タオルの位置

2016年10月09日 23時55分52秒 | マーロックの日記

                                          パタン

             トコ

シャワー室のドアを閉める・・・

「♪」

タオルを1枚あげた黒猫も、ゴロゴロ転がりながら自分で拭いてる。

         バサ

後で洗濯するカゴに、私のバスタオルを入れる。

                     トン

部屋には、箱などに入った本や服などが積んである。

次の寄港地は合衆国の街。

この客船はそこで航海を終えて、メンテナンスしに行く。

次の出航は何か月も後で、みんな一度家に帰ることになった。

ノッポさんやシャープさんや、みんな次の航海にも来る予定。

斧さんも、育ててくれた古城のホテルオーナーに会いに帰る。

もう大勢の人の中でも平気だし、レストランでは自分で注文もできるようになった。

また戻ってくるとは言っているけど、一度育った家に帰れば寂しくなって戻って来ないかもしれない。

私も、自分の祖国に戻る。

荷物は、老夫婦が預かってくれる。

大きな家らしく、私のだけではなくてノロマさんとかほかのみんなの荷物も預かってくれる。

エレガントさんだけは、家には戻らずに合衆国でのんびり次の出航を待つらしい。

だからガードさんも戻らない。

リスやメジロ達は、ネコカートと一緒にエレガントさんが世話してくれる。

      ト   ト

                    パチ

黒猫が足をたたいた。

「・・・」

私のバスタオルを銜えて、見上げている。

私はシャワーを浴びた後、体や髪は適当に拭く。

自然に乾くから、いいと思う。

                     パサ

タオルを受け取る。

「ニャ~」

もっとちゃんと拭けと言っているのかな。

                   ――

髪を手で払うと、水粒が飛んだ。

「・・・・」

ちゃんと拭かないのは、子供のころからの習慣である。

                             ポィ

タオルを投げる。

「ニャ~」

          タッ  ――

黒猫が追った。

                                      ザァァァ       ン

空が薄暗い。

もう日没。

明日の朝には、港に着く。

今夜はメインダイニングにみんな集まって、次の出航前の予定を決める。

出航前に集まって、合衆国の観光をする予定になってる。

           ―――

                    

黒猫は、私が投げたタオルで遊んでる。

箱と箱の間。

「行こう」

「?」

            トコ

                      ト

呼んだら来た・・・・

                             ザザァァ    ン

                                                  ―― ゥゥゥ


ヒラヒラ

2016年10月09日 15時20分03秒 | 黒猫のひとりごと

                                              ―――  ゥゥゥ

                            ザザァァ    ン

                クァ

手すりに鳥がいる・・・

船の男の部屋のベランダ。

僕は窓の内側から見ているのだ。

                        ――  トン

男が部屋の掃除をしていて、僕は邪魔しないようにテーブルの上にいるのだ。

荷物をまとめたりしていて、ほこりの掃除を始めたら、本棚の上に行く。

そこにもほこりがあることを、男に教えるのだ。

きっと拭いてくれる。

僕もシッポほうきで手伝えるのだ。

外の景色がゆっくり動く。

街に戻って何日か経って、僕らを乗せた船は港を出た。

雨の日もあったけど、今日はいい天気。

鳥がいるから、陸の近くなのかな。

                               ―――

休んでいた鳥が去った。

窓の外には海しか見えない。

「・・・」

段ボール箱がある。

増えた本とかを整理するんだと思う。

まだ、中には何も入ってない。

                    

床におりる。

僕は掃除の邪魔をするつもりはないけど、ちょっと見に行く。

             カサ

ひげがヒラヒラにあたった。

最初は折りたたまれていたけど、もう立派な箱。

「ニャ~」

僕が先に入ってみるのだ。

                ゴソ

「♪」

うれしい。

中から顔を出す。

「・・・・」

男が僕をみた。

「ニャ~」

頑丈かどうかを、確認しているんだよ。

ヒラヒラに頭をのせる。

もう少し、ここで待ってよう・・・・

                       ガタ  ・・・

            カサ