馬糞風リターンズ

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「ショウブ」地名考(4)「アヤメ」地名

2022年08月10日 | 地名・地誌

「菖蒲」表記の地名は、フリガナが無いと「ショウブ」と読んでしまいます。しかし、「菖蒲」を「アヤメ」と読む地名が沢山あります。地名辞典などを詳しく調べてみると「菖蒲」を全て「ショウブ」と分類しているものが結構ありました。しかし、ここに調べ直すとその中には「アヤメ」と読むところが結構ありました。

「ショウブ」地名は、当ブログ「ショウブ地名考」(1)~(3)で検証したように植物地名よりも地形地名、即ち、細流・清水の古語「ショウズ」に由来するとするのが地名学会の大方の見解のようです。

 ショウズ⇒ショウブに転訛し、漢字で菖蒲・塩生・勝風・正夫・庄府・庄布・小分・正部・勝負などと表記されたとされます。

一方、「アヤメ」地名はその語源となる由来は、植物の「アヤメ」以外無いようです。明らかに「アヤメ」地名の由来は植物の「アヤメ」と言うことです。

あやめ池(奈良市)

1925年(大正14年)大阪電気軌道(近畿日本鉄道の前身)が奈良県生駒郡伏見村大字菅原に遊園地を建設することを決定し、同年9月から工事に着工し、1926年(大正15年)6月に周遊道路・花菖蒲園・演芸場・小運動場などが完成した。この地に灌漑用の溜池があり、その堤にアヤメが美しく咲くことに由来してあやめ池と呼ばれていたことから「あやめ池遊園地」と名付けられた。

渓蓀原(あやめばる)(宮崎県都城市早水町)

東西八町、南北二町ほどの平坦な原野で土地が湿潤で古来から天然の渓蓀(アヤメ)のみが自生していたので渓蓀原と云う。(三国名所図会)

四・五月に咲くアヤメの色は常種より濃くてきれいで、他の地に植えても1年後には色が淡く変化して別種となるので庄内渓蓀と称された。早水池は噴泉でより滾々と噴出して涸れるときがない。旱乾の年には近隣村の人々の雩祭が絶えなかった。(日本歴史地名体系46宮崎県の地名ほか)

※:雩→あまひき(雨乞い)

綾目村(広島県御調郡御調町綾目)

御調川の支流山田川に注ぐ綾目川は当村北西の谷から流れ、流域に標高190~250mの台地を形成、古墳群がある。いずれも古墳後期の円墳。

地名由来の記述なし(日本歴史地名体系35広島県の地名)

菖蒲・菖蒲新田(アヤメ・アヤメシンデン)・菖蒲浜(アヤメハマ)(滋賀県野洲市中主町菖蒲)

 

明治22年(1889)町村制度により野洲郡中里村、兵主村が成立。昭和30年(1955)両村が合併し中主町となる。同32年(1957)中主村(一部守山市)の内吉川、菖蒲、喜合の三大字を編入し現町域が確立。

吉川村北方に開発された菖蒲新田は野洲川と家棟川の間の湖岸にありアヤメの繁茂する浜であったから菖蒲=アヤメ新田と名付けた。(日本歴史地名体系25滋賀県の地名)

菖蒲浜(アヤメハマ)は白砂青松の景勝地、水泳場に適し琵琶湖マイアミと呼ばれる。野洲川北湖岸、浜は低い砂丘地があり、防風林の松林が茂り「ハマゴウ」の群落がある。(日本地名大事典 3 近畿 朝倉書店)

※ハマゴウ:葉を線香の原料にしたことから「浜香」の名が生まれ、これが転訛してハマゴウになったといれる 。(Wikipedia)

あやめ浜(和歌山県湯浅町)

和歌山県有田郡湯浅町栖原(すはら)の海岸の北部一帯を指す。もともと低湿地が多くアヤメの群生地であったことから「あやめの里」と呼ばれた。(角川日本地名大辞典 30 和歌山県)

あやめ小路(京都市)

平安期に見える通りの名。菖蒲の咲く地帯を通っていたかとに由来する。(角川日本地名大辞典 26 京都府)

菖蒲町(埼玉県久喜市菖蒲町)※今日ではショウブ町と音読みしているが近世まではアヤメと読んでいた

鎌倉時代に菖蒲荘があり康正2年(1456)古河公方の臣・金田氏が菖蒲城を築く。けだし当地はがおよび沼沢地が多く、むかしは菖蒲類がよく茂っていたであろう。

江戸時代は脇往還の要地で宮宿とも称し、人馬の継立を行い2,7日の市も立った。その中心の街並みをアヤメ=菖蒲町とした。それが一般には菖蒲(ショウブ)と音読された。正式には明治10年(1877)まで戸ケ崎村と称しこの年菖蒲町と改称された。(日本地名大事典 5 関東 朝倉書店)

※戸ケ崎村菖蒲(下総国葛飾郡戸ケ崎郷)

江戸期~明治10年の村名。村内は上戸ケ崎、下戸ケ崎の2地区にわかれ、上戸ケ崎は町場化し菖蒲町と通称され「アヤメ」と読まれた。(角川日本地名大辞典 11 埼玉県)上尾市HP,喜久市HP参考。

菖蒲平(アヤメダイラ)(群馬県尾瀬ヶ原)

群馬県北西部尾瀬ヶ原の南方にある標高1920m内外の高原状の湿地。大小の池塘(ちとう)をもつこの湿原は山頂部に発達したものであるが泥炭層は薄く発達の経過についてはまだ知られていない。

「あやめ平」と呼ばれるがアヤメ・カキツバタの類ここには無いく地名の由来ははっきりしない。湿原上の植物はミズゴケ・タテヤマリンドウ・モウセンゴケ・キンコウカ・トキソウ・ツルコケなどがある。

 

 

 

 

 

 

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