北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

新飛行艇US-3を開発せよ!【3】国産飛行艇に代替装備なし-緊張度増す安保情勢には必要装備

2023-11-30 20:01:44 | 先端軍事テクノロジー
■毎年一機調達を前提
 US-3なんて夢みたいなと思われるかもしれませんが今まで通りUS-2を調達し続ける事の方が夢なのかもしれないという前提です。

 US-3飛行艇を開発するべきだ、この提案はより新しいものを開発して自衛隊をより強く、という安易なものではなく、結局は海洋国家という頸木を抜けられない我が国に必要不可欠である飛行艇というものを生産維持するためには、もう現在の三菱重工と川崎重工が合理性で判断しているUS-2は限界がきているという判断が背景です。

 US-2も、毎年一機、それが無理ならば中期防衛力整備計画で確実に3機、隔年を挟んででも確実にほぼ毎年を原則に調達し続けているならば、US-2はそのままの姿であり得たのかもしれません、けれども調達する側の独りよがりな合理性を押しつける調達、次の調達はいつかわからないが一括調達、では民間企業はつきあいきれません。

 US-3はUS-2の調達行政の失敗というもはや後戻りできない防衛三行もとい防衛産業からの三行半の突きつけを背景に、しかしせめて生産維持できる飛行艇、という選択肢として量産が継続されているP-1とC-2の共通部品を応用して生産を維持できる航空機として提示したもので、それはいままで通りのUS-2は膨大な予算を積まねば調達できないゆえ。

 飛行艇、問題はほかの選択肢がないということです。いいやオリョーノックWIGのような地面効果機が代案だ、とかV-22可動翼機か開発が進んでいると雑誌に書かれているV-280を自衛隊が導入できれば、雑誌に書いているセンセイガタは安いと言っているし合理的な代案だ、と主張されるのかもしれませんが、それは果たして現実的なのでしょうか。

 WIG機が実用化されない背景には予算以外の技術的問題がなければ40年間進展しない理由を見いだすことはできません、その理由は我が国がWIG機を実際に開発していない為なのかもしれませんが、それをトライアンドエラー方式で試す余裕というものは、いまの安全保障環境となにより予算面で十年単位の研究余裕がありません。即座の装備が必要だ。

 V-22については有用な選択肢かもしれませんが生産終了間近の航空機であるため、もしUS-2の後継機にV-22を考えるならばこの年内の数週間で補正予算を緊急計上し、7機から9機、予備部品を加えると1000億円でしょうか、緊急調達しなければ生産ライン閉鎖に間に合いません、V-280は先ず実用機が飛んでいない以上、比較できない。

 軽装甲機動車に89式装甲戦闘車と96式自走迫撃砲やAH-64D戦闘ヘリコプターとUH-1J多用途ヘリコプターやOH-1観測ヘリコプター、我が国防衛調達は、政府が防衛産業に仕事を下賜するのだからありがたく思っていつでも製造しろ、という殿様目線での調達計画が、センセいまはもう明治維新から150年以上経ています、と三行半の構図だ。

 明治維新云々まで遡るかは意見が分かれるでしょうが、こうした国が望めば好きなだけ防衛装備が製造されるという、旧陸軍や旧海軍のような価値観は唾棄されるべきですし、どうしても行うならば下請け企業を担う部品生産に特化した国営工廠、文字通り親方日の丸、仕事が数年間無くとも国が面倒を見る組織を構築してから臨むべきではないでしょうか。

 AH-64DやUH-1Jはじめ、官は間違いを冒さず、の原則から明らかに調達が失敗した場合でも、その装備は元々使い道がなかったのさあ、と説明でごまかし、しかしその代替装備をより高い予算で調達することができるほど、日本経済に余裕はないという認識が必要です。いや、だからこそ保守的なUS-3を提案し毎年1機調達を提示したのです。

 ロッキードマーティンに代案を、例えばC-130の飛行艇型を要請した場合、たぶん日本が示した要求仕様通りのものは開発されるでしょう、しかし仕様書にない拡張性が一切ないか、もしくは開発遅延や評価試験の問題点などはオプション扱いとなり、確実に契約書や仕様書に抜け穴が確保され、新明和のような既存機にあたるものは開発されない。

 国産しかない、たとえばの話を続けることは難色があるのですが、防衛産業、国内産業に対して日本は甘えの構図があったのだと思う、いやだからこそ例えばF-15JSP計画におけるボーイングの追加請求を不当請求だ、と詰めの甘さを棚上げした反論が出てきているのかもしれない、と思う。厳しい安全保障環境、と言葉遊びだけでは実感できないもの。

 飛行艇は、前述の通り日本の防衛に絶対必要な装備で、代替装備はありえても費用対効果ではUS-2を越えるものはなかなか考えられない、その上で、相手にも生活がある、という視点を先ず持った上で、その生産維持を考える必要が、国にはあるのではないか、と思うのですね。そのために、US-3の開発と毎年1機調達が、必要なのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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【京都幕間旅情】仁和寺,太陽が描く一瞬の美は絶景という表現が多用され続ける現代に在って具現化する絶景

2023-11-30 07:00:12 | 写真
■太陽の陽光は動いている
 一瞬の輝きという表現は実は写真の世界では散見できるものでその一瞬を写真として記録する為には様々な調整と準備が必要という。

 仁和寺、右京区御室大内という妙心寺の北側に壮大な堂宇を構えるとともに衣笠山を借景とした寺院は本尊に阿弥陀如来を奉じまして、その伽藍の雄大さと共に優美な御影堂は開基は宇多天皇が造営を命じた勅願寺院で云々、寺院の歴史は深いのですけれど。

 右京区御室大内、嵐電を利用しますと御室仁和寺駅の小さな駅舎から参道が二王門の方へ延びていまして、そしてこの御仁王様に左右一礼しまして二王門をくぐりますと、左手に御所清涼殿を移築した本坊と、一直線の先には現在修復中の中門がみえるのですが。

