【歴史的名盤CD選集】
~クララ・ハスキルとヒンデミットの共演のライヴ録音盤~
モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番
ヒンデミット:4つの気質~ピアノと弦楽オーケストラのための主題と変奏~
ピアノ:クララ・ハスキル
指揮:パウル・ヒンデミット
管弦楽:フランス国立管弦楽団
録音:1957年9月22日、スイス、モントルー(ライヴ録音)
CD:MUSIC&ARTS
このCDは、1957年9月22日にスイスのモントルーで行われた演奏会のライヴ録音盤である。興味深いのは、名ピアニストのクララ・ハスキルの演奏会での生の演奏が聴けることと、作曲家のヒンデミットが指揮をしていることである。今から59年前の録音で、しかもライヴ録音だということなので、音質は期待できないと思いきや、鑑賞に支障がないほどの音質が保てており、クララ・ハスキルのピアノのタッチも明瞭に捉えられている。スタジオ録音と同じく、クララ・ハスキルのピアノ演奏は、独特の典雅さに満ち溢れたもので、その澄んだピアノの音はモーツァルトのピアノ協奏曲の演奏には最も相応しい。クララ・ハスキル(1895年―1960年)は、ルーマニア出身のピアニスト。15歳でパリ音楽院を最優秀賞で卒業し、ヨーロッパ各地で演奏活動に入る。生涯病身であったため、正当な評価が与えられたのは第二次世界大戦後の1950年以降のことであった。レパートリーは、古典派と初期ロマン派が中心であるが、最も秀でたモーツァルト弾きとしての名声を得た。スイスでは1963年より「クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクール」が開かれている。パウル・ヒンデミット (1895年―1963年)は、ドイツ出身の作曲家で生涯に600曲以上を作曲。1934年の“ヒンデミット事件”でも知られる。
(蔵 志津久)