★ 私のクラシック音楽館 (MCM) ★ 蔵 志津久

クラシック音楽研究者 蔵 志津久によるCD/DVDの名曲・名盤の紹介および最新コンサート情報/新刊書のブログ

◇クラシック音楽◇コンサート情報

2012-12-31 10:59:04 | コンサート情報

 

<コンサート情報>

 

~サントリーホール ニューイヤー・コンサート2013 ウィーン気質~ 

 J.シュトラウスⅡ:オペレッタ「ウィーン気質」から「これがなくちゃあ許せない」
               :オペレッタ「ウィーン気質」から「ほろ酔いの歌」
          :ワルツ「美しく青きドナウ」 他

指揮 グイド・マンクージ

管弦楽:ウィーン・フォルクスオーパー交響楽団
 
独唱:アンドレア・ロスト(S)、ティベリウス・シム(T)、

舞踏:ウィーン・フォルクスオーパー・バレエ団メンバー

会場:サントリーホール

日時:2013年1月1日~3日 午後2時

 ウィーン・フォルクスオーパー は、ウィーンではウィーン国立歌劇場に次いで2番目に大きな歌劇場。劇場名の「フォルクスオーパー」とは「大衆オペラ座」の意味。1898年、時の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の即位50周年を記念し開館した。当時は演劇を専門に上演する劇場であったが、オペラの上演もされるようになった。かつては、ウィーン国立歌劇場の下に置かれた時代もあったが、現在では完全に独立し、主にオペレッタ作品やミュージカル作品の上演、さらに舞踏公演が行われている。ウィーン・フォルクスオーパー交響楽団は、付属オーケストラで、2005年から現在までレオポルト・ハーガーが音楽監督を務めている。

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◇クラシック音楽◇新譜CD情報

2012-12-28 10:32:49 | 新譜CD情報

 

<新譜CD情報>

 

~ロシアの新星 ニコライ・ホジャイノフ(20歳)の「マイ・フェイヴァリッツ」~

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第31番
シューベルト:さすらい人幻想曲
ショパン:スケルツォ 第4番
ショパン:バラード 第2番
リスト:超絶技巧練習曲集より第5曲「鬼火」
リスト:メフィスト・ワルツ 第1番「村の居酒屋での踊り」

ピアノ:ニコライ・ホジャイノフ

CD:ビクターエンタテインメント VICC60824

 2012年5月、ダブリン国際ピアノ・コンクールに19歳で優勝したロシアの新星、ニコライ・ホジャイノフの新しいアルバム。2010年、ショパン国際ピアノコンクールに最年少で参加し、第1次予選から、一際光る演奏を披露したことで話題となり、惜しくも優勝は逃したものの、それが却って話題となったほどの逸材。

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◇クラシック音楽◇コンサート情報

2012-12-27 10:24:04 | コンサート情報

 

<コンサート情報>

 

~ベートーヴェンは凄い!全交響曲連続演奏会2012~

ベートーヴェン:
 交響曲第1番(13:00~)
 交響曲第2番(13:35~)

  休憩(30分)

 交響曲第3番(14:45~)
  お話(15分)
 交響曲第4番(16:00~)
  お話(30分、16:35~)

  休憩(30分)

 交響曲第5番(17:35~)
 交響曲第6番(18:15~)

  大休憩(90分、19:00~)

 交響曲第7番(20:30~)
 交響曲第8番(21:15~)
  お話(30分、21:45~)

  休憩(15分)

 交響曲第9番(22:30~) (※各交響曲の開始時刻は、上記より早まることはない)

指揮:小林研一郎

管弦楽:岩城宏之メモリアル・オーケストラ(コンサートマスター:篠崎史紀)

独唱:岩下晶子(ソプラノ)/竹本節子(アルト)/錦織 健(テノール)/青戸 知(バリトン)

合唱:武蔵野合唱団

会場:東京文化会館
 
日時 12月31日(月) 午後1時開演(午後11時45分終演予定)