 五重塔、紅葉の季節は桜の季節もそうだったような気がするのですが足早でして、そう走ってはならない場所の様な気もしますから速足、競歩の勢いで向かうのですが、もう一つ足早に過ぎ去ってしまうものがあります、それは夏には気にならない、太陽のうごき。

 紅葉に浮かぶ五重塔、この情景を恋焦がれる頃のように思い浮かべていた、それはこの季節にしか見られないという単調なものではなく、この時間帯の僅かに輝くのみという特別な瞬間でして、快晴で、そしてこの時間帯の十数分だけ見える、これが絶景という。

 絶景、わたしたちはこの言葉をあまりに日常的に用いているので、絶景紅葉とか絶景京都とか絶景借景に絶景風景と絶景絶景、絶景のインフレが起きているような錯覚があります、けれども、この風景は、ほんとうに十数分間しか見えない故、絶景とはこの言葉の通り。

 五重塔は重要文化財に指定されていて寛永年間の寛永21年こと西暦1644年に、前のものが焼失したためというものを再建したという。その高さは36.18mにも達し、なぜそんなに詳しいかというと目の前で仁和寺の僧侶の方が拝観者の一団に解説していましたため。

 カメラと三脚を構えて瞬間を待つ写真愛好家やカメラマンの方を見ますと、そこにはほかの時間を差し置いて待つに値する価値ある瞬間を待っていることになりますので、わたしはあまり邪魔しないようにしている、少なくとも射界というか写界を考慮して行動する。

 太陽の向き、陽が過多組むとともにこの五重塔の前に散在しています椛の一つの、刈り込まれたことで太陽に口を開けるように陽光を導いている狭間に、こうひとすじの、ぽおっというように太陽が絶妙な角度で差し込む一瞬があり、十数分間だけ椛が輝く。

 三脚を使うということは、被写体深度つまりAF値を極限まで上げて手前の紅葉遠くの五重塔双方に焦点が合うようにしながら、ISO感度を低めにしてざらざらした粒子荒れを避けるぶん、露光時間つまりシャッター速度が遅くなるためブレさせないためという。

 夜間特別拝観の時にはこうした三脚は実のところ必須なので持ち歩くのだけれども、日中はどうしても手持ち撮影になるなあ、とは身軽さとともに、兎に角枚数を様々な角度から撮影するために、大きく引き伸ばした極上の一枚を愉しむ方を少し羨ましく思うが。

 撮りたかったこの光景、十五分遅れると見ることのできない、一年間で数時間しか見ることのできない、いや快晴の日だけで曇天の日には見られないから紅葉の色付きを考えると百数十分、若しくは一年間で数十分間だけの、これこそが絶景、なのだと考えます。

 太陽は動いている、そうこの仁和寺は天子様というか天皇さんの勅願寺院というゆえ、という訳ではないのでしょうが、太陽の動きと共に輝く角度が刻一刻と変容してゆく寺院でして、それゆえに五重塔を最初に拝んだのち、さあこれから拝観が始まるのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】清水寺,京都の美しい情景を撮影しつつ苦労する撮影機材-カメラ品薄状況続く現代

2023-11-29 20:22:12 | 写真
■昔は良かったか
 そう、昔は良かったかと問われますと学生時代は高価なカメラに中々手が届かない時代もありましたが現代はカメラそのものが品薄で入手できないという。

 清水寺を撮影していまして、しかし困ったなあと思うのは撮影機材の方でして、長期間撮影して来ますと、特に演習場などに出入りする際にどうしても傷んでしまうものですから、定期的に新しい器材に切替えて行かなければならないのですが店舗に行きますと。

 カメラ、驚いたものです、半導体不足が原因と言うことですがCANONのカメラがどんどん生産縮小になっていまして、予備の機種ということでG7Xmark2をもう一基、市場に残っているうちに調達しようとおもいましたら、店頭にカメラはあったのですが。

 G7Xmark2、おいてあるのは見本であってIXYの一番安価な機種がある以外は店頭に実機の在庫はなく、という既視感のような話題で。しかし驚いたのはG5Xmark2についても生産終了になっているというWebの話題で。一応細々と生産は維持されているというが。

 G5Xmark2の生産維持というのはカメラ専門店の方のお話で、一応G7Xmark2についても入荷未定だけれども二ヶ月か三ヶ月程度で順次廻ってくる、というお話でした、いや二ヶ月から三ヶ月は最低でもかかる、という話ですが、全く入荷しない訳ではない、と。

 R7,ミラーレス一眼が人気なので入荷まで時間がかかる、という話はもう販売開始当時から聞いていますが、コンパクトデジタルカメラについてはミラーレス機種への生産集中、という背景があるという。一方で、生産しているはずのG7XmarkⅢの品薄も凄い。

 写真を撮影するにはカメラがなければどうにもなりません、そういう意味では生命線なのですが、付け加えるならば、市場にカメラがないということは必然的に写真を撮影しはじめよう、という入門を志す方にも、現物がないのでは、撮れないのですよねえ。

 iphone15に代表されるようなスマートフォンの圧迫があってカメラ市場は云々、と将来性を危惧する方もいるようですが、ワカモノノカメラバナレガア、なんて知ったかぶりで考えるのではなく、現物がないのでカメラがカメラマンから離れているという話だ。

 半導体不足、しかし、半導体不足が挨拶のようになっていまして、そう半導体不足はもう2020年から言われている、もう4年前の話ですが、原因がCOVID-19かロシアウクライナ戦争かではなく、製造を増産するという話に時間がかかりすぎているのではないかな。

 1941年から4年加えれば1945年、4年間というのは太平洋戦争一回に相当して、日本は工業力に限界があるけれども、その中で増産により戦闘機も空母も駆逐艦も巡洋艦も、けっこう造ったもの。対してこの現状、半導体の増産で今なおめどが立たないとは。

