犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

フグ鍋より高い犬鍋

2006-04-14 07:17:04 | 食べる

 昨日,一カ月ぶりに犬鍋を食べました。 

 清渓川沿いの旧朝興銀行本店(今年4月1日に新韓銀行に吸収合併)裏にある「サリチプ」。
 連れの出張者のうち,「絶対に食べない」といいはる人がいたので,「フグチリ」も出してくれる店にしました。
 オフシーズンだというのに,入店30分後にはほぼ満席になりました。やはり,男性が多いですね。女性は約40人中3人。そのうち一人はわが社の若手社員(日本人)です。男性社員の一人は韓国出張50回を越えるベテランですが,これまで私の執拗な誘いにも頑として拒否を通してきました。
 今回も,「自分はフグだけを食べる」と言い張っていましたが,隣で女子社員がパクパク食べているのを見て,上司の沽券にかかわると思ったのか,途中から一切れ,二切れをしぶしぶ口に入れました。
「ま,食べてみればどうってことないけど,おいしい牛肉や豚肉があるのにわざわざ食べることないんじゃない。」
などと言っておりました。
 個人的には今日の肉はとりわけ上質でおいしかったと思います。
 この店は,犬鍋一人前21000ウォン,フグチリ(またはメウンタン)18000ウォンで,フグより犬のほうが高かった。

 少し古いですが,前回のワールドカップの直前,2002年3月11日ネット版「報知新聞」に載った記事を紹介します。
 ここに出てくる「サリチプ」は,社長の名前が違うので別の店です。「サリチプ」(サリは萩でつくった枝折り戸)という店名は,犬鍋やサムゲタンの店によくある名前です。

  韓国で犬肉論争再燃  

 ワールドカップ(W杯)開幕まで3か月を切った韓国で、犬肉論争が再燃している。韓国人にとって伝統的なスタミナ源でもある犬肉料理。1988年ソウル五輪では欧米各国の動物愛護団体の圧力に屈し、多くの業者が路地裏に隠れ、廃業者も出た。今回はKOWOC(韓国組織委)、自治体、犬肉業者が一丸となってFIFA(国際サッカー連盟)のプレッシャーに対して“ディフェンス”を固めている。
(構成・甲斐毅彦)

  韓国は国家一丸で徹底抗戦 「88(パルパル)」の悲劇はもう繰り返さない。ソウル特別市鍾路区にある犬肉料理店「サリチブ」を経営する任玉子(イム・オクジャ)さんは言い切った。「ソウル五輪の時は抗議が多く、営業するのも大変でした。でも今回は関係ない」
 犬を大事なペットととらえる欧米で、犬肉料理は理解が得られないのが実情だ。昨年(2001年)11月6日には、FIFAのブラッター会長がKOWOCに対して「動物愛護団体などから犬の虐待を憂慮する数千通の手紙が届いている」と犬肉料理の事実上の自粛を要請した。2月にはイングランド代表のスーパースター、マイケル・オーウェンら3人が動物愛護団体の請願書に署名するなど、着々と包囲網が広がりつつある。  だが、FIFA副会長でもある実力者の鄭夢準KOWOC委員長は「犬肉はFIFAがかかわる問題ではない。古くからの食文化を簡単に変えるわけにはいかない」と、毅然とした態度を貫いている。ソウル五輪では“外圧”に屈したソウル市の高建市長も行政的措置は取らず、一歩もひかない構えだ。

 今年1月には忠清大学で食品栄養学を専攻する安龍根教授が音頭をとって「全国犬肉食堂連合会」が発足。動物愛護団体の非論理性を主張する安教授は「犬をかわいがるのはもちろん自由。だが、他人にも強要するのは問題だ。西洋人は犬よりも効率の高い肉食文化を持っているから犬を食べないのだろう」と解説する。

 国をあげて徹底抗戦する韓国に対し、FIFAは1度出したイエローカードを引っ込めるかどうか。 韓国の犬肉事情  犬食文化は中国の周時代に朝鮮半島に伝わったと言われる。現在、最も一般的な料理は「補身湯(ポシンタン)」と呼ばれる犬肉のスープで「栄養湯」とも呼ばれる。他に焼き肉、蒸し肉もあり、犬焼酎などというのもある。ソウル近郊では京畿道の坡州、金浦などに養犬農場があるが、東大門市場、南大門市場などにいけば食用犬を入手できる。

 最近のある世論調査では韓国人の52%は犬肉を食べたことがあるという。そのうち男性が73%、女性が31%。犬肉の食用に嫌悪感を持っている人も多い。 本紙記者も食べた  韓国の伝統家屋になっている名門店「サリチブ」では、オンドルの個室で犬鍋料理を提供する。1人前で2万5000ウォン。鍋の中は、とうがらしスープにネギ、サツマイモの茎やエゴマの葉や実がドッサリ。犬肉の臭みを消すためのもので、グツグツと煮えてきてからブツ切りの犬肉を入れる。煮えた肉は、粗びきのコショウをたっぷりつけて食べる。

 肉は赤身で軟らかくゼラチン状になっている部分も多い。牛肉や豚肉の味に慣れた者にとっては「すごくうまい」というほどではないが、いかにも体に良さそうだ。店主によると滋養強壮に効果抜群で、カルシウムや鉄分が多いという。主に夏バテ防止に食べるものだが、零下の厳冬期でも体が温まるのがうれしい。


 記事中の「粗びきのコショウ」というのはトゥルッケ(野のゴマ=えごまの実をすりつぶしたもの)の誤りでしょう。見た目、粗引きコショウに似てますが、コショウをかけるなんて聞いたことがない。この記者、本当に食べたのかな。

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