ソョョ
ピィィ
ト
木が倒れてる・・・
そのおかげで、ここは空がよく見える。
南東側がゆるやかに下への斜面で、その先にはクネクネした川がある。
ここからだと、樹冠があって直接は見えない。
倒木にシートをかけてイス代わりにして、昼食を食べた。
スモークサーモンを挟んだパンとか、キウイとか。
フードジャーにピリッとするスープも入れて来たから、それも。
廃墟で見つけた地図にしるされた場所の辺りには来た。
人が住んでいた様な建物は、見つからない。
ただ、斜面の下にある川は渡れるようになっていた。
石を足場に跳ねて渡れるように、ちょうどいい間隔で川に石が置いてあった。
周りはそういう地形ではなくてそこだけだし、偶然あの感じにはなりにくいと思う。
リフが人を見たと言っていたけど、探してもいない。
もし人がいたなら、たぶんこの辺りに住んでいるという先住民だろう。
どこからか、監視されているかもしれない。
危険はないと思うけど、私たちは猟銃を持って来ている。
敵とみなされて襲われないとも限らないので、みんなで集まって行動している。
広い範囲を探すから、少し離れた方が効率はいいと思うけど。
「・・・あと少し探してみようか」
「そうですね」
食事を終えて、少し休憩していた。
おいしいグレープジュースも持って来ていたので、私はそれも飲んだ。
・・・日没までには、トレーラーのある場所まで戻りたい。
次に向かう辺りが、今日は最後になりそう。
どっちに行くか考えている。
人が住むのなら、水が手に入りやすい場所の方がいいと思う。
川沿いは、もう探してみた。
水路を引いたような跡もない。
「・・・・」
リフも森をずっと見てる。
この大陸に住んでいた先住民たちは、入植者に虐殺されていた。
戦った人達も、逃げた人達もいる。
ずっと南まで逃げた人たちもいて、人が歩いて行くのが困難な場所にひっそり暮らしていた様。
ヴァル達がここまで逃げて来たのなら、地形を利用して見つかりにくいように注意していたと思う。
激しい雨で川が増水することもあるだろうから、川の足場も流されることもあっただろう。
まだ、私たちが利用した足場はちょうどいい場所に置いてあった。
近くに住んでいる可能性もある。
隠れて住むなら、洞窟や植物が覆っている様な場所の奥とかかな。
「少し上から撮ってみる?」
「そうだな」
カールさんを見ると、もうレースドローンを出してる。
あまり角度はつけれないけど、ここから真上に飛ばして周りをみることはできる。
150年くらい前なら、空から探されることは考えていないだろうから何か見つかるかも。
「ニャ~」
黒猫もサーモンをたべて、くつろいでる。
ニャッティラはウロウロして、警戒してくれている様。
大きな耳は、動いてる。
「・・・」
耳に指をあてると、動いてこっち見た。
大きなネコ・・・・
ソョョ
ヮヮヮヮ ・・・・・
―― ・・・・