このエントリーの、後日譚である。
結局観に行つた、といふか後述するが結果論としては辛うじて観に行けた「その男ヴァン・ダム」。
キネコかよ!
といふ点に関しては一旦さて措くと、確かにグッと来る場面もなくはないものの、期待あるいは覚悟してゐたほど、泣けて泣けて仕方がないと撃沈させられることはなかつた。例によつてさて措かないと、映画の出来云々以前に、しかも明確に低いキネコ品質の壮絶さは決して小さくはない。不意にタクシーから降りて来た JCVD―といふのが、向かうでのヴァン・ダムの愛称らしい―に、ビデオ屋のボンクラ二人組が驚喜し、又そいつらにヴァン・ダムが応へてあげる件とかは大好きなんだけれどね。だから映画スターへの敬愛は確かに、そしてビリビリと強く感じられるとはいへ、キネコといふ時点で、映画そのものへの仁義を欠いてもゐる一作、と総評出来ようか。
映画本体からは外れて興味深かつたのは、私はてつきり、今作は私―三度目の年男―と同世代か、若干上方修正したオッサン連中が仕事終りに観に来る映画だと思つてゐた。ところがレディース・デーである水曜日に観に行つたといふのもあるのかも知れないが、実際の客席には、オッサンよりは、寧ろヨン様ならぬヴァン様目当ての、私よりも更に幾分高目のお年頃のマダム勢が多く見られた。個人的にはそこまでノック・アウトされはしなかつたが、映画のクライマックスを飾るヴァン・ダムの長い独白シーンでは、終に陥落したオバハンもといマダムの啜り泣きが場内に漏れた。そのシーンでひとつ気になつたのが、ヴァン・ダムが喋りながら左下の方をずうつと見てゐるのは、その辺にカンペでも置いてあるのか?
ところで問題は、(公開)二週目の「その男ヴァン・ダム」と、セガの「雷神 RAIJIN」の上映状況、より直截にいふと扱ひである。まづはマシな方の、「JCVD」(原題)から。09:45からの回と、16:10からの回の一日二回のみ。断つておくが、これでもまだマシな方である。要は、個人的要因として週唯一の休日である日曜には遠征に出てゐるため、もしも日程に屈して二週目を狙つてゐたならば、三週目(一応以降)如何によつてはシャレではなく、私が購入した前売りは紙切れになつてしまつてゐたのだ、くはばらくはばら。何で映画の中身にではなく、映画を観ること自体がこんなにスリリングであらなければならないのか。
更に酷いのはセガ。11:50からの回の一日一回のみ。挙句に、番組表には“続映の場合有り”と留保をつけながらも、二週で公開が終る公算が極めて高い。R-15の映画を昼間一回きり上映して誰が観に来るんだよ!あるいは来れるんだよ!等々。何処から突つ込めばいいのやら最早判らなくなつても来るが、そもそも突つ込まれるべきはあの映画の正体不明なラスト・シーンだと思ふと、飯でも食つて寝てしまはうかとでもいふ気分にしかならない。
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観客は私を含め2人でした(きびし~)が、映画はなかなか面白かった。プロットが「狼たちの午後」というのも泣けましたが、手持ちを使った演出がなかなか効果的で、もっと笑えるものを期待していたら、意外にシリアス。ただ、ヴァン・ダムの映画の制作費は、劇中で言われる以上に高いし、映画の始めに中国人と思しき監督とのやり取りが出てくるけど、あれなら周囲がブルガリア人で、それとのコミュニケーションに悩むくらいが出てこないと。劇中「工場」とヴァン・ダムは言ってるけど、彼がよく出ているヌー/ミレニアム・フイルムのスタジオがそれで、ブルガリアで低賃金を利用して映画が次々製作されている。そのあたり、予算に差し支えない範囲で突っ込んでほしかった。
>観客は私を含め2人でした(きびし~)
厳しいですね。関東での封切り当時、泣ける映画と地味に評判になつてゐたやうな感触も
残つてはゐるのですが、かういふいはゆる単館系、加へてヴァン・ダムといふ看板を逆に
障壁とも捉へるならば、中々に難しいところなのでせうか。
>手持ちを使った演出がなかなか効果的
要は天秤秤の何れに重きを成すか、といふ話なのでせうが、
個人的にはあちらこちらで真つ白にトンでしまふ画面がキツかつたです。
>中国人と思しき監督とのやり取り
闇雲なワン・カットに固執するネタは大好きです。国籍は関係ありませんが。
>ブルガリア
流石にリアルタイムの仕事仲間とは、仲良くしておきたい配慮ですかね?
