ゆらゆら

2017年07月25日 14時02分15秒 | マーロックの日記

                                                ゥゥゥウウ ―――

                      チャプ

雲の間から光・・・

雨はほぼ止んでいるけど、たまにパラパラ落ちて来る。

見張りを交代して、私は眠った。

日の出が遅いけど日没も遅くて、まだ空にいる。

            ポチャ

荒野は湖になったけど、雨はそれほど長くは降っていなかったし水が引くのも速いかも。

私はマッチョさんと斧さんと一緒に、ボートで水面の上を進んでいる。

小屋の連中が置いて行ったトラックに向かっている。

レースドローンで周囲を撮って、安全は確認した。

でも慎重に行く。

                  チャポン

エンジンは壊れているから、マッチョさんがオールで漕いでいる。

「・・・・」

私も漕ぎたい。

「・・・・」

斧さんの棒は少し長めだけど、この辺りは深くて底には届かない。

場所によっては届く。

かなり浅くなっている場所もある。

水は濁っているけど、少しは見える。

たぶん、下に土嚢の壁がある。

                  ポタン

斧さんが棒で突いた。

棒で深さを確認しながら、慎重に進んでいる。

「・・・水が引いたら、土嚢を運びましょう」

「はい」

バイクはほとんどここに置いてあるし、水が引いても連中がすぐにここには戻ってこれないだろう。

土嚢はいただいて、私たちの壁をさらに立派に出来る。

小屋のやつらがつくった土嚢の壁は、低くて長い。

体を隠すために、常にしゃがんでいる必要があっただろう。

ただ、厚みはそれなりにある。

                        チャプ

オールの動きがとまった。

地面が高くて水面から出ている場所がある。

そこを回り込んだ先に、トラックがある。

高さは4mくらいあって、水面から出てる。

後ろ側がこっちに向いていて、地面の斜面に沿って前方がより水に浸かってる。

荒野に水が流れて来た時に、トラックをこの高台に移動させて連中は避難していた。

おかげで2台ここにある。

調べるのが楽。

もう1台、フルトレーラーがある。

あれはほぼ水面の下。

場所が悪かった。

昨日の私たちの壁を攻撃する小屋のやつらの弾の使いからは、かなり予備があるのだと思われる。

ボートで小屋に帰ったけど、それだけ弾があるなら置いて行っているかもしれない。

マッチョさんは、それを探す気の様。

                     コン

         ボチャ

島にマッチョさんが降りた。

ボートをとめておくために、ペグを打つ様。

ロープはある。

彼のコンバットブーツは、完全な防水性能がある。

だから浅い場所を平気で進む。

私はボートの上で待ってる。

                     パタタタ

「チュン」

小鳥が来た。

森から。

「ァゥ」

「・・・・」

大タープの下にボートを置いていた時に、中によく小鳥がいた。

追ってきたのかな。

「チュン」

オールを持つ。

                  チャプ

少しボートが流れるから、制御する。

                                  ジジ  ・・・

                                          どう?

トランシーバーからマリオットさんの声。

カールさんがドローンを飛ばして、上から撮ってる。

「ァ・・・ァゥ」

                        ジジ

私が返事しないから、斧さんが返事した。

すぐ上の方から撮っているから、説明の必要はなさそうである。

「問題ないよ」

                    ジジ

斧さんから受け取って、返事する。

                                  そう

                                          ――  ジジ

ボートには、座れる板がある。

そこに座ってる。

辺りはそう明るくはないけど、ライトは必要ない。

「・・・・」

太陽がある方を見ると、雲の切れ目が増えてる。

そこから差し込む光は帯の様に幅がある。

いくつもあって、布みたい。

飲み物は持ってきた。

飲もう・・・・

                  ポチャ

                                     チャププ

                                                  ヒュルル  ・・・・

                      チュン