 大晦日恒例のクラシックコンサート「ベートーヴェンは凄い!全交響曲連続演奏2012」。演奏は、“炎のマエストロ”こと小林研一郎と、日本を代表するオーケストラで活躍するコンサートマスターや首席奏者クラスによる特別編成の「岩城宏之メモリアル・オーケストラ」。コンサートマスターは篠崎史紀(NHK交響楽団第1コンサートマスター)。同演奏会は、12月31日に毎年行われ、ベートーヴェンの全交響曲を1日(休憩を入れて約10時間)で、交響曲の番号順に演奏する。大晦日の午後に「第1」の演奏を開始し、最後の「第9」が終わるのは新年近く。2003年にスタートし、2004年と2005年には指揮者の岩城宏之が全曲の指揮を行った。岩城没後、2007年から2009年は小林研一郎が務めた後、2010年にはロリン・マゼール、そして2011年と2012年には、再び小林研一郎が全曲指揮を務める。 

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◇クラシック音楽◇NHK‐FM 「ベストオブクラシック」 レビュー

2012-12-25 10:33:33 | NHK‐FM「ベストオブクラシック」レビュー

 

<NHK‐FM 「ベストオブクラシック」 レビュー>

 ~ピエール・アモイヤル ヴァイオリン・リサイタル~      
                              

グリーグ:ヴァイオリンソナタ第3番
                              
クライスラー:愛の悲しみ/ウィーン奇想曲             
                              
マスネ:タイスのめい想曲        
                              
フランク:ヴァイオリンソナタ   
                              
ブラームス:スケルツォ

ヴァイオリン:ピエール・アモイヤル
ピアノ:菅野 潤


ドビュッシー:前奏曲集第2巻から「月にふりそそぐテラス」「水の精」「ピクウィック卿をたたえて」  
ピアノ:菅野 潤


収録:2012年1月13日、東京・浜離宮朝日ホール

放送:2012年12月17日(月)  午後7:30~午後9:10

 ヴァイオリンのピエール・アモイヤル(1949年生まれ)は、フランス出身のヴァイオリニスト。1961年、12歳の時にパリ音楽院を一等賞を獲得して卒業。その後、米国のロサンゼルスに渡り、5年間ヤッシャ・ハイフェッツの下で学ぶ。ハイフェッツの愛弟子として室内楽のコンサートやレコーディングで共演も行った。22歳の時に、ショルティ指揮パリ管弦楽団のソリストとしてのオーディションに合格し、ヨーロッパデビューを果たす。その後、全世界おいて演奏活動を繰り広げる。また、ピアニストのパスカル・ロジェと出会い、以後、数十年間にわたって室内楽でのパートナーとなった。教育活動においては、パリ音楽院の教授を長年務めた後、現在ローザンヌ音楽院の教授を務めている。日本においては、群馬県草津温泉で夏に開催される草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァルで2002年と2003年に教授を務めたことがある。

 ピアノの菅野 潤は、1956年生まれ。桐朋学園音楽学部ピアノ科卒業。1978年、フランス政府給費留学生として、パリ国立高等音楽院に留学。1981年にピアノ科、1982年に室内楽科をそれぞれ一等賞で卒業。1982年には、パリ・エコール・ノルマル音楽院に在籍し、演奏家資格を得る。1984年より、パリを拠点とし、内外で演奏活動を行っている。また、2001年の仙台国際音楽コンクール創立以来、同コンクールの運営委員を務めている。

