元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

相当因果関係のある疾病があることによって障害年金の初診日は動くので注意!!

2015-12-05 17:35:11 | 社会保険労務士
 複数回の脳梗塞は、前の脳梗塞との関連性が否定される場合と肯定される場合がある!!(相当因果関係の是非)

 障害年金は、3つの要件をクリアーすれば、受給できる。1、初診日において被保険者であること(国民年金についてはさらに60歳~65歳までの日本国内に住む、かって国民年金の被保険者であった者が含まれる。) 2、障害認定日において、一定の障害の程度であること 3、初診日の前日において、一定の保険料の納付がなされていること(初診日の前日という条件が付くのは、病院に行ってからあわてて保険料を納付するのはアウトということである。)の3つの要件である。

 ところで、この疾病がなかったならば、次の疾病は起こらなかったような関係(これを「相当因果関係」という)であって、例えば先の疾病が糖尿病と後に発生した疾病が糖尿病性網膜症のような関係にある場合は、先の疾病の初診日=糖尿病の初診日をもって、この一連の疾病の初診日とするのである。すなわち糖尿病性網膜症の初診日ではなく、糖尿病の初診日をもって、その関連の病気の初診日とするのである。

 ということは、初診日と思っていた日がずっと前にさかのぼることになり、これが大きな問題を引き起こす場合がある。さかのぼった初診日は、つい先日までは、厚生年金に加入していたんだけれども、その日は国民年金だったということもある。支給される年金は、その初診日に加入していた年金から支給されることになるので、初診日が国民年金であれば、国民年金から支給されるのであり、厚生年金であれば厚生年金が支給される。厚生年金は基礎年金としての国民年金の上に、2階部分に厚生年金が乗ってくるので、国民年金とはもらえる額に相当な開きが出てくる。

 また、初診日の移動は、その一定の納付要件を満たさずに、全く支給されなくなることもあり得る。それほどまでに、初診日がいつであるかは、その人にとって、大きな経済的損失をもたらすこともあるのである。

 そこで、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害の場合は、その発症が複数回起こることがあり得ます。脳においては、部位ごとにそれぞれの役割を持っているというのが脳科学の常識です。ということは、基本的には、複数回の発症の部位がそれぞれ違えば、別の傷病であるとみるべきでしょうし、全く同じ部位である場合は、同一の傷病とみるべきでしょう。そこで、MRI画像診断で1CM程度の場所の違いを立証することにより、審査請求により別の疾病と認められた例もあるようです。

 最近の傾向として、別疾病であることを請求者が立証しない場合は、同一疾病とすることが多くなったとのこと。例えば、心原性とそうでない脳梗塞においてさえ、請求者が申し立てなければ同一疾病とされることがあるようです。これは、いわば脳梗塞を起こしやすい症状が継続しているという現象面をとらえているからだと考えざるを得ません。

 一方、脳の損傷を受けた部分は同じだけれども、脳梗塞を起こした場所は別の場所にあるということを主張したところ、その審査の結果、別疾病とされた例もあるようです。また、脳梗塞のため肢体の不自由さがあった患者が、3度めの脳梗塞を起こした結果、高次脳機能障害を残したところ、2度目から半年しか立っていないのもかかわらず、高次機能障害が出たことを再度の審査で主張した結果、前者と高次機能障害は別物と認定されたとの事である。これらは、どこかのその違いを主張することによって、別物と診断されることもあるということであろう。

 思うに最近では、あまり医学的所見ということではなくて、なぜか脳梗塞を起こしやすい状態が続いていることを持って、関連の同一疾病と考えていると考えざるを得ません。しかし、それが再審査等での請求になり、先の疾病との違いを主張され、医師が委員として含まれている審査会の審査になると、それはそうだということになり、あくまでも素人の憶測ですが、容認せざるを得なくなるのではないかと考えたものと思われます。いずれにしても、この脳梗塞の障害については、まだまだ確立した認定基準はないように思われますので、不公平にならないよう早めの確立した審査方針を出してほしいところです。

 参考;障害者年金相談標準ハンドブック 障害年金実践研究会出版プロジェクトチーム著 日本法令出版

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