 京都の美しい情景を撮影しつつ、しかし肝心のカメラが市場で今なお品薄、という状態が続いていますから、なんだかなあ、とおもってしまうのです。なにより事故や災害などでカメラが破損しても補充がきかない、というわけなのですから深刻な問題です。

 カメラ屋に行って予算の範囲でカメラを買う、これはCOVID-19の前の時代では当たり前であったのですが、今は買おうとしますと、入荷は半年以上先です、と言われて、この機種ですと三カ月ほどで入ります、と希望していない機種や低性能の機種を薦められる。

 写真にはカメラが必要なのだけれども、EOS-R7とEOS-R10の実物在庫を目の前にどちらにするか、いやEOS-5DmarkⅣの後継機種が明確になるまで考えよう、といえるくらいの在庫が店頭に確保出来るのはいつなのかなあ、とそんな事を考えつつ散策しているのだ。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】清水寺,庵を譲られた延鎮さん-桓武天皇と徳政相論は坂上田村麻呂と音羽山

2023-11-29 20:00:30 | 写真
■僧侶延鎮の出会い
 物語というものは出会いから始まるのですけれどもその出会いは京都を形づくったといえばどうだろうか。

 清水寺、ここは京都はじまりの地というべき一つの聖地です。清水寺縁起絵巻、群書類従、今昔物語集、と清水寺の始まりは幾つもの歴史書に記されているのですが行叡居士という老年の修験者と当地を訪れた奈良は興福寺の僧侶延鎮の出会いから始まる。

 延鎮さんは行叡居士から自分は東国へ行かねばならないためこの草庵を守ってほしいといわれ庵を譲られます、宝亀9年こと西暦778年にここに自ら彫像した千手観音を安置することとし、まだ平安遷都前の当地に、後の清水寺となる草庵を編んだわけです。

 行叡居士が向かった東国、なにしろ奈良時代ですので蝦夷跋扈する境界の彼方、延鎮さんは行叡居士を観音様の化身ではないかと考えたという。蝦夷跋扈といいましたが、当時は桓武天皇の治世、藤原京だ長岡京だと首都さえ転々とする不安定な時代でした。

 坂上田村麻呂はそんな不安定な奈良時代の高級軍人でしたが、ちょうど身重の奥方を気遣い、滋養強壮に良いという鹿の血を求めて当地は音羽山へ狩りに出向いていたところをこの延鎮さんと出会います、殺生は止めなされ、と延鎮さんに言われたのでしょう。

 音羽山が今の聖地となる前の時代、殺生よりも滋養強壮ということで、なにしろ武士の象徴的存在の坂上田村麻呂さん、えいっとばかりに矢を放つとワンショットワンキル、だったのかまでは記録がありませんが見事命中し雌鹿を仕留めたという記録はあります。

 千手観音さんを奉じている寺院の前での出来事ですが、矢が命中した雌鹿さんも実は身重だったといい、命中し致命傷が絶命の瞬間に、すっと小鹿を産み落とした瞬間を見てしまったといい、そこで生命の大切さを説かれたような気がして、延鎮さんに帰依する。

 征夷大将軍として後に蝦夷平定へ東国に向かう坂上田村麻呂さんですので、生命の大切さとは何か、と現代的視点ではウクライナやガザ報道を傍目にふと思うのですが、まあそれはそれこれはこれ、坂上田村麻呂さんは自らの音羽山邸宅を寄進、そこが此処だ。

 蝦夷平定は今の多賀城まで一気に安定化させ、生命云々はともかく軍事的に日本は安定する。一方当時の桓武天皇は蝦夷平定と首都遷都の二柱を国家事業の主柱に据えていた為、平安遷都成った後にも、何時次のナントカ京に遷都を命じられるかというきわどい時代で。

 観音像とその脇侍に毘沙門天像と地蔵菩薩像を安置する大きな清水寺が造営されていたのは、この蝦夷平定により実力を増した坂上田村麻呂による寄進があったためなのですが、同時に坂上田村麻呂はこの頃、造陸奥国胆沢城使など東国で都市建設の勲功がありました。

 平安遷都の造営官を坂上田村麻呂は拝命していて、蝦夷平定の際に東国での都市計画及び都市造営の経験が生かされたというべきなのでしょう、空海と協力し東寺を造営していたりする最中、日本の内政上新しい課題が、桓武天皇の次世代、徳政相論という議論でした。

 徳政相論、というのは桓武天皇が老齢を迎えた際、蝦夷平定と首都遷都、これを次世代も続けるかという議論でした。議論は若手の参議藤原緒嗣の継続反対と老齢の参議菅野真道の継続論とが激論となった際、坂上田村麻呂は参議としてこの議論に参加します。

 征夷大将軍坂上田村麻呂、清水寺を寄進した邸宅と行叡居士草庵とを結び、今の規模まで広めたのですが、その眼下で進む平安京造営を、短期の遷都で廃都とすることなく今に紡ぐこととなり、その経緯からこの寺院は、京都始まりの地と、いえるのかもしれない。

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ウクライナ情勢-クピャンスクとクレミンナを結ぶ線の激戦とキエフへシャヘド自爆用無人機50機で攻撃

2023-11-29 07:00:50 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 悪天候というものは現代でさえ各種装備に影響が及ぶことを学びましたが。

 ロシア軍はクピャンスクとクレミンナを結ぶ線において攻撃を継続し、森林地帯において若干の前進に成功した模様、ISWアメリカ戦争研究所11月20日付ウクライナ戦況報告が概要を説明しました。クピャンスクはロシア軍西部軍管区が、クレミンナはロシア軍中央軍管区からの派遣部隊が担当しており、部隊の再配置を進めているとのこと。

