ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [11月30日(金)~12月2日(日)]

2018-12-05 01:33:50 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸<ぴあ映画生活>等の評点はさほど高くはありません(68点)が、愛読している毎日新聞(金・夕)の「シネマの休日」(→http://mainichi.jp/articles/20181109/dde/012/070/002000c)で大きく取り上げていたのを信じて12月3日(月)川崎チネチッタに行って「生きてるだけで、愛。」を観てきました。で、信じた私ヌルボが正しかった! 毎日の記事以外にもいろんなところで書かれているように、主演の趣里から目が離せません。物語も、安易に予定調和的に着地させない点に共感を覚えました。
 先週は、11月29日久しぶりにららぽーとまで原付で行って神奈川県最後の上映日&時間で滑り込み鑑賞した「華氏119」では銃規制を求める高校生に救われる思いをしました。また12月1日世田谷文学館の<筒井康隆展>では「スタア」「俗物図鑑」というなんとも論評しがたい(笑)2作を観て、映画にもフツーじゃない楽しみ方(??)というのがあるかもしれないなどと思いました。(どちらも、出演者は錚々たる顔ぶれ。→「俗物図鑑」 →「スタア」

▸今年もいよいよ残り少なとなりました。年内の鑑賞予定は、絶対観るゾ!というのが「来る」。中島哲也監督(久しぶり!)にハズレなし。(たぶん。) 「恐怖の報酬〈オリジナル完全版〉」も観ておくか。「銃」と「僕の帰る場所」は近所で上映しているから。韓国関係では、ポレポレ東中野で「共犯者たち」「スパイネーション/自白」という注目のドキュメンタリーを上映してますが、どちらも特別上映会とかで観てるんですよね。観ることはオススメしますが、決して「結局は正義が勝ってよかったよかった」というものではない、と私ヌルボは思っています。12月22日公開の「いつか家族に」は原題「許三観」で、これも2015年韓国文化院で観てます。ハ・ジョンウとハ・ジウォン共演で、なかなかよかった印象あり。この原作小説(余華「血を売る男」)がおもしろいんですよ。韓国題が「私の最後のスーツ」という作品は、ぜひ観たいと思っていたら、これも22日に「家へ帰ろう」という邦題で上映されるのですね。すぐには気づきませんでした。あ、<映画祭 朝鮮半島と私たち>(ユーロスペース)の「有りがたうさん」(清水宏.1936)・「KT」(阪本順治.2002)等も忘れちゃいけない。12月15日公開の「マイ・サンシャイン」は1992年のLA暴動関係のドラマで、韓国オタクとしては観ておかなくては。
 ・・・と、これだけ観ると昨年の年間100本とほぼ同じくらいになるのかな?

《青龍映画賞2018》11月23日。(→コチラ参照。)
 ◆最優秀作品賞:1987、ある闘いの真実 ◆監督賞:ユン・ジョンビン(工作) ◆主演男優賞:キム・ユンソク(1987、ある闘いの真実) ◆主演女優賞:ハン・ジミン(ミス・ペク) ◆助演男優賞:故キム・ジュヒョク(督戦) ◆助演女優賞:キム・ヒャンギ(神と共に-罪と罰) ◆新人男優賞:ナム・ジュヒョク(安市城) ◆新人女優賞:キム・ダミ(The Witch/魔女)


         ★★★ NAVERの人気順位(12月4日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(2) ボヘミアン・ラプソディ  9.57(26,712)
②(1) 僕のワンダフル・ライフ  9.56(904)
③(-) 少女の世界(韓国)  9.54(26)
④(3) ポーランドに行った子供たち(韓国)  9.47(434)
⑤(4) Burn the Stage : the Movie(韓国)  9.40(2,060)
⑥(7) マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白(韓・仏)  9.31(16)
⑦(-) 劇場版 七つの大罪 天空の囚われ人(日本)  9.26(68)
⑧(10) 家の時間(韓国)  9.25(40)
⑨(-) 万引き家族(日本)  9.23(2,868)
⑩(8) ハロー カボット:白亜紀時代(韓国)  9.23(2,058)

 ③と⑦の2作品が新登場です。
 ③「少女の世界」は、韓国のラブロマンス(?)。高校1年生のソナ(ノ・ジョンイ)は、偶然に演劇部の先輩スヨン(チョ・スヒャン)の目に留まり、ジュリエット役に抜擢されます。ロミオ役のハナム(クォン・ナラ)は、全校生徒の偶像で、秘密めいたところがある先輩です。ハナムと仲が近づくにつれて、ソナにはさまざまな感情が芽生え始めます・・・。自分だけの秘密として残っていると思っていたその日の記憶、少女たちの秘密の世界が公開されます。原題は「소녀의 세계」です。
 ⑦「劇場版 七つの大罪 天空の囚われ人」は、オジサン&オジイサン世代の認知度はどれくらいなんですかねー? 私ヌルボ、「少年マガジンの看板漫画なのか」以下、基本的なことも今知ったところなんで・・・。外国に行った時に「日本人なのに日本アニメを知らんのか!?」とあきれられる日本のオジサンのことを何かで読みましたが・・・。(訊かれたらどうごまかすか?) 韓国題は「극장판 일곱 개의 대죄: 천공의 포로」です。

