★ 私のクラシック音楽館 (MCM) ★ 蔵 志津久

クラシック音楽研究者 蔵 志津久によるCD/DVDの名曲・名盤の紹介および最新コンサート情報/新刊書のブログ

◇クラシック音楽CD◇ワルター指揮のブラームス:二重協奏曲/シューマン:ピアノ協奏曲

2009-03-31 14:25:24 | 協奏曲

ブラームス:バイオリンとチェロのための協奏曲
 バイオリン:ジノ・フランチェスカッティ
 チェロ:ピエール・フルニエ

シューマン:ピアノ協奏曲
 ピアノ:ユージン・イストミン

指揮:ブルーノ・ワルター

管弦楽:コロンビア交響楽団

CD:CBS/Sony 35DC 126

 このCDは、ブルーノー・ワルターが既に第一線を退いた後に、ワルターのために特別に編成されたオーケストラであるコロンビア交響楽団により、当時最新のステレオによって録音された一連のシリーズの中の1枚である。当初はレコードとして発売されていたが、このCDはマスターテープから直接制作されただけあってか、音を今でも鮮明に聴くことができ、ワルターの雄大な音楽性を余すところなく伝えている。このCDでのワルターの指揮ぶりはいつもながら包容力があり、特にブラームスではスケールが大きく、しかも劇的な表現にも優れ、マエストロという表現がぴったりの指揮内容となっている。

 ブラームスのバイオリンとチェロのための協奏曲は、バイオリン協奏曲やピアノ協奏曲に比べて地味な存在ながら、一度その良さが分かると生涯付き合うほどの中身のある協奏曲だといえる。他にあまりバイオリンとチェロの協奏曲というのは聴いたことがないだけに、初めは少々戸惑うところもあるが、何回も聴くうちに、これもありかという気分になり、それを通りすぎると、なかなかいいじゃないかといった気分になってくる。今回のCDの演奏が最高レベルを行っているのでなおさらだが、ブラームスにありがちな晦渋さがあまり感じられず、逆に内に込めた親密さのような温もりに浸ることができる。

 バイオリンのフランチェスカッティは情熱のこもった熱っぽい演奏を聴かせる一方、チェロのフルニエはというと理性の利いた淡々とした演奏を披露している。普通このような組み合わせは、往々にして不統一な演奏になりがちだが、ワルターの存在もあるのか、バイオリンがチェロにうまく絡み合い、絶妙のコンビネーションの演奏を聴かせる。

 カップリングされたシューマンのピアノ協奏曲を演奏するユージン・イストミン(1925年ー2003年)はアメリカのピアニストとしてわが国でもお馴染みであった。全体にすっきりとした演奏をするピアニストで、あまり癖がないためか、室内楽でも名を馳せていた。このCDでも、素直なしかも透明感のあるピアニズムを聴かせてくれる。ワルターもブラームスとは異なりイストミンに合わせるように、スケールが大きいというよりも、内面的で緻密な指揮振りを見せる。数あるシューマンのピアノ協奏曲のCDの中でも、緻密な演奏として秀逸な1枚であることだけは確かだ。なお、このCDの録音はブラームスが1959年11月20日、シューマンが1960年1月20、25日となっている。
(蔵 志津久)

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◇クラシック音楽◇コンサート情報

2009-03-30 09:53:52 | コンサート情報

 

                    <コンサート情報>


ショパン(グラズノフ編):エチュード第19番
ショパン:ピアノソナタ第3番
リスト:悲しみのゴンドラ
ショパン:2つのマズルカ
ショパン:チェロとピアノのためのソナタ
ショパン:1つのマズルカ

ピアノ:マリア・ジョアン・ピリス
チェロ:パヴェル・ゴムツィアコフ

会場:すみだトリフォニーホール

日時:09年4月22日(水) 午後7時

チケット:トリフォニーホールチケットセンター

 マリア・ジョアン・ピリス(ポルトガル語ではマリア・ジョアン・ピレシュ)は、1944年ポルトガルのリスボンに生まれる。1953年からリスボン大学で作曲・音楽理論・音楽史を学んだ後、西ドイツに留学し、ミュンヘン音楽アカデミーなどで学ぶ。1970年ブリュッセルで開かれたベートーベン生誕200年周年記念コンクールで第1位を獲得。フランスのバイオリニスト オーギュスタン・デュメイと組んでの演奏など室内楽演奏にも力を入れている。また、主要なオーケストラとも共演しており、1990年にはクラウディオ・アバド指揮のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と共演し、ザルツブルグ復活祭フェスティバルにもデビューを果たす。