 ロシア軍は同時にバフムトへの攻撃を強化するためにクレミンナ近郊から第98空挺師団と第106空挺師団を抽出して転進させており、ウクライナ軍第47機械化旅団との間で激戦となっています。問題は現地の気候で、既に降雪が始っており、雪による視界悪化が双方の戦闘を阻害しているとしていて、ロシア軍は小規模な歩兵部隊による攻撃を継続している。
■シャヘド自爆用無人機
 自衛隊もVADSを退役させたものの自爆無人機への対策を考えれば普通に予備自衛官部隊へ移管し装備を補完すべきだったようおもう。

 ロシア軍はキエフをイラン設計シャヘド自爆用無人機50機で攻撃した、イギリス国防省ウクライナ戦況報告11月21日付発表として概況を示しています。シャヘド無人機は11月18日から19日にかけ、ロシア領内のクルスクとクラスノダールから発射されており、攻撃は波状的に行われたとしています。一方でロシア軍は巡航ミサイルを使用していない。

 首都キエフへのシャヘド無人機による攻撃はウクライナ軍の防空能力低下や、前線からの防空砲兵部隊を首都防空へ転用を強要する事が考えられる一方、ロシア軍はこの2カ月間、巡航ミサイルによる攻撃を中断しており、ロシア国内ではミサイルの製造が続く事から、一定以上のミサイルを備蓄していると考えられ、冬季のインフラ攻撃が懸念されます。
■クリンスキー村
 小規模ながら激戦となっている。

 ドニエプル川東岸クリンスキー村が激戦地となっている、11月22日付イギリス国防省ウクライナ戦況報告が最新の戦況を報告しました。クリンスキー村周辺の戦闘は森林地形という錯綜地形が戦場となっていて、軽歩兵部隊と砲兵部隊が主軸となり、また空の戦いではウクライナ軍は小型無人機を効果的に使い、ロシア軍は近接航空支援を継続している。

 ドニエプル川は2022年末にロシア軍が西岸から戦略的撤退を行い、兵力の節約を行う事でバフムトなど、他の重要地域へ兵力を抽出させる事を目的としてましたが、ウクライナ軍の渡河作戦を受け、かなりの兵力をドニエプル川東岸のウクライナ軍橋頭堡包囲に集中、クリンスキー村の戦闘は規模で他の戦線よりも抑えられるも激戦となっているもよう。

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【防衛情報】ルーマニア多機能コルベット中止とCH-53Kキングスタリオン追加調達,航空母艦福建建造状況とストーンフィッシュ機雷

2023-11-28 20:01:11 | インポート
■防衛フォーラム
 今週は海軍関連の話題を紹介しますが先ずはフランスとルーマニアの将来水上戦闘艦が微妙な状況となった話題から。

 ルーマニア海軍はフランスとのナーバルグループとの間の多機能コルベット建造入札の終了を通告しました。終了の背景にはフランス側が建造計画に遅れが生じており、2019年に7年間の整備計画として開始されるものの2020年の新型コロナウィルス感染症COVID-19感染拡大により金融危機なども生じ、この計画が大きく停滞していました。

 ルーマニア海軍は多機能コルベット4隻を導入する計画で、ナーバルグループとの契約以前にはオランダよりシグマ級コルベットシグマ10514型を4隻16億ユーロにより取得する計画でしたが、2019年にフランスのナーバルグループが4隻の建造費を12億ユーロとして提示し安価として変更、ゴーウィンド型コルベットが建造される計画でした。

 ゴーウィンド型コルベットは4隻の内1隻をフランスで建造し残る3隻をルーマニアのコンスタンツァ造船所において建造する計画でしたが、上記の理由から建造開始が遅延、6月にはナーバル社の遅延をルーマニアのアンヘルティルバル国防大臣が批判していました。そして就役予定の2026年に間に合う可能性が皆無として打ち切られた構図です。
■CH-53Kキングスタリオン
 CH-53Kは大口調達先と思われたドイツが不採用としたことがどう影響するのか。

 アメリカ海軍はCH-53Kキングスタリオンヘリコプター35機を導入します。ただ、これは掃海ヘリコプターとして海軍が導入するのではなくアメリカ海兵隊及びイスラエル航空宇宙軍向けの調達となります。具体的には海兵隊向けの第七次契約12機と第八次契約15機、そしてイスラエル航空宇宙軍向けのFMS有償軍事供与用8機を含んだもの。

 CH-53Kキングスタリオンヘリコプターについて、アメリカ海兵隊は最大200機を調達する構想です。他方でシコルスキー社は潜在的需要として海上自衛隊とドイツ空軍を見込んでいるという、具体的にはMCH-101掃海輸送ヘリコプター後継機などですが、海上自衛隊はMCH-101を増強予定であり、後継機は20年以上先、ドイツはCH-47を調達します。
■航空母艦福建
 日中で空母競争のような状況となりつつある。

 中国海軍が建造を進める航空母艦福建について衛星写真などからその建造状況進捗度が判明しています。江南造船所において建造されている空母福建、8月に撮影された写真は6月までに撮影された写真からカタパルト装置の設置が進み、夏までに完了したアングルドデッキ整備に加え、8月までに艦首側の電磁カタパルト整備がほぼ完了したもよう。

 江南造船所の空撮映像では舷側からの排気が確認できる様子が確認でき、これはディーゼル発電機の試運転が開始されていることを意味します。空母福建は従来のSTOVL式空母からカタパルトにより航空機を発進させるCTOL方式空母として中国が初めて建造するもの、発電能力から一日当たりの発着数は不明ですが、インド太平洋諸国注目の的です。
■ファサル2戦略巡航ミサイル
 北朝鮮は潜水艦国産化も進めておりこうした核兵器の運搬手段を前に日本がどう向き合うかが問われつつある。

北朝鮮は巡航ミサイル発射実験に併せ新型のアムノク級コルベット映像を公開しました。アムノク級は旧式化が進み殆ど航行が確認されていないラジン級コルベットの後継艦で満載排水量は1500t前後と推測、ステルス形状に配慮した船体形状を採用、レーダーは中国製362型対空レーダーを、またファサル2戦略巡航ミサイルを搭載しています。

