パタン
トコ
シャワー室のドアを閉める・・・
「♪」
タオルを1枚あげた黒猫も、ゴロゴロ転がりながら自分で拭いてる。
バサ
後で洗濯するカゴに、私のバスタオルを入れる。
トン
部屋には、箱などに入った本や服などが積んである。
次の寄港地は合衆国の街。
この客船はそこで航海を終えて、メンテナンスしに行く。
次の出航は何か月も後で、みんな一度家に帰ることになった。
ノッポさんやシャープさんや、みんな次の航海にも来る予定。
斧さんも、育ててくれた古城のホテルオーナーに会いに帰る。
もう大勢の人の中でも平気だし、レストランでは自分で注文もできるようになった。
また戻ってくるとは言っているけど、一度育った家に帰れば寂しくなって戻って来ないかもしれない。
私も、自分の祖国に戻る。
荷物は、老夫婦が預かってくれる。
大きな家らしく、私のだけではなくてノロマさんとかほかのみんなの荷物も預かってくれる。
エレガントさんだけは、家には戻らずに合衆国でのんびり次の出航を待つらしい。
だからガードさんも戻らない。
リスやメジロ達は、ネコカートと一緒にエレガントさんが世話してくれる。
ト ト
パチ
黒猫が足をたたいた。
「・・・」
私のバスタオルを銜えて、見上げている。
私はシャワーを浴びた後、体や髪は適当に拭く。
自然に乾くから、いいと思う。
パサ
タオルを受け取る。
「ニャ~」
もっとちゃんと拭けと言っているのかな。
――
髪を手で払うと、水粒が飛んだ。
「・・・・」
ちゃんと拭かないのは、子供のころからの習慣である。
ポィ
タオルを投げる。
「ニャ~」
タッ ――
黒猫が追った。
ザァァァ ン
空が薄暗い。
もう日没。
明日の朝には、港に着く。
今夜はメインダイニングにみんな集まって、次の出航前の予定を決める。
出航前に集まって、合衆国の観光をする予定になってる。
―――
♪
黒猫は、私が投げたタオルで遊んでる。
箱と箱の間。
「行こう」
「?」
トコ
ト
呼んだら来た・・・・
ザザァァ ン
―― ゥゥゥ