行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

インドネシアでの恥ずかしい日系企業

2009-12-04 23:12:21 | Weblog
日本ではCSR(企業の社会的責任)について「企業は社会的存在として、最低限の法令遵守や利益貢献といった責任を果たすだけではなく、市民や地域、社会の顕在的・潜在的な要請に応え、より高次の社会貢献や配慮、情報公開や対話を自主的に行うべきであるという考えのことをいう」(情報マネジメント事典)というのが常識的なというか一般的な解釈となっている。企業もかっこよく環境対策を全面に出している。

はっきり言って上滑りになっている。大原則は人権の尊重であり、従業員の労働基本権を守ることから始まる。それも守らなくては社会貢献や環境対策を謳ってもそれ自体も信用しがたい。昨年からの派遣切りに始まる非正規社員に対する扱いは名門と言われた大企業でもCSRを果たせなかったということだ。
先日、インドネシア労働組合総連合の幹部から労働事情について聞く機会があったが、日系企業の労働基本権無視だけでなく賃金も払わずに夜逃げ同然でいなくなった日本人経営者の話を聞いて、とても恥ずかしかった。

最近の経営者や学者の一部に製造業への派遣労働を禁止したら海外に工場が移るといった脅かしに近い議論をする人がいるが、こういう経営者が海外で労働者を簡単に解雇したり、組合結成に妨害をするのではないか。インドネシアの労働法は日本と比較しても退職に対し厳しいし、最低賃金制度もある。

インドネシアの日系企業の紛争では解雇に伴う退職金、補償金を法通りに払わないことで起きるケースが多い。組合を結成したと言って簡単に指導者を解雇して長期紛争になる例も多い。悪質な例としては8月以来賃金を払わないで経営者が帰国した例で、80名の従業員は生活にも困っている。何とか日本にいる経営者に連絡を取って交渉をしたいとその組合幹部は言っていた。
いずれも人を雇って企業を経営する以上、人権及び労働基本権を先ず尊重して欲しいし、それができないなら会社をたたむべし。
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