     【記者・評論家による順位】

①(1) エクス・リブリス ニューヨーク公共図書館  8.50(2)
②(3) シェイプ・オブ・ウォーター  8.18(11)
③(-) 万引き家族(日本)  8.13(8)
④(-) 天堂の夜と霧(韓国)  8.00(2)
⑤(5) 希望の灯り  7.75(4)
⑥(7) バディントン2  7.67(3)
⑦(8) マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白(韓・仏)  7.60(5)
⑦(8) タリーと私の秘密の時間  7.60(5)
⑨(10) 悲しみに、こんにちは  7.50(8)
⑩(-) ファースト・マン  7.44(9)

 ④「天堂の夜と霧」が今回の新登場です。「鉄西区」等で有名な中国の王兵監督が雲南の精神病院で「収容病棟」を撮影中のようすを、韓国の映画評論家チョン・ソンイルが235分もの長尺で密着取材・撮影したドキュメンタリー。王兵の、いかにも王兵らしい作品がどのようにして撮られるのかが見てとれるとのことです。韓国題は「천당의 밤과 안개」。2015年の釜山国際映画祭で上映された作品ですが、日本では未公開です。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績11月30日(金)~12月2日(日) ★★★

         1997年のを迎えたさまざまな人物像を描く「国家不渡りの日」1位に

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(16)・・国家不渡りの日(韓国)・・・・・・・11/28 ・・・・・・・・1,069,133 ・・・・・・1,571,245・・・・・・・12,753 ・・・・・1,168
2(1)・・ボヘミアン・ラプソディ ・・・・・・10/31 ・・・・・・・・・804,258 ・・・・・・6,046,904・・・・・・・52,692・・・・・・1,103
3(2)・・怒れる牡牛(韓国)・・・・・・・・・・・・11/22 ・・・・・・・・・224,047・・・・・・・1,451,445・・・・・・・12,158・・・・・・・666
4(29)・・ロビン・フッド ・・・・・・・・・・・・・11/28 ・・・・・・・・・137,499・・・・・・・・227,234・・・・・・・・1,775 ・・・・・・・601
5(4)・・完璧な他人(韓国)・・・・・・・・・・・・10/31・・・・・・・・・・104,122・・・・・・5,131,565・・・・・・・43,063 ・・・・・・・546
6(3)・・ファンタスティック・ビーストと・・11/14・・・・・・・87,956 ・・・・・・2,361,879・・・・・・・20,401 ・・・・・・・410
       黒い魔法使いの誕生
7(40)・・2つのしっぽ ・・・・・・・・・・・・・・・11/29 ・・・・・・・・・・18,442・・・・・・・・・20,419 ・・・・・・・・・153 ・・・・・・・273
8(5)・・僕のワンダフル・ライフ ・・・・・・11/22 ・・・・・・・・・・16,299・・・・・・・・・78,439 ・・・・・・・・・674 ・・・・・・・157
9(新)・・蜘蛛の巣を払う女 ・・・・・・・・・・11/28 ・・・・・・・・・・14,768・・・・・・・・・25,168 ・・・・・・・・・200 ・・・・・・・312
10(7)・・パウロ 愛と赦しの物語 ・・・・10/31 ・・・・・・・・・・14,085・・・・・・・・229,837・・・・・・・・1,812 ・・・・・・・・91
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 新登場は1・4・7・9位の4作品です。
 1位「国家不渡りの日」は、韓国のドラマ。1997年7月に起きたアジア通貨危機で大きな打撃を受けた韓国は、同年末デフォルト(債務不履行)寸前の状況にまで追い込まれた。これによりIMFが金融支援をするとともに韓国の経済に介入することとなりました。この経済危機はとよばれ、今もしばしば語り草になっています。この作品は、その国家不渡りが起きる1週間前を背景に、立場や、情報能力等の異なる人々の危機の中での身の処し方等を一般市民の立場から多角的に描いたものです。多くの人々が経済好況を信じて疑わなかったその時、危機を予見した韓国銀行の通貨政策チーム長ハン・シヒョン(キム・ヘス)はこのことを報告し、政府は遅ればせながらも国家不渡りを防ぐための非公開の対策チームを立ち上げます。一方、危機のシグナルを感知した金融社員のユン・ジョンハク(ユ・アイン)は、この危機に逆に賭けに出て投資することを決め、投資者を募集します。その一方、何も知らない工場長のカプス(ホ・ジュノ)は大型デパートとの手形を使った取引を決め、幸せを夢見ます。一方、対策チーム内では、危機対応方式をめぐってシヒョンと財務局次官(チョ・ウジン)が強く対立する中で、シヒョンの反対にもかかわらずIMF総裁(ヴァンサン・カッセル)が交渉のため密かに入国します・・・。原題は「국가부도의 날」です。
 4位「ロビン・フッド」、あのレオナルド・ディカプリオ製作、オットー・バサースト監督で、あのおなじみの物語の新作が作られました。金と権力を持った支配層のために人々の生活が困難になった時期。戦争で死んだと思った貴族の20歳の青年ロビン(タロン・エガートン)が現れた後、金持ちのお金だけ盗むという頭巾をかぶった男の噂が聞こえてきます。正体不明の彼に莫大な懸賞金がかかりますが、いつも捕まえられず。神出鬼没の彼の活躍に、人々もだんだん動揺し始めます・・・。韓国題は「후드」。日本公開は未定のようです。
 7位「2つのしっぽ」(仮)は、ロシアのアニメ。有名になりたいと願っているネコのマックス、勤勉で賢いビーバーのボブ、そして好奇心一杯のの少年バズと、地球にエネルギー資源を見つけるために来た宇宙人三銃士ジーク、ジューク、ジャカは友人になります。しかし、楽しい時間もしばし。宇宙人の悪人スクラッチャー味が森の中のすべての動物の友人たちを誘拐していきます。はたして、マックスとボブは悪党に拉致された動物の友人たちを無事救出して宇宙人三銃士と再び友だちなれるでしょうか・・・。韓国題は「투 프렌즈」。日本公開はなさそう?
 9位「蜘蛛の巣を払う女」は、あのスティーグ・ラーソンの傑作ミステリー「ミレニアム」3部作の続編として刊行されたダヴィド・ラーゲルクランツによる「ミレニアム 4 蜘蛛の巣を払う女」の、米・英・独・スウェーデン・カナダ合作による映画化作品。別名<悪の審判者>と呼ばれる天才ハッカーのリースベット(クレア・フォイ)は、ある依頼人の男から危険な提案を受けます。しかし、任務を遂行していた時暴漢の襲撃を受け、依頼人まで殺されてしまいます。このことが全世界を脅かすハッカー犯罪組織スパイダースと関連していることを知ったリースベットは、事件の真実とスパイダースの正体を暴いていくにつれ、より大きな脅威にさらされ、さらに悪いことに事件の重要な情報と重要な手がかりを握った人物まで奪われてしまいます。一方、人工知能の研究で世界的な名声を博す科学者が抱える重大な問題に巻き込まれたジャーナリストのミカエル(スベリル・グドナソン)はリスベットに連絡を取り、やがて2人は巨大な悪の組織を相手に闘うことに・・・。韓国題は「거미줄에 걸린 소녀」。日本公開は来年1月11日です。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・パウロ 愛と赦しの物語・・・・・・・・10/31 ・・・・・・・・・14,085・・・・・・・・229,837 ・・・・・・・・1,812・・・・・・・・・・91
2(2)・・ヨンジュ(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・11/22 ・・・・・・・・・・3,164・・・・・・・・・17,767・・・・・・・・・・139・・・・・・・・・・42
3(新)・・星の国のモリー・モンスター・・・・11/29 ・・・・・・・・・・1,788・・・・・・・・・・1,927・・・・・・・・・・・14・・・・・・・・・・62
4(新)・・先生(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11/29・・・・・・・・・・1,173・・・・・・・・・・2,245・・・・・・・・・・・17・・・・・・・・・・59
5(5)・・ポーランドに行った子供たち(韓国)・・10/31・・・・・・・1,130・・・・・・・・・44,578・・・・・・・・・・342・・・・・・・・・・12

