-19の風当たりが大きな業種の一つ、ボイラーなどの維持費も実に大きい。

 懐かしの海軍カレー、こういう割には練習艦せとゆき、潜水艦せきりゅう、ともに現役ではないか、と反論があるでしょう、そうではなく練習艦や潜水艦よりも前にカレーのお店の方が無くなってしまった、という事なのですね。コロナ影響、厳しいとはいえここまで。

 広島で今何が起きているか。呉の海軍カレー、練習艦隊出航を2020年に散策しましたカレー店が二つとも閉店という。いや大和温泉物語は設備を継承した他の業者が再開したともいうのですが、改めてCOVID-19自粛機運の飲食業への大きさというものを垣間見た印象でした。

 広島へ旅へ、しかしこう云えないのが緊急事態宣言再発令直前といえるCOVID-19感染第四波の現状です、無理に旅に出ましてもし自分が無症キャリアであった場合にはお店に迷惑が掛かります、自費でPCR検査を旅行一週間前と前日に行うという選択肢はありますが。

 カレーを巡る旅、観光地には厳しい状況ですがCOVID-19変異株N-501は簡単な、つまりマスクと手洗いとアクリル板、こうした感染対策だけでは感染を防ぐ事は不可能なのですよね。もちろん、個室の料理旅館で一人孤独にグルメを、という方式ならば安全なのだが。

 美味しいお店、今は行きつけの馴染みの生活圏内のお店を全力で支えて、こう、一日の全国感染者数が二百や三百程度まで収まるまでは、感染を広げず早期首足させる為の努力こそが、実のところ外食産業と食文化を支える、遠い様で実は最短の対策なのかもしれない。

 COVID-19の感染状況下、なにしろ毎週のように自衛隊行事を撮影していました北大路機関ではなかなかに辛い状況ではあるのですが、まず感染を抑える、その上で遠出する事無く、今できる事をやろう、幸い昨年自粛の頑張りもあって出来る事は多い、こう思うのですね。

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榛名防衛備忘録:空飛ぶクルマ今度こそ実現?1940年代から軍に断られ続け三度目の正直

2021-04-24 20:21:00 | 先端軍事テクノロジー
■軍に断られ民間に売り込む
 空飛ぶクルマといいますかジープが空を飛べれば米軍に便利でパジェロが飛べれば自衛隊にも便利でしょう。つまりそういうこと。

 空飛ぶクルマ、というものが真剣に検討されているとの事ですが、航空機の歴史に多少知識がありますと、またか今度は何人騙されるのだろうか、と考える視点ともう一つは時間があらゆる費用に優先する企業経営者で、今度こそ購入できる超富裕層が一定数居るならば実現するのだろうか、という素朴な疑問です。実際問題、空飛ぶクルマは三度目の物だ。

 空飛ぶクルマ。とうとう21世紀らしくなってきた、と思われるかもしれませんが、実際は1940年代と1960年代にこうしたブームがありまして幾つか試作的なものが開発されています、1970年代以降はオイルショックとジャンボ機による旅客機運賃低減で鳴りをひそめましたが、2000年代に再検討が始り、2020年代にこれがまた民間に降りてきた構図です。

 第二次世界大戦直後、空飛ぶクルマというものが最初に真剣に開発されたのは70年以上前に遡ります。アメリカのウォーターマンアエロービル社とエアロカー社、フルトンエアーパシビアン社といった、空飛ぶクルマ専門の会社が立ち上げられています。やはり戦勝国は戦後になると強気なのか、と思われるかもしれませんが、その背景は真逆といえるもの。

 ウォーターマンアエロービル社は戦前の企業、エアロカー社とフルトンエアーパシビアン社は戦後の企業です。後者が提案した空飛ぶクルマというものは第二次大戦中に大量に製造され終戦により需要が無くなった小型機用エンジンの余剰品を何とかして売り捌こうとした苦慮の結果でもありまして、小型自動車と小型飛行機を組み合わせた形状のものです。

 エアロカー社とフルトンエアーパシビアン社の案は超小型コンパクトカーに主翼と尾翼を配置し、主翼を折畳み地上を牽引して走るものですが、航続距離は480kmで巡航速度177km/hとまあまあの性能を有していたものの、キャデラックの新車が1万ドルの時代にこちらは5万ドルと高価で見た目も超小型車という状況で全く顧客が現れませんでした。

