「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

長々し夜を

2007年12月05日 | みやびの世界












あしひきの山鳥の尾のしだり尾のなが長々し夜をひとりかも寝む

 
 百人一首で柿本人麻呂の歌として採られている有名な歌です。
 (出典は拾遺集、万葉集ではよみびとしらず)
 恋人を待つ秋の夜長の、さびしさ、やるせない情感が、「の」を繰り返しながら引きずってゆく長い序詞で、いかにも眠れぬ夜の長さを感じさせ、切ない共感をよびます。

 目にすることもない野鳥の映像を、折に触れてお寄せくださる方から、今回はこの”山鳥”の映像が配信されました。
 「秋の夜長をいかがお過ごしですか」と記されています。数の減少も案じておられました。

 この写真の山鳥をカメラに収めるために、まだ薄暗い早朝、3日間、狙いを付けた場所に出かけられたようです。箕面山麓で、重い機材を運びこんで、望遠で狙う待ちの時間は、まさしく「長々し」でしょう。それだけに撮影の瞬間の興奮と感動がこちらにも伝わります。感謝して映像のおすそ分けです。