 ファサル2戦略巡航ミサイルは北朝鮮が戦力化を急ぐ核巡航ミサイルであり、アムノク級コルベットそのものの性能は限られますが、核弾頭搭載可能巡航ミサイル搭載艦を遊弋させることで、核のリスクを突き付ける運用は平時には大きな不確定要素となります。アムノク級コルベットは2隻が建造、トゥマン級コルベットとともに艦隊を編成します。
■中古のP-3C哨戒機
 P-3Cは今後どの程度アップデートと現役維持が可能となるのでしょうかね。

 ポルトガル軍はドイツ軍より中古のP-3C哨戒機を取得します。導入されるのはP-3C哨戒機6機とMLUミッドライフアップグレード延命改修セット、及び予備部品とフライトシミュレータ等を含むもので4500万ユーロの中古品売却となるもよう。ドイツ海軍がP-3Cを導入したのは2006年に中古機を取得したもの、短期間の運用となりました。

 P-3C哨戒機を売却するのはドイツ海軍が2025年よりアメリカ製P-8A哨戒機の受領を開始するためで、ただ現在ドイツ海軍が運用しているP-3C哨戒機は4機であり、予備機を含めた機体の譲渡が行われる場合、その稼働率は難しいものとなるかもしれません。ポルトガルは2024年から機体受領を開始するため、ドイツには哨戒機空白期間も生まれる。

 ポルトガル軍としては歓迎する要素があり、それはポルトガル空軍も現在オランダから中古で取得したP-3C哨戒機を5機運用しているためです、機体はベージャ空軍基地の第601飛行隊に配備されていますが、老朽化が進んでおり、これらを機体を部品取りに利用することでドイツからのオランダ海軍中古P-3C哨戒機を活用できる可能性があるのです。
■ストーンフィッシュ機雷
 機雷は最も費用対効果が高いと強調される事が多い。

 オーストラリア海軍は大量のスマート機雷を導入します。導入されるスマート機雷はラインメタルイタリア社が製造するものでその調達数は非開示ですが、数百万ユーロ規模の契約になるとともに今後数年間で更なる増備契約に繋がる可能性があるとのこと。オーストラリア海軍は従来、イギリス製ストーンフィッシュ機雷を採用していました。

 ストーンフィッシュ機雷は知能化機雷であり、音響や感圧及び磁気などから水上戦闘艦や潜水艦など付加価値の高い目標か機雷掃討艇などの脅威度の高い目標を識別し爆発するもので、BAE社が製造しています。今回導入されるのはラインメタルイタリア社製であり、同等程度の威力を有すると考えられ、またそれが安価であったとされています。
■原潜デュゲイトルアン
 フランスは原潜建造に時間がかかり過ぎる印象が。

 フランス海軍はシュフラン級攻撃型原潜デュゲイトルアンを受領しました。デュゲイトルアンは2023年3月より公試を実施しており、この試験の完了を以てフランス海軍潜水艦として正式に就役、ブレスト海軍基地へ配備されたとのこと。一番艦シュフランは2020年11月に就役しており、フランス海軍にとって3年ぶりの潜水艦竣工となりました。

 シュフラン級攻撃型原潜は水中排水量5300t、現在運用されている世界最小の攻撃型原潜であるリュビ級攻撃型原潜の2600tを大幅に上回り、バラクーダ計画として進められている潜水艦計画で、この通常動力推進型がオーストラリアへアタック級潜水艦として計画されていて、オーストラリアのキャンセルにより政治問題化したことは記憶に新しい。
■052DL型駆逐艦29番艦
 日本は汎用護衛艦定数を20隻と区切って持続的に更新しているのですが中国経済はこれらの艦艇が老朽化する2040年代にどこまで成長を維持できているのでしょうかね。

 中国海軍は052DL型駆逐艦29番艦の進水式を挙行した。昆明型駆逐艦拡大型である052DL型駆逐艦は、現在大連造船所だけで5隻が量産されており、29番艦は一番艦昆明から数えて29番艦、バッチ4にあたる拡大改良型で8月28日に進水式を行ったとのことで、大連造船所が担当する5隻のうち、27番艦と28番艦が紳士意識を終えています。

 29番艦は2025年にも竣工するものとみられています。またこのほか大連造船所が担当するのは31番艦と32番艦、こちらは2024年初頭にも進水式を迎えるとされています。052型駆逐艦は満載排水量7500t、海上自衛隊あさひ型護衛艦よりも一回り大きく、2014年に一番艦昆明が竣工して以降猛烈な速度で量産が続いている新時代の中国軍主力艦です。
■沱江級コルベット
 空母キラーといわれる装備ですが相手はコルベットキラーを無数に保有している為やはり大型水上戦闘艦の方が重要ではと思う。

 中華民国台湾海軍は沱江級コルベットを追加発注しました。龍徳造船がMJPマリンジェットパワー社とともに建造する沱江級コルベットは、今回の建造計画に基づき龍徳造船とMJPマリンジェットパワー社とのパートナーシップ協定が継続することを意味します。試作試験艦的要素が強い一番艦沱江が2019年に竣工し評価試験を実施しました。

 沱江の評価に依拠して量産艦として塔江、富江、旭江、武江、と量産型の建造が進められていますが、この秋にも続く追加艦艇が起工する見通し。沱江級コルベットは双胴船型船体を採用する高速ミサイル艇で、一番艦の満載排水量は600t、量産型の満載排水量は685t、MTU社製ディーゼルエンジンにより8600kwの出力を発揮し40ノット以上を発揮します。

 沱江級コルベットは、双胴形状の利点である上部構造物の広さを活かし重武装で、76mm艦砲に加え雄風II型対艦ミサイルと雄風III型対艦ミサイルを合計12発搭載し、また海剣Ⅱ型艦対空ミサイル、コルベットとしては比較的射程が長い射程30㎞の艦対空ミサイル16発、20mmCIWSなどを搭載、対潜装備こそ有しませんが高い打撃力を有しています。
■原子力潜水艦タングの起工
 ヴァージニア級の命名基準が分り難い。

