馬糞風リターンズ

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倉吉にあった淀屋

2018年07月14日 | 歴史
北大阪地震や連日の梅雨末期の大雨による西日本広域の大水害。可也のストレスが溜まっています。そこで、当ブログのストレス解消法はドライブ。と云うことで久しぶりに片道250km、往復500kmの日帰りドライブに出ました。約2年弱前、2016年10月21日、鳥取県倉吉市付近を震源の震度6弱の地震がありました。当ブログはちょうどその次の日に倉吉に行くつもりをしていましたが断念した経緯があります。そこで思い切って今日は倉吉にと勇んで出かけました。
倉吉の豪商牧田家・倉吉で最も古い町屋建築(倉吉淀屋)

実は江戸時代初期の豪商「淀屋」について調べているのですが「淀屋」についての記録は極端に少ないので研究もなかなか進んでいないそうで、分からない事や謎めいたことが沢山あります。淀屋と云えば今もなお水の都・大阪土佐堀に架かる橋にその名を残し、地名にもなっています。淀屋橋は過去に何度か架け替えましたが、その名前は淀屋橋として300年以上継承されています。「淀屋が架けた橋」→「淀屋の橋」→「淀屋橋」となったそうです。淀屋橋を架けたのは2代目・言當(辰五郎)の頃と思われます。当時の記録には「家富み、繁盛して、自分の家の前に橋をかけ淀屋橋と名づけ、48戸前のいろは蔵を所有し、あらゆる宝を買い集め、長者号を受けた」とあります。またその豪華で贅沢な生活ぶりは「屋敷を百間四方に構え、家作の美麗さは比べるものはない。大書院、小書院はすべて金張り、金襖、庭には泉水立橋、唐大和の樹木を植え、夏屋敷と称してびいどろの障子を立て、天井も同じびいどろに張り詰め、清水を湛えて金魚を放っている」「びいどろ」とはガラスのことで、板ガラスの製造に世界で初めてフランス・パリの工房が成功して間もないころです。勿論、ガラス張りの天井は淀屋の屋敷が世界で初めてのものです(元禄元年?)。大阪市立図書館郷土資料室には「日本経済史資料 第一六部 雑 第三 淀屋闕所覚」という古文書のコピーがあります。


この史料を全文コピーするには大阪市立大学の許可が必要です。その財産目録に「びいどろ障子 四十八枚」とあります。恐らくこのびいどろ障子が天井に張られたガラス障子と思われます。
 史上有名な「淀屋闕所」は五代当主・広當(辰五郎)の時、宝永二年(1705)のことです。淀屋闕所の理由については資料が少なくその実情はよく分かっていません。その為、研究者の間でもその理由は小説的であると言われています。近松門左衛門の浄瑠璃「淀鯉出世滝徳」•井原西鶴「日本永代蔵」など当時の文芸に登場して人気を博したそうで、その脚色した物語がリアリティーをもって現在に語り継がれているのが現状です。
江戸の材木商で天下の豪商と云われた「奈良屋」の五代目・茂左衛門、通称・奈良茂が残した総資産の記録があります。有金・貸金・不動産すべて合わせて十二万両と云われています。所が淀屋の残した資産は信じられない程の巨額なものです。有金だけでも奈良茂の総資産の十二万両。銀八万貫余、その他に金銀・玉・珊瑚をはじめ書画、・・・それに先程のびいどろ障子、・・・。亦、諸大名への貸金は約一億貫、その他全国各地に不動産を所有しており、屋敷一〇八ケ所のうち一町四方の屋敷が一二ケ所、田地も京都・八幡だけでも二百石、・・・と淀屋の富の大きさは空前絶後です。

この内、幕府公儀・諸大名への貸し付けを現在の貨幣価値に換算すると幕府・公儀へ四八〇億円、諸大名へ一〇〇兆円との試算もあります。
 淀屋五代当主の時に闕所となります。しかし、四代目当主重當は幕府の動向を察知していたのか番頭・右衛門を倉吉に派遣し牧田淀屋(倉吉淀屋)を設立しました。牧田淀屋は右衛門から八代まで主家に忠誠をつくし倉吉淀屋五代当主の時には四男を淀屋清兵衛として大坂淀屋橋の元の場所に「淀屋」の暖簾を挙げよどやを再興します。倉吉、大坂両淀屋とも商いは順調でかなりの蓄財をしたようです。所が、安政5年(1858年)安政の大獄の年、倉吉・大坂の両淀屋は突然店を閉めます。両淀屋の財産の殆どを朝廷に献上し、その後の動向は全く不明のままです。淀屋閉店後八年目に徳川幕府は崩壊し日本は王政復古となります。
 淀屋研究会(ヨドケン)という会があります。倉吉市では「倉吉淀屋」を観光資源として町おこしをしています。徳川幕府により理不尽な闕所で取り潰された淀屋が、密かに倉吉に店を構え、そして主家を大坂に再興し、そして恨み骨髄の徳川を倒すため雌伏する事160年、倒幕のため全私財を朝廷に献じて恨みを晴らした、・・・と言うストーリーでNHK大河ドラマを誘致する運動が活発に行われています。

※この項、当ブログ2018年10月26日「倉吉に激震。倉吉にあった淀屋」を改編しました。
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