★ 私のクラシック音楽館 (MCM) ★ 蔵 志津久

クラシック音楽研究者 蔵 志津久によるCD/DVDの名曲・名盤の紹介および最新コンサート情報/新刊書のブログ

◇クラシック音楽◇コンサート情報

2010-01-29 09:24:02 | コンサート情報

 

                   <コンサート情報>


シューベルト:弦楽四重奏曲「断章」D703
シューマン:ピアノ五重奏曲
ブラームス:ピアノ五重奏曲

弦楽四重奏:シュターミッツ カルテット

ピアノ:植原晴子

会場:川口総合文化センター リリア・音楽ホール

日時:10年2月11日(木/祝) 午後5時

 弦楽四重奏のシュターミッツ カルテットは、1985年結成。1986年ザルツブルク国際室内楽コンクール第1位入賞。それ以後、チェコ音楽界で高い評価を受け、チェコ文化省から名誉賞が贈られている。CD「ドヴォルザーク弦楽四重奏曲Op.96&Op.106」はシャルル・クロス・アカデミーのディスク大賞を受賞。現在、ヨーロッパ、カナダ、アメリカをはじめ、世界中を演奏旅行している。カルテットの名称は、ボヘミアのシュターミッツ音楽家一族に由来している。

 ピアノの植原晴子は、国立音楽大学器楽科ピアノ専攻卒業。ドイツ・エッセン音楽大学大学院卒業。古典・ロマン派およびバルトークを得意とする。05年ドイツ母校にてリサイタルを開催。現在、ソリスト、室内楽奏者・伴奏者として活躍中。国際芸術連盟専門家会員。

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◇クラシック音楽CD◇ティボー&コルトーのフランク/ドビュッシー/フォーレ:ヴァイオリンソナタ

2010-01-28 09:30:08 | 室内楽曲(ヴァイオリン)

フランク:ヴァイオリンソナタ
ドヴュッシー:ヴァイオリンソナタ
フォーレ:ヴァイオリンソナタ第1番 他

ヴァイオリン:ジャック・ティボー

ピアノ:アルフレッド・コルトー 他

CD:東芝EMI CE30-5741

 ティボー(1880年-1950年)とコルトー(1877年-1962年)のこの“フランス音楽 ヴァイオリンソナタ傑作選”ほど、私のクラシック音楽リスナー歴に影響を与えた録音は、そうないといってもいいほどだ。LP時代から聴き、そしてCD時代になっても、いささかもその価値は衰えることはない。録音時期は、1929年、1927年、1942年と今から90年近く前なのでさすがに音自体は今の録音とは比較にならないが、決して聴きづらくはないのが救われる。2人の巨匠が残したこの録音は、今聴いても、作品の真髄を余すところなく表現し、しかも聴くものに分りやすく、そして感銘を与えてくれる名盤中の名盤と言っても過言ではなかろう。もう、こんな凄いコンビは現れないのでは、と思わせるほどの名演奏を聴かせてくれるのだ。

 フランクのヴァイオリンソナタを弾くジャック・ティボーのヴァイオリンは、フランスの作曲家の作品とは思えないほどの、がっちりとした構成力を存分に見せ付ける演奏で、その堂々として、しかもゆったりとした弾きぶりは、これが真の巨匠の演奏だということの印象を深く刻み付けられる。第1楽章の出だしからして、静かな雰囲気の奥に佇む情緒を巧みに描ききる。第2楽章は、時に激しく、時に遠くを見通すようにゆっくりと、その交互に来る異なる曲想を見事に調和させている。第3楽章は、望郷の歌のような、なんとも懐かしい優雅なメロディーを、ティボーとコルトーは連綿と互いに弾き続け、時間の経過を忘れる程だ。そして第4楽章は、真正面から取り組んだ、あまたあるヴァイオリンソナタの中でも、最も感動的な曲といってもいいだろう。それをティボーのヴァイオリンとコルトーのピアノは、考えられる最上のデュオで、感動的に聴かせてくれる。脱帽!