 グリーグ:バイオリンソナタ第3番は、1886年から1887年にかけての作品。3曲あるグリーグのヴァイオリンソナタの中でも、最も人気の高い曲でしばしばコンサートで取り上げられる。ここでのピエール・アモイヤルのヴァイオリン演奏は、実に力強く、圧倒的な迫力で聴衆に訴えかける。この曲が、これほど輪郭をはっきりとして弾いて演じられた例は、あまり多くないのではないか。グリークの曲というと、直ぐに北欧の幽玄さが強調されるあまり、線がか弱く感じられる演奏が多いように思われる。アモイヤルの演奏の狙いは、北欧を強調する前に、一つのヴァイオリンソナタとしてのこの曲の強固な構成力と豊饒さとの魅力を、聴衆の前に披瀝することにあったのではないだろうか。菅野 潤のピアノ伴奏は、この上なく美しく、時に力強く、アモイヤルのヴァイオリンを巧みに引き立てる。クライスラー:愛の悲しみ/ウィーン奇想曲については、アモイヤルの魅力爆発といった感じの演奏で、実に滑らかで優雅なクライスラーの世界が、そこには繰り広げられる。アモイヤルは、よくフランコ・ベルギー楽派のヴァイオリニストとして紹介されるが、この演奏は、正にそのことを裏書きしたような美麗な演奏だ。マスネ:タイスのめい想曲についても同じことが言える。何とも言えない美しいヴァイオリンの音色に酔いしれる。

 フランク:ヴァイオリンソナタは、フランクが1886年に作曲した曲で、フランス系のヴァイオリンソナタの最高傑作と言われている。全4楽章からなり、フランクが得意とした作曲技法の循環形式で作曲されているほか、ヴァイオリンとピアノが対等な関係にあることでも知られるヴァイオリンソナタである。ここでのアモイヤルの演奏は、如何にも十八番の曲を演奏するかのように、演奏自体に余裕と奥行きとが感じられる。そして何より伸び伸びと優美にしなる弓使いに、聴いていても惚れ惚れしてしまうような演奏ではある。グリーグ:バイオリンソナタ第3番の時とは丁度反対に、幽玄な表現が何とも言えない雰囲気を醸し出す。通常、フランク:ヴァイオリンソナタは、身構えて力が入った演奏が多いように感じられる。この結果ドイツ音楽のような角ばったヴァイオリンソナタが出現しまいがちだ。フランス人のアモイヤルは、フランク:ヴァイオリンソナタはドイツ音楽ではありませんよ、とでも言いたげに優美に滑らかに弾き進む。ただ、その優美さも単に表面的なものでなく、ずっしりとした内容があるものであり、時には妖艶さとも感じられるほどである。間の取り方も絶妙なものがある。この辺は師のハイフェッツ譲りなのかもしれない。今夜の演奏を聴き終わって感じられたのは、紛れもなくピエール・アモイヤルは、現代を代表するヴァイオリニストの中でも、その最右翼にいる一人ということであった。特に今夜のフランク:ヴァイオリンソナタの演奏は絶品。(蔵 志津久)                             

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◇クラシック音楽◇コンサート情報

2012-12-24 10:28:42 | コンサート情報

 

<コンサート情報>

 

~都響スペシャル「第九」~

ベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第3番
             交響曲第9番「合唱付き」

指揮:カール=ハインツ・シュテフェンス(ハレ歌劇場音楽監督)

管弦楽:東京都交響楽団

独唱:澤畑恵美(S)/竹本節子(M-s)/福井敬(T)/福島明也(Br)

合唱:二期会合唱団

会場:サントリーホール

日時:2012年12月26日(水) 午後7時

 指揮のカール=ハインツ・シュテフェンスは、2007年ベルリン・フィルの首席クラリネット奏者を辞職し、2008年からハレ歌劇場の音楽監督に就任した。2008年9月には、ダニエル・バレンボイムの招きでベルリン国立歌劇場に「フィデリオ」でデビューを飾る。バレンボイムは同劇場での協奏曲公演にシュテフェンス指揮のハレ歌劇場管弦楽団を指名、現在共演している。シュテフェンスはオペラ指揮者としても意欲的な活動を展開しており、イスラエル歌劇場などへの客演に加えて、ハンスギュンター・ハイメによる新演出の「リング」を2010年から2013年にかけて、ハレとルートヴィヒスハーフェンの二都市で上演するなど、意欲的な活動を展開している。

