馬糞風リターンズ

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「1秒もムダに生きない」てどんな人?

2011年11月19日 | ぼやき
駅にある本屋を覗いてみました。
「1秒もムダに生きない 時間の上手な使い方」著者: 岩田健太郎 (光文社新書) と云う何とも窮屈な生き方をする人がいるもんだと思いました。
本来なら絶対に手に取らない部類のモノですが、週刊誌の書評で取り上げられていたのでどんな事が書いてあるのかパラパラとページを繰ってみました。
タイトルからビジネス書によくある自己啓発のHow toモノと決めつけていましたが中々興味のある事が書かれていました。

 著者の岩田健太郎は感染症の専門医だそうですが、啓蒙書を多く執筆している事でも有名な先生だそうです。
(「患者様」が医療を壊す)が評判になった様な記憶があります。

「1秒も・・」で矢張り専門家だと納得した内容が2点ありました。
「1.未来予測は簡単ではない。2.過去の出来事は未来に完全には応用可能とは限らない。3.一意的に「正しい」普遍的な方法論は存在しない。」

「実験の世界は、他の条件をすべて排除した、極めて非現実的な世界です。そこには雑音がありません。だから分かりやすいデータが見つかり、論文も書きやすいのです。ところが、リアルな世界は、他の条件が充ち満ちた世界なのです。「非現実的な」世界で作られたデータを、リアルな現実世界には簡単に応用できないのです。」

 微生物感染症の研究で学んだ事として書かれていますが、他の場面でも拳拳服膺すべき含蓄ある内容に思えました。
生物進化論で「ブリコラージュ」と云う考え方があります。
「進化はあらかじめ作られた設計図に基づきゼロから行われるエンジニアリングではなく、既にある系統に対して用途の変更や追加を行うブリコラージュであると述べ、構造の多様さも問題解決を求めて多様なブリコラージュが起こった結果であると考えている。」と云うことらしいのですが、この考えは生物学に止まらず芸術・音楽、社会哲学、最近では情報、インターネットなどの分野にも導入されているそうです。

 「1秒もムダに生きない 時間の上手な使い方」と云うタイトルが刺激的で敬遠してしまいそうになりましたが、タイトルに反して一番上手い時間の使い方は、自分のやりたい事を先ずやる、という結論のようです。
そして、自分のやりたい事は無意識ながら「ブリコラージュ」だと云う事かも知れません。
ただ、あまりにもモーレツ社員向けのビジネス書のイメージが強かったので買うのはやめました。

コメント
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