 ドヴュッシーのヴァイオリンソナタは、フランクのヴァイオリンソナタとはがらりと趣が異なり、いかにもフランスのヴァイオリンソナタだということが、ティボーとコルトーのフランス人のコンビによって、はっきりと肌で感じ取れる演奏内容となっている。第1楽章は何とも洒落た感覚が横溢している演奏内容。第2楽章は、ヴァイオリンとピアノが互いに会話しながら、あたかも散歩をしているような気分で、いかにものんびりといった雰囲気。第3楽章は、感覚が研ぎ澄まされそうな、鋭敏な曲であるが、ティボーとコルトーは、ここでも絶妙のコンビぶりを存分に発揮し、聴くものにはっきりとその存在感を植えつける。名演奏家同士の掛け合いの凄さを見せ付けてくれる。

 フォーレのヴァイオリンソナタ第1番は、いかにもフォーレらしさに覆われたフランスのヴァイオリンソナタの傑作の一曲。第一楽章は、流れるように濃密な雰囲気を発散させながら、軽快に突き進むが、ティボーとコルトーは、互いの演奏を高めあいながら、徐々に気分を盛り上げていくところが、何ともただならぬ凄さを醸し出す。やはり巨匠同士の演奏なのだ。第2楽章は、ほの暗い情緒に包まれた、独特な雰囲気のある曲だが、ここでも2人の腕が冴える。第3楽章は、コケテッシュなヴァイオリンとピアノのやり取りが印象的だ。第4楽章は、これまでの暗中模索の流れを一挙に吹き飛ばすような、軽快そのもの曲想で、ティボー、コルトーのコンビは、なんと格調高く、優雅に演奏していることか。この楽章一つとっても、とても他の演奏家には歯が立たない。2人のコンビは、とてつもない名人技を聴かせてくれるのだ。(蔵 志津久)

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◇クラシック音楽◇コンサート情報

2010-01-27 09:25:24 | コンサート情報

 

                 <コンサート情報>


バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番
ガネッシュ・デル・ヴェスコボ:ファンタジェ・メロディエ・インディアネより
藤家渓子:夜との語らい~山下和仁のために/貝の歌、石の歌~山下和仁のために
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」第2楽章“ラルゴ”
アイルランド民謡(藤家渓子編):夏の名残のバラ
愛陽:第三の靴

ギター:山下和仁

会場:紀尾井ホール

日時:2010年2月10日(水) 午後7時

 ギターの山下和仁は、1961年長崎市に生まれる。1976年日本ギター連盟主催全国コンクール(現・東京国際ギターコンクール)で優勝。翌1977年、16歳の時にラミレス国際ギターコンクール(スペイン)、アレッサンドリア国際ギターコンクール(イタリア)、パリ国際コンクール(フランス)の世界三大ギターコンクールに、いずれも史上最年少優勝という快挙を成し遂げ、一躍世界の注目を浴びる。1984年トロント国際ギター・フェスティバルで、センセーションを呼んで以来、その名声は世界的にも不動のものとなった。近年は、ソロ活動のほかに、カルテット「山下和仁+bambini」を結成し、世界的に演奏活動を行っている。山下和仁のために書かれた作品は60曲を超え、これまでリリースされたCDは77点に上っている。CD「黎明期の日本ギター曲集」で平成11年度文化庁芸術祭大賞を受賞。

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◇クラシック音楽CD◇グリュミオーのベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲/ロマンス第1-2番

2010-01-26 09:24:14 | 協奏曲(ヴァイオリン)

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲
         ロマンス第1番/第2番

ヴァイオリン:アルテュール・グリュミオー

指揮:アルチェオ・ガリエラ

管弦楽:ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

CD:日本フォノグラム(PHILIPS) DMP-218

 アルテュール・グリュミオー(1922年ー1986年)のヴァイオリン演奏は、まことにもって典雅で、格調が高く、何よりもヴァイオリンの音色がとろけるような甘さがして、聴くものを夢見ごこちにさせてくれる、数少ないヴァイオリニストであった。いわゆるフランコ・ベルギー楽派の中枢を担う名手として、その名はこれからも不滅であり続けるものと、私は確信している。我が青春のほろ苦い思い出と、常に寄り添うように聴こえてくるのが、グリュミオーのヴァイオリンの音色であるのである。つまり私の中でクラシック音楽の中のど真ん中に位置するのが、グリュミオーのヴァイオリンであり、今回紹介するベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲、それに2曲のロマンスである。そんなわけで、このCDは、私の個人的な立場からするとホンとは“誰にも教えたくない、私だけ名盤”そのものなのである。

