書く仕事

ご訪問ありがとう!!ミステリー小説の感想を中心に,読書,日々の雑感,映画の感想等を書き散らかしています.

「ときどき旅に出るカフェ」近藤史恵

2019年06月26日 14時58分05秒 | 読書
「ときどき旅に出るカフェ」近藤史恵


続けて近藤史恵さんの本を読んでしまった。
カフェーで出されるスイーツの美味しそうなことと言ったら。

平凡でドラマチックなことなど何も起こりそうにない自分に幻滅しつつ、それでもこれからの長い人生を一人で生きて行かなくてはならないOL、瑛子。一応、この瑛子が主人公。

そんな瑛子が帰宅途中で見つけた一軒のカフェ。そこのオーナーは以前の同僚の女性だった。

そのカフェーのオーナー兼パティシエの円(まどか)がなかなかの人物で、スイーツの新作を次々に披露してくれるだけでなく、名推理も働かせる。

ただ、ちょっとつらい過去も抱えていて、最後の方で、その問題が再燃して緊迫感あふれる展開となる。

この方の小説に漂う「暖かさ」と「したたかさ」の絶妙なバランスに魅入られた気がしてます。

もう1冊行ってみる?
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「モップの精は旅に出る」近藤史恵

2019年06月18日 18時23分19秒 | 読書
「モップの精は旅に出る」近藤史恵


清掃派遣会社から派遣されるキュートな清掃人キリコが、派遣先で掃除しながら、そこで起こった様々な事件を解決する。
シリーズ4作目にして最終作とのこと。
4話からなる短編集の形をとっている。
それぞれに語り部となる主人公がいて、その人の見聞きしたことを中心に物語が進行する。
キリコはその物語の登場人物の一人である。
「犯人は君だ」的なことを言う存在ではなくて、事件を解決することより、事件によって心を痛めている人を助ける、あるいは、癒すための証拠や事実を明らかにしていく。
キリコシリーズは過去に「天使はモップを持って」を読んでます。
とても面白かったことを記憶しています。
今回はキリコ自身の悩みが最後に取り上げられています。
シリーズ最後のエピソードにふさわしい胸に迫るお話になっています。
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「チェインギャングは忘れない」横関大

2019年06月14日 22時20分23秒 | 読書
「チェインギャングは忘れない」横関大


護送車が襲撃され、護送中の5人の男が逃走した。
襲撃したのは、逃げた男の一人、大貫修二の仲間達らしい。
ただ、奇妙なのは、大貫は実は無実の罪で逮捕されたらしく、裁判で無実を晴らせばよいはず。
逃げれば有罪を認めることにもなる上、罪も重くなる。
護送車を襲撃して大貫を助けた者たちは何者か?
何のために大貫は逃げたのか?
謎が謎を呼ぶ。

横関さんの小説は「K2」以来、2冊目。
前作も面白かったが、この「チェインギャングは忘れない」も、なかなか良かった。
このトリックは、ちょっと、ルール違反(?)な気もするけどね。
ヒーローのカッコ良さに免じて、「OK」。
さすが、江戸川乱歩賞作家。
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「たまさか人形堂それから」津原 泰水

2019年06月04日 08時49分49秒 | 読書
「たまさか人形堂それから」津原 泰水


人形の修復を主業務とする「たまさか人形堂」の店主 澪と彼女を取り巻く富永君,師村さんという奇妙な従業員達との物語.

市松人形,マリオネット,マネキン,タコ人形等いろいろな人形が出演して,ストーリーを紡ぎます.

親の後を継いで仕方なく店を継いだ澪と,人形作りに情熱を注ぐ人形作家達との人形に対する温度差もテーマのひとつだが,結局,「仕事」というものに対する哲学をあぶりだしている気がします.
いわゆる職人と呼ばれる人たちの自分の仕事に対する,誇りや自負と,生きていくのに必要な経営・経済的思考のギャップが様々な摩擦を生じさせているわけで.
よくある話ではあります.
自分は「こうしたい」
でも
周囲は「こうさせたい」
そのぶつかり合い.
肝心な点は,その間に愛・思いやりがあるか否かですね.

タイトルからわかるように,前作「たまさか人形堂物語」があり,その続編です.
私はまだ前作を読んでおらず,たまたまこの本を先に図書館で手に取ってしまったという次第.

良いお話でした.
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