馬糞風リターンズ

世ノ中ハ何ノヘチマトオモヘドモタダブラリト下ツテモオラレズ

「延喜式内社・保久良神社」・・・・・倭国大乱。

2019年02月18日 | 歴史
保久良神社社頭、可なり急な参道を上り切った崖際に石燈籠があります。「灘の一つ火」と呼ばれる謂わば灯台です。遠い昔から神火として地元住民(麓の北畑村の天王講の人々)がこの神火を守り続けたそうです。現在は電燈になっているそうです。
沖の舟人たよりに思ふ 灘の一ツ火ありがたや (江戸古謡)

現在の石灯籠には文政八年(1825)の銘が刻まれています。文政八年は「異国船討払令」が布告された年で、何らかの関係があったものと考えられます。阪神淡路大震災ではこの燈籠も石鳥居も崩れ落ちる被害にあったそうです。
● 狼煙通信。
  江戸時代中期から明治期にかけて、米相場などの情報を伝えるために旗などを用いた通信が行われていました。電信や電報が無かった時代では超高速の光通信システムだったようです。この「旗振り通信」は何度か再現実験が行われました。データーによると「大阪~和歌山」まで3分、「大阪~京都」まで4分、「大阪~大津」まで5分、「大阪~神戸まで」3分~7分、「大阪~桑名」まで10分、・・・・「大阪~江戸」まで(箱根を超える際に飛脚を用いて)1時間40分前後であった。当時の最速の通信手段「早飛脚」でも大阪~江戸間は、夜通し走り継いても3日掛かりました。「旗振り通信」では「旗の色」「旗を振る位置・回数・順序」など細かい規定があり、伝える情報量も複雑なものであったようです。しかし、このシステムの原型は、古代に行われていた「狼煙」です。
 古代から瀬戸内沿岸の高台には点々とこの様な「狼煙台」が設置されていたようです。そして古代人が伝えたかった最大の情報は「敵の来襲」です。
敵が来襲すれば、高台の見張り番は狼煙を上げ海岸縁の村人を高台に設けた避難所の役割を果たす集落に移動させます。

● 倭国大乱と高地性集落
 「「其國本亦以男子爲王住七八十年 倭國亂 相攻伐歴年 乃共立一女子爲王 名曰卑彌呼 事鬼道 能惑衆 年已長大 無夫婿」(其の国もまた元々男子を王として70 - 80年を経ていた。倭国は乱れ、何年も攻め合った。そこで、一人の女子を共に王に立てた。名は卑弥呼という。鬼道を用いてよく衆を惑わした。成人となっていたが、夫は無かった。)卑弥呼の時代の列島の様子を伝えた魏志倭人伝(正式には「三国志」中の「魏書」第三〇巻烏丸鮮卑東夷伝倭人条)です。弥生時代後期の2世紀後半、倭国では大規模な内戦状態であったようです。それを裏付けるような遺跡が各地で発掘されています。豊中市勝部遺跡はこの時期のものですが、この遺跡からは石鏃や石槍が突き刺さったままの人骨が出土しており、当時(弥生時代)この周辺で大きな争乱があったとされています。
弥生時代、外敵から村を守るために環濠集落がつくられました。ところが瀬戸内沿岸、大阪湾沿岸に環濠集落とは趣を異にした高地性集落がつくられます。環濠集落は水田を中心に形成されますが、高地性集落は山地の頂上・斜面・丘陵と日常生活には適さない場所にあります。これは「逃げ城」や「狼煙台」などの軍事目的の集落であったと考えられます。
● 会下山遺跡
  月曜ハイキング、今回天気が良ければ芦屋川駅からロックガーデン経由で保久良神社⇒岡本駅を歩くはずでした。会下山遺跡はこの芦屋川駅からすぐのところにあります。保久良神社とは六甲山系の別の支脈、と言っても僅か1駅しか離れていない位置にあります。会下山遺跡は弥生時代の高地性集落の重要な遺跡です。保久良神社は祭祀遺跡は検出されていますが住居跡などの遺跡は出ていません。が、保久良神社が位置する金鳥山(425m)山頂からは建物跡の遺跡が出ています。即ち、会下山と保久良神社は弥生時代の同族氏が設営した高地性集落遺跡と考えられます。

●  神武天皇東征神話と椎根津彦
   日本書紀によると神武天皇が東征の折、速吸門(明石海峡)に差し掛かった時、東征軍の航路案内をしたのがこの地方の「国つ神」(在地豪族)珍彦(うづひこ)後の椎根津彦です。神武東征であろうが倭国大乱であろうがこの地域が戦乱に巻き困れたのは確かで、高地性集落のような軍事施設は大いに活用されたはずでう。緊張の中で狼煙があげられ篝火が焚かれたであろう。やがて国家が統一され平穏な訪れると生活には適さない耕地整数楽は放棄されます。ただ記憶として航路の安全の目明日として神火を焚き続けると言う風習が残ったのでしょう。それが「灘の一ツ火」なのです。ですから保久良神社の祭神は椎根津彦命で無ければならないのです。保久良神社の南側(浜側)に東灘区青木(おおぎ)と云う地名があります。このオオギ(青木)地名の由来には椎根津彦命の伝承によるのも論拠になります。
(河内・摂津・和泉の分国については又の機会に・・。)




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