 3・4位の2作品が新登場です。
 3位「星の国のモリー・モンスター」(仮)は、スウェーデンのアニメ。モリー・モンスターは日本ではなじみはないようですが、あのムーミンに似た子供のモンスターです。美しい星の国で、やさしい両親やかけがえのない友人エディソンと幸せに暮らしています。ある日新しい家族になる弟に会うためにエッグアイランドに行かなければなりません。しかし、まだ幼いので、両親と一緒に行くことができません。ところが両親が出ていった後、モリーは弟のために準備した贈り物が自宅に残されていることを発見します。すぐに生まれる弟のための贈り物を渡すために、未知の場所エッグアイランドに行かなければ! 一度も見たことのない家の外の広い世界へ。モリーとエディソンの旅にどんな危険が待っているのでしょうか? 韓国題は「별나라 몰리 몬스터」です。
 4位「先生」は、韓国のドラマ。交通事故の後遺症で他人の顔が見分けられない若者ドゥサン(チェ・ジュニョン)は、幼い頃雨の降る日に傘をさしてくれた彼女、つまり初恋の相手の<先生>が忘れられません。ソウルに上京し、友人の家にやっかいになりながら<先生>を探すドウサンは、初恋の人に見える女性に逃げられたりします。そして友人のルームメイトもまたあれほど懐かしい<先生>のようだし、偶然街で出会った女性の香りも明らかに<先生>です! はたして、初恋の<先生>を見つけることができるのでしょうか? 原題は「샘」です。※<샘>は<선생님>の略語として広く用いられている言葉です。
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北朝鮮の人たちは軽々しく「ありがとう」とは言わないって?  ▸チェ・ソングク「ここは大韓民国」より

2018-11-29 23:47:49 | 韓国の漫画

<ハトの背中を見て驚く脱北漫画家! そのわけは?  ▸チェ・ソングク「大韓民国定着記」より>
<「漢拏山(ハルラサン)血統」とは? 脱北者の送金で豊かになる北朝鮮の家族  ▸チェ・ソングク「自由を求めて」より>
<韓国入国後の適応教育の場で、担当官に「注目してください」と言われた脱北者がとった意外な反応  ▸チェ・ソングク「ここは大韓民国」より>
に続く脱北者漫画家チェ・ソングクさんのシリーズ第4回です。

 今回も、場所は前回と同じ韓国に来たばかりの脱北者たちの取調べ・調査等が行われる国家情報院(国情院)。そこの食堂です。

 誰もが椀や皿に一杯どころか、トレー全体に溢れるほど料理を盛りつけます。コッソリと(後で食べるために)ポリ袋に食べ物を落とし入れる女性もいます。
 
     これは完全に中央党(青
     瓦台)の食事だなあ

  俺のおかげだよ   
             
   実はああでこうでどうで
   何だかんだぜひとも飯が
   必要なので等 ・・・だから
   ごはんをちょっと下さい

 おかわりどころか、3度の飯にもちゃんとありつけるかが問題、という多くの北朝鮮の人たちの食料事情を思えば、こんなマナーのギャップもわからないではありません。
 彼らのようすを見ていたのが、前回にも登場していた新入りの若い担当職員です。