話は恐ろしく飛んでしまひますが、私はヴァン・ダムよりは実はラングレン派で、
スタローンの新作に、ラングレンが出るとのことでそちらが今から楽しみで楽しみで
仕方がありません。コメント有難う御座いました。
ドルフ・ラングレンは最近監督としても注目しています。第1作はシドニー・J・フューリーが監督を途中降板して中継ぎという形でとりあえずという感じでしたが、2本目からはなかなか腕のあるところを見せています。監督最新作「Performed Commander」は日本はポニー・キャニオンが、管理人さんも言及しておられますスタローンの監督作と一緒に配給権を獲得しましたので、ラングレンの監督作の日本での銀幕初公開となるでしょう。もと海兵隊員のロックンローラーが大暴れするこの作品も楽しみです。
スタローンの新作「The expendable」ではジェイソン・ステイサム、ミッキー・ローグ、ジェット・リーの他に、フォレスト・ウィテッカー、エリック・ロバーツ、ダニー・トレホも出演という事で恐ろしく「濃い」映画になるのでしょう。ヴァン・ダムとベン・キングスレーが出演を蹴ったのは残念ですが・・・。
ただこの作品、「ランボー 最後の戦場」のようにアート・モンテラステリとのような共同脚本ではなく、スタローン単独作のようなので、どうなるかがちょいと不安ですね。
ラングレンの監督最新作は
「Command Performance」が正しいです。
勉強になることに加へ、結論からいふと生きる勇気が湧いて来ました。
>ドルフ・ラングレンは最近監督としても注目しています
それは全く存じ上げませんでした。
>監督最新作「Command Performance」
>ラングレンの監督作の日本での銀幕初公開
強力に観たいです。「ターミネーター4」の四十倍くらゐ観たいです。
>もと海兵隊員のロックンローラーが大暴れ
ははははは!ここが最高ですね。「判つてんな、ドルフ」、さういふ感じがします。
ひとつ気懸りなのは、ドルフ・ラングレンの音楽的なセンスですかね。
とはいへ逆の意味まで含めて、期待感が加速されます。
>スタローンの新作「The expendable」>>スタローン単独作
私は「ロッキー・ザ・ファイナル」と「ランボー 最後の戦場」には共に、
劇場では陥落させられた人間なので、スタローンのハートを信じて、
楽しみに待つてゐようと思ひます。
そろそろ調子に乗つて、仕出かして呉れるかも知れませんが。
なぜなら、コンサートシーンなど音楽に関する場面は、ブルガリアで相当数のミュージック・ビデオやコンサートの撮影をこなす専門の監督に任せているからです。ミレニアムの制作陣が以前ジョン・キューザック主演で「WAR INC」を制作した時に使った事のある人で、予告を観る限りではなかなかのものじゃないかと。無理せずに丸投げするのも下手に自己流で演出するよりははるかに良いと思います。
http://www.commandperformance-themovie.com/
これムチャクチャ面白さうぢやないですか!
要は高スペックな主人公がドンパチに巻き込まれる、
セガでいふと「沈黙の戦艦」のやうなプロットのお話なのですね。
ラングレンのパートがドラムといふ辺りも秀逸で痺れます。
“死ぬのは容易いが、ロックはキツいぜ!”公式サイトも完璧、猛烈に楽しみです。
後は邦題次第でせうか。「地獄のロッカー」とか、さういふ時代でもないのかな?
情報有難う御座います。あちこちに触れて回ります。