 このCDの、グリュミオーが弾くベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は、誠に美しさにむせ返るような演奏内容である。ちょっと美しすぎるのではとも感じてしまうほどである。しかし、毅然とした構成力で演奏されていることにより、ベートーヴェンらしさはいささかも失われていないのが、“さすがグリュミオー”と感じ入ってしまう。ホンとにこの演奏には夢がある。こんなヴァイオリン演奏は、今のヴァイオリニストにはもう期待できないのかも、とも思ってしまうほどだ。そして、このCDの魅力は、ベートヴェンの2曲のロマンスが、何よりもグリュミオーの名演で聴けることに尽きる。ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は、今後もいろいろなヴァイオリニストによって、いろいろな解釈の名演奏が出てこようが、2曲のロマンスの演奏ついては、グリュミオーの演奏に尽きる。優雅で、颯爽としていて、聴いていて一時の甘い邂逅の思いに浸らせてくれるのだ。2曲のロマンスの名演中の名演といえる。

 このCDをさらに盛り上げているのが、指揮のアルチェオ・ガリエラとニュー・フィルハーモニー管弦楽団である。アルチェオ・ガリエラ(1910-1996年)はイタリアの指揮者である。ミラノで生まれ、ミラノ音楽院で学ぶ。1941年指揮者となり、ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団を指揮して、デビューした。第二次世界大戦が勃発するとスイスの亡命する。1964年ー1972年までストラスブール管弦楽団の首席指揮者を務める。このCDのガリエラの指揮ぶりは、実に堂々と明快な演奏をしており、透明な美しさのグリュミオーのヴァイオリンに実にマッチした伴奏がなんとも素晴らしい。イタリア人の指揮者は、トスカニーニやカンテルリも同じだが、イタリアオペラみたいに明確に表現しきるところが魅力だ。しかしこのガリエラも、これからは人々の記憶から忘れ去られていくのだろう。

 そしてこのCDのオーケストラは、英国のオーケストラのニュー・フィルハーモニア管弦楽団である。1945年に創設されているが、設立の目的はEMIのレコード録音であったというから、我々に馴染み深いのもうなずける。初演の指揮者はトーマス・ビーチャムで、以後、クレンペラー、フルトヴェングラー、カラヤンなど一流の指揮者が相次いで演奏している。一時期、経済的問題でニュー・フィルハーモ二ア管弦楽団と名称を変更したが、1977年から再びフィルハーモニア管弦楽団に名称を戻し、現在に至っている。このCDは丁度、ニュー・フィルハーモニー管弦楽団を名乗っていた頃の録音だ。同管弦楽団の音色は明るく、明快な響きが何とも魅力だ。現在の首席指揮者はサロネンである。フィルハーモニア管弦楽団は、過去からから現在に至るまでまで、一貫して高い演奏水準を保っていることは賞賛値する。(蔵 志津久)

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◇クラシック音楽◇コンサート情報

2010-01-25 09:24:46 | コンサート情報

 

                    <コンサート情報>


~デビュー20周年記念コンサート~

マスネ:歌劇「マノン」より 独りになった~幻影よ消え去れ
トスティ:悲しみさようなら
ロッシーニ:約束/さようなら人生よ 他

テノール:上原正敏

ピアノ:フランコ・マッサーロ

会場:紀尾井ホール

日時:10年2月9日(火) 午後7時30分

 テノールの上原正敏は、長野県諏訪市出身。国立音楽大学大学院声楽科終了後、歌劇「椿姫」でオペラデビュー。国内で「魔笛」「リゴレット」「こうもり」などに出演後、1992年からイタリアに留学。ミラノや近郊都市においてコンサート、オペラに出演し、パドヴァ「イリス・アダミ・コラッデティ」国際コンクールをはじめとする数々の国際コンクールに1位、入賞を重ねる。ボローニャ歌劇場オーディションに合格し、同劇場にて本格的ヨーロッパデビューを果たす。その後、ハンガリー・ブタペスト国際コンクールで第1位になったのを契機に、世界各国の主要歌劇場に出演。01年日本に帰国。ニッカオペラ新人賞受賞、五島記念文化財団オペラ賞受賞。