  ふつうにもっと食べたいと
  言えばいいのに・・・
  なんで説明がくどいんだ
 挨拶もちゃんとしないで・・・
 忠誠の誓いは上手くやって、
 挨拶はちゃんとできない?
 あーあ、理解できない

 <忠誠の誓い>とは、この少し前の部分で彼らに「ここ大韓民国は表現の自由がある国です。さあ思い切り自分の気持ちを表現して下さい」と呼びかけたところ、それを<忠誠心の試験>と受けとめた脱北者たちが次々に「♪今日のこの幸福を誰が下さったか 国情院が下さった」等々、北朝鮮の歌の歌詞を変えて歌うなど、韓国や国情院への忠誠心ショーのようなものになったことを指しています。
 ここで担当職員氏、機会をとらえて・・・

  もっと食べてもいいですか?

ええ、そうですね・・・
ちょっと待って下さい
さあ皆さん、食事しながら聞いて下さい。忠誠心より大事なことは挨拶をちゃんとやることです。むずかしくはありません。
このようにやればいいです
               
            ?

 そして、大勢が見ている前で・・・


 ごはんやおかずが盛られていく順にしたがって挨拶(お礼)の手本を示します。

 ごはん
    感謝します

  何、あの・・・これ
 おかず
    ありがとう
    ございます

  え、なんで私に・・・
 おかず
   いただきます

 どんどん彼女の顔が険しくなっていきます。そして・・・

     

こんな大勢の人たちの前で、なんでそんなにたくさん挨拶をやらせるんですか? 自分の祖国を捨ててごはんとかもっとくれと言ってるから革命的信念と自尊心がない女と見てるんでしょ!なんで私を侮辱するんですか? 私が南朝鮮の地主や資本家なんかの作男に見えますか? 私がこんなことしようと思って来たと思ってるんですか?

 なぜ彼女がこんなにも恐慌をきたしたのかわからず、憮然とした面持ちの新入り職員氏に、北朝鮮の言葉にも堪能な上司(部長)が声をかけます。


 どうにも理解しがたいことがこれからもっと多くなるだろうよ

 しかし、この新入り職員だけでなく、私ヌルボもなぜこの脱北女性がこれほどまで強く抗議するのかわかりませんでした。

 この漫画の韓国人読者も同じだったとみえて、後の方のページで次のような質問が載っていました。


      南側質問
 なぜありがとうと言えば作男だと言うのか、理解できません(笑)。次の漫画で説明してもらえますか?


 これに対し、チェ・ソングクさん、「政治の話はできないし・・・」と考えながらも、次のように答えています。

  北側答弁

 社会主義のためです。
 社会主義は常に発展した体制だとしてよいことは過大包装し、よくないことは隠そうとします。このように暮らしてみると虚勢と格式とすき間のようなものが体に沁みついて・・・
 そのため人々は物静かで重みのある心の中の考えをあまり表にさらけ出さない人を心がしっかりした、重みのある、信頼性のある人と評価します。

 この反対の人が、よく挨拶をして、心をよく表現する人なのですが・・・ こんな人はとてもお人好しでおっちょこちょいで軽くて重みがなく、信頼性のない、ただのおべっか使いで、よくない人と評価されるのです。



 なるほど・・・。ということで私ヌルボが思い出したのは、ずっと前(10年以上か)、ある雑誌で脱北の手助けをしている日本人の記事。その人は、「自分がこれだけ危険を冒して支援しているのに、当の脱北者から感謝の言葉が一言もないので、虚しさを覚えることもあった」と書いていました。今上のチェ・ソングクさんの文を読んで「そういうことだったのか」と(ほぼ)納得しました。
 ただ、「社会主義のため」というのは今ひとつうなずけないんですけどねー。
 物が慢性的に欠乏した社会、独裁体制、(「成分」という)細分化された階層社会、相互監視社会、こういった要素が絡み合っているような気もします。
 また、よく言われることですが、韓国では「親しき仲にも礼儀あり」という日本とは逆に、家族や親しい友人の間で「ありがとう」と言ったり「ごめん」と謝ったりするのは「水くさい」とされます。韓国人から見れば、日本人は「ありがとう」を言いすぎる、ということです。
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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [11月23日(金)~11月25日(日)]

2018-11-27 22:09:49 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸24日(土)、シネマート新宿で韓国映画「代立軍 ウォリアーズ・オブ・ドーン」を観てきました。1592年壬辰倭乱が勃発して、国王の宣祖は自分は半島北西端の義州までサッサと避難する一方、まだ16歳の庶子の光海(ヨ・ジング)を王世子とし、朝廷を割った<分朝>を任せます。光海と<分朝>一行は、国王に代わって義兵を集めて日本軍に対抗するために半島北部の江界に向かいます。その際護衛兵として連れて行ったのが代立軍、すなわち財物を代価に他人が負うべき軍役を代行して生計を立てている、いわば傭兵。その長を演じているのがイ・ジョンジェ。ドラマ「砂時計」で一気に人気スターになってからもう22、3年か。当時ヨ・ジングはまだ生まれてないゾ・・・。さて、この代立軍というのが実際にあったのか?という疑問がないではないですが、チョン・ユンチョル監督によると「実際にあった」とのことです。(うーむ。) しかし、それはそれとして、最近観た韓国映画の中では上の部類でなかなか楽しめました。この<代立軍>は現在の韓国で問題となっている非正規労働者をダブらせているという見方があるようですが、言われてみればそうかもしれません。それにしても、当時の日本人兵士たちも朝鮮半島の最北端までよく行ったものです。また現地でいくつも城を造ったり、もちろん戦ったり等々。日本国内で名護屋城まで行くのさえキツイのに・・・。そんな戦いがなんで可能だったのですかねー?

