まだまだ残ってます紅楼夢戦利品レビュー。
・阿求と二三シリーズ総集編 おかあさんと呼ばれて (涼来々!)
以前の紅楼夢でお隣になったときに頂いてハマった本作、ようやく総集編を手に入れることができました。
後にレビュー予定の第7巻を含めると、これでようやく全シリーズ揃ったことになります。
さて感想ですが、やはりここはシリーズのオリキャラである文車妖妃の「二三」に言及しなくてはなりますまい。
以前のレビューでも書きましたが、二次創作へのオリキャラ投入は非常にリスキーな手段。
しかしながら本シリーズのオリキャラである二三は、東方世界……と言うよりはむしろ、阿求の設定にがっちりマッチしたキャラなので違和感がないどころか過不足なく収まってるのが素晴らしいと思います。設定の勝利ですよこれは。
さて今回の総集編は1~3話を収録。
各話ごとに感想を書いていきましょう。
まず記念すべき1話「おかあさんと呼ばれて」。
稗田家の書庫で生まれた文車妖妃の妖怪・二三を、阿求は自分の娘として育てることを決意します。
タイトルの通り、阿求が二三を娘とし、母であるという自覚を持つというお話なんですが、阿求の「御阿礼の子は代々短命」という設定、そして恐らくは転生はしても子をなすことがないであろうということを考えると、阿求がこの稗田家の書庫で生まれた妖怪の子を、自分の娘として育てようとしたことには特別な意味があると言えるでしょうよ……。
そして妹紅の役どころがまたかっこよくてたいへん良い。
次、第2話「稗田図書館をつくろう!」。
ここから読み始めたんですよねこのシリーズ。
紅魔館図書館にて二三が魔理沙に刑法の本を持ってくる下りは何度読んでも笑えます。
あとキャラかぶり疑惑でこころちゃんが乗り込んでくるあたりも好き。
二三がわがままを言ったり嘘をついたりすることでその成長を描いているのもいいですね。
そして3話「鈴奈庵の不審者を追え!」
これはアレですね、一話まるまる使ってもこたんの萌えキャラっぷりを表現したかったんですね。
名探偵あっきゅん爆誕の1編ですが、その空回りっぷりがたいへんほほえましい。
そして描き下ろし「阿求と二三のごく普通な一日」。
表題通りのごく普通の一日を描いた掌編です。
別段事件が起こるわけでもない、なんでもない日常の描写が好き。
わたくし作品というものには食感があると常々思ってるんですが、本シリーズは喉越しが非常に良く、たいへんまろやかな味わいの作品だと思います。
ですます調の地の文と、恐らくは意識して選別しているであろう平易な語句とで、小さなお子さんでも安心してお召し上がり頂ける作品と言った感じ。
なんならもう小学校の図書館の低学年向けの棚に混じってても全然おかしくないですね。
今日はここまで。