書く仕事

ご訪問ありがとう!!ミステリー小説の感想を中心に,読書,日々の雑感,映画の感想等を書き散らかしています.

「恋のゴンドラ」東野圭吾

2022年03月20日 08時08分52秒 | 読書
「恋のゴンドラ」東野圭吾


東野圭吾が恋愛小説?って思いますよね.
僕もクエスチョンマークを頭に浮かべながら読みましたよ.
しかし,ご心配なく,やはり東野圭吾は東野圭吾でした.

確かに大筋では恋愛小説です.
スキー場を舞台とした恋の駆け引きなんだから間違いない.
しかし,しかし,です.
恋のアバンチュールのつもりが,ちょっとしたアクシデントのために地獄図のようになったり,「ごめんなさい」された相手が意外な出来事から自分を好きになってくれたり,最初のエピソードが最後のエピソードで形を変えて再現されたり,ミステリー作家としての東野圭吾ならではのトリックがあちこちにしかけてあって,楽しいこと楽しいこと.
恋愛のとらえ方は,各人各様ですので,こうやれば必ずうまくいくという正解はないですね.
ただ,相手の心理を冷静に分析して,慎重にしかも誠意をもって当たれば成功の確率はぐっと上がるのです.(上から目線!)
そういう意味では,恋愛は,完全犯罪ではないですが,知能犯のような頭脳を必要とするようです.ただ,完全犯罪はたいてい刑事コロンボや古畑任三郎から見破られてしまいますけどね.すべての女性の頭脳には古畑コロンボが潜んでいることを思い知りましょう.
何を言いたいかというと,この「恋愛小説」は下手な推理小説よりはるかに「ミステリー」なんです.
今恋愛してる方,今はしてないけどこれからする方はもちろん,恋愛は卒業しちゃったという方も,十分昔を思い出しつつ楽しめるミステリー小説になっておりますぞ.
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「密室蒐集家」大山誠一郎

2022年03月13日 14時41分46秒 | 読書
「密室蒐集家」大山誠一郎


こんなタイトルはないよね,って思わせるのも作者の思惑かな.
いわゆる本格密室ものです.
いずれも単純な密室ではない.三重くらいにヒネってある.
密室のアイデアは過去に出し尽くされていると思っていたが,なんのなんの,出てくる出てくる.
泉の湧くごとく密室のアイデアが披露される.
お話によっては,第2第3の別解までご披露される.
この作者,密室のアイデアは相当ストックを持ってますね.

もうひとつ,一つ前に紹介した「アリバイ崩し承ります」では次のように書きました.
『どの推理小説とは言いませんが,犯人がわかっても,「まだそれを明らかにする時ではない」だの「完全な証拠が得られるまでは明かせない」だの読者を弄ぶような下品な言動がないのが,潔くてすごく好感が持てます.』
この本の主人公も,ひと通り状況を聞いた後,犯人が分かった時点で,すぐに読者に推理結果を公表してくれる.
この手順が大変爽やかなんです.犯人を指摘できない警察官を愚弄するような言動がないのが大いに好感が持てる.

しばらく本格推理ものに復帰してみようかなという気になりました.


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「アリバイ崩し承ります」大山誠一郎

2022年03月04日 11時50分40秒 | 読書
「アリバイ崩し承ります」大山誠一郎


この時計店には「時計修理承ります」という張り紙の他,「アリバイ崩し承ります」という張り紙もある.
店主の美谷時乃は祖父譲りの推理好きが嵩じて,アリバイ崩しの相談にも乗るという.
1件5000円だそうだ.
そんな商売が成り立つはずがないと思って読むのをやめるような人は,読まなければよい.
へえ,面白いじゃんと思う人がこの本を読む.それでよいのです.

ジャンルとしては倒叙ものですが,犯人のアリバイ崩しを成し遂げるのは刑事さんではなく,刑事さんから相談を受けた時乃さん.
しかも,警察が必死で捜査しても出来なかったアリバイ崩しをほとんど所要時間ゼロで解いて見せるわけです.

ただ,この時乃さん,どの推理小説とは言いませんが,犯人がわかっても,「まだそれを明らかにする時ではない」だの「完全な証拠が得られるまでは明かせない」だの読者を弄ぶような下品な言動がないのが,潔くてすごく好感が持てます.

解けた謎は,即座に明かしてくれる.これは気持ちいいです.

名探偵達の「どや顔」に食傷気味のあなた.一服の清涼剤のような時乃ワールドはいかがでしょうか?

あ,ドラマ化もされたみたいね.
全然知らなかった.残念.
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする