★ 私のクラシック音楽館 (MCM) ★ 蔵 志津久

クラシック音楽研究者 蔵 志津久によるCD/DVDの名曲・名盤の紹介および最新コンサート情報/新刊書のブログ

◇クラシック音楽◇ジネット・ヌヴー/べトーベン バイオリン協奏曲

2007-03-30 22:12:43 | 協奏曲(ヴァイオリン)
ベートーベン:バイオリン協奏曲ほか

バイオリン:ジネット・ヌヴー

演奏:ハンス・ロスバウト指揮/南西ドイツ放送管弦楽団

CD:ミュージック東京(MUSIC & ARTS CD-550)

 この実況放送の録音は天才女流バイオリニスト・ジネット・ヌヴーが飛行機事故で死ぬ1カ月前に録られたものだった。享年30歳。世界はなんとも惜しい才能を失ったものか。既に巨匠としての演奏スタイルを滲ませた堂々としたベートーベンのバイオリン協奏曲ではある。女性バイオリスト独特の優美さとずっしりとした構成力があいまって、聴くものに圧倒的な感動をを与えずにはいられない。もし彼女が飛行機事故で死ななかったなら、必ずや世界のバイオリニストの頂点に立っていただろう。ただ、比較的音の良い録音(もちろん不満は残るが)を残していって置いてくれたことだけが幸いなことといえる。(蔵 志津久)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%8C%E3%83%B4%E3%83%BC

 
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◇クラシック音楽◇オンブラ・マイ・フ/キャスリーン・バトル

2007-03-28 22:06:36 | 歌曲(女声)
ヘンデル:オンブラ・マイ・フ/マルティーニ:愛のよろこび/シューベルト:夜と夢/リスト:夢にきませ/ラフマニノフ:ヴォカリーズ/その他

ソプラノ:キャスリーン・バトル

ピアノ:ローレンス・スクロバスクその他

CD:キングレコード=K30Y 235

 キャスリーン・バトルは20世紀が生んだ最大のソプラノの一人であり、その正確無比な歌いぶりは、他に並ぶものはいない。歌い方が完璧だといって、冷たい印象はしないのは、さすが大歌手だけのことはある。例えばシューベルトの「夜と夢」を聞いてみると、正確な歌唱ぶりににも負けず、豊かな感情表現が一段と優れていることがすぐに分かる。声量も十分にあり聴いていて安定感がなんとも心地よく感じられる。(蔵 志津久)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%88%E3%83%AB
 
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◇クラシック音楽◇イヴ・ナット ベートーベンピアノソナタ全集

2007-03-26 21:05:02 | 器楽曲(ピアノ)

ベートーベン:ピアノソナタ全集

 ピアノ:イヴ・ナット

CD:独EMI=CZS 7 62901 2  

 イヴ・ナットはフランスの著名なピアニストであった。フランス人がドイツ系の音楽を演奏するとどうなるか?普通考えるとどうも相性が良くないのではないか、と考えてしまう。ところが多くの場合、成功する確率が高いのである。この代表的な事例がイヴ・ナットのベートーベンのピアノソナタ全集のCDである。ベートーベンのピアノソナタ全集はピアニストでも巨匠といわれる人々によって録音されるのは過去も今も同じだ。主流をなすドイツ系ピアニストに対抗して、イヴ・ナットは堂々と五分以上に渡り合っている。むしろ情緒面ではドイツ系ピアニストより一段上をいってる。このCDは、何か懐かしさがこみ上げてくるベートーベンのピアノソナタということで、私の愛聴盤だ。(蔵 志津久)

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◇クラシック音楽◇クレメンス・クラウス/ベートーベン 荘厳ミサ曲

2007-03-24 21:29:40 | 宗教曲
ベートーベン:荘厳ミサ曲
       他

演奏:クレメンス・クラウス指揮/ウィーン・フィルハーモニー

CD:独グラモフォン=435 329-2

 このCDはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団創立150周年を記念して発売されたもので、ベートーベンの荘厳ミサ曲は1940年のライブ録音である。1940年は日・独・伊の三国同盟が締結された年で、世界大戦の機運が漂い始めていた頃である。そんな時に演奏されこの荘厳ミサ曲は、正に重苦しい世情を反映してか、クレメンス・クラウスの指揮も何か鬼気迫るものがある。ベートーベンの荘厳ミサ曲はナポレオン軍のウィーン侵攻に対する強い反発から、世界平和を希求して作曲されたといわれ、第九をも凌ぐベートーベンの最高傑作と評する人も少なくない。音楽評論家の吉田秀和氏も朝日新聞紙上(03/4/24)で「第九は人類の理想の輝かしい表明だが、荘厳ミサ曲は人類の厳しい現実を素直に受け止めた上での祈りの音楽で、ベートーベンという人は理想と現実の両方から目を離さなかった」と荘厳ミサ曲を位置づける。第九ほど大衆受けしないが、荘厳ミサは第九と肩を並べる人類が有する至高の音楽といって間違いない。(蔵 志津久)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%82%B9
 

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◇クラシック音楽◇ヤーノシュ・シュタルケル バッハリサイタル

2007-03-21 19:40:23 | 器楽曲(チェロ)
バッハ:無伴奏チェロ組曲
    チェロソナタ

チェロ:ヤーノシュ・シュタルケル
ピアノ:ギヨルグ・シェベック

CD:米ポリグラム・クラシック&ジャズ 432 756-2

 ヤーノシュ・シュタルケルはチェロの帝王であった。冴え渡るテクニックに加えスケールの大きい表現能力など、どこをとっても同世代のチェリストを凌駕していた。確かフォイアマンの再来といった最大級の賛辞が述べられていたと思う。今でなら、さしずめヨー・ヨー・マとでもいったところであろうか。このCDでも彼の特徴が十二分に発揮されており、一部の隙もない的確なテクニックに加え、のびのびと大きなスケールで弾いており、ある意味での緊張感も心地よく聴くことができる。(蔵 志津久)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A4%E3%83%BC%E3%83%8E%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%82%B1%E3%83%AB
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◇クラシック音楽◇クララ・ハスキル モーツアルトピアノ協奏曲集

2007-03-19 21:17:45 | 協奏曲(ピアノ)
モーツアルト:ピアノ協奏曲第20番/第13番

ピアノ:クララ・ハスキル

演奏:フェレンツ・フリッチャイ指揮/リアス交響楽団
   ルドルフ・パウムガルトナー指揮/ルツェルン・フェスティバル管弦楽団

CD:独グラモフォン 437 676-2

 クララ・ハスキルはモーツアルトを弾くために生まれてきたようなピアニストである。よく“天上の音楽”といったようなことが言われるが、このCDのクララ・ハスキルを聴くと、正に“天上の音楽”そのものといったことを思い浮かべてしまう。陰影のある、それでいてあまり深刻ぶらない弾きかたとでもいえようか。油絵の世界というより水彩画の世界により近い感じがする。いつの間にか、現実にはありえないような、空想の世界へと聴衆を導いてしまう、稀有ななピアニストであった。フリッチャイ、パウムガルトナーの両指揮者も、ハスキルの特徴を最大限に引き出している。(蔵 志津久)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB

 
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◇クラシック音楽◇キャスリーン・フェリアのマーラー:なき子を偲ぶ歌

2007-03-17 20:45:58 | 歌曲(女声)
マーラー:なき子を偲ぶ歌
ブラームス:愛の歌

コントラルト:カスリーン・フェリア

演奏:オットー・クレンペラー指揮/コンセルトヘボウ管弦楽団
   ピアノ伴奏=クリフォード・カーゾン/ハンス・ゲイル

CD:英国DECCA=425 995-2

 マーラーのなき子を偲ぶ歌はフィッシャー・ディスカウが歌ったレコードが有名なように、通常男性歌手が歌う場合が多いいが、キャスリーン・フェリアはコントラルトということで、男性に最も近い音域なのであまり違和感は感じられない。キャスリーン・フェリアほど、歌曲が持つ奥深さを表現できる女性歌手はいない。ハンス・ホッターの女声版といた感じがする。マリア・カラスに対抗できるのはカスリーン・フェリアぐらいしかいない、といった感じだ。このなき子を偲ぶ歌はフェリアの持つ資質にぴったりで、正に名盤といってもいいであろう。ブラームスの愛の歌も4人の歌手が見事に調和して、こちらもなかなかの名演だ。(蔵 志津久)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%AA%E3%82%A2
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◇クラシック音楽◇リタ・シュトライヒ歌曲集

2007-03-16 21:13:27 | 歌曲(女声)
歌曲:モーツアルト/シューベルト/シューマン/ブラームス/ウォルフ/シュトラウス

ソプラノ:リタ・シュトライヒ

ピアノ:エリック・ウエルバ/ギュンター・ヴィッセンボーン

CD:独ポリドール・インターナショナル=437 680-2

 リタ・シュトライヒは私がクラシック音楽を聴き始めて、まもなくその歌声に魅了されたソプラノで、名前を聞いただけで懐かしさがこみ上げてくる。澄んだ歌声ではあるが、同時に親しみのある、なにか温かみが心地よかったことを覚えている。これは今聴いて見ても変わりはない。メゾソプラノやアルトなどのような深みのある表現は難しいかもしれないが、その分穏やかで明るい表現に優れていることが特徴といえる。彼女が歌うとクラシック歌曲がなんだかポピュラー音楽のように一層親しみが感じられるようになる。なお、ピアノ伴奏をしているエリック・ウエルバは、歌曲の名伴奏者として名高い人であった。(蔵 志津久)

http://www.cdjournal.com/main/artist/artist.php?ano=158060
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◇クラシック音楽◇ワルター・ギーゼキングのバッハ:平均律ピアノ曲集

2007-03-14 20:50:31 | 器楽曲(ピアノ)
バッハ:平均律ピアノ曲集第一巻/第二巻

ピアノ:ワルター・ギーゼキング

CD:米国ポリグラム・クラッシック&ジャズ=429 929-2
 
 ワルター・ギーゼキングはその昔“新即物主義”の旗手として一世を風靡したことで知られる。新即物主義とは何かがよく分からないが、それまでの主観に偏りすぎた演奏法を改め、より楽譜に忠実に演奏するといったことなのだろうか。ただ、今聴いてみるとむしろ情緒的な演奏の雰囲気も持ち合わせており、時代が変わると、演奏スタイルの評価も随分変わるものだということが分かる。ところでギーゼキングのこのCDは、数あるバッハの平均律ピアノ曲集の中でも特筆すべき優れた演奏となっている。しっかりした曲の構成を作り上げた上に、あいまいさのない指使いの演奏が素晴らしい。しかも、内面から湧き上がるような情緒を持ち合わせた仕上がりとなっており、思わず聴きほれてしまうほどだ。ワルター・ギーゼキングのレパートリーは意外に幅広い。今後ギーゼキングが再評価されて、いろいろなところでその演奏が聴かれればいいな、と思う。(蔵 志津久)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%AE%E3%83%BC%E3%82%BC%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0
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◇クラシック音楽◇ディヌ・リパッティ名演集

2007-03-12 20:36:46 | 器楽曲(ピアノ)
バッハ/ブラームス/ショパン/エネスコ/リスト/モーツアルト/ラベル/スカルラッティ/シューベルト

ピアノ:ディヌ・リパッティ

CD:仏EMI=CMS 2538092

 ディヌ・リパッティは私が最初に気に入ったピアニストであった。淡々としていて、それでいて何か説得力に富んでいる、これが最初に聴いた時に受けたリパッティの演奏の印象である。今聴いてみても同じような印象を受けるわけだが、最近感じるのは“静寂のピアニスト”という印象が強い。極端に言うと音と音の空白の部分にも意味を持たせられるピアニストといったようなことになろうか。例えばリパッティのバッハやモーツアルトを聴いて見ると、このことがよく分かる。一方、ショパンのワルツは少々これとは趣を異にする。華やか中に類まれなテクニックが駆使されていて、気品のある華やかさとでも表現したらいいほどのブリリアントな仕上がりとなっている。いずれにせよ、どの曲を弾いても高貴さを失わないのがリパッティの最大の特徴かもしれない。(蔵 志津久)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%8C%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%91%E3%83%83%E3%83%86%E3%82%A3
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