背表紙は歌う (創元クライム・クラブ)ミステリとしては、日常の謎系といっても弱い感じだけど、本にまつわるお仕事を描く姿はやはり魅力的。成風堂シリーズに比べるとキャラクターが弱いかなと思うが、前作に引き続き書き下ろし分に成風堂が関わっていてニヤリとしてしまう。
読了日:12月01日 著者:
大崎 梢(
★★★)
これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学久し振りに読んだ哲学関連書。講義を元にしている点や現実の問題を扱っている点で非常に読みやすい。10年前であればコミュニタリアンの思想には反発を覚えたと思うが、コミュニティの重要性は最近強く意識するようになった。それでもコミュニティを基にした道徳性・宗教性を信奉するのは怖すぎる。リベラルの限界を認識しつつ、それをコミュニタリアニズムによって乗り越えられるのかどうか。サンデルの話をもっと聞いてみたいね。
読了日:12月01日 著者:
マイケル・サンデル,Michael J. Sandel(
★★★★★★★)
感想の記事
鷺と雪別宮と勝久とのやりとりはゾクリとするような感覚があった。北村薫らしい精緻な文体は素晴らしいが、それ以上の特別な何かがあるかと言えば微妙にも思う。主人公への感情移入が「円紫さん」シリーズほどできなかったせいもあるだろう。完成度は高いが、やや物足りなさも残る一冊だった。
読了日:12月04日 著者:
北村 薫(
★★★★)
氷菓 (角川スニーカー文庫)小市民シリーズに比べるとマシかなあ。主人公との距離感は相変わらず好きになれないが、周りの面々が救いといえば救い。「日常の謎」の部分は悪くはなかったけど、この著者とは根幹のところで相容れないものがあるのかもしれないね。
読了日:12月06日 著者:
米澤 穂信(
★★)
初恋ソムリエ地に足がついてない感じがラノベっぽく思わせる。特に「周波数は77.4MHz」の展開の端折り方は。吹奏楽部の様子は「放課後ウインド・オーケストラ」とイメージがダブるところも。一方、過去の罪を問うという意味では同時に読んでいた「氷菓」もそうだけど、正直納得はできない。
読了日:12月07日 著者:
初野 晴(
★★★★)
このマンガがすごい! 2011読了日:12月11日 著者:
感想の記事
ハレルヤオーバードライブ! 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)キャラや音楽シーンは○。少年マンガの展開の速さについていきづらいのは年を取ったせいか・・・(´Д⊂
読了日:12月11日 著者:
高田 康太郎
ハレルヤオーバードライブ! 2 (ゲッサン少年サンデーコミックス)ストーリーはお約束だけれど、見せ方は本当にうまいと感じる。これでもう少しオリジナルな何かがあれば化けそうな気もするけど・・・。
読了日:12月11日 著者:
高田 康太郎
アリアドネの弾丸「このミス」の座談会で「ミステリーじゃない」と言われるのにムカついてコレを書いたんじゃないかと推測されているけど、やっぱりミステリー立ての方がいいねw なじみのキャラもオールキャストっぽい感じに活躍してるし、娯楽として非常によく出来た作品になってるね。
読了日:12月12日 著者:
海堂 尊(
★★★★★★)
ゴーストハント①旧校舎怪談 (幽BOOKS)小野不由美ファンでこのシリーズが一番好きと言うと白い目で見られるかもだけれど、好きなものはしょうがない。何度も読み返しているシリーズなのに初めて読むようなドキドキ感があった。好きだから欠点が見えないのかもだけど、しょうがないじゃないか!
読了日:12月13日 著者:
小野不由美(
★★★★★)
のだめカンタービレ(25) <完> (講談社コミックスキス)オペラ編のドタバタ感こそが本来ののだめカンタービレって感じがしないでもない。青春群像劇だったパリ編も良かったけどさ。破天荒でアクの強いキャラクターたちが暴れ回る様は、これぞのだめ!って思ってしまった。特に菅沼がいいねっ!