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◇クラシック音楽◇コンサート情報

2009-03-27 10:06:48 | コンサート情報

 

                 <コンサート情報>


プロコフィエフ:バレエ「ロミオとジュリエット」からの10の小品op.75より
         ピアノソナタ第8番
ショパン:幻想ポロネーズ/マズルカop.30-4、op.41-4、op.59-1/12の練習曲op.10より、op.25より

ピアノ:エフゲニー・キーシン

会場:サントリーホール(東京)

日時:09年19日(日) 午後7時

主催:ジャパン・アーツ

 1971年モスクワに生まれる。10歳でモーツアルトのピアノ協奏曲を弾いてデビュー。その1年後にソロ・リサイタルをモスクワで行う。10代からから欧米各地でリサイタル・ツアーを行い、世界中から音楽賞/記念賞を受賞。リリースされるCDも、エディソン賞、レコード・アカデミー賞など多数受賞している。

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◇クラシック音楽CD◇サンソン・フランソワのベートーベン:「悲愴」「月光」「熱情」

2009-03-26 11:14:26 | 器楽曲(ピアノ)

ベートーベン:ピアノソナタ第8番「悲愴」/第14番「月光」/第23番「情熱」

ピアノ:サンソン・フランソワ

CD:東芝EMI TOCE-7174

 ショパンやラヴェル、リストなどを得意としたフランスの名ピアニスト サンソン・フランソワ(1924年ー1970年)は、あまりベートーベンは弾かなかったようだ。弾かないどころか「ベートーベンは好きではない」と言ったということも残されているほどだ。フランソワの才能はあくまで感覚のおもむくままに、その曲の持つ情感といおうか、雰囲気を一気呵成にピアノの音という表現に込めて演奏する。その結果、どうしてもショパンなどのように論理でなく、人の感情に直接訴えかける作曲家に親近感を覚えるのであろう。フランソワは晩年ジャズに凝ったようだが、分かるような気持ちがする。

 そのフランソワが唯一(多分)残したベートーベンがこのCDなのである。結論からいうとベートーベンの数あるピアノソナタの中でもとびっきり優れた、歴史に残る名盤であると私は信じている。ベートーベンの「悲愴」「月光」「情熱」は、優れたピアニストはほとんどといってよいほど録音を残している。つまり余程のことがない限り、歴史に残る名録音などというものはありえない。そんな中、フランソワ盤は今でもひときわ光彩を放っている。もしベートーベンが聴いたら「え、私の曲がこんな風に弾けるの」とびっくり仰天するのではないかと思ってしまうほどである。

 3曲の中では「悲愴」が際立った出来を示す。もともと「悲愴」は若かりしベートーベンの青春の思い出の曲である。悲しみや淡いノスタルジアが曲想に込められ、ベートーベンとしてはあまり論理的な面や哲学的な面が顔を覗かせない曲だ。つまり、ベートーベンを苦手とするフランソワにとっては、自分の持ち味を存分に発揮できる数少ないベートーベンの曲だといっていいだろう。いたるところにテンポルバートの技法を駆使し、立体的な「悲愴」を形づくる。普通ベートーベンの曲に何らかの手を加えようとすると大抵失敗する。ところがフランソワは新しい「悲愴」の姿をつくりだすことに見事成功している。これは登山を考えると分かりやすいのではないか。正規の登山ルートで頂上に立つこともできるし、正規とは別のルートで登っても頂上に立つことができる。フランソワは別ルートでベートーベン山の頂上に立つことができたのではないか。

