That's awesome

海外ドラマや映画の感想いろいろ書いてます。

Sherlock 2-1 A Scandal in Belgravia その24

2018-01-14 11:44:14 | Sherlock S2E1
「ベルグレービアの醜聞」

Directed by Paul McGuigan
Written by Steven Moffat

Previous→The Great Game
Next→The Hounds of Baskerville

ラストです。

ベイカーストリート。
雨の中、Speedy's caféの前でマイクロフトが傘をさし煙草を吸いながら立っています。
家路を急ぐジョンがマイクロフトを見つけそばに寄ります。

JW:たばこは吸わないのかと。
MH:カフェにもあまり来ないがね。

傘をたたみ足元のブリーフケースを持つとカフェに入るマイクロフト。
ジョンもあとをついていきます。

テーブルには携帯電話が入ったファイルが置かれています。

JW:これ、アイリーン・アドラーのファイル?
MH:すべてが終わった。弟に知らせるところだが、君が望むなら君から伝えてくれ。
彼女はどうにかアメリカで証人保護プログラム下に入った。新しい名前と身分で。
彼女は生き延びてうまくやっていくだろう。だが彼が彼女に会う事は2度とない。
JW:どうして彼は気にかける?最後には彼女を軽蔑もしていた。
名前で呼ぶことさえしない、ただ「あの女」と。

MH:その嫌悪は敬意なのかもしれないぞ?大切なただひとりの女性への。
JW:そんなんじゃない。彼はそんなふうに考えたりしない・・・そうは思わない。

MH:My brother has the brain of a scientist or a philosopher,
yet he elects to be a detective.
(弟は科学者や哲学者になてる頭脳を持っていたのに探偵になることを選んだ。)
What might we deduce about his heart?
(彼の心をどう推理する?)
JW:わからない。
MH:Neither do I ... but initially he wanted to be a pirate.
(私もだ・・・・だが当初彼は海賊になりたがっていたよ。)

↑このマイクロフトのセリフと表情が最高に好きです。
言ったあとの寂しそうな表情も、当時はシャーロックの過去に何かが起きたことを彷彿させました。
こんな時代もあったんです・・・・・(涙)

「What might we deduce about his heart? 」私の訳はトホホですが、良いセリフですよね。
ジョンとマイクロフトのスタンスというかシャーロックとの関わり方が表れていて、
ずっとこんな関係でいて欲しかったと思ってしまいます。
最近愚痴っぽくてすみません。

JW:彼はその証人保護でいいと思うんじゃないかな、彼女には会えなくても。
大丈夫だよ、きっと。
MH:同感だ。なので私は彼にそう話そうと決めたのだよ。
JW:何の代わりなんだ。
MH:彼女は死んだよ。2か月前、カラチでテロリストの組織に捕らえられ斬首された。

JW:本当に彼女なのか?前にもそんな事があったじゃないか。
MH:今回は徹底的に調べた。シャーロック・ホームズでもない限り私をだますことはできないし、
彼がそこにいたとは思えないが、どうかな?

そしてファイルをジョンの前に差し出します。

MH:それで・・・シャーロックになんて言う?



221B。
キッチンで顕微鏡をのぞくシャーロック。


SH:情報を得たのは明らかだな。

ジョンが姿を見せる前に話すシャーロックにちょっと驚くジョン。

SH:リーズで起きた3人の殺人の事なら犯人は庭師だよ。誰もイヤリングに気づかなかった。
JW:あー、えっと・・・・アイリーン・アドラーの件だよ。
SH:そう?何かあったのか?戻ってきたのか?
JW:いや、彼女は・・えーと、下でマイクロフトと偶然会っただけなんだ。
彼に電話がかかってきてさ。


シャーロックは立ち上がるとジョンに近づきます。

SH:彼女はロンドンに?

JW:いや、彼女は、あー・・・・・アメリカだよ。
SH:アメリカ?

JW:うん。彼女は証人保護プログラム下に入ったようだよ。
どうやったのかわからないけど、でも・・・君はわかってるよね。
SH:何を?
JW:彼女とはもう会えないって事。
SH:なぜ僕が彼女にまた会いたいと思うんだ。

JW:そんなことは言ってないよ。

シャーロックは再び顕微鏡の前に座ります。

SH:それ彼女のファイルか?
JW:そう。マイクロフトに返そうと思って。見たい・・・?
SH:いや。

しばしの沈黙のあとジョンが意を決したように話し出します。

JW:なあ、実はさ・・・・
SH:ああ、でも携帯はくれないか。

シャーロックがジョンの言葉を遮りました。

JW:データは何も残ってないよ。空っぽだ。
SH:わかってる、それでも・・・僕はそれをもらう。
JW:これはマイクロフトに返すんだ。ずっと持ってるわけにはいかないぞ。
JW:シャーロック、これはマイクロフトに返さないとダメなんだ。
今は政府の管轄なんだよ。渡すことなど・・・・
SH:Please.

ジョンはシャーロックの「Please」に弱いんでしょうね。
悩んだあげく携帯を渡します。


SH:Thank you.
JW:これは返しておくよ。
SH:うん。

一度は部屋から出るジョンですが、振り返りシャーロックに尋ねます。

JW:彼女はあのあと・・・君にテキストを送ってきた?
SH:一度だけ、数か月前に。
JW:なんて?
SH:「Goodbye, Mr Holmes.」


ジョンは葛藤してるのか少しの間ウロウロとしていますがやがて部屋から出ていきます。
それを見届けてからシャーロックは自分の携帯に届いたアイリーンのテキストを見ながら
リビングに移動します。


お腹空いていないけど、ディナーしましょう。

ホテルにいるけど退屈。こっちにこない?ディナーをしましょう。

ジョンのブログは面白いわ。彼は私よりもずっとあなたの事が好きなんだと思う。ディナーをしましょう。

部屋からタワーブリッジと月が見える。私がどこにいるか推理してこっちにきて。

今日、あなたを道で見かけた。私のことはわからなかったようね。

帽子があなたに似っている事を実は自分でわかっているでしょう?

