「本の町プロジェクト」ブログ

日本にも「ヘイ・オン・ワイ」のような本の町があったらいいな、から始まった物語。高遠での活動を経て次のステップを準備中。

有望物件見送る

2007-01-20 23:24:51 | Weblog
※以下の記事は、古本屋「書肆月影」大塚が書きました。

今日は朝から小雪がちらつく生憎の天気だ。でも、おととい見た例の貼り紙がどうにも気になる。ライバルに先を越されるのでは、という不安もよぎる。

というわけで意を決し、またもや藤野へ。今日の電車の友は小林信彦『回想の江戸川乱歩』。(信彦氏、乱歩邸の応接間のことやら、『ヒッチコック・マガジン』編集の頃のあれやこれやに関しては、誠に細部までよく記憶しているのに、長年コンビを組んでいる弟の泰彦の出身校が多摩美か武蔵美か把握していなかったくだりには笑ってしまった)

藤野駅からは今日も徒歩で行くことにした。土曜日ということもあってか、すれ違う人が多い。でも、服装や雰囲気から察するに、地元の人ではないようだ。吐く息が白い。雪も少し舞うように降りてきた。

名倉の土産物屋が視界に入ると、今日は縁台に品物が並んでいる。Sさんはいるようだ。縁台で梅ジャムとキウイジャムを手に取っていると、Sさんが顔を出した。一昨日来て、貼り紙を見た旨を伝える。「今日、見学することはできますか」「いま片付けをしている最中だからねえ。外からは見られると思うけど」「じゃあ、場所を教えていただけますか」「うーん、そうねえ、ちょっと待ってなさい。お父ちゃん呼んでくるから」。しばらくすると、ご亭主がクルマに乗って、迎えに来てくれた。感謝。

クルマのなかで、先日ご自宅を見せていただいたことなどを話している間もなく、現地に到着。駅から歩いて十五分ほど、彫刻群のある「芸術の道」の入り口あたりの立地か。確かに貼り紙通りの間取りだった。大家さんが精力的に片付けをしている。ご亭主にお礼を述べ、駅まで歩く。

体が冷えきってしまったので、町営温泉で暖まりたかったが、今日もバスの接続が悪く、あきらめる。残念。駅前の農家の出張販売で、芽キャベツと手作りコンニャクを買う。

その足で西荻窪のハートランドへ。自分の気持ちは固まっていたのだが、物件選びでは私より遙かにセンスのありそうな(いちおう繁盛店の店主ですから)斉木さんに、ちょっと相談したかったのである。デジカメの写真を何点か見てもらったあと、今回はやはり見送る結論を出した。明日、電話しよう。

ああ、むつかしい。焦ってはいけないが、まだ「本の町」のとっかかりさえできない。