 ピアノのフランコ・マッサーロは、イタリア・パドヴァの国立ポッリーニ音楽院でピアノと作曲を学び、ピアノ科を首席名誉賞で卒業。現在、合唱、声楽、器楽の伴奏、またピアノ伴奏によるオペラ全曲コンサートなど、幅広く活躍。

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◇クラシック音楽◇コンサート情報

2010-01-22 09:27:51 | コンサート情報

 

                     <コンサート情報>


ショパン:即興曲第2番/第3番
     4つのマズルカ(第14-17番)
     ピアノソナタ第2番「葬送」
     舟歌
     ポロネーズ第7番
     ノクターン第4番/第5番
     スケルツォ第4番

ピアノ:清水和音

会場:横浜みなとみらいホール

日時:10年2月6日(土) 午後2時

 ピアノの清水和音は、1981年、弱冠20歳で、パリのロン=ティボー国際コンクール・ピアノ部門で優勝し、併せてリサイタル賞を受賞した。1983年、「プラハの春音楽祭」で、プラハ室内管と共演するなど、国内外のオーケストラとも共演。1995年秋から2年にわたって紀尾井ホールで行われた、ベートーヴェンのピアノソナタ全32曲演奏会は、高く評価され、ライブ録音がリリースされている。04年からは、ショパンの全曲録音を開始、これまで5枚のCDをリリースし、いずれも高く評価されている。

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◇クラシック音楽CD◇ビーチャム指揮のシベリウス:「ペリアスとメリザンド」/交響曲第7番他

2010-01-21 09:27:08 | 管弦楽曲

シベリウス:劇附随音楽「ペレアスとメリザンド」
      交響詩「大洋女神(波の娘)」
      交響曲第7番
      交響詩「タピオラ」

指揮:サー・トーマス・ビーチャム

管弦楽:ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

CD:東芝EMI TOCE-6426

 劇附随音楽「ペリアスとメリザンド」の出だしから、何と豊かなオーケストラの弦の音が零れ落ちるように鳴り響きわたることか。何かぞくぞくするような物語の世界につれてゆかれる感じで、そのままオーケストラの豊穣な音の只中へと身を委ねることで、シベリウスの世界そのものを実感できる。「ペリアスとメリザンド」とは、ベルギーの劇作家モーリス・メーテルランクが書いた戯曲で、1893年にパリで初演されている。中世ヨーロッパのアルモンド王国での物語。狩で森に迷いこんだ王子ゴローは,泉の傍で泣いているメリザンドを見つけ妻とした。しかし、ゴローの弟ペレアスもまたメリザンドに惹かれる。そして・・・最後はメリザンドは一人息を引き取る、という全部で5幕からなる戯曲だ。

 この戯曲「ペリアスとメリザンド」は、多くの作曲家の心を掴んだようで、フォーレが劇附随音楽とオーケストラ組曲、シェーンベルグが交響詩、ドビュッシーがオペラ、そして今回取り上げたシベリウスが劇附随音楽とオーケストラ組曲をそれぞれ作曲している。シベリウスは、何故かオペラを作曲していないが、交響詩や劇附随音楽は多く残している。このシベリウスの「ペリアスとメリザンド」を聴くと、シベリウス独特の静寂さと透明感、それにドラマチックな曲の構成と、すべてがシベリウスしか表現できえない神秘の世界で覆われており、これならオペラを作曲しなくてもいいや、という感じさえ受ける、オペラの音楽みたいな作品だ。往年のイギリスの名指揮者トーマス・ビーチャム(1879年ー1961年)は、このシベリウスの名曲を、実にダイナミックかつ、しかもこの上なく美しく表現しており、文句のつけようがない。

 このCDには、シベリウスの管弦楽作品の真髄とも言うべき4曲が収められているが、ビーチャム&ロイヤルフィルのコンビが「ペリアスとメリザンド」にも劣らない名演を聴かせるのが交響曲第7番である。この交響曲は全体が1楽章からなる、何とも不思議な交響曲であるが、内容は誠に充実しており、地底から響くかのようなオーケストラ咆哮がすざまじい。しかし同時に全体が何とも馴染み深いメロディーで覆われているため、全曲を通して聴いても決して飽きることはない。何か、オーケストラ持っている機能をフル回転させて、聴衆に聴かせようといった趣がシベリウスにはあったかしらん、とも思えるほどだ。