Oh for God’s sake. ディナーをしましょう。

あなたの変な帽子好きだわ。

バカなやつとエジプトで話しているの。飛行機に乗るからディナーをしましょう。

クライムウォッチのあなたはセクシーだったわ。

あなたも食べないと。ディナーをしましょう。

今BBC1を観ている。あなたも笑っているでしょうね。

あなたにクリスマスプレゼントを送ろうと思ってるの。

マントルピースよ。

私は生きている。ディナーをしましょう。

Happy New Year



場面はカラチに変わります。
イスラム圏の衣装を身につけたアイリーンは銃を持ったテロリストの前で
シャーロックにテキストを送っています。

「Goodbye Mr Holmes 」

後ろの男が刀剣をアイリーンの首元につきつけます。

アイリーンが覚悟を決めて目を閉じたその時、
シャーロックの携帯の着信音が聞こえてきます。

振り返るアイリーン。
刀剣を持った男はシャーロックでした。


SH:逃げろと言ったら走れ!

シャーロックは刀剣でテロリストたちに向かっていきます。


再び221B。
シャーロックが思い出したかのように笑っています。

SH:The Woman. (あの女)

シャーロックはポケットから出したアイリーンの携帯を引き出しにしまいます。
ふと、手をとめるとつぶやきます。

SH:The Woman. (比類なき女)



続きます。

ラストはなぜ同じ「The Woman. 」で「あの女」と「比類なき女」になるのかずっとわからなくて、
でもコメントで「The」の発音が「ザ」と「ジ」で意味が変わると教えていただいた事があるんです。
なるほどー、すごい!

あらためて見ると、
ラストのカラチは現実であれ想像であれ必要なかったような気がしました。
それよりもアメリカで生き延びています、で終わったほうがきれいだったかも。
そうすればカラチの夜とかルパンもどきのストーリーもなかったしね(笑)

シャーロックを思いやるジョンの気持ちが溢れてきます。
ジョンに丸投げのお兄ちゃんですがこれだってお兄ちゃんなりの愛なんです。
マイクロフトとシャーロックの間にはジョンというオブラートが必要なんですね。

「最後のジェダイ」のようにシャーロックもS3S4は無かったことにして
S2の続きから作り直してホームズ家の過去をやってほしいです。
それにしても相変わらずマーティンの演技が最高ですわ。

ダラダラと続いてしまいましたがここまでおつきあいくださりありがとうございました。
次のジョンブログで締めたいと思います。

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ジョンとお兄ちゃんがステキです (篠田真由美)
2018-01-16 08:47:31
こちらを拝読していて、なんで初見時にカラチのシーンを幻想に違いないと思ったか、思い出しました。
つまり「科学者にも哲学者にもなれる頭脳を持ちながら、探偵になってしまった弟は、子供の時には海賊になりたがっていたのだよ」と、いささか唐突に過去を懐かしむマイクロフトのセリフの後で、覆面をして処刑寸前の美女を救い出すというのは、まさしく海賊的冒険で、これまでのドラマと色合いが違いすぎる。
だからこれはシャーロックが丸ごと想像したことに違いない、と思ってしまった。
友人の若いシャーロック・ファンが、ラストの彼の微笑に、アイリーンが死んでいると承知で、あの笑いはあり得ない、だからあれは現実にあったこと、と主張していたのに、反論できなかったんだけど、いま考えると、それはたまたまアイリーンの無残な最後と、シャーロックの想像が接近してしまったためであって、シャーロックは彼女が死んだことを知らない、最後の別れのメールだけを見て、自分の海賊的活躍を想像して笑った、とも考えられるわけです。
いやまあ、いまとなってはなにをいっても空しいんですけどねww
このときのカフェでのマイクロフトとジョンの会話、互いにシャーロックを心配しながら、本音をあからさまに口にはせぬまま同感し合っている、ほのかな共犯関係がとてもいいです。
特にマイクロフトの表情演技が、絶品ですね。

金箔のように引き延ばして、に膝を打ちました。
そうです、純金の金箔はよく伸びるんです。
まだまだ楽しめます。
がんばって楽しみましょう!
Re:ジョンとお兄ちゃんがステキです (dico)
2018-01-17 15:52:05
篠田先生、
遅くなってすみません。
幻想だった理由、あー、なるほど、よくわかります。
確かにあの場面は今までとは色合いが違いますよね。
視聴者の判断に委ねられるようどちらにも取れるようにしたのだと思いますが、
海賊がそこに繋がるのもとても面白いです。
剣を振り回したシャーロックは探偵ではなくまさに海賊でした。
うーん、ステキです。あの場面が少し好きになってきました。
マイクロフトのセリフ、欺けるのはシャーロックだけ、も、
シャーロックの笑顔も、アイリーンは生きているという結論に誘っているように思いますが
アイリーンの死を知らないシャーロックが、海賊的冒険を想像して笑う方が私は好きです。

マイクロフトとジョンのほのかな共犯関係、良いですね。
保護者同士の絆もあり、ふたりの会話は大人を感じます。
そうですね、本当にマイクロフトの表情の演技は絶品と言えますよね。
純金の金箔!ですよね!
これでもか、というくらい叩いて伸ばしましょう。
そして、今こそ日頃鍛え抜いている妄想力を発揮する時ですね。
またいつかこの辺りの考察もまとめようと思います。

コメントを投稿