 アメリカのジェネラルダイナミクスエレクトリックボート社は原子力潜水艦タングの起工式を挙行しました。8月24日、クオンセットポイント造船所においてヴァージニア級攻撃型原潜SSN-805の起工式が行われ、その際に新潜水艦の艦名はタングと命名、第二次世界大戦中のパラオ級潜水艦の艦名を攻撃型原潜の艦名として継承しました。

 タングは第二次世界大戦中、14か月間に5回の任務を担い33隻の目標を撃沈したとアメリカ海軍最強の潜水艦という栄冠を勝ち取っています。なお、この際に撃沈した相手は現在の同盟国の艦艇です。一部には海上自衛隊艦艇の艦名が中国の国民感情に配慮していない、という批判があるようですが、タング命名の通り武勲艦の名は継承されるのが標準だ。
■麻薬密輸ボート方式
 日本でも孤立した島嶼部での補給問題がある。

 アメリカ海兵隊は封鎖海域での海上輸送に麻薬密輸ボート方式を検討しています。突飛な案とおもわれるものですが、アメリカへ中南米地域からの麻薬密輸を行う麻薬カルテルは自律航行式の半没輸送船を用いており、麻薬監視任務にあたるDAE麻薬取締局やアメリカ沿岸警備隊、協力するアメリカ海軍の厳重な警戒監視を潜り抜け密輸しています。

 自律低背船、という海兵隊が研究する新しい補給方式は、現在すでに試作船が評価試験中で、NSM対艦ミサイル2発を輸送することが可能です。アメリカ海兵隊の統合戦闘開発部副司令官カルステンヘックル中将によれば、海軍が見つけにくい方式は敵にも見つけにくいものだとして、また極めて安価であるため消耗品として使える点を強調しました。

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ウクライナ情勢-M-55B高高度偵察機を現役に復帰,S-400地対空ミサイル支援にA-50メインスティ早期警戒管制機

2023-11-28 07:00:59 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 早期警戒機とミサイルの連節という。

 ロシア軍はS-400地対空ミサイル支援にA-50メインスティ早期警戒管制機の運用を開始した、11月17日付イギリス国防省ウクライナ戦況報告がその概要を発表しました。A-50メインスティはロシア空軍の虎の子というべき輸送機を元に空中警戒センサーを搭載した早期警戒機で、ロシア軍はS-400地対空ミサイルのセンサーとして運用しているもの。

 A-50メインスティは稼働数が限られているものの、射程が400kmに達するS-400ミサイルは地上の射撃統制装置だけではその射程を最大限活かす事が出来ない事が指摘されていて、特にウクライナ軍へアメリカやNATO諸国がF-16戦闘機などの強力な航空打撃力供与が画定している今では、ロシア空軍はA-50を前線近くに出す必要を迫られたかたち。
■クピャンスク周辺悪天候
 ウクライナ全土が悪天候に見舞われている。

 ロシア軍は悪天候を受け装甲車両の運用頻度を低下させている、ISWアメリカ戦争研究所が11月18日付戦況報告において状況を開設しています。特にクピャンスク周辺地域では悪天候が車輛を運用し辛い状況としており、本格的な泥濘期が到来した事を示しています。ただ、ロシア軍の砲撃が増大しウクライナ軍はアウディイフカ等への攻撃を警戒する。

 ロシア軍はウクライナ軍部隊攻撃へ運用していた自爆用無人機が徐々に枯渇しており、これにより偵察用に用いているスカルペル無人機を自爆攻撃に転用開始したとしています。特にドネツク州では動けない車輛に代わり自爆用無人機と砲兵が戦闘の主役になっているとのこと。ただ、冬季には厳しい寒気で泥濘道路が氷結し、車両の移動が可能となります。
■M-55B高高度偵察機
 情報収集艦をあれ程もっていて自衛隊に警戒されているロシア軍ですが戦場の情報収集は苦手という。

 ロシア軍はM-55B高高度偵察機を現役に復帰させる検討を進めている、11月18日付のイギリス国防省ウクライナ戦況報告として概況を報告しています。具体的には、現在ロシアが地球科学研究用に用いているM-55高高度偵察機へ戦闘機用偵察ポッドが装着されていることが確認されているため。M-55は1982年に開発された戦略偵察機です。

 M-55高高度偵察機は2万0000mまで上昇できる戦略偵察機でアメリカのU-2戦略偵察機に対抗したものですが、製造機数は僅か4機となっています。ロシア軍は情報監視標定偵察などISTAR能力が低く、これまで重要目標を選別できず無価値の目標を攻撃する事が多く、数が少ないとはいえM-55を偵察に用いるのは、情報の重要性を理解した為といえる。

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【防衛情報】独仏共同戦車計画MGCSの初期概要とイタリア陸軍レオパルド2A8調達

2023-11-27 20:00:55 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 今回は欧州とアメリカの戦車に関する最新情報を纏めましたが本邦でも10式戦車に続く戦車開発が継続されており具体的な方向性がどうなるのかが関心事です。

 フランス国防省は独仏共同戦車計画MGCSの初期概要を発表しました。これは9月22日にパリ近郊において開かれた独仏会議において示されたもので、ドイツのレオパルド2主力戦車とフランスのルクレルク主力戦車を置き換える新型戦車の共同開発を進めていますが、ドイツとフランスの主力戦車運用に関する認識齟齬は懸念されていました。

 MGCSメイングランドコンバットシステム、計画ではレーザー兵器の採用や無人機運用能力とロボット装甲車両との連携能力などが盛り込まれていますが、ドイツとフランスの主力戦車運用に関する認識齟齬として、ドイツは戦車を機動兵器として運用し、フランスは機動力よりもその名の通り陸上戦闘全般への支援能力を重視している点があります。