 有名な交響詩「タピオラ」、それに、私はこのCDではじめて聴いたのであるが、交響詩「大洋女神(波の娘)」が、このCDに収められている。タピオラとは、フィンランドの抒情詩「カレワラ」に登場する、北国の森の大神のことで、フィンランド人にとっては国を象徴する神。シベリウスの「タピオラ」は、一見とっつきにくく、曲も長く(17分46秒)、難解にも聴こえるが、何回も聴くうちに、フィンランド人の心のよりどころを音楽で描き出そうとする、シベリウスの執念のようなものが感じられ、最後はシベリウス独特の世界に無理やりに、引き寄せられる思いがする。交響詩「大洋女神(波の娘)」は、意外に聴きやすい、楽しい交響詩であることを、初めてこのCDで聴いて発見した。(蔵 志津久)

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◇クラシック音楽◇コンサート情報

2010-01-20 09:29:19 | コンサート情報

 

                    <コンサート情報>


シューベルト:歌曲集「冬の旅」

バリトン:クリストフ・ゼークラー(日本デビュー)

ピアノ:松山優香

会場:東京文化会館 小ホール

日時:10年2月2日(火) 午後7時

 バリトンのクリストフ・ゼークラーは、オペラ、コンサート、歌曲界で多彩な才能を発揮し、近年話題になっている若手のシュトゥットガルト国立オペラ座専属歌手。カールスルーエ音楽大学、ライプツィヒ音楽大学などに学ぶ。1998年21歳の若さでシュトゥットガルト国立オペラ座にデビューし、03年以降は、同オペラ座の団員となり、多くの主役を演じている。CDには、シューベルトとマーラーの歌曲、エルンスト・クシュネスの歌曲(10年発売予定)、ラルフ・ゴトーニ「ペレグリーナ歌曲」などがある。これまラジオ、テレビに数多く出演。

 ピアノの松山優香は、ドイツ国立カールスルーエ音楽大学大学院首席修了。1997年より、バリトン歌手のウルリッヒ・ヴァント氏とリート・デュオを組み、定期的に演奏活動を行うほか、NHK-FM放送にも度々出演。SBC音楽祭特別伴奏者賞受賞、ミュンヘン国際音楽コンクール公式伴奏者。08年ルーマニア国際音楽祭招聘アーティスト。

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◇クラシック音楽CD◇塩川悠子&遠山慶子のモーツアルト:ヴァイオリンソナタ選集

2010-01-19 09:32:35 | 室内楽曲(ヴァイオリン)

モーツアルト:ヴァイオリンソナタ第30番/第25番/第41番

ヴァイオリン:塩川悠子

ピアノ:遠山慶子

CD:カメラータ・トウキョウ 32CM-17

 今年に入った1月11日、日本を代表するピアニストの遠山慶子氏が、毎日芸術賞を受賞を受賞したというニュースが飛び込んできた。これは遠山慶子とウェルナー・ヒンクの新しいCDアルバム「モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ選集」が第51回毎日芸術賞(毎日新聞社主催)を受賞したというもの。以前、“ヒンク&遠山”のコンビによるシューベルトのソナチネを収めたアルバムを紹介したが、同じコンビで今度はモーツアルトを演奏したものだ。私は今回受賞したCDはまだ聴いてはいないが、同じコンビでのシューベルトのソナチネを演奏したCDを聴いているものとしては、むべなるかなという思いがする。そんなことで、“遠山慶子&モーツアルト:ヴァイオリンソナタ”ということを考えていたら、そうだ!大分前に“塩川悠子&遠山慶子”のコンビでモーツアルトのヴァイオリンソナタのCDを買ったことを思い出し、早速、引っ張り出して聴いてみることにした。