▸じわっと近づいてきました。渋谷ユーロスペースで12月8日(土)公開の<映画祭 朝鮮半島と私たち>の記事(作品・日程等)は→コチラ、FACEBOOKは→コチラです。

▸大手メディアでは(たぶん)ほとんど報じられない、マイナーな韓国のドキュメンタリー映画「ソソンリ(韶成里)」の上映会情報は→コチラ。ソソン里は慶尚北道星州郡内の小さな村ですが、THAAD配備用地とされ、2017年4月にそこにあるロッテ系列のゴルフ場にレーダーや発射台等が運び込まれて、それまで平穏だった日々が一変しました。この問題を現地の住民の視点に重点を置いて制作したとのことです。

         ★★★ NAVERの人気順位(11月27日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(-) 僕のワンダフル・ライフ  9.63(546)
②(1) ボヘミアン・ラプソディ  9.59(22,428)
③(2) ポーランドに行った子供たち(韓国)  9.48(393)
④(4) Burn the Stage : the Movie(韓国)  9.40(1,998)
⑤(3) 出国(韓国)  9.37(2,655)
⑥(6) スタビー軍曹  9.29(56)
⑦(7) マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白(韓・仏)  9.25(12)
⑧(10) ハロー カボット:白亜紀時代(韓国)  9.23(2,059)
⑨(-) 劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~(日本)  9.20(182)
⑩(-) 家の時間(韓国)  9.20(35)

 ①と⑩の2作品が新登場です。
 ①「僕のワンダフル・ライフ」は、日本では9月に公開されています。韓国題は「베일리 어게인」です。
 ⑩「家の時間」は、韓国のドキュメンタリー。ソウルの端にある遁村住公アパートは建て直しの時が迫っています。このアパートで彼らなりの年月を過ごしてきた住民は、それぞれこの住まいに対する愛情を語ります。そして、いつものような風景が静かに映し出されます。ある家のリビングルームからアパート全体、朝から夜まで。撤去される前にさまざまな記憶が呼び起こされ、それが再建への思いにつながっていきます・・・。原題は「집의 시간들」です。

     【記者・評論家による順位】

①(2) エクス・リブリス ニューヨーク公共図書館  8.50(2)
②(3) ファントム・スレッド  8.22(9)
③(4) シェイプ・オブ・ウォーター  8.18(11)
④(5) 暗数殺人(韓国)  8.14(7)
⑤(-) 希望の灯り  7.75(4)
⑥(-) 生き残った子[最後の息子](韓国)  7.67(9)
⑦(8) バディントン2  7.67(3)
⑧(9) マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白(韓・仏)  7.60(5)
⑨(-) タリーと私の秘密の時間  7.60(5)
⑩(10) 悲しみに、こんにちは  7.50(8)

 ⑤と⑨の2作品が新登場です。
 ⑤「希望の灯り」はドイツのドラマ。舞台は旧東ドイツ・ライプツィヒ近郊の巨大スーパー(卸売市場)です。主人公は、27歳の青年クリスティアン(フランツ・ロゴフスキ)。建設現場の仕事をやめて、そのスーパーの在庫係として働き始めます。口下手な彼の面倒を見てくれたのは上司のブルーノ(ペーター・カース)でした。また製菓コーナーでは同じ新入りの女性マリオン(ザンドラ・ヒュラー)とはコーヒー自販機の前で話をするようになります。クリスティアンは彼女に一目惚れしますが、実は彼女はワケアリの人妻でした・・・。そんな深夜のスーパーで働く人々の日常を穏やかに、ときにユーモラスに描いた作品です。韓国題は英題「In the Aisles」そのままで「인 디 아일」。日本公開は来年4月5日で、もう予告編(→コチラ)も公開されています。
 ⑨「タリーと私の秘密の時間」は、日本ではすでに8月公開されています。韓国題は「툴리」です。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績11月23日(金)~11月25日(日) ★★★

         「ボヘミアン・ラプソディ」の勢い衰えず、1位に上昇

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(2)・・ボヘミアン・ラプソディ ・・・・・・10/31 ・・・・・・・・・955,457 ・・・・・・4,644,510・・・・・・・40,967・・・・・・1,136
2(5)・・怒れる牡牛(韓国)・・・・・・・・・・・・11/22 ・・・・・・・・・700,740・・・・・・・・920,977 ・・・・・・・・7,961 ・・・・・1,008
3(1)・・ファンタスティック・ビーストと・・11/14・・・・・・358,033 ・・・・・・2,165,613・・・・・・・18,833 ・・・・・・・842
       黒い魔法使いの誕生
4(3)・・完璧な他人(韓国)・・・・・・・・・・・・10/31 ・・・・・・・・・266,982・・・・・・・4,889,990・・・・・・・41,139・・・・・・・730
5(52)・・僕のワンダフル・ライフ ・・・・・11/22 ・・・・・・・・・・36,290・・・・・・・・・45,254 ・・・・・・・・・400 ・・・・・・・170
6(4)・・Burn the Stage : the Movie(韓国)・・11/15・・・・・・・・・29,345 ・・・・・・・・298,408・・・・・・・・2,533 ・・・・・・・136
7(6)・・パウロ 愛と赦しの物語 ・・・・・10/31 ・・・・・・・・・・20,264・・・・・・・・201,760・・・・・・・・1,599 ・・・・・・・145
8(85)・・キャプテン・シャーキー ・・・・・11/22 ・・・・・・・・・・・9,384・・・・・・・・・11,057・・・・・・・・・・・82 ・・・・・・・174
9(7)・・出国(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・11/14 ・・・・・・・・・・・8,844・・・・・・・・・71,407・・・・・・・・・・568 ・・・・・・・・67
10(新)・・タリーと私の秘密の時間 ・・・11/22 ・・・・・・・・・・・8,139・・・・・・・・・24,325・・・・・・・・・・207 ・・・・・・・138
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 新登場は5・8・10位の3作品です。
 5位「僕のワンダフル・ライフ」は、上述のように日本では9月に公開されています。
 8位「キャプテン・シャーキー」は、ドイツのアニメ。元々はドイツの男の子に大人気の絵本(未翻訳)で、キャプテン・シャーキーのキャラクター・グッズは多岐にわたって作られているようです。自分が世界で最も恐ろしい海賊だと信じている少年シャーキーは、羅針盤と船員を求めてホームポート島に向かいます。一方、たまたまシャーキーのいたずらで追われる身となったマイキーと家出少女のボニーが険しい旅に合流することになり、ボニーが海賊に拉致されたと誤解した海軍提督と、報奨金を狙う無慈悲な海賊たちがシャーキーと友人たちの後を追い始めます。果たして、少年シャーキーは友人たちを無事に守って、真の船長になるでしょうか・・・。韓国題は「캡틴 샤키」。日本公開は未定のようです。
 10位「タリーと私の秘密の時間」も、上述のように日本では8月公開されています。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・パウロ 愛と赦しの物語・・・・・・・・10/31 ・・・・・・・・・20,264・・・・・・・・201,760 ・・・・・・・・1,599・・・・・・・・・145
2(8)・・ヨンジュ(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・11/22 ・・・・・・・・・・6,946・・・・・・・・・・9,647・・・・・・・・・・・78・・・・・・・・・・98
3(新)・・28歳未成年・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11/21・・・・・・・・・・3,310・・・・・・・・・・9,436・・・・・・・・・・・78・・・・・・・・・123
4(15)・・ビューティフル・デイズ(韓国)・・・11/21・・・・・・・・・・1,185・・・・・・・・・・5,148・・・・・・・・・・・39・・・・・・・・・107
5(24)・・夜明けの約束 ・・・・・・・・・・・・・・・・・11/22 ・・・・・・・・・・・782・・・・・・・・・・1,619・・・・・・・・・・・14・・・・・・・・・・18

 2~5位の4作品が新登場です。
 2位「ヨンジュ」は、韓国のドラマ。交通事故で両親を失い、突然一家を支えなければならない立場になったヨンジュ(キム・ヒャンギ)は、自分の学業をあきらめてでも弟のヨンイン(タン・ジュンサン)に対してだけは責任を持とうとします。ところがヨンインは困ったことばかりやって、現実は過酷になるばかり。そのヨンインの事故で家までも売らなければならない状況に追い込まれたヨンジュは、両親を死なせた当事者に会いに行くのですが・・・。キャッチコピーの「悪くて、良い人に会った」というのはその人のことなのかな? 原題は「영주」です。
 3位「28歳未成年」は、中国のラブロマンス、というよりラブコメのようですね。チャン・モー(張末)監督は、あのチャン・イーモウ(張芸謀)監督の長女で、本作で監督デビューとのことです。同名の小説の映画化作品。主人公は28歳の女性、凉夏[リャンシア]。恋愛に失敗して落ち込んでいた彼女がたまたま魔法のチョコレートを間違って食べ、外見はそのままで5時間の間17歳の心と能力が取り戻せるようになります。その17歳の凉夏は地下鉄で出会った青年・巌岩[ヤンヤン]に一目惚れし、短いながらもデートを続けるようになります。しかし17歳と28歳の凉夏の二重生活は変調をきたしていきます・・・。韓国題は「28세 미성년」です。
 4位「ビューティフル・デイズ」は、韓国のドラマ。今年9月開催の第23回釜山国際映画祭の開幕作であり、イ・ナヨンの6年ぶりの映画復帰作という点でも話題を呼んだ作品です。中国朝鮮族の大学生ジェンチェン(チャン・ドンユン)は、病気になった父の頼みで自分たちを捨てて家を出て行った母(イ・ナヨン)を探しに韓国にやって来ます。居酒屋を営みながら韓国人の男と住んでいた母はジェンチェンを失望させ、14年ぶりに再会した息子に意外なほど無関心なようすを見せます。この短い母との再会の後中国に帰ったジェンチェンは、そこで母の驚くべき過去を知ることになります・・・。原題は「뷰티풀 데이즈」です。あ、私ヌルボ、この「驚くべき過去」が読めたゾ。観た人たちのコメントで確認したら合ってました。この作品は日本でも公開してほしいです。
 5位「夜明けの約束」は、フランス・ベルギー合作のドラマ。このタイトルは、ゴンクール賞を2度受賞した唯一のフランスの小説家で、映画監督、外交官でもあったロマン・ガリの自伝の書名でもあります。(翻訳書あり。) 1914年ロシア帝国領ヴィリア(現リトアニアの首都ビリニュス)に生まれ、1980年パリの自宅で拳銃自殺を遂げたという人物です。この映画は、貧困の中でも息子の成功のために献身する、相当な教育ママというべき母ニーナ・カツェフ(シャルロット・ゲンズブール)と、彼女の犠牲に報いるために懸命に作品を書き続けるロマン・ガリ(ピエール・ニネ)の物語です。母親は、何としても息子に自身が憧れるフランスで一旗あげてほしくて、彼が14歳の時ニースに移住します。息子は小説を書き続けますが、やがて第2次大戦がはじまって空軍のパイロットとなり、その後イギリスに逃れて自由フランスのレジスタンス戦士として活躍することに・・・と、波乱万丈の生涯を綴った原作をかなり忠実になぞった作品のようです。韓国題は「새벽의 약속」です。日本公開は、えっ、未定なの? ※ゲンズブール家もロシア系ユダヤ人で、シャルロットは「祖母のなまりを思い出しながら演じた」とか。
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[韓国語]「パンナメ」と聞いて自然に意味がわかるまで、ふつう何年かかるのだろう?