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◇クラシック音楽◇新譜CD情報

2012-12-21 10:35:53 | 新譜CD情報

 

<新譜CD情報>

 

~幸田浩子の、“夢の街ウィーン”~

オペレッタ「ワルツの夢」より 「扉を開けて」 (フランツィの歌)
オペレッタ「メリー・ウィドウ」より ヴィリアの歌
オペレッタ「こうもり」より 「侯爵様、あなたのようなお方は」
オペレッタ「踊り子ファニー・エルスラー」より 「シーヴェリングのリラの花」
ワルツ「春の声」
オペレッタ「お気に入り」より 「私の心の皇帝」
オペレッタ「小鳥売り」より 「私は郵便配達のクリステル」
オペレッタ「白馬亭にて」より 「私の愛の歌はワルツでなければ」
オペレッタ「ボッカチオ」より 「あなたの愛さえあれば」(恋はやさし、野辺の花よ)
ワルツ「美しく青きドナウ」
「ウィーン、わが夢の街」

ソプラノ:幸田浩子

グィド・マンクージ指揮

ウィーン・フォルクスオーパー交響楽団

録音:2012年7月2-4日、ウィーン、カジノ・バウムガルテン

CD:日本コロムビア COCQ‐84986

 前作「天使の糧」から2年ぶりとなる、ソプラノ幸田浩子の5枚目のソロ・アルバムは、専属期間を含めて3年間活躍したウィーン・フォルクスオーパーのオーケストラとの録音で、“夢の街ウィーン”。指揮のマンクージは、作曲にも非凡な才能を発揮している俊英。 J. シュトラウスやレハールのオペレッタやワルツの名曲はもちろん、「恋はやさし、野辺の花よ」で知られる「ボッカチオ」のアリアや、馴染みが薄くても聴けばいっぺんで好きになってしまう佳曲がちりばめられているアルバム。

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◇クラシック音楽◇コンサート情報

2012-12-20 10:38:30 | コンサート情報

 

<コンサート情報>

 

~サントリーホール クリスマスコンサート 2012 バッハ・コレギウム・ジャパン 聖夜のメサイヤ~

ヘンデル:オラトリオ「メサイア」

指揮:鈴木雅明

合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン

ソプラノ:ヨハネッテ・ゾマー、松井亜希
コントラルト:クリント・ファン・デア・リンデ
テノール:櫻田亮、谷口洋介
バス:ロデリック・ウィリアムズ

会場:サントリーホール

日時:2012年12月24日(月/休) 午後3時

 合唱・管弦楽のバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)は、鈴木雅明が結成し、バッハの作品を中心に、1992年から東京・神戸で演奏活動をスタート。1999年以降は海外公演にも乗り出す。これまで70タイトルを超えるCDをリリース。2011年には「バッハ:モテット全集」が欧州3カ国のベストCDに輝いた。指揮の鈴木雅明は、2012年、ライプツィヒ市からバッハの演奏に貢献した世界的な音楽家に贈られる「バッハ・メダル」を受賞した。

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◇クラシック音楽CD◇コラ-ル、デュメイ、ロデオンによるシューベルト:ピアノ三重奏曲第1番/第2番

