書く仕事

ご訪問ありがとう!!ミステリー小説の感想を中心に,読書,日々の雑感,映画の感想等を書き散らかしています.

「マスカレードナイト」東野圭吾

2022年04月18日 11時30分07秒 | 読書
「マスカレード・ナイト」東野圭吾


一流ホテルで催される年末恒例の仮装パーティ.
匿名の通報により,そのパーティーを利用して殺人を計画している者がいることがわかる.
仮装パーティなので誰が誰だかわからない状態での捜査を強いられる警察チームの苦悩.
一見殺人事件とは関係のなさそうな,人間模様のエピソードも多数織り込まれているが,果たして事件と無関係なのか.

誰が誰を騙しているんだ?
犯人の警察に対する挑戦と,作者の読者に対する挑戦のパラレルセッション.

ここまでストーリーが複雑なミステリーは初めてかな,と思ったら,種明かし後に流れを見直してみると,意外にシンプルであることに驚いた.

事件の舞台となる「ホテル・コルテシア東京」のモデルは「ロイヤルパークホテル東京」だそうです.ここは東野圭吾さんのお気に入りだそうで,以前から利用していたらしい.
木村拓哉さん主演で映画化された際のロケにもここが使われている.

マスカレード・ホテル → マスカレード・ナイト → マスカレード・イブ → マスカレード・ゲーム
の連作となっている.
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「白鳥とコウモリ」東野圭吾

2022年04月03日 00時08分28秒 | 読書
「白鳥とコウモリ」東野圭吾


元の職場の先輩から紹介いただいて手にした1冊.

1984年と2017年,33年を隔てた2つの殺人事件.
犯人の自供により,一気に解決したと思われた2つの事件だった.
捜査本部の見解としては,動機,凶器,状況証拠すべて揃っていて裁判的には全く矛盾がない.

しかし,2人の関係者だけが,納得していなかった.
2人の関係者とは,加害者の息子・和真と後ろの事件の被害者の娘・美令だ.
逆の立場ではあるが,言っていることは驚くほど似ている.
「私の父はそんなことをする人ではない.」と.

自白を重視して事件を解決済みにしてしまいたい,検察官と弁護士に対して,和真と美令の訴えをきっかけに,自身も違和感を感じて,独自の地道な検証を進める捜査官,五代の苦悩.
和真,美令,五代はそれぞれの立場で,一つずつ過去のエピソードを訪ね,一歩ずつ,いや半歩ずつ,気が遠くなるような調査を重ねていく.

この小説のすごいところは,ミステリーながら,3者(和真,美令,五代)の想いがそれぞれのエピソードの中で痛烈に読者に伝わってくる心理描写だろう.
520ページの大作であり,物語は多層的に入り組んでいるので,さっと読んで,ああ面白かった!という読み方はできない.
途中,何度も登場人物の名前を確認したり,前に出てきたストーリーを確認しながら読まなければ,筋がわからなくなるという恐れもある.しかし,そういう努力をすること自体が楽しいものに思えるところが,凄いと思う.

物理学者ガリレオシリーズや加賀恭一郎シリーズ等,数々のヒット作をものにしてきた東野圭吾だが,今回,またまた新たな金字塔を打ち立てました.


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