 コンソリーデット社、新興自動車産業以外に第二次大戦中のPBY飛行艇で知られる会社はコンヴエアカーという、小型乗用車の真上に着脱式小型機を装着する空飛ぶクルマを提案しました、コンソリも戦後飛行機が売れなかった為に余剰の小型機をクルマに取り付ける方式を採りました、着脱式の小型機はそのままレンタル式で飛行場にて貸し出す方式です。

 コンヴエアカーは、クロスレーセダンというこれぞアメリカの小型車的形状で、上記新興企業の無理な超小型車よりは、小型飛行機と小型車の正に空飛ぶクルマ的形状で、高価な航空機部分をレンタル式として費用を抑える野心的な試みでしたが、立ちはだかったのは空港レンタカー会社、顧客は飛行機を借りず車を借りた為、全く売れず博物館入りします。

 1960年代、今度は空飛ぶクルマならぬ空飛ぶジープが米陸軍で検討されます、パイアセッキVZ-8エアージープとアブロカナダVZ-9アブロカーです。パイアセッキ社はフライングバナナとして知られる初期の傑作ヘリコプターH-21を開発したメーカーで自衛隊も採用しましたが、今度はジープが空を飛べれば便利だ、とアメリカ陸軍の需要が在ったのですね。

 パイアセッキVZ-8エアージープとアブロカナダVZ-9アブロカー、ジープが飛行出来れば究極の、道なき道を踏破できるオフロードカーとなります、丁度ヴェトナム戦争緒戦の時期であり湿地帯を飛行し踏破できる。アブロカナダVZ-9アブロカーは空飛ぶ円盤というもので、陸軍ではM-40/105mm無反動砲を搭載し対戦車用ジープの空飛ぶ版と考えていた。

 アブロカナダVZ-9アブロカーは、これぞ未来と云いますか空飛ぶ円盤戦車を襲撃す、という無茶苦茶な形状でしたが、円盤状のものが安定して飛行する訳が無く、VZ-8エアージープは騒音も燃費も最悪であり、ジープの隠密性という利点を完膚なきまでに省いた乗り物に乗るくらいならば、兵士たちは普通にHU-1ヘリコプターに乗りたがるのは当然でした。

 HU-1はそのままアブロカナダVZ-9アブロカーが105mm無反動砲をなんとか搭載する苦心の最中に、さっさとTOW対戦車ミサイルを搭載しAH-1コブラ対戦車ヘリコプターへと発展しました。こうして最初の空飛ぶクルマと同じく、軍隊に不採用となった空飛ぶクルマは、1970年大阪万博等で未来を思わせる乗り物として展示されるも、皆さん観るだけ。

 ARES,さて、空飛ぶジープは性能が使い物にならなかっただけですが、使い物になるならば手持ちの装備が限られる特殊部隊等は歓迎です。そして2001年アメリカ本土同時多発テロが発生し、アフガニスタンの山間部を舞台にテロとの戦いが始りますと、4000m級の山間部を徒歩で踏破するのは特殊部隊にも厳しく、三度目の空飛ぶクルマ待望論が、でる。

 ARES計画は空飛ぶジープの後釜に空飛ぶハンヴィーというべきものでアメリカ国防省高等国防研究所などが求めた計画です。しかし結局使い物にならず、普通にCH-47やMV-22で車両を輸送すれば十分という事で実現しませんでした。さて、空飛ぶクルマというものは、軍に提案し蹴られたので民間に提案する、という流れ者技術者的発想の産物といえる。

 現在の空飛ぶクルマは、このARESが目指した空飛ぶジープ現代版の空飛ぶハンヴィーが転じたものと云えますが、正直、どうしても自動車を空輸したければ民間でV-107でも購入してそのまま空輸すれば良いのですし、ヘリコプターの方が安く、空飛ぶクルマはセダン一台分の値段と称されるロビンソンR44ヘリコプターよりも高価なものとなるでしょう。

 空飛ぶクルマは、国土交通省が2021年3月に入り法整備への準備室を発足させたことで再度注目されましたが、例えば航空法適用外の高度150mに制限しない限りは確実に航空管制の影響を受け、特に日本では首都東京で、皇居や官庁街と在外公館や米軍基地と空港施設周辺を飛行する事は出来ません、その将来性、騙されないよう見守りたいものですね。

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令和三年度四月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2021.04.24-2021.04.25)