 このCDの録音は1963年2-4月パリと記録されている。録音が極めて鮮明で、現在の録音と比較しても少しも遜色がない。実はフランソワの録音は、ショパン、ラヴェルなど十八番のジャンルのものはことごとく冴えない(日本での録音は除く)。苦手としたこのベートーベンの録音だけが最善な音質で残されていることは何とも皮肉なことではある。ところで、フランス人のフランソワがベートーベンを弾くと、こんなに独創的な演奏を行う。翻って日本のピアニストがベートーベンを弾いたらどうであろうか。ほとんどの人がドイツ人が演奏するように弾くのではなかろうか。これでいいのか。日本人がベートーベンを弾いたら、日本人的なベートーベン像が出来上がっても一向に構わぬではないか。“侍ジャパン”が日本的野球で世界の頂点を極めたように、日本のピアニストが日本人の心で、今までない新しいベートーベン像をつくりあげたっていいではないか。(蔵 志津久)

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◇クラシック音楽◇コンサート情報

2009-03-25 09:52:44 | コンサート情報

 

                  <コンサート情報>


~ハイドン没後200年を記念して Ⅱ~

ハイドン:弦楽四重奏曲第24番/第23番/「十字架上のキリストの最後の七つの言
      葉」

弦楽四重奏:エルデーディ弦楽四重奏団(蒲生克郷/花崎淳生<Vn>/桐山建志
        <Va>/花崎薫<Vc>)

会場:第一生命ホール(東京)

日時:09年4月12日(日) 午後3時

チケット:一般3500円、シニア2500円、ヤング1500円

 エルデーディ弦楽四重奏団は1989年、東京藝術大学の出身者によって結成された。91~92年松尾学術振興財団により特別奨励賞を受ける。92年日本室内楽振興財団の助成を受け、ハイドン、モーツアルト、ベートーベンの3回連続演奏会を開催する。99年、結成10年を記念してハイドンのエルデーディ四重奏曲作品76全6曲演奏会を開催。また、01年と03年、ドイツ、フランス公演を行う。Pauレコードよりハイドンの作品のCD2枚をリリースしている。

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◇クラシック音楽◇コンサート情報

2009-03-23 10:00:20 | コンサート情報

 

                   <コンサート情報>


~アンドレ・リュウ&ザ・ヨハン・シュトラウス オーケストラ in Japan 2009~

ヨハン・シュトラウス:美しき青きドナウなど

指揮/バイオリン:アンドレ・リュウ

管弦楽:ザ・ヨハン・シュトラウス オーケストラ

会場:東京国際フォーラム ホールA

日時:09年3月28日(土) 午後6時

チケット:S12500、A10500、B8500

 アンドレ・リュウは、オランダ出身のバイオリニスト兼指揮者。“音楽は楽しいもの”を身上に自らオーケストラを率い、世界中で公演し、日本には一昨年秋来日した。「美しき青きドナウ」などワルツ王・ヨハンシュトラウスの曲を中心に、どこかで聴いたことのある曲ばかりを演奏する。幅広いジャンルの曲をマジシャンのようにテンポ良く披露するなど、カリスマバイオリニストによるクラシックを超越した、世紀のエンターテインメント。

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◇クラシック音楽◇ウィーン八重奏団によるドボルザーク:弦楽六重奏曲/弦楽五重奏曲

2009-03-19 11:16:03 | 室内楽曲

ドボルザーク:弦楽六重奏曲/弦楽五重奏曲変ホ長調

弦楽演奏:ウィーン八重奏団
         アントン・フィーツ/ヴィルヘルム・ヒューブナー/ギュンター・ブライテ
         ンバッハ/ヨゼフ・シュタール/フェレンツ・ミハーイ/アーダルベル
         ト・スコチッチ
           
CD:キングレコード KICC 2041

 ドボルザークの作品はどこか懐かしく、我々日本人の感覚と共通するものを感じさせてくれる。ボヘミアという土地柄なのであろうか。日本から随分離れたところにあるのに、何か近い故郷という感覚なのだ。最近、バロック時代の作曲家でゼレンカが再評価されているが、ゼレンカも“ボヘミアのバッハ”という通りボヘミア出身で、一度聴くとバッハ以上の親しみが沸くのは私だけであろうか。

