世界一周タビスト、かじえいせいの『旅が人生の大切なことを教えてくれた』 

世界一周、2度の離婚、事業の失敗、大地震を乗り越え、コロナ禍でもしぶとく生き抜く『老春時代』の処世術

彼は生きていた シリア編

2012年08月28日 | 国際
シリア人の知り合いから

ある筋を通して連絡があった。


連絡が取れなかったのでずっと彼のことを心配していたのだ。

シリアの痛ましいニュースを見るたびに

彼の穏やかな顔が脳裏に浮かんだ。


彼は今どうしているのだろう。

彼は生きているのか、と。


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去年の3月、留学生だった彼は日本からシリアへと帰国した。


ちょうどアラブの春が吹き荒れていた時だったが

「シリアは安全でいいところだよ。おいでよ」

と言い残して去っていった。


「ボクは、必ず行くからね、Keep in toutch(連絡取ろうよ)」と答えた。



彼がシリアに帰国した翌月、内戦が勃発した。

そして、一年5か月、国際社会の必死の努力にもかかわらず、

収まるどころか激しさを増しているのは周知のとおりだ。


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その彼が以下のような便りをよこした。


Indeed, the situation is worsening everyday

but my family and I are still safe.


Sorry for the tragic lose of the Japanese journalist in Aleppo.

Since we are losing so many people here everyday,

hearing about death

became so normal thing and the lose of the Japanese journalist did not leave a big effect here

especially that the government declined responsibility

due to the unauthorized entry to Syria (according to what they said).

Another Japanese journalist contacted me a while ago to arrange visiting Syria

but I explained to him the situation and how dangerous

it is to enter without permission.


This year, summer is not that hot as usual here.

At least I can enjoy the dry air.

I miss Kumamoto so much

and I am making efforts to obtain another scholarship to leave to Japan or any other place.



【和訳】

本当に状況は日に日に悪くなっていますが、
私たち家族は皆まだ大丈夫です。

アレッポでの日本人ジャーナリストの悲劇につきましては、こころからすまなく、残念に思います。
でも毎日たくさんの人が死んでいますので、死の知らせを聞くことが日常茶飯事になっていますので、
日本人ジャーナリストの死は、ここでは何の大きな影響もありません。
特にその女性はシリアに不法に入国しているので、シリア政府は責任を否定しています。
(と政府は発表しています、真実は分かりません)

しばらく前のことになりますが、別の日本人ジャーナリストが私にコンタクトしてきて、
シリアに来れるように手配して欲しいと頼んで来ました。
私は彼に状況を説明し、無許可で入国することがいかに危険な事かを説明しました。


こちらの夏はいつもより暑くないです。
(戦争で大変ですが)少なくとも乾燥した夏は楽しめます。

熊本が本当に恋しいです。
日本、またはどこでもいいんですが、どこかここを脱出できるように、
どこかで奨学金を得るため、色々努力しているところです。

     (通称ミルクさんのブログから抜粋)




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ニュースでは伝わらないシリアの様子や

彼の気持ちがよく分かる。


アサド政権が査証(ビザ)発給をごく少数に絞っているため、

反体制派の協力でトルコからひそかに越境して取材に当たる

欧米やアラブのジャーナリストも少なくないといわれ、

山本さんらもこのルートを使ってアレッポ入りし、悲劇に遭ったとみられている。



シリアではこれまで数千人から数万にの人が犠牲となっており、

その大多数は一般住民といわれる。


多い日は、一日200~300人の人が犠牲になっているという。


町に地獄絵が描かれ続けられている。




「人が死ぬのが日常茶飯事になっており、

死について何も感じなくなっている」


これが戦争(内戦)なのだ。


戦争(内戦)では、殺人が正当化される。



全く痛ましい状態だ。



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ボクはこのニュースを伝えてくれた人に

彼を何とか助ける手立てはないものか尋ねた。


何かボクにできることはないか、聞いた。



それに対して以下のような返事がきた。


「私は何もできませんが、

大学の先生関係、NGO等が色々力を尽くしてくれていると思います」 と。



スピルバーグ監督の作品で

Saving Private Rian (邦題;プライベイト ライアン)」

という、トムハンクス主演の戦争映画があったが、


”Saving him” と訴えたい心境だ。


行けるものならすぐにでも飛んでいきたい衝動に駆られる。




だが正直、事実何もできない自分にイラつく。


それでも、我々は

「人生にイエス」 と言わなければならないのだ。

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