2018-11-26 16:04:47 | 韓国語あれこれ
 10日ほど前、スマホで韓国SBSラジオをなんとなく聴いていました。
 すると、「釜山で<○○パンナメ>が開かれる」というCMが耳にとび込んできました。
 この<パンナメ>という言葉の意味は(ほぼ?)瞬時にわかったのですが、そのことは私ヌルボとしてはとてもウレシイことでした。
 この言葉、たとえば韓国語中級以上のレベルの学習者の皆さんはどれくらいわかるでしょうね? その意味は後述しますが、ヒントは日本でもふつうに用いられている漢字3文字の熟語です。

 私ヌルボ、これまで韓国の小説(原書)関係の記事も書いたりしてきました。しかし、会話やリスニングは苦手で、とてもペラペラにはほど遠いレベルです。映画やドラマなど、内容はほぼわかっても、セリフが丸ごとそのままわかるわけでもないので、字幕がないと細部はとてもわかりません。
 その理由は、元々頭脳が語学習得に不向きということは措くとして、韓国語学習も昔の英語学習と同じような読解中心の学習を中心にしてきたからです。
 本気で韓国語に取り組み始めたのが1990年前後。しかし読解だけの学習に限界を感じてハングルサークルに入り、それなりに進歩してきたとは思います。韓国に旅行しても、言葉の点では中級レベルでもほぼOKだし・・・。しかしそれが自分を甘やかすことになり、今世紀に入ってからもリスニングに本格的に取り組むこともありませんでした。
 ところが昨年9月ガラケーを失くしたことを契機にスマホに切り替え、日常的に韓国語のリスニグができるようになりました。もっと早くからスマホにしていれば、と思っても後悔先に立たずです。
 そんなこれまでの個人的事情があった上での<感激>だったというわけです。

 さて、<パンナメ>の意味がわからないという韓国語学習者の皆さんへ。
 少し簡単なとこから考えてみましょう。
 では、<キメ>はわかりますか? 地名(市名)です。空港がある所なのでご存知の人も多いでしょう。正解は金海(←範囲指定すると見やすい)。<김(キ.金)>と<해(ヘ.海)>を組み合わせると韓国語では<ㅎ(h)>の音が日本のハ行のh音ほど強くないので、日本人の耳には<キメ>と聞こえます。※コメント欄を参照のこと。
 同様に<ナメ>と言えば南海ですね。
 韓国特産の小ぶりの瓜を<チャメ(참외)>と言いますが、これが<참(チャ.真の)><외(ウェ.きゅうり)>を合成した言葉であることは→コチラの記事で書きました。
 ついでに<ㅁ(m)>音以外も少し見てみましょう。
 <チペ>と聞こえる言葉が何かわかりますか?
 これは집회(集会)です。<ㅂ+ㅎ>→<ㅍ>となって<지푀>という発音になります。

 では次の問題。<トンニプ>とは何のこと?
 これは独立(독립)が正解。パッチムの<ㄱ>が<ㄹ>につながる場合、<ㄱ>は<ㅇ>に、<ㄹ>は<ㄴ>に変わって<동닙>という発音になります。
 <独立門>だとどうなるか? これは先々週現地で撮った地下鉄・独立門駅の表示(右画像)を見てください。

 ・・・上記のような、リエゾンが1つの場合はまだいいですが、<独立門>のように2つ続くと聴いてすぐわかるかどうか、私ヌルボもあまり自信はありません。

 やっと冒頭に戻って<パンナメ>。
 正解は博覧会(박람회)です。
 <博覧(박람)>は、<ㄱ>が<ㅇ>に、<ㄹ>は<ㄴ>に変わって<방남(パンナ)>という音になり、その後に続く<회>の<ㅎ>音が弱いため<방나뫼(パンナメ)>と聞こえるのです。
 日韓共通の漢字語は膨大と言っていいほどたくさんあり、その発音がまったく同じorほとんど同じものも多数あります。ところが「はくらんかい」と「パンナメ」は大違いで、まさか同じ漢字語とは思えませんね。
 私ヌルボ、これらのことは、たとえば筆記試験だったらわりと前(10数年前?)でもできたかもしれません。(ホントか??) しかし聴いてすぐわかるレベルではありませんでした。それが今聴き取れたということで、上述のように「感激した」というわけです。

