「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

下手は上手のてほん

2004年11月30日 | 絵とやきもの
 憧れの画家に中川一政がいます。絵も好きですが、字がそれ以上にいいのです。そして遺されている言葉にも強く惹かれます。
 願わくは、その想いの片鱗にでも近づきたいと切にあこがれます。
 
 少し訓練すれば「おじょうず」な絵は、誰にでも描くことができます。でも、「独楽は地面にたたきつけられてまわる。そんな画をかきたい。」といった一政の絵は、伸びやかに、ものさしでは計れない感動にあふれています。捨てられる限りのものを捨て去った、純粋ならんとする迫力に満ちています。

 それは、こしらえものの稚拙をてらうのではなく、また、見たままの写実ではなく、素直な心が感じたままを描いています。

 「じょうずはへたのてほんなり へたはじょうずのてほん也」といったのは、世阿弥ですが、上手でも死んでいる絵でなく、下手でも生きている画を心がけたいのですが。・・・・・・・