ガサ
ォォォォ ・・・・・
ガタン
フタが閉まった・・・
「・・・」
男の木箱ベッド。
寝袋をどかして、その下の箱に秘密のゴミ袋を隠したのである。
マグネットも。
なんでかな。
「・・・・」
男が僕をみた。
目は光ってないけど、何かを伝えているのだ。
コートじゃなくて、フードのついたのを着てる。
リュックも用意しているから、森に行くみたい。
黒い杖もあるし。
トコ ・・・
そして男は歩き出した。
ト
僕もついて行く。
・・・
動くと点くライトの上に、メジロがいる。
ゴミ袋を隠した場所を、見ていたのだ。
トコ
――― ・・・・
おや。
声。
右、左、左、右と曲がると、冷凍庫。
「いいね・・・まだまだ入る」
「うん・・・だいぶ使ったから」
チーフさんとバレッタさんがいる。
冷凍庫を開けて、中を確認している。
「・・・あんたは移らないの?」
「うん」
「ニャ~」
バタン
閉めた。
横向きで上にフタが開く冷凍庫だから、あんまりつめたい空気が出てこない。
「おいで」
チーフさんがしゃがんで手招きする。
ト ト
チーフさんをだますのは難しいと考えて、秘密のゴミ袋を隠したのかもしれない。
スリ スリ
僕はスリスリしておく。
「元気そうね」
「ニャ~」
トコ
男はそのまま去った。
「箱が多いね」
「うん」
「なんでこんな迷路になってんの」
「マロックさんがつくったの」
「♪」
のどを撫でてくる。
バレッタさんがドアの方をキョロキョロ見てる。
「・・・マロックさんがね、こっそりリンゴとかをたべてるみたい」
そして、コソコソチーフさんに話しかけた。
「ああ・・・それで迷路にしてんの?」
「そうかも」
密談である。
冷凍庫の何かを、つまみ食いかな。
「・・・・」
でも僕は、それを目撃するつもりも責めるつもりもないのだ。
僕らはリンゴをたべているんだから。
―― トン
冷凍庫のフタにのる。
「・・・・」
―― ・・・・
声がして、誰かこっちに来る。
ト
僕は枠台車にのる。
「・・・上手に乗るね」
「うん」
ト
トン
箱から箱に跳ねて移動する。
人よりも速くドアに行ける。
ト
ニャ
コックさんが箱を見てる。
「これじゃ、中身が分からないな・・・」
何か言ってる。
「ニャ~」
「・・・よぅ」
僕に気付いた。
箱を確認しているのだ。
コックさんだから。
チーフさんじゃなくてコックさんに見つかるリスクを回避するために、秘密の袋を隠したのかもしれない。
タ
僕は去る。
「・・・ずいぶん積み上げたな」
とりあえず冷凍のだけ運ぼう
―――
後ろから聞こえる声は、心配ない。
男はすでに袋を隠している。
寝袋をどかしてまでは、調べないはずである。
―― トン
素早い僕は、箱島まで一気に来た。
トコ
男は後ろを振り返らずに、ドアに向かっている。
ギィィ ・・・
開いた。
「ニャ~」
僕も外に出る。
キキ
――
どっかに隠れてたリスが、僕の背中にのった。
―――
ザヮヮヮヮヮ ・・・・・・
・・・外は荷台の中より明るい。
でも、もうお日様が帰る前。
バタン
ジャリ
家トラックの方に行く。
それよりも前、横向きに家トレーラーがいる。
コックさんたちが乗って来たのだ。
トラックと同じくらいの大きさである。
斧さんがいた。
箱テーブルで、斧さんが大きなリュックに何か入れてる。
お弁当かな。
「ニャ~」
鳴く。
「あ、マロックさんも食べますか?」
「?」
「出発前に、少しでもたべておいた方がいいかと思って」
「パン?」
「うん・・・焼きたてですよ」
「たべる」
ジャリ ・・・
ごはんみたい。
でも、ちゃんとした食事ではなく軽食である。
ト
斧さんはフードの付いたコートを着てる。
ずっと前に、ノロマさん達に選んでもらっていたやつである。
トン
僕は大きな肩にのる。
モグ
パンたべてる。
「クゥ♪」
ノロマさんの足元に、チワワがいる。
シッポがゆれて、足にあたってる。
「いただきます」
サク
男も、お皿にのったこんがりパンを食べた。
タマゴとベーコンがのってて、一緒にかじった。
モグ
おいしそう。
「♪」
ノロマさんの手が伸びて、僕を掴んだ。
「・・・」
逃げることは簡単だけど、捕まっておく。
何かくれるかもしれないのだ。
男の杖のグリップには、腕ライトが付いてる。
「・・・・」
パンを食べながら歩いてるリフがいる。
大倒木の横をうろうろしていたみたい。
リュックを背負ってる。
3人で森に行くようである。
マッチョさんたちはたぶん崖の方。
「ニャ~」
マグロを見つけたら、僕のも持って帰って来てね。
「・・・ァゥ」
斧さんは了解した。
ノロマさんは、たぶん家トレーラーの中を見に行くと思う。
僕は中の様子を確認する必要があるのだ。
チワワと・・・・
チュン
モグ
ヮヮヮヮヮ ・・・・・
♪