読了日:12月14日 著者:
二ノ宮 知子
愚者のエンドロール (角川スニーカー文庫)率直な感想は、「それで?」。シチュや描写は嫌いじゃないが、主人公が好きになれないのは他の米澤作品と同様。「女帝」は珍しく良いキャラだったけれど。ただ文句ばかり言いながら、それでも読んでしまうのは西尾維新もそうだけれど、それなりに好きな要素があるからだとは思う。いや、単に「日常の謎」が好きなだけかもしれないが・・・。
読了日:12月15日 著者:
米澤 穂信(
★★★)
喜嶋先生の静かな世界 (100周年書き下ろし)10年ぶりくらいに読んだ森博嗣。理知的というより理系的と呼ぶべき世界観は相変わらずユニーク。純粋な学問の世界は確かに素晴らしく感じるけれど、一方で社会との繋がりが軽んじられている印象も受ける。思考に沈んでいく様子は羽生名人の言葉を思い出した。若いうちしか没頭できないという面ではトップアスリートを思い起こさせる。理解したり共感したりできる部分もある一方で、遠い世界にも感じる。小説としての面白さというよりも、いろいろと深く考える材料がたくさん提示された作品だった。
読了日:12月20日 著者:
森 博嗣(
★★★★★)
和菓子のアン「焼きたてのスフレを前にしたら、すべては後回しです」で何もかもオールOK!って感じになっちゃった。ジャンルとしては「日常の謎」系ミステリだけど、ミステリと呼べるかどうか微妙な感じ。「成風堂書店事件メモ」シリーズと同じくミステリは添え物で環境やキャラクターを楽しむストーリー。和菓子ものフィクションとしては『福家堂本舗』には及ばないものの気軽に楽しめるノリにはなっている。
読了日:12月25日 著者:
坂木 司(
★★★★)
戦うボーイ・ミーツ・ガール―フルメタル・パニック! (富士見ファンタジア文庫)一時代を築いたライトノベルの金字塔。なるほど、エンターテイメントとしては最近のラノベよりも完成度は遥かに高い。次は短編を読んでみたい。
読了日:12月25日 著者:
賀東 招二(
★★★★★★)
GOSICK IV-ゴシック・愚者を代弁せよ- (角川文庫)ついにヴィクトリカとアヴリルが邂逅し、久城を巡る三角関係がディープでハードに炸裂・・・ってわけではないけれど、ヒロイン二人のやりとりは楽しい感じ。さて、アニメの方はどんな感じになるのかしらね。
読了日:12月26日 著者:
桜庭 一樹(
★★★★)
放っておけない一匹狼(ローン・ウルフ)? (富士見ファンタジア文庫―フルメタル・パニック!)長編よりもこちらの方が最近のライトノベルの主流に近い。ここにハーレムと優柔不断を加えれば完璧。でも、この二つの要素はラノベの「癌」でもある。それなのにそれらがないと物足りなくも感じてしまうわけで、毒されてしまったんだなあと思ってしまった。
読了日:12月27日 著者:
賀東 招二(
★★★★)
疾るワン・ナイト・スタンド―フルメタル・パニック! (富士見ファンタジア文庫)テンポの良さはさすが。ラブコメ展開は王道って感じだけれど、二者択一の判断をずるずると引っ張らないところが良かった。アニメは見てないけど、今回の山場は動いているシーンを見てみたいと思わせるものだった。
読了日:12月28日 著者:
賀東 招二(
★★★★★)
本気になれない二死満塁?―フルメタル・パニック! (富士見ファンタジア文庫)ギャグは王道で安定感がある。最近のラノベ読んでると疲れるけど、安心して読んでいられる。こういう力技が今は受け入れられにくいのかもしれないけど、書き手の力量不足も原因かもと思ってしまうね。
読了日:12月29日 著者:
賀東 招二(
★★★★)
これはゾンビですか?1 はい、魔装少女です (富士見ファンタジア文庫)バカ系。バカであることは悪くない。文章が下手とか下手とか下手とか、構成が下手とか気になるところは多かったけれど、巻を重ねれば改善されるのかどうか。『ベン・トー』のような熱いバカの方が好みだが、世界設定とかいろいろと考えてあるようなのでその辺りの奥行きがどれほどなのかちょっと気になる。アニメには向いてそうだね。
読了日:12月29日 著者:
木村 心一(
★★★)
俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈2〉 (電撃文庫)麻奈美って必要?とは1巻から気になっていることだけど、ますますその気持ちが強くなった。あやせを安直に翻意させないで解決させた点は良かった。1巻と似た構図のストーリーなのでインパクトに欠けたが、今後に期待って感じ。