 この“塩川&遠山”が演奏したCDには、モーツアルトのヴァイオリンソナタの原点とも言うべき何かが隠されているのだ。というのは、モーツアルトのヴァイオリンソナタは、通常のヴァイオリンソナタとは異なり、ヴァイオリンとピアノが対等な立場で演奏されることが前提になっている。それどころか、「これはピアノソナタだ」という人がいるくらいピアノを前面に据えた曲なのだ。塩川のヴァイオリンは、実に的確にモーツアルトの優雅な旋律をつむいでいくが、その演奏は優美さの中に、一本線がピーんと張ったような小気味よさが何とも言えずいい。そして、ピアノの遠山の演奏は、実に恰幅良く、堂々と演奏されており、モーツアルトのヴァイオリンソナタの真髄をピアノ演奏の面で十二分に披露してくれている。この“塩川&遠山”のコンビによるモーツアルトのヴァイオリンソナタ集を聴いていると、この時代(1986年録音)に、日本人は既にクラシック音楽を完全に吸収し、世界レベルの演奏をしていたのだ、という思いがする。その意味でもこのCDは貴重な存在だ。

 ヴァイオリンの塩川悠子は、1946年6月東京に生まれる。1957年家族でペルーに移住。リマ交響楽団と共演し、コンサート活動をスタート。1965年メンデルスゾーン・コンクールで金賞を受賞する。これまで多くのオーケストラとの共演を行うほか、エディンバラ、ルツェルン、ロッケンハウス、サルツブルク、モント湖、リッチフィールド、マールボロなどの著名な音楽祭に出演。夫であるピアニストのアンドラーシュ・シフとの共演をはじめ、室内楽での演奏も積極的に手がけている。演奏活動は、世界的にわたっているが、日本へもしばしば帰国し演奏を行っている。CDもバッハの無伴奏ソナタとパルティータや今回取り上げた遠山慶子とのモーツァルトのヴァイオリン・ソナタなどが有名。

 ピアノの遠山啓子は、1934年東京生まれ。ピアノは個人的レッスンを受け、1947年第1回全日本学生音楽コンクールで東日本大会一等に入賞する。1952年に、来日中のアルフレッド・コルトーの前で演奏し、即座に才能を認められ、1954年に渡仏。パリのエコールノルマル音楽院でコルトーに師事。1955年同音楽院を首席で卒業する。1956年には日本でのデビューを飾った。さらに再度渡仏し、1963年にパリで海外デビューを果たす。1978年、第5回日本ショパン協会賞受賞。また、ロン・ティボー国際コンクールおよびゲザ・アンダ国際コンクールの審査員も務める。草津国際音楽アカデミー&フェスティバル講師。そして今回、ウェルナー・ヒンク(ヴァイオリン)と録音を続けてきた「モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ選集」(全5枚)シリーズが第51回毎日芸術賞を受賞した。
(蔵 志津久) 

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◇クラシック音楽◇コンサート情報

2010-01-18 09:28:47 | コンサート情報

 

                   <コンサート情報>


トスティ:理想の女/セレナータ/魅惑/君なんかもう/かわいい口もと/最後の歌
     /夢

カンツォーネ:ヴェネツィアの幻影/忘れな草/泣かないお前/つれない人 カタリ 
        他

バリトン:ロベルト・ボルトルッツィ

ピアノ:峯川知子

会場:イタリア文化会館 東京

日時:10年1月31日(日) 午後2時

 バリトンのロベルト・ボルトルッツィは、イタリアのトレヴィーゾ生まれ。2000年インターナショナル“マリア・カラス”コンクールで、セミファイナリスト。その後ソリストとして活動を開始する。03年“エンツォ・ダラ”コンクールで1位。現在、若手で正当なベルカント唱法を継承し、ヴェルディ役をこなす声を持つヴェルディアーノと呼ばれる、イタリアでも数少ない貴重なバリトン。

 ピアノの峯川知子は、昭和音楽短期大学ディプロマコース修了。1995年より野村国際文化財団助成金でローマに留学。さらに01年より2年間国際ロータリー財団奨学金により留学。1996年ー04年の8年間、イタリアのマルケ州のテアトロペルゴレージで劇場ピアニストのカルロ・モルガンティの助手を務める。現在もイタリアでピアニストとして活躍する傍ら、日本において歌手への指導など、オペラの普及に当っている。

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