真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「愛人・人妻 ふしだらな性癖」(2000/製作:杉の子プロダクション/配給:大蔵映画/監督・脚本・音楽:杉浦昭嘉/音楽:村田寿郎/撮影:藤原千史/照明:藤森玄一郎/編集:酒井正次/助監督:増田庄吾/出演:葉月螢・林由美香・立花澪・竹本泰史・幸野賀一)。
 構成作家の沢村(竹本)と、妻・和美(林)の夫婦仲は順調。ある日沢村は、TV局(因みにNHQ)のプロデューサー・稲葉(幸野)から、沢村の企画を通す引き換へに稲葉夫妻との夫婦交換に参加することを求められる。和美のことを慮り断りかけた沢村を、稲葉は制する。沢村には実際の妻である和美を連れて来るのではなく、稲葉の愛人の亮子(立花)を妻と偽り同伴して来て貰へればいい、とのこと。要は、夫婦交換に偽装した大つぴらな亮子との浮気に手を貸して欲しい、といふ相談である。和美に後ろめたさを感じるならば、何だカンだと理由をつけて沢村には稲葉の妻を抱く必要もない、ともいふ。仕事のこともあり、沢村は稲葉の申し出に応じる。当日、その日初めて会つた沢村―当日は佐々木、といふ偽名を使用―と亮子は、バーベキューをしようといふ待ち合はせ場所の河原に向かふ。そこには、恥づかしい虎さんのエプロン―阪珍グッズには非ず―を着けてBBQの準備に嬉しさうに精を出す稲葉と、妻・由希恵(葉月)とが居た。予想に違へた由希恵の美しさに、沢村は戸惑ふ。
 凝つた基本プロットから更に展開される、二重三重のどんでん返し。ミステリーの種明かしパートが少々丁寧過ぎて冗長であるやうに感じられもするが、正攻法の脚本が手堅い、教科書の見本のやうなサスペンスの佳作である。何処かで何度も見たやうな、といつてしまつては実も蓋もなく、杉浦昭嘉らしくもない、などといつてしまつては更に鍋すらも消失してしまふが。
 幸野賀一は、調子良く好色ないんちきプロデューサーを好演。ステレオタイプ通りではあるが、プログラム・ピクチャーとしては逆にこの位判り易くてこそちやうどいいのかも知れない。由希恵役はもう少し正統派の美人であつた方が望ましかつたやうな気もするが、葉月螢のミステリアスな雰囲気の方が最大限に有効である、といふのならばそれもそれで肯ける。林由美香は全くパーフェクト、沢村と和美との幸せな結婚生活は、観てゐて羨ましいこと羨ましいことこの上ない。私は一体何を言つてゐるのだ。他方、弱いのは残りの二人。竹本泰史は、六年前は色男ぶりが全然未完成。今の目で見ると、相当に間抜けに見える。更に問題なのが立花澪。肉感的な体と、まあお芝居はこんなもので、とでもいつたところで強引に不問に付すとして、問題は首から上。誰これ、そこら辺のDQN?最大出力で言葉を選ぶと、SHOW-YAのコピーバンドで四番目の美人。何処から連れて来たのか全く判らないが、どうやら今作しか仕事はしてゐないやうである。意外とありふれた名前ゆゑ、AVその他、異業種方面に関しては全く手も足も出ない。

 クライマックス、沢村が自分達の結婚式の写真の中に<由希恵>の姿を発見するカットは、少々陳腐に堕してしまつたとて、ジャーン♪なりガーン♪なり、何か一音鳴らして沢村の衝撃を補完すべきではなかつたか。稲葉の配役に関し先にも触れたが、判り易過ぎるくらゐでちやうどいいといふ匙加減もあるのである。


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