 このCDに収められた弦楽六重奏曲はバイオリン2、ヴィオラ2、チェロ2という編成で、その第1楽章を聴くとたちどころにドボルザークの描き出す世界・・・ゆっくりとした時の流れの中に、懐かしさが込み上げてくるようなメロディーが歌われ、辺りの田園風景が目の前に大きく広がって見えてくるような錯覚すら覚えてしまうほどだ。ブラームスも2曲の弦楽六重奏曲の傑作を残しているが、ドボルザークの曲ももこれに匹敵するような内容の充実度を感じさせてくれる。ただ、終楽章が6つの変奏曲になっているが、変奏曲でなくもっとスケールの大きな構想の曲想となっていたら、ブラームスの曲を越えてもっと有名な弦楽六重奏曲になっていたかもしれないのでは・・・と思うのだが。

 弦楽五重奏曲変ホ長調は、1893年夏に米国アイオワ州にあるチェコ人街で作曲された。ドボルザークは前年にニューヨークのナショナル音楽院に就任しており、その時に書かれた1曲がこの弦楽五重奏曲である。有名な交響曲「新世界」や弦楽四重奏曲「アメリカ」が書かれたのがこの時で、「アメリカ」が完成して3日後にこの弦楽五重奏曲に着手したそうである。それだけになんとなく「新世界」や「アメリカ」に似たところがあり、その分この曲は2曲の名高い曲の陰に隠れてしまっている。しかし、そこはドボルザークだけのことはあって、「新世界」「アメリカ」と並行して聴いても十分聴き応えのある内容の曲に仕上がっている。「新世界」や「アメリカ」に飽きてしまった人は一度お聴きになっては。

 このCDのでの演奏(1971年4月、ウィーン録音)は、当時のウィーンフィルのメンバーによって構成されているウィーン八重奏団である。メンバーの名前を見ると懐かしい人の名も見受けられる。ウィーンフィルの人達の中にはボヘミア系の人も多いそうで、その演奏は正にボヘミア音楽を我が物にしているといった感じがする。それにこんなに洗練された弦楽演奏を聴くことは過去にも現在も滅多にない。貴重な録音ではある。(蔵 志津久)

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◇クラシック音楽◇コンサート情報

2009-03-18 09:52:21 | コンサート情報

 

                   <コンサート情報>


~青木恵音デビュー・リサイタル~

ヴィターリ:シャコンヌ
バルトーク:無伴奏バイオリンソナタ
ワックスマン:カルメン幻想曲
ベートーベン:バイオリンソナタ第9番「クロイツェル」

バイオリン:青木恵音

ピアノ:迫 昭嘉

会場:紀尾井ホール(東京)

日時:09年3月21日(土) 午後6時30分

 バイオリンの青木恵音は、1986年東京生まれ。国立音楽大学附属中学校在学中に、リムスキー=コルサコフ・サンクトペテルブルグ国立音楽院に留学。桐朋学園大学音楽学部を09年3月卒業し、09年秋からは財団法人明治安田クオリティオブライフ文化財団から音楽研修生として奨学金を受け、ハノーファー音楽院に留学予定となっている。00年第5回江藤俊哉ヴァイオリンコンクール ジュニア・アーティスト部門第2位受賞。06年第75回日本音楽コンクール ヴァイオリン部門第3位受賞。07年第8回ストラディヴァリウスコンクール第3位受賞。これまでサンクトペテルブルグ室内楽団、日本フィルハーモニー交響楽団との共演や、ザルツブルグ モーツァルテウムのウィーンホールでの演奏会で成功を収めるなど、国内外で活躍してきた。ピアノの迫 昭嘉は、1980年東京藝術大学大学院でクロイツァー賞を受賞する。第35回ジュネーブ国際コンクール最高位(1位なしの2位)。現在、東京藝術大学教授、東京音楽大学講師。

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◇クラシック音楽CD◇レオンスカヤのブラームス:ピアノソナタ第1-3番/パガニーニの主題による変奏曲

2009-03-17 10:16:14 | 器楽曲(ピアノ)

ブラームス:ピアノソナタ第1-3番
       パガニーニの主題による変奏曲(第1-2冊)