 パリ近郊での両国会合では、この問題、戦車は戦場を走り回り機動力を前提とした運用に資するか戦域内での戦域優位への構成要素として用いる窯では踏み込まず、戦闘支援能力へのAI人工知能の重要性を共有、ハイパーコネクティビティという概念と戦闘クラウドという概念を戦車の運用面に持ち込むという点で認識の一致を見た、とのことでした。
■スコーピオン計画
 MGCSでドイツとフランスが同床異夢に陥っている可能性としてMGCSという名称に何処にも戦車を意味する単語が入っていないのですよね。

 MGCSメイングランドコンバットシステムの初期概要について、フランス陸軍は成功した装輪装甲車計画であるスコーピオン計画の概念を主力戦車の設計へも持ち込むことを構想しているようです。これは9月22日にパリ近郊において開かれた独仏会議において三種類のMGCSメイングランドコンバットシステム概要が示され一端をしめしています。

 スコーピオン計画では、フランス軍が装備する多種多様な装甲車両を一種類の基本車両に統合するものとし、40mmCTA機関砲を搭載したジャガー装甲偵察車がAMX-10RC装甲偵察車やERC-90空挺機動砲とVAC-90装甲機動砲を置き換え、大量に配備されたVAB軽装甲車をジャガーと車体を共通化させた安価なグリフィン装輪装甲車により置き換えた。

 MGCSメイングランドコンバットシステム概要では、三種類の内、第一に大口径機関砲と大型砲塔を備えた車両、第二に大口径戦車砲と機関砲を備えた車両、第三に大型の無人機若しくは徘徊式弾薬6機と機関砲を備えた車両を示し、砲塔はすべて異なるものの車体部分を共通化させたものを提示、車体に対し砲塔が大型である点が共通となっていました。
■イタリア戦車部隊再編
 緊急という事であれば用途廃止が始まった90式戦車を5年程度緊急貸与してはと思うのですよね、日本とイタリアはGCAP戦闘機計画で秘密情報などを共有する訳ですし。

 イタリア陸軍はレオパルド2A8主力戦車調達とともに機械化部隊再編を計画しています。これは10月17日に発表された来年度予算文書に基づくもので、2023年7月に発表したアリエテ主力戦車の稼働数不足を補うレオパルド2A8戦車調達決定は正式に予算化されたこととなります。イタリア陸軍はNATO加盟国の割り当てとして戦車133両が必要に。

 レオパルド2A8戦車の取得は一括取得ではなく多年度に分割取得する計画であり、イタリアの予算案では2024年度分として先ずドイツから1億ユーロ規模の戦車を購入するとしています。イタリア陸軍では戦車関連予算として2037年までに40億ユーロの支出を想定していますが、同時に調達する戦車の新型開発参加も含めて検討しているとのこと。

 EMBT、イタリア国防省によればレオパルド2A8戦車の調達とともに将来調達する戦車にはドイツとフランスが進めるEMBT欧州戦車計画に基づくメイングランドコンバットシステムプロジェクトへの参加可能性にも考慮しているといい、また予算支出に際してイタリア国内防衛産業へ考慮が明示されることから製造参加の可能性も模索しているもよう。
■M-10ブッカー装甲機動砲
 42tというのはショートトン単位ですので間もなく全廃される74式戦車と同じ38tとなりますが米軍が空挺部隊であってもこうした装備を配備させる点は日本も学ぶべきではないのか。

 アメリカのジェネラルダイナミクスランドディフェンス社はM-10ブッカー装甲機動砲の量産型を発表しました。これはワシントンDCにおいて開かれたAUSAアメリカ陸軍協会年次大会において発表されたのもので、オーストリアとスペインが共同開発したASCOD装甲戦闘車の車体に105mm砲を搭載したグリフィンⅡのアメリカ軍仕様最新型です。

 M-35戦車砲は105mm口径で、APDS弾の場合は有効射程1.8kmでありHE弾の場合で有効射程が4kmという。戦闘重量は42tで陸軍によれば戦車ではない装甲機動砲であるが突撃砲としての運用を想定しているという。2023年末までにLRIP初期低量生産分の車両の納入が開始され、2024年も含めLRIP生産のM-10は96両が量産される計画です。

 第82空挺師団が最初の配備部隊となり、先ず2025年までに師団直轄の機動砲大隊を置き、大隊は3個中隊編成、師団を構成する3個歩兵旅団戦闘団へ一個中隊づつ分散配備される場合と、2個中隊で縮小大隊を編成し師団直轄運用を行うとともに1個中隊を予備戦力や旅団戦闘団へ配備する運用を構想、陸軍全体では最大で504両を調達する構想がある。

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ウクライナ情勢-ドニエプル川渡河作戦の展望とロシア中央連邦管区防空強化,双方が駆使するクラスター弾の威力

2023-11-27 07:00:58 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 砲兵火力の重要性を示していますが実際のところ渡河したウクライナ軍を支えているのは西岸のウクライナ軍砲兵であり砲の射程が前進の限界、火力だけで支えている構図だ。

 ウクライナ軍はドニエプル川をロシア軍砲兵火力圏外とする為に尽力している、ISWアメリカ戦争研究所11月17日付戦況報告において最新の状況を説明しています。これはウクライナ当局の発言を根拠としているもので、ヘルソン州におけるドニエプル川渡河作戦を強化し橋頭堡を徐々に広げる事でロシア軍火砲の圏外に渡河地域を含めるのがねらい。

 ドニエプル川渡河作戦はヘルソン市東13km地域にあるポイマやピシャニフカとやはりヘルソン市を起点に北東30km地域にあるクリヌキーにおいて進められていて、ロシア軍はこの地域の戦闘で既に1個旅団に相当する兵員を喪失しており、他の地域からの戦力補填を余儀なくされているとのこと。渡河点に砲兵脅威が及ばなければ、架橋さえ可能となる。
■ロシア中央連邦管区防空
 第一線だけに防空砲兵を集中させないというウクライナ軍がロシア軍に分散を強要している構図といえます。

