世界一周タビスト、かじえいせいの『旅が人生の大切なことを教えてくれた』 

世界一周、2度の離婚、事業の失敗、大地震を乗り越え、コロナ禍でもしぶとく生き抜く『老春時代』の処世術

王様の食卓

2017年08月22日 | 100の力
ホントに王様になった気分。


前回(今月初め)、

こんなに美味しいパスタとパンは初めてといっていいくらいの経験をした。

その味が忘れられなくて、

それでまた訪れた。


それもそのはず、

ここのシェフは、

ナント、国賓お抱えの専属料理人だったという。


大使館の料理人とも

宮廷料理人とも違う。


海外から国賓級のお客様(例えばサウジの王様)がお見えになった時だけ、

その料理の腕を振るうというもの。


今は、しがない山奥の(失礼)イタリア料理のお店のオーナーシェフ。


    見るからに素朴で、何の変哲もないない屋号

もともとこの建物は地元の交流館として、

おばちゃんたちが切り盛りする食堂(ソーメン流しがメイン)だっただけに

お店自体はどこまでもありふれて安っぽい。(失礼ながら)

(本当に食堂以上でも以下でもない、
庶民的という意味でまさに食堂という名にふさわしい店構え)


ところが、この見かけと料理の内容とは雲泥の差。

この落差がまたなんともたまらない。

ある意味完全に期待を裏切っている。


前回、最初に店に入った時、

たった一人の(あり得ない美人)ウェイトレスの女性も、

ピカピカに磨き抜かれた厨房の中にいる男性シェフも

純白のシェフユニフォームに身を包んでいることに

激しい違和感を覚えたほどだ。


こんな田舎の山奥のこんなみすぼらしい店で(重ね重ね失礼)

何を気取ったいで立ちをして、

一体どんな料理を出すというのだろうか。

(どこかボクは斜に構え、いささか挑戦的だったようだ)


黒板に手書きされたメニューの値段を見れば

どれもこれも手の届く極めてリーゾナブルな値段。



ただ、ぶっきらぼうに書かれたメニューが、

素人にはやや難解な表現に溢れていたのは気になった。


    シュラスコ? アクアパッツア?とは何ぞや?


最初は無難に、

定番のパスタを注文した。

(2番目の〝自家製パンチェッタとキャベツのオイルパスタ”900円
※ パンチェッタとは、塩漬けした豚バラ肉)


そして、やけにこじゃれた盛り付けに驚きつつも

一口食べて、

不覚にも唸ってしまった。


思わず(あり得ない美人)ウェイトレスのお姉さんを呼んで、

「うまい!」と叫んだほどだ。

(まさか彼女はこの地で伝説の〝寄り姫”の生まれ変わり?
ならばその正体は大蛇であるが・・・)

彼女は料理を運ぶ度に一品一品説明を加えてくれる。


それはもうボクを病みつけにさせるには余りにも十分すぎた。
(二つの意味で)


そして、昨日再びその店を訪れたのだ。

(お盆や週末は混むのが分かっていたので意図的に避けていた)

敢えて、雨の降る平日、

しかも17時閉店の1時間半前を選んだ。

出来ればこの店を独り占めにして食したかった。

そしてそれは見事成功したのだが。


お料理は言うまでもなくどれも絶品。

今度は、腹立たしいほど全くボクの期待を裏切らなかった。


      トマトのバジルソースサラダ(下には手作りのクリームチーズがタップリ敷いてある)(700円)

一体だれが、プリッとして瑞々しいミニトマトに

バジルとオリーブオイルのソースとクリームチーズを絡めて食べるなんて

考えつくんだ!?

(この一品だけでも天才じゃないか!?)


もうそれだけでぶっ飛んでしまった。

半分に切られたミニトマトを一個一個、

その都度唸りながら口に運んだ。


もちろん、美人のウェイトレスのお姉さんに

うまい!を連発させながら。

「なんでこんなにトマトにチーズが合うんですか?」

「そうでしょう!すごく合うんですよ」

彼女は相好を崩して満面の笑みを浮かべた。

(チョッと惚れたかも!?)



     ボクの大好きなパエリア(1300円)


味付け、盛り付けの仕方、器のチョイスに至っては

当然のことながら一流ホテルのシェフも足元にも及ばないであろう。


     赤牛のシュラスコ(1800円)

(※ シュラスコとは、牛肉の様々な部位を串刺ししほどよく焼いたもの)


それが、こんな鄙びた山奥で、こんなにリーゾナブルな価格で味わえるなんて、

驚きと喜びを通り越して

この世の至福さえ感じる。


素材は極力地元の新鮮で旬の食材を使い、

パン、ソースはもちろん、

チーズからバターに至るまで手作り。


     手作りパンも4~5種類ある(300円~)


なのに、ナント値段も100%庶民価格。

(本当は、一品3000円でも、5000円でも有りだろう)

コーヒーなど飲み物はオール200円という破格。



これだけでも満足なのに、

ボクが同業、同郷のよしみということもあり、

シェフから豪華なデザートをサービスしていただいた。


    これだけでも1000円は下らないだろう

(アイスクリームの一品でも感激どころなのに、
シュクレフィレ(糸飴)までついているという盛りだくさんのデザートにまた唸る)


メニューはアラカルトになっているが、

ここまでくると、もうフルコースディナーの域だ。



まだオープンして1か月余り。

一様、年間を通じて営業するそうだ。

(冬の集客は厳しいかもしれないが・・・。
いや、これなら厳冬の日でも訪れたいだろう)


今後は、夜の営業も考えているという。

ぜひそう願いたい。


「コーヒーだけ(たったの200円)でも飲みにいらしてくださいね」

どこまでも謙虚なあり得ない美人のウェイトレスのお姉さんに

「毎日でも来ますよ」

とにこやかに手を振って車を出した。

(本当はワインかビールを飲みたいところだが、
近いと言えど車なので涙を呑んで断念( ;∀;))


日もどっぷりと暮れ、

ゴーゴーと落ちる滝の音とともに、

周囲はすでにマイナスイオンと冷気に包まれていた。


もちろん毎日は無理にしても、

最低週に一回は王様気分に浸りながら

舌鼓を打ちたいものである。





【追記】

営業時間は、11:30~17時(4時半オーダーストップ)、

木曜定休となっている。


完全な口コミで、

宣伝はもとより、

SNSなどでの発信も一切していない。


場所は、

阿蘇郡西原村滝〝白糸の滝”前である。

(ホントはあまり押しかけてほしくない所なのだが)



【余談】

こういうシェフがうち(ドゥリーミン カントリー・インAso)でやってくれれば

鬼に金棒なのですが。

(正直ヘッドハンティングしたくなった)


そこまで望まなくても、

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