2021-04-23 20:21:19 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 自衛隊行事は今週末もありませんが逆に感染拡大を受け政府緊急事態宣言が今週末に発令されます。懐かしい千僧駐屯地祭の情景と共に最新の情報を。

 政府は、大阪府と兵庫県及び京都府と東京都の4都府県を対象とし、今月25日から来月11日にかけ、政府緊急事態宣言を発令する方針で決定しました。変異ウィルスの急激な拡大を前に阪神地区では重症者用病床が満床を超えた状況であり、変異ウィルスの特性。1.7倍の高い感染力と4.7%と比較的高い重症化率により医療崩壊の危機が生じているためです。

 第三次緊急事態宣言となる今回、その内容は前回の第二緊急事態宣言よりも第一次緊急事態宣言に近い厳しい内容です。ただ、都市封鎖ロックダウンは実子されません、基本的に外出は自由であり都道府県間の移動にも罰則はありませんし、休業要請に応じた小売店や施設に対しては協力金が毎日支給される事となっています。内容は都道府県により異なる。

 人の流れを抑制する措置、この人流抑制措置が今回の第三次緊急事態宣言の骨子です。変異ウィルスは従来ウィルスの社会的距離2mに対し4.5mの距離を確実に採る事で換気された室内では感染を防ぐ事が出来ますが、これは分り易くテニスコートに換算しますと、テニスコート一面分の面積に3名まで、となります、選手2人と審判1人、室内は厳しい。

 感染力1.7倍、この意味とはウィルスと細菌の違いを考えればわかりやすい。最近は自己繁殖しますがウィルスは人間の細胞に取りつく事で増殖が始まる、COVID-19はもともと喉の奥や鼻孔粘膜に取りつきやすく高い感染力を有していますが、変異種N501Yは既存のCOVID-19よりも粘膜細胞に取りつく細胞膜へのスパイクタンパク質の棘が1.7倍、多い。

 重症化率4.7%、感染力1.7倍、高い重症化率は21名に1名の確率で重症化、1000名感染した場合には47名が重症化する事を意味し、回復まで20日掛かる場合は感染者数の増大を抑えた場合でさえも940名の重症者用病床と隔離病棟が必要となります。重症者の定義は自発呼吸不能や意識混濁乃至意識不明、重症者用病床に入院出来ない人数は死者となる。

 東京都では、大型商業施と酒類を提供する飲食店へ休業要請、酒類を提供しない飲食店への時短営業要請を行います。全面的に実施した事業者には協力金を支給する方針であり、現在のところ大型商業施設には20万円と入居テナントへ2万円、飲食店への協力金は規模に応じて4万円から最大20万円を想定、また夜間灯火管制も行い人流を抑えるとのこと。

 京都府は、京都市で実施する飲食店への時短要請を府内の全域に広げる検討、酒類提供制限要請などを検討しています。京阪神関西三府県が連動するかたちで発令される今回の第三次緊急事態宣言ですが、極めて深刻な大阪府と兵庫県の感染状況に対して京都府は爆発的感染に先手を打つ措置であり、しかし同時に制限措置や補償措置の不確定要素は、多い。

 大阪府は、府内全域で酒類提供飲食店に休業要請、提供しない場合は2000時までの時短要請、大型商業施設について床面積合計1000平方メートル以上の施設は食料品販売区画を除き休業要請、ゴルフ練習場やバッティングセンターなどにも休業要請するとしています。また、公立図書館や路上飲酒の温床となる公園施設の封鎖は東京とともに検討されている。

 兵庫県では感染状況が厳しい神戸市始め大阪湾沿岸部と感染状況の落ち着いている日本海側都市に苦慮しているようですが現状まん延等防止重点措置では不充分であり、神戸市や阪神間の地域では、酒類提供飲食店には休業要請、それ以外は2000時まで時短要請を行い、屋外のスポーツイベントなどについては無観客での開催を求める方向で検討しています。

 COVID-19は油断さえしなければ大丈夫、これは事実なのですが不織布マスクと手指消毒だけで防げるものでもありません、変異株が先行し流行した欧州では日本の厚生労働省企画DS1区分にあたるN-80医療用マスク着用を義務化、充分対策を行っていると個人で思っても、実態は電話帳を腹に巻き銃弾飛び交う戦場に行くようなものなのかもしれません。

 デパート休業、恐らく観光地も自粛要請、GW自粛よ今年もかと反発されるかもしれませんが、天然痘ウィルスと違い自宅で自粛していれば感染する事もありません、一歩間違えれば日本国内でも十数万が短期間で死亡し数カ月で数十万が死亡する懸念がありますが、ロックダウンさえ行わない、この緩い規制でも丹念になぞる事で危機は回避できるのです。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・今週末の行事なし

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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【京都幕間旅情】二条城(元離宮二条城)桜咲く堀川通の堀川は江戸時代准総郭方式の城内の美

2021-04-22 20:01:21 | 写真
■二条城は桜並木に浮かぶ
 四月初旬までの桜の季節、歴史を感じるのにそれ程時間を掛けず出会いがあるという街角を散策してみました。

 元離宮二条城、ここは京都市中京区二条通堀川西入二条城町にあります堀川通り沿いの城郭です。京都を探訪し、気軽にその深い歴史の一端に浸りたいならば徳川家康将軍宣下の地であり、徳川慶喜大政奉還の地である二条城前を散策するのがいちばんと云える一つ。

 桜の名所というものは、京都に多い、平野神社の夜桜は観桜発祥の地と感慨深いですし、醍醐寺の桜並木は壮大に尽きる、仁和寺の遅咲きおむろ桜は可愛らしいですし、八坂神社の枝垂桜は情緒深く、清水寺の桜並木はこれぞ京都、と思う。しかし二条城もすばらしい。

 二条城は、なかなかに美しいと実感するのがこの桜の季節です。二条城城内には、戦後に進駐軍がテニスコートを設置した跡地に桜が植樹されていますが、建造物群周囲に桜は逆に僅かで、しかし堀川通りからは、こう、桜並木と調和する季節の情景は広がるのですね。

 徳川家康が慶長8年こと西暦1603年に造営した城郭はまさに江戸時代の訪れを意味する城郭であり、しかしこの周囲を巡らす掘割は元々京都に平安京造営の端緒となりました必要な水源の湧く立地であり、輪郭式平城の二条城はいわば京都の始まりの一つともいえます。

 京都は常に変化する街ですが、二条城は平安遷都に際し大内裏が造営された南東端と南の禁園である神泉苑跡の湿地帯を水源として広く造営された城郭です。織田信長と豊臣秀吉が城郭を造営した際の地とは若干離れた立地で、築城当時は人家若干疎らであったという。

 東大手門と東南隅櫓、堀川通りからは城郭の正面と象徴する櫓を望見する事が出来ます。そして桜満開の季節に散策しますと、こう城郭の構造物が花々に包まれるように浮かぶように春らしい情景が広がってゆく、花々を巡るミツバチの羽音とともに散策は趣き深い。

 天守閣は現存しません、いやもともとは複合式望楼型五重五階天守閣が1603年に造営されていまして、しかしこちらは落雷の火災であっさりと焼失します。更に続いて複合式層塔型五重五階の天守が1628年に再建されていますがこちらも焼失、天守閣は似合わないのか。

 東南隅櫓といった、小天守の風景を見ますと、なにしろ天守閣が中に無いものですからこれでよい、とも思えてくるものですね。もっとも元々京都は五重塔に七重塔が数多ある高層建造物の街でしたので、天守閣の凛とした情景も見てみたかった気がするのですけれど。

 堀川通りから眺める二条城、家康による築城当時の城郭は現在の東側半分にあたる二の丸のみであり、本丸のみで構成される単郭式城郭ですが、堀川通りも後に本丸四方を二の丸で取り囲む輪郭式城郭に発展した事で、かつてはこの地も城内であったといえるのですね。

 総郭、かの大坂城のような規模ではりませんが、大手門前に駐車場となっている広場と堀川通を隔ててここに小さな堀川が通っており、この堀川は城郭の一つの防御線として位置付けられており、一見城の外からの散策と見えますが、かつては列記とした城内でした。

 堀川、今でこそ少し幅広の水路に多少流れている情景ですが、ほんの十年前までは暗渠にそれこそ駐車場に在るような小さなU字溝が通るのみで、まさに豪雨への備えでした、が、暗渠という割には掘割の様な構造物もありまして、城郭の一部と云われれば納得したもの。

 江戸時代には西堀川通、即ち拡幅される前の堀川通はの南北に釘抜という小城門が配置され、大手門前は今のように自由に通行されることはできませんでした。こう歴史を振り返ってみますと、混雑する城内を探訪せずとも、なにかこう、感じ入るものがありますよね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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