 ロシア軍はロシア中央連邦管区の防空を強化している、ISWアメリカ戦争研究所が11月16日に戦況報告として発表しました。この情報は16日のニコライパトルシェフロシア安全保障会議書記長の発言が根拠としており、管区内にはブリャンスク州、クルスク州、ベルゴロド州といったウクライナ軍無人機攻撃が行われている地域がふくまれています。

 防空強化は同時にウクライナ軍が無人機攻撃を強化している裏返しであり、同時にロシア軍はウクライナのアウディイフカへの攻撃を強化し市街地の南方地域と北方地域を制圧し前進を続けており、この為には後方連絡線をウクライナ軍に脅かされる事でのアウディイフカ攻撃の中断が危惧されているのでしょう。他方、ロシア軍も無人機攻撃を継続中です。
■クラスター弾の威力
 自衛隊が廃止したクラスター弾薬ですが代替装備が非常に割高で結果的にクラスター弾薬の有用性を示してしまった構図なのが。

 ルハンスク州クピャンスクとドネツク州アウディイフカへロシア軍が猛攻撃を加えているが顕著な前進が無い、11月18日付イギリス国防省ウクライナ戦況報告がその概況を発表しています。またイギリス国防省はドニエプル川東岸のウクライナ軍渡河橋頭堡に対してもロシア軍が猛攻撃を加えているものの実質的な進展はないとし、膠着の懸念も生じる。

 クラスター弾薬は、この攻撃阻止に大きな威力を発揮していて、ウクライナ軍とロシア軍が共にクラスター弾薬を用い、また小型無人機と組み合わせた運用を重視しているとのこと。他方、イギリス国防省によれば11月後半に入りウクライナ東部地域には本格的な冬季が到来し厳しい寒気も戦線の動きを緩慢としたものになっている背景としています。

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【京都幕間旅情】清水寺,舞台の上も周りもここはいつも賑やかであり活気の再来に安堵感満喫する京都の古刹

2023-11-26 20:23:45 | 写真
■清水寺の舞台を歩む
 日曜日は大人しくしているか艦上を散策するか戦車や戦闘機を追いかけて遠出していましたが青空に誘われ思い切って散策してみますと、あまり混雑していなくて驚きました。

 清水寺、幾度ここを探訪しましても凄いなあ、と思うほどに人々が集います。だからCOVID-19新型コロナウィルス感染症世界流行禍のころには中々歩み進められなかったのですけれども、2023年はようやく落ち着いてきたと思う、2020年とくらべれば。

 2021年も、2022年も思ったのですが、増えてきたなあ、と拝観者さん。増えているにしても、人口密度的には護衛艦ひゅうが一般公開の際の航空機エレベーターの方が混雑していますし、参道にしても浜松基地航空祭や岐阜基地航空祭と比べれば楽々です。

 扶桑略記など日本の古い歴史書にもしっかりとその名が示されている清水寺、観音殿はその昔から観音さんは衆勢救済の信仰その寄る辺でしたので、どうにもならない人たちがすがったという歴史があります、つまりいいかえれば昔からここは混雑していた。

 修学旅行生が戻ってきた、というのは一昨年からでしたか、そして昨年からは世界の客様が戻ってきたという印象で、しかし清水寺の舞台も大勢で溢れているか、と問われますと、これはコロナ前というよりも政府のインバウンド重視以前の混雑、という感じ。

 清水寺は拝観受付と観音殿から奥の院への細い通路と、それから観音殿を絵葉書などで有名な角度から撮影できる奥の院の一部が混雑している程度でした。もう少し、紅葉が紅色の濃さが進むとやはりここも身動き取れないほどに混雑するのだろうか、なあ。

 衆勢救済の信仰といっても京都の歴史を顧みれば中世とその前の定期的に全土を襲う疫病と戦乱と異常気象にスーパータイフーン、地震雷火事大淀、どうにもならないではないか、と思われるかもしれません、確かに祈るだけでは神は動かない、観音さんだし。

 中世の時代は、しかし同時に当地は壮大な風葬地であり、先祖慰霊に多くの墓参りの方の往来がありました、鴨川に橋梁が整備されたのは随分後ですが、疫病や飢饉の際には鴨川の河原はたいへんなことになっていたというのは、もう想像に難くないところで。

 貧困の赤貧まで喘ぐ方々は、そうしたところで参道を、片付けて綺麗にしまして、なにも踏まないで済む経路を整備するとともに、その区画ごとに木戸銭を願い出る、こうして最低限の糧を得ていたという歴史がありまして、衆勢救済はこうして為されていた。

 COVID-19新型コロナウィルス感染症が広がった際には、なにしろその端緒の致死率が2%と高いものでしたので、その感染者数の増大と長い潜伏期間に潜伏期間においても感染するという見えない感染の浸透から更なる感染拡大を懸念したものでした、それは。

 医療崩壊なんてことになれば、重症患者はもちろん中等症患者も助からない、そう危惧した訳なのですけれども、日本はかなり危うい線を踏みとどまれた、もっとも死者数は東日本大震災の三倍以上とはなってしまったのですが、その先さえ危惧していたもの。

 中世の様なことには至らず済んだことは僥倖ですが、ただ、清水寺はそうした中で拝観者の少なそうな時節に拝観していたものの、それでも一定の拝観者は集っていましたので、足早にかつアルコール消毒しつつ、さすがだなあ、と驚かされてから最早数年か。

 現代の拝観は、観光、という側面が大きいのでしょう。しかし、信仰が背景にあるのかまでは踏み込まず多くの方を迎えていることは事実でもあり、そういう意味では大変な時代であっても、多少数は減ったとはいえ、清水寺は役割を果たしていたわけですね。

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