 しかし、フツーの韓国語学習者の皆さんの場合、学習歴何年くらいでこの<パンナメ>が自然に聴いてわかるようになるのでしょうね? 全然見当がつきません。

※「○○パンナメ」とは、具体的には11月23~25日BEXCO(釜山国際展示場)で開催の「부산건축박람회(釜山建築博覧会)」のことでした。

★「パンナメ」について書かれた他のブログ記事2つ

 ・→ ほろ酔いハングル ・・・・簡潔にして要を得た記事。能力試験の聞き取り問題に出たのか?
 ・→ まみんのブログ ・・・・記事のタイトルが「韓国語中級〈ヒアリング〉」か。うーむ、そうでしょうけど・・・。バラエティ番組やドラマの視聴を薦めていらっしゃって、それはよーくわかるのですが、「大事なのは毎日少しでも聞くこと。たとえ10分でも2~3か月続けると、ある日突然半分以上聞き取れるようになります」とは! 絶句(涙)・・・。

★ちょっと関連の過去記事
 → 972kHz 韓国 KBS社会教育放送の思い出 ★「キミルソン」と「キリムソン」
コメント (4)
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2019年度修能(18年11月実施)の第二外国語・日本語の問題  日本人でも満点取れるか、今回も疑問

2018-11-23 23:53:26 | 韓国語あれこれ
 私ヌルボ、先週3泊4日でソウルに行ってきました。11月13~16日です。その3日目、15日(木)に2019年度修学能力試験が実施されました。試験当日にソウルにいるのは初めてのことです。たまたまホテル近くにある校洞(キョドン)初等学校も会場になっていたので朝ちょっと行ってみましたが、その件については(たいした話はないのですが)別記事にします。

 さて、その試験問題は全科目とも→コチラの連合ニュースのサイトからダウンロードできます。
 その<5교시(5校時)>が<제2외국어/한문(第2外国語/漢文)>で、その中に「日本語」があります。→コチラから直接そのPDFファイルを開くことができます。

 本ブログでは、2009~15年の修能・日本語の問題についての記事を載せてきました。
 16・17年がないのは、例年出題傾向がほぼ同じで、記事として新鮮味に欠けると思ったからです。しかし、日本のセンター試験の英語や、韓国語の問題のように面倒な長文読解や難解な文法問題がなく、日本の生活・文化・社会の理解にもつながる、総じて良質の問題だという見方は変わっていません。
 で、今回もとくに大きな変化はありませんでした。「ほぼ同じ」と言えば、日本人にとっても正解がよくわからない問題が1つ2つあることもいつものことで、今回もそんな問題がありました。その2問をコピペしましたので、いかがなものか、考えてみてください。
 「下線部分の表記が正しいものは?」という問題です。
 ①~③は、日本人のほとんどは難なくできますよね。
 ところが私ヌルボ、④で「ん?」と止まってしまいました。もちろん、現在の送り仮名の付け方では「新しい」が正しいとされていることは承知していますが、かつては右の画像のように「新らしい」という表記もわりとふつうにあったし、今も時おり目にすることはあります。
 ということで、ちょっと保留にしておいて、次の⑤をみると「いっしょうけんめい」。これは問題なく正しいだろうと思う人が多いでしょうが、一生懸命という言葉は本来的には一所懸命(いっしょけんめい)から生まれた言葉ということをご存知の方も相当数いらっしゃるとおもいます。一所懸命とは、中世の武士たちが将軍から賜ったり先祖代々伝えられている所領を命懸けで守ることに由来する言葉で、その<一所>が<一生>に転訛して<一生懸命>になったというわけです。
 今は<一生懸命>の方を新聞やTV等で用いるようになり、一般社会でも大多数の人が使っています。また、ふつうの辞典では<一所懸命>と<一生懸命>のどちらも正しいとされていますが、かつては「一生懸命は一所懸命の誤用」と記されているものもあったとか・・・。(もしかして、今もあったりして・・・。←未確認。)
 ・・・と、「<新らしい>でいいじゃないか」とか「<一所懸命>が正しい」といった昭和前期までの日本語感覚をお持ちの方は正答のではなく、④を選んでしまいそうです。
 なお、例年同種の問題が出題されています。つまり母音の長短とか、清音・濁音・半濁音の区別といった韓国人の苦手な発音に関係する問題です。とすると、①~⑤の中で④だけがそれらの発音とは関係ない選択肢なので不自然だなと思いましたが、考えてみれば発音の問題というよりも、正しい日本語表記の問題ということなんですね。

 次の問題は、上掲のものよりもむずかしいかもしれません。
 「文章表現が正しいものだけをそのまま選んだものは?」という問題です。
 a.は、2014年11月の試験で同形式の問題があり、またその中によく似た選択肢がありました。
 「日本に来たところなので、まだ日本語が下手です。」というもの。これも実に紛らわしいですね。答えをみると、これは誤りになっていました。
 b.は、正しいとみてよさそうですね。
 問題はc.。たぶん敬語を使うかどうか、というあたりを問うているのかな? しかし「鈴木さん」がどういう人かにもよるし、この一文を誰に対して言っているのかによっても違ってくるのでは?
 私ヌルボ、全然自信ナシ。というより、わからず。正答を見ると、になってました。ということは、c.は誤りということなのか、ふーん・・・。

 最後に、2009~15年の修能・日本語についての過去記事のリンクを貼っておきます。
 ※年の後の×印は、日本人にとっての(大雑把な?)難易度。2010年の問題は今も正答がわかりません(笑)。

2009年

2010年 ×××

2011年 ×

2012年 ××

2013年 ×

2014年 ×

2015年 ××


★おまけ。次の6.ような、日本語と関係ない、日本についての知識・教養を問う問題もありました。6.は「(  )にあてはまるものを選べ」、7.は「文章の内容からわかることは?」という問題です。
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