
中国の歴史認識とどう向き合うか(3)
本稿は本年3月に「戦後70年の歴史認識をめぐって」と題して数回にわたって掲載したものです。
全4回にわけて再掲載しています。(本日は第三回目)。
(続き)
国策としての歴史戦にのぞむ中国
2月23日の国連安全保障理事会の討論会合(※1)で、中国の王毅外相は「(第2次大戦について)いまだに真実を認めたがらず、侵略の犯罪をごまかそうとする者がいる」と語っています。直接の名指しを避けていますが、これは日本を念頭に置いているのは明らかです。
※1 これに対して日本は、吉川元偉国連大使が「日本は戦後、大戦の深い反省に立ち、平和国家としての道を歩んできた」と強調した。その姿勢は「日本人の誇りであり、決して変わらない」とも言明した。菅義偉官房長官は2月24日の記者会見で「国益を懸けてしのぎを削る場面だ。日本として主張すべき点は、主張していく」と強調した。
また、5月には対ドイツ、9月には対日戦勝記念日に合わせ、習近平国家主席とプーチン大統領が、モスクワと北京を相互訪問することになっています。9月の式典については、共産党の機関紙『人民日報』で「パレードで中国の軍事力を示し、日本を震え上がらせる」と報じています。また12月13日を南京事件の「国家哀悼日」として、大規模な反日キャンペーンを展開する予定のようです。
今年の春から1年間は、歴史認識問題の言及が吹き荒れそうです。すでに、NHKのニュース番組の中でも歪んだ見解が出始めているようです。中国や韓国が声高に主張を展開し始めると、一部の新聞、歴史学者、政治家が便乗して、積極的に彼らをバックアップすると思われます。この影響で、真実の声はかき消されがちになり、国内では悲観論が漂い始めるかもしれません。
その時、私たちは、冷静に一つ一つの歴史的真実を伝えていくべきです。歴史的事実を検証したとき、必ずしも日本が全て正しいわけではないはずです。評価すべきは評価し、反省すべきは素直に反省しながら、「真実の歴史」に向き合わねばなりません。
遠回りかも知れませんが、それが問題を解決する王道であろうと思います。
中国の歴史認識の中には朝日新聞発のものがある
中国の狙いは、日本人を動揺させ、贖罪意識を植え付けるためです。これまでは、中国が日本攻撃をすれば、マスコミなどが率先して騒ぎ立てた歴史があります。日本で騒ぎが大きくなれば、中国の作戦に日本人が見事にはまったということになります。軽率なマスコミの行動が中国を増長させてしまったと言えます。
しかし、日本で騒ぎにならなければ、中国の思惑ははずれます。日本人が動揺しなければ中国は日本を揺さぶることはできないのです。
ただし、ここで重要な問題に気がつかなければなりません。現在、中国が日本に対して突きつける歴史認識問題の多くは、実は日本側から発せられたものであるということです。中国が声を大にして叫ぶ「南京大虐殺(※2)」も、「靖国神社(※3)」問題も、さらには、韓国の主張する「従軍慰安婦」もすべては日本のマスコミ、それも朝日新聞がその発端となっているという問題です。
※2 1971年か8月から掲載された朝日新聞本多勝一記者の「中国の旅」は、毎回、残虐で非人道的な日本軍が語られたものである。取材源は中国政府によってあらかじめ用意されていた。この記述は教科書にも採用され、後に「南京大虐殺」という虚構の物語の原典となった。
※3 1985年、朝日新聞加藤千洋記者(現同志社代教授)が、「中国『日本的愛国心を問題視』」という記事を書いて当時の中曽根首相の靖国神社参拝問題に火をつけた。それまで、中国は靖国神社参拝については何も問題視していなかったが、これを契機に中国の外交カード化された。
朝日新聞は最初から積極的に中国に肩入れしていました。かれらには、社会主義の中国とイデオロギーを共有する仲間として扱っていたからです。
その代表例が、文化大革命の最中殆どのマスコミが中国から追放される中で、朝日新聞だけが北京支局をおいていたことでしょう。「中国の嫌がる報道はするな」という広岡社長の命を忠実に実行し文化大革命礼賛を報道し続けました。また、現在でも、朝日新聞は中国共産党機関紙『人民日報』と「友好覚書」を交わしていますので、朝日新聞に掲載された記事は、すぐに人民日報にも取り上げられています。
このような行動が、どれほど日本の国益を損なってきたのかということをしっかりと認識せねばなりません。
(続く)
お問い合わせ先 akaminekaz@gmail.com
FBは https://www.facebook.com/akaminekaz です