寒さを好むわけではないが、真冬の風のない早朝の凛とした空気が好きだ。どこからも音が聞こえてこないキーンとした張り詰めた寒さの中で深呼吸すると、何故か「自分が此処に立っている」という実感がわいてくる。ただ、この感じを言葉で他人に伝えるのはかなり難しい。そういえば、昔東京で暮らしていたころ、人から「気温がマイナス20℃以下ってどんな感じなの？」とよく聞かれた。その時は「深呼吸すると鼻毛がバリバリと凍り付くようだ」と返し驚かれた。ただこれは決して大げさな表現ではない。つい先日のマイナス25℃近くになった朝は全身に痛みさえ感じたほどだ。そしてこういう日は決まって日中に陽がさすことが多く、お天道様のありがたさを肌で感じ取ることができる。冬の魅力のひとつがここにある。（藤井）