2012-12-18 10:36:51 | 室内楽曲

<ディスク1> 
シューベルト:ピアノ三重奏曲第1番
         ピアノ三重奏曲変ロ長調
          ピアノ三重奏曲変ホ長調「ノットゥルノ」

<ディスク2> 
シューベルト:ピアノ三重奏曲第2番
        ヴァイオリン・ソナタ「グランド・デュオ」   

ピアノ:ジャン・フィリップ・コラ-ル

ヴァイオリン:オーギュスタン・デュメイ

チェロ:フレデリック・ロデオン

CD:EMIミュージック・ジャパン TOCE16152‐53

 ピアノ三重奏曲は、室内楽曲の一つのジャンルに違いはないのではあるが、どことなく室内楽の感覚以上のものが感じられる。例えば、ベートーヴェンのピアノ三重奏曲第7番「大公」が最もこのことを表した曲だ。これはベートーヴェンの1811年の作品。ルドルフ大公に献呈されたため「大公」として親しまれている。その名前にふさわしく、実に堂々とした気品がある曲であり、私などは、「大公」は、室内楽曲というより、管弦楽曲ないしは交響曲のような感じにさえ聴こえる。ピアノ、ヴァイオリン、チェロの3人の奏者が、互いにその力を出し切り、ある時は掛け合いのようにして曲を進める。今回のCDは、シューベルトの名作であるピアノ三重奏曲第1番/第2番を中心に収められているが、この2曲ともシューベルトの死の前年の1827年に作曲されている。ベートーヴェンの「大公」が作曲された16年後である。シューベルトは、ピアノ三重奏曲を作曲するに当っては、尊敬するベートーヴェンの「大公」から大いに触発を受けたことは想像に難くない。そんなこともあって、シューベルトのピアノ三重奏曲第1番とベートーヴェンの「大公」は、ピアノ三重奏曲を代表する名曲として、今でも多くのリスナーから愛好されているのである。

 そんなピアノ三重奏曲を演奏するピアノ三重奏団は、昔から腕自慢の3人の奏者が集まり、その名人芸を互いに競うような演奏を繰り広げてきた。コルトー、ティボー、カザルスの「カザルス・トリオ」に始まり、ハイフェッツ、ルービンシュタイン、フォイヤマンの「百万ドル・トリオ」など、これまで数多くの名トリオが歴史にその名を残してきた。今回のCDでシューベルト:ピアノ三重奏曲第1番/第2番を演奏しているのが、ピアノ:ジャン・フィリップ・コラ-ル、ヴァイオリン:オーギュスタン・デュメイ、チェロ:フレデリック・ロデオンの3人の名手によるトリオである。このトリオは、1970年代の半ばにフォーレ:ピアノ三重奏を録音したが、その約10年後の1982年にシューベルト:ピアノ三重奏曲第1番、そして1986年に第2番を録音した。録音は決して新しいものではないが、今回、新着マスター音源から作製されたCDなので大変に聴きやすい。このCDは、1948年生まれフランスのピアニスト ジャン・フィリップ・コラ-ル、1949年生まれのフランスのヴァイオリニスト オーギュスタン・デュメイ、それに1952年生まれのフランスのチェリスト フレデリック・ロデオンの3人の名手が奏でる、伸びやかで、こくのあるピアノ三重奏曲の醍醐味を存分に楽しめる。

 シューベルト:ピアノ三重奏曲第1番の第1楽章は、こんなに伸びやかで軽快な曲に滅多に出会えるものではないと実感させられる名曲だ。そんな曲を3人の名手は、ごくごく自然に演奏する。決して自己主張するでなく、小川の流れ如く、音楽が自然に流れていく。これは余程の名手達でなけれは到底成し得ない技である。特に、コラ-ルの誠に美しいピアノの音色には、惚れ惚れさせられる。第2楽章は、何か懐古調の調べがリスナーの心を天国にでも誘ってくれるようだ。デュメイのヴァイオリンの音色の何と魅力的なことよ。第3楽章は軽快なスケルツォの曲。ここでは3人の名手の心を一つにした演奏が、室内楽の魅力を遺憾なく発揮して、聴き応え充分だ。そして最後の第4楽章は、何とも心がうきうきするようなメロディーが印象的であり、リスナーを懐かしい気分に浸してくれる。この曲の演奏全体から感じられるのは、実に整った様式の演奏でありながら、フレッシュな感覚で貫かれいるため、少しの古めかしさというものが感じられないことだ。まるで昨日つくられた曲のように、現代感覚に満ち溢れている。そして、なによりも潤いを持った演奏内容が、何とも魅力的だ。

