元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ロボコップ2」

2012-08-11 07:17:07 | 映画の感想(ら行)

 (原題:Robocop 2 )90年作品。ポール・ヴァーホーベン監督による第一作のヒットを受けて、気を良くしたオライオン・ピクチャーズが放った第二弾。正直言って、前作よりかなり雑な仕上がりになっており、観る価値はあまりない。

 舞台は近未来のデトロイト。治安は地に落ち、真っ昼間から犯罪が横行している。この背後にあるものが、携帯用麻薬「ヌーク」の氾濫で、麻薬シンジケートのボスは笑いが止まらない。前作でも紹介されたが、警察はすでに大コングロマリット・オムニ社の手に渡っていて、その警察はストライキ中。さらにオムニ社はデトロイト市の乗っ取りを企てていて、黒人市長に圧力を加えている。

 しかし、そんな状況に関係なく、主人公である合理化の権化マーフィことロボコップ(ピーター・ウェラー)は今日も犯罪捜査に精を出している。それを良く思わないのがオムニ社で、ロボコップに対抗する「ロボコップ2」の製作にとりかかる。

 冒頭、マーフィの妻がロボコップと対面するシーンがある。これが映画のクライマックスになってもよさそうなものだが、人間の心を持つロボコップの苦悩はそこでオシマイ。あとは麻薬組織とオムニ社の陰謀に立ち向かうロボコップの活躍が能天気に描かれるのみだ。アクション・シーン満載なのはいいとして、ただ画面がハデになるだけで、描写自体は弛緩しきっている。

 前作では重要なキャラクターだったマーフィの相棒の女性捜査官(ナンシー・アレン)も、今回はどうでもいい描き方だし、悪役もパッとしない。麻薬組織の幹部に12歳の少年がいることが面白かったが、それ以外の脇のキャラクターが前作に比べて相当雑に扱われている。

 オムニ社は「ロボコップ2」の頭脳に、死んだ麻薬組織のボスの脳を移植する(この脳移植の手術シーンはホラー映画顔負けの気持ち悪さだ)。クライマックスは当然ロボコップとロボコップ2の戦闘場面となる。しかし、このロボコップ2、前作の悪玉ロボットED-209と雰囲気が似ているのが不満。できればロボコップ2は、ロボコップと同じ大きさで同じ機能を持ったロボットにしてもらいたかった。監督は(今は亡き)アーヴィン・カーシュナーだが、ベテランらしくないまとまりを欠いた出来である。

 製作元のオライオン社もとうの昔に消滅してしまったが、なぜか「ロボコップ」自体はリメイクの話が進められているようで、2013年に公開されるという。評判が良ければチェックしてみたい気がする。

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