真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



  「THE MYTH 神話」(2005/香港・支那合作/原案・監督:スタンリー・トン/脚本:ワン・ホエリン/出演:ジャッキー・チェン、キム・ヒソン、チェ・ミンス、レオン・カーフェイ、マリカ・シェラワット、シャオ・ピン、スン・チョウ、ユン・タク、他)。ジャッキー・チェンの新作を観に行つた。それは映画者(えいがもん)としての、ではない。人として当然の行ひである。
 考古学者のジャック(ジャッキー)は、繰り返し繰り返し同じ夢を見る。舞台は2200年前、始皇帝の時代の秦。近衞将軍・蒙毅として、古朝鮮から始皇帝への貢物として嫁いで来る王女・玉漱(キム・ヒソン)を迎へ入れ、玉漱を奪還せんと襲撃して来るチェ将軍(チェ・ミンス)、と死闘を繰り広げる夢である。そんなジャックを、親友のウイリアム(レオン・カーフェイ)が訪ねて来る。反重力の研究をしてゐるウイリアムは、かつてジャックが論文を書いた、空中浮揚する聖者に関心を持つて訪ねて来たものだつた。
 2200年前の前世の記憶を軸に、宇宙より飛来した反重力物質(だからどういふ原理なんだよ)、不老不死の仙薬、挙句に地下の大空洞に展開する空中大霊廟(正直何のことだか全く伝はつてゐないことと思ふ)まで飛び出して来る、正直なところがスタンリー・トンはエルでも極めてゐたのか?とでも思つてしまはざるを得ないやうなトンデモ映画。ジャッキーのこれまでの偉大なキャリアの中でも、最も底の抜けた一本である。
 とはいへ、アクション映画としては常時も通りと、常時も通りではない部分まで含めて十二分に満足出来る、常時ものジャッキー映画である。100点満点。たとへどんなに物語の底が抜けてゐても。
 常時も通りの部分は、主にインドでの逃走アクション。ゴキブリホイホイ工場に逃げ込んでの、くつ付いたり動けなくなつたりのコミカル・アクション。ゴ、ゴキブリホイホイ !!!!!!!!改めて、声を大にして言ふ。ジャッキー最高 !!!!!!!!ゴキブリホイホイの上で、くつ付いたり動けなくなつたりしながら、それでも逃げたり助けたり戦つたり・・・・・(笑ひを堪へきれない)、ジャッキー最高 !!!!!!!!有難うジャッキー !!!!!!!!こんなドロップアウトではあるけれど、貴方の映画を観てゐる時だけは幸せです。もう一度言つとく。ジャッキー最高 !!!!!!!!
 常時も通りではない部分は、2200年前の前世の記憶パート。玉漱姫を守る為に、蒙毅は容赦なく追手の腕を落とし、首を刎ねる。(前世の記憶パートの)クライマックスでは、友の敵を槍で串刺しに貫き、一対数百の圧倒的多勢に無勢の絶望的な戦ひの中、自らの体から流れる血と返り血とで全身を真紅に染めながら、文字通りの死体の山を築く。普段滅多なことでは人を殺さないジャッキーが、“戦鬼”としてのジャッキーを見せて呉れる。
 スタンリー・トンはそんな蒙毅将軍の最期で、「子連れ狼 死に風に向ふ乳母車」(1972/監督:三隅研次/主演:富さん)の孫村官兵衛(加藤剛)の最期をパクつてゐる。
 インド古武術の老師の娘サマンサを演じる、“インド映画界のNo.1セクシー女優”ことマリカ・シェラワットはマジでヤバい(何が)。これを機に、各国の映画でもブレイクすることを望む。ただこの人、公式サイトを鵜呑みにすると、とても奇妙なことを言つてゐる。
>「インドの人口の半分は私に夢中よ。『THE MYTH/神話』が公開されたら中国の人口の半分はトリコにしてみせる。つまり地球の人口のおよそ50%は私のファンつてことね」。>どういふ世界観だよ

 最後に、同じく公式サイトのジャッキーのプロフィール中、“1954年4月7日、香港生まれ。”とまづ出自を紹介した、次に続く一文がエクストリームに素晴らしい。
 “説明不要、世界のアクション・スター”。大名文である。


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