 シューベルト:ピアノ三重奏曲第2番は、決して第1番ほどポピュラーな曲ではないが、よく聴き込むと、じわじわと曲の良さが身に沁みてくるような曲である。第1楽章の確信に満ちた音づくりを聴くと、室内楽を聴く愉悦感に、暫し時間を忘れるほど。特にこの楽章の3人の息の合った演奏は、特筆もの。チェロのロデオンが要所要所を引き締めて、奥行きのある演奏に仕立て上げているさまが聴き取れる。第2楽章は、瞑想的なチェロとピアノの演奏がリスナーを夢幻の世界へと誘う。この楽章でも3人の類稀なコンビネーションが一際光り輝く。第3楽章は、軽やかなスケルツォ。この楽章でも3人の名手は、いたずらに個性を主張せずに、どちらかというと内向的な音づくりを心掛けているように私には聴こえる。要するにいたずらに名人芸に走らないということ。最後の第4楽章は、これまでの3人の間のバランスを解き放つように、活発な演奏に終始する。3人が互いに個性を発揮し合い、「れがピアノ三重奏曲の魅力だ」と言わんばかりのテクニックで、リスナーを魅了する。(蔵 志津久)

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◇クラシック音楽◇コンサート情報

2012-12-17 10:34:03 | コンサート情報

 

<コンサート情報>

 

~クリスマス公演 小山実稚恵 ピアノリサイタル 「聖なる調べ」~

バッハ(ブゾーニ編曲):「シャコンヌ」
ワーグナー(リスト編曲):「イゾルデの愛の死」
ショパン:バラード第4番
ショパン:ノクターン第13番
スクリャービン:ソナタ第9番「黒ミサ」
ほか

ピアノ:小山実稚恵

会場:八ヶ岳高原ロッジ

日時:2012年12月23日(日・祝)  午後5時

 ピアノの小山実稚恵は、チャイコフスキー国際コンクール第3位、ショパン国際ピアノコンクール第4位という、二大コンクールともに入賞した日本人で唯一のピアニスト。そして一度聴くと忘れられない稀有なピアニストでもある。これまで26枚のCDをリリース。「八ヶ岳の春」をテーマにした昨年の大好評公演に続き、今年は「聖なる調べ」と題し、 彼女がイメージした選曲で、聖夜を彩る。

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◇クラシック音楽◇新譜CD情報

2012-12-14 10:41:39 | 新譜CD情報

 

<新譜CD情報>

 

~ フルートの革命児 上野星矢のCDデビュー盤 “万華響”~

 

リムスキー=コルサコフ:熊蜂の飛行                
ボリング:ヴェローチェ                
ドップラー:ハンガリー田園幻想曲                 
フォーレ:シシリエンヌ                
ビゼー:メヌエット~アルルの女より                
グルック:精霊のおどり                
ビゼー:カルメン間奏曲                
ボルヌ:カルメン幻想曲                 
ラフマニノフ:ヴォカリーズ                
カッチーニ:アヴェマリア                
ショッカー:後悔と決断                
坂本龍一:東風
松任谷由実:春よ、来い

フルート:上野星矢

ピアノ:佐野隆哉、内門卓也

チェロ:西方正輝
               
録音:2011年11月16~17日、相模湖交流センター
    2012年7月28日、FORM スタジオ

CD:日本コロムビア COCQ‐84980

 フルートの上野星矢は、東京都杉並区出身。小学4年生から吹奏楽部でフルートを始める。2005年、東京都立芸術高等学校に入学。同年、高校1年で第59回全日本学生音楽コンクール全国大会高校生の部にて第1位。2007年、第76回日本音楽コンクールフルート部門で第3位。2008年、東京芸術大学音楽学部に入学。2008年、第8回ジャン=ピエール・ランパル国際フルートコンクールで第1位。2009年、杉並区文化功労賞受賞。パリ国立高等音楽院に入学し、2012年に卒業。2012年11月、日本コロムビアよりデビューCD「万華響KAREIDOSCOPE」がリリースされた。

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