読了日:12月30日 著者:
伏見 つかさ(
★★★★★)
自慢にならない三冠王?―フルメタル・パニック! (富士見ファンタジア文庫)相変わらずどの話も安定した出来。もう少し膨らませてもと思う話もあるが、そう思うくらいが丁度いいのだろう。何気に瑞樹がレギュラー化してたりするのが面白い。
読了日:12月30日 著者:
賀東 招二(
★★★★★)
ラ・パティスリー (ハルキ文庫)初上田早夕里。和菓子エンタメの最高峰が『福家堂本舗』なら、洋菓子エンタメの最高峰は『西洋骨董洋菓子店』。やっぱり絵がある方がおいしそうと思ってしまうのは避けがたい。それでも、パティシエ成長譚としては面白く仕上がってはいる。ただ謎解き絡みの部分が理屈っぽいのが万人向けと言い難い部分か。SFならそれでもいいんだけどね。
読了日:12月30日 著者:
上田 早夕里(
★★★★)
揺れるイントゥ・ザ・ブルー―フルメタル・パニック! (富士見ファンタジア文庫)ストーリー展開にひねりがなくても、しっかりと見せ場を作ることで読む側を引き込む力は流石。スリリングなアクションシーンは三人称の方がやはり様になる。
読了日:12月31日 著者:
賀東 招二(
★★★★★)
ロウきゅーぶ!〈4〉 (電撃文庫)ストーリー自体はパターン化してしまった感じだけれど、試合のシーンはさすがに引き込まれる。一人称の弱点をトークコーナーで今まで以上にうまく解消している点も良かった。ただそろそろ新展開がないとちょっと飽きてきそうな感じになってきた。
読了日:12月31日 著者:
蒼山 サグ(
★★★★)
なれる!SE―2週間でわかる?SE入門 (電撃文庫)『蟹工船』読むならコレ読めって感じ?ヒロインはもろ大河なわけだけど、これでラブコメ展開行くの?って気も。で、好きな仕事にワーカホリックにってのは理解できるけど、それだって頑張ればいい仕事ができるっていう一種の信仰のようなものだし、ましてや過労死寸前とかの話がリアルに描かれているわけで。日本はいつからこんな国になっちゃったんだろうね、ってのが正直な思いだねえ。
読了日:12月31日 著者:
夏海 公司(
★★★★)
シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と黒の妖精 (角川ビーンズ文庫)銀砂糖師の名の通りに「甘い」お話ではあるけれど、その甘さはベタベタしたものではなくすっきりした甘さだった。男性向けラノベのベタ甘っぷりに胸焼け気味だったので、より好ましく感じられた。妖精の描き方が丁寧なのも好感が持てる。
読了日:12月31日 著者:
三川 みり(
★★★★★★)
最後の1週間で駆け込みで14冊読んだ。ほとんどがライトノベルだったが。その中では「フルメタル・パニック!」シリーズがライトノベル史上でも指折りの名作の評判通り、エンターテイメントとしての完成度の高さが感じられた。一方、久し振りに手を出した少女向けライトノベルである『シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と黒の妖精』に清新さを感じて惹きつけられた。
遥か過去は妖精が世界を支配していたが、現在では人間が妖精を使役する世界。主人公の少女はそんな妖精との関係を不快に感じている。それはもちろん「甘さ」である。少女は自身の夢を叶えるために妖精を買う。自分に何かさせるのであれば命令せよと言う妖精にお願いしかできない少女。確かに「甘さ」はある。でも、ゼロ年代男性主人公の甘さと比べると大きな違いが感じられる。少女は自分の甘さを自覚しているし、綺麗事ばかり言って行動しないなんてことはない。主従の関係が良くないと思っていても目的を達するまでは仕方ないと割り切っている。そんなリアリズムが少年主人公には受け入れられない。
『彩雲国物語』もそうだが、苛酷な運命を前にしても敢然と立ち向かうのは女性ばかり。作家の性別よりも主人公の性別によってその色彩ははっきりと分けられている印象だ。フィクションの世界において、主人公の性差によってまるで決まっているようだ。男は女らしく、女は男らしく。もちろん「フルメタル・パニック!」やその流れを汲む『ソードアート・オンライン』などの作品もあるのだが……。