ピアノ:エリーザベト・レオンスカヤ

CD:ワーナー・パイオニア(TELDEC) 2292-46450~2

 エリーザベト・レオンスカヤは、1945年グルジアのトビリシに生まれる。モスクワ音楽院を卒業し、1964年エネスコ・コンクール第1位、65年ロン=ティボー・コンクール第3位、68年エリーザベト・コンクール第9位と相次ぎ入賞を果たしている。その卓越した技巧といかにも女流ピアニストらしい流れるような感性を持った演奏は、我々日本人にとって馴染みやすい、何か温かみのあるピアニストとして日本での人気も高かった。

 どちらかというと叙情的な表現力に優れた才能を覗かせるレオンスカヤであるが、ことブラームスに関してはそのような演奏スタイルを忘れたかのように、実に堂々とした男性ピアニストのような感性の一面を露にさせる。このCDにはブラームスのピアノソナタ第1-3番とパガニーニの主題による変奏曲が収録されている(録音は1988年3月、1990年3月、同年6月)が、まずパガニーニの主題による変奏曲の演奏が図抜けている。主題に続く変奏曲の1曲1曲の性格がはっきりと弾き分けられ、リスナーとしては、少々オーバーに言えば手に汗握って、次の変奏曲がどう演ぜられるのかを興味津々で待ち構えるといった具合なのだ。

 ブラームスはピアノソナタを3曲しか残していない。しかも、第1番op1、第2番op2、第3番op5と初期の作品ばかりである。弦楽四重奏曲も3曲しか残していないのだ。私は、これはベートーベンの存在が影響しているとみている。ブラームスはベートーベンが残したピアノソナタと弦楽四重奏曲の偉大なる作品群に一度は挑戦を試みるが、余りにも頂が高く途中で断念したのではないかなと。3曲しかないブラームスのピアノソナタのうち、リスナーである私は第3番を愛聴している。1番、2番はブラームスを知るには貴重な作品かもしれないが、余りにも無骨というか、ブラームス特有の晦渋さが前面に打ち出され、聴くのに骨が折れる。

 その点、第3番のピアノソナタは、メリハリが利いた構成となっており、雄大なスケールに叙情味あふれる面もたっぷりと盛り込まれ、聴いていて実に楽しい。ちょっとリストのピアノソナタに似ているのではとも感じられる。レオンスカヤのピアノもこの辺の演奏効果を最大限発揮しており、このCDは同曲中の名盤に位置づけられよう。このCD(2枚組み)全体を通してレオンスカヤは、普通ブラームスを演奏すると、とっつき難い面が顔を覗かせるところを、彼女独特の叙情面を持った感性のオブラートで包み込み、さあ召し上がれとでもいっているかのような優しさで、我々リスナーに提供してくれている。(蔵 志津久)

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◇クラシック音楽◇コンサート情報

2009-03-16 09:42:39 | コンサート情報

 

                   <コンサート情報>


~廣野嗣雄オルガンリサイタル~

N.d.グリニー:グレゴリオ聖歌「来たれ、創造主」
フランク:交響的大曲
メンデルスゾーン:ソナタ第3番
近藤岳:オルガンと2本のトランペットのための「来たれ、創造主」(委託新作)
ワーグナー:歌劇「タンホイザー」序曲(オルガン連弾編曲:編曲廣野嗣雄)

オルガン:廣野嗣雄

オルガン連弾:三浦はつみ
トランペット:宇都伸志/熊代祏子(委託新作)

会場:横浜みなとみらいホール

日時:09年3月20日(金/祝) 午後2時

主催:横浜みなとみらいホール

 オルガンの廣野嗣雄は、東京藝術大学オルガン科卒業。1966-69年ドイツのヴェストファーレン教会音楽大学に留学。オルガン、即興演奏、合唱指揮法を学び、教会音楽家(カントール)の資格を得る。現在国内外の活動のほかNHKなどの放送に幅広く出演している。武蔵野市、トゥールズ(フランス)、ダラス(米国)での国際オルガンコンクールの審査委員を務める。東京藝術大学名誉教授。

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