書く仕事

ご訪問ありがとう!!ミステリー小説の感想を中心に,読書,日々の雑感,映画の感想等を書き散らかしています.

「異次元の館の殺人」芦辺 拓

2018年04月20日 22時19分16秒 | 読書
「異次元の館の殺人」芦辺 拓



この作家の小説は、以前に、「死体の冷めないうちに」という短編集を紹介しました。

トリックを中心とする本格物といわれるジャンルの探偵小説で、知的ゲーム感覚にあふれたエンターテーメントでした。
大いに気に入っていたのですが、やはり、本格物のむつかしさはトリックのネタの絞り出しが続かないのです。
これは仕方ないこと。

いや、正確には同じくらいのクオリティのトリックを生み出しているのです。
しかし、読者の方が、それでは満足しない。
飽きてくるのです。

何でもそう。
160kの剛速球ピッチャーも、何十球も続けて、160kを投げ続ければ、いつか打たれる。
どうしても、フォークボールやスライダーがないと勝てなくなる。
それと同じ。


しかし、純粋な探偵小説というのは、剛速球だけを投げ続けることを運命づけられたピッチャーみたいなもので、変化球を投げると邪道だと言われる。

本当に難しいジャンルです。

この小説も、何とかフォークを投げずに、活路を見出そうとした苦労の跡がありありです。

でも、私は、この苦労は報われたと思っています。

中途半端な他ジャンルとの融合じゃなくて、土台ごと別の世界に持って行ってしまったわけ。

キーワードは「量子力学」

まあ、興味を抱いた人は読んでみてください。

ただ、私は勧めたわけではありません。

「苦労が報われたと思う」と書いただけです。

読書は、あくまで自己責任で。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする