ボツネタ経由の記事。
http://www.asahi.com/life/update/1109/005.html?ref=rss
熊本の慈恵病院が、様々な事情により子育てができない親が乳児を託す「赤ちゃん引き取りポスト」の導入を決めたそうです。年内にも受付を始め、引き取られた子供の多くは乳児院に預けるそうですが、里親による特別養子縁組制度の活用も目指すとのことです。
たしか、古代ローマにも同様の制度があったと聞いたことがありますが、社会の風潮として子育ての意欲が減退してしまうと、自然とこのような制度が必要になってしまうのかもしれません。
このような制度は子捨てを助長するとして反対する人もいるかもしれませんが、育てられない子供を殺して遺体を隠していたなどという事件が近年多発していることを考えると、このような制度の必要性は否定できないように思います。
ところで、この記事による方式だと、親は自分の身元を明らかにせずに子供を託してしまうことが可能になりますが、そうすると法律上父母は不明ということになります。それでも日本国籍は取れますが、もし外国人夫婦が子供に日本国籍を取得させるためにこの制度を悪用したらどうするのかという疑念は残ります。
また、預けられた子の養育については、孤児院のようなところで育てられるよりは、特別養子縁組により里親の元で養育される方が望ましいと思われますが、特別要旨縁組には、原則として養子となる子の実父母の同意が必要であり、父母が不明の場合にはどうするのかという問題があります。この場合には「実父母がその意思を表示することが出来ないとき」にあたると解釈できればよいですが、必ずしもそのように解釈できるとは限らず、解釈上の疑義が残ります。かといって、実父母が名乗り出た場合でなければ特別養子縁組はできないというのも、おかしな話でしょう。
仮に実父母が名乗り出た場合でも、預けられた子供のうち誰がその人の子か分からないという事態が生じたり、虚偽の名乗り出をする親が出てこないとは限りません。外国の事案では、一人の子供に十数人以上が親として名乗り出てきたというケースも実際にあるようですから。
「赤ちゃん引き取りポスト」のような制度を作ること自体には反対しませんが、このような制度を公認するにあたっては、運営者の義務なども含めた法制度の整備が必要になるのではないかと思われます。
しかし、この記事にある厚生労働省広報室のコメントは、「制度的に前例がないため、どの課の担当業務なのかわからない。コメントできない。」というものだったそうですが、なんというお役所仕事っぷりかと呆れてしまいます。
厚生労働省の所掌事務の中では、設置法第4条第75号の「児童の保育及び養護並びに虐待の防止に関すること」が一番近いと思われますが、担当部署の候補としては雇用均等・児童家庭局の家庭福祉課(児童の養護その他児童の保護に関することが所掌事務に入っている)、保育課(児童の保育に関することが所掌事務に入っている)のどちらかが有力でしょうが、役所は前例もなく権益にもつながりそうにないことを一般的にやりたがらないでしょうから、消極的権限争議が発生してしまいそうな気がしてなりません。
http://www.asahi.com/life/update/1109/005.html?ref=rss
熊本の慈恵病院が、様々な事情により子育てができない親が乳児を託す「赤ちゃん引き取りポスト」の導入を決めたそうです。年内にも受付を始め、引き取られた子供の多くは乳児院に預けるそうですが、里親による特別養子縁組制度の活用も目指すとのことです。
たしか、古代ローマにも同様の制度があったと聞いたことがありますが、社会の風潮として子育ての意欲が減退してしまうと、自然とこのような制度が必要になってしまうのかもしれません。
このような制度は子捨てを助長するとして反対する人もいるかもしれませんが、育てられない子供を殺して遺体を隠していたなどという事件が近年多発していることを考えると、このような制度の必要性は否定できないように思います。
ところで、この記事による方式だと、親は自分の身元を明らかにせずに子供を託してしまうことが可能になりますが、そうすると法律上父母は不明ということになります。それでも日本国籍は取れますが、もし外国人夫婦が子供に日本国籍を取得させるためにこの制度を悪用したらどうするのかという疑念は残ります。
また、預けられた子の養育については、孤児院のようなところで育てられるよりは、特別養子縁組により里親の元で養育される方が望ましいと思われますが、特別要旨縁組には、原則として養子となる子の実父母の同意が必要であり、父母が不明の場合にはどうするのかという問題があります。この場合には「実父母がその意思を表示することが出来ないとき」にあたると解釈できればよいですが、必ずしもそのように解釈できるとは限らず、解釈上の疑義が残ります。かといって、実父母が名乗り出た場合でなければ特別養子縁組はできないというのも、おかしな話でしょう。
仮に実父母が名乗り出た場合でも、預けられた子供のうち誰がその人の子か分からないという事態が生じたり、虚偽の名乗り出をする親が出てこないとは限りません。外国の事案では、一人の子供に十数人以上が親として名乗り出てきたというケースも実際にあるようですから。
「赤ちゃん引き取りポスト」のような制度を作ること自体には反対しませんが、このような制度を公認するにあたっては、運営者の義務なども含めた法制度の整備が必要になるのではないかと思われます。
しかし、この記事にある厚生労働省広報室のコメントは、「制度的に前例がないため、どの課の担当業務なのかわからない。コメントできない。」というものだったそうですが、なんというお役所仕事っぷりかと呆れてしまいます。
厚生労働省の所掌事務の中では、設置法第4条第75号の「児童の保育及び養護並びに虐待の防止に関すること」が一番近いと思われますが、担当部署の候補としては雇用均等・児童家庭局の家庭福祉課(児童の養護その他児童の保護に関することが所掌事務に入っている)、保育課(児童の保育に関することが所掌事務に入っている)のどちらかが有力でしょうが、役所は前例もなく権益にもつながりそうにないことを一般的にやりたがらないでしょうから、消極的権限争議が発生してしまいそうな気がしてなりません。
こういう格言がありますですよ。はい。
「地獄、極楽はこの世にあるよ。それはにゃあ、みんな自分がつくっとる 。」蟹江ぎん
合掌。
実の子を捨てることになるのは、おそらく将来の子育ても考えず単に性欲のおもむくままに子供を作ってしまった結果というのが最も多いでしょう。世の中は、おそらく東西南北さんの考えているほど理性的な人ばかりではないです。引き取りポストの問題は、そういった無責任な人をどう処罰するかという問題ではなく、実際に生まれた子供を「簡単に殺されてダンボール箱やロッカーの中に捨てられる」ような事態からどう救い出すかという問題であると思います。
読者が誤解しかねないので、コメントします。嬰児殺は激減しています。実際、昭和29年(1954年)1月31日付の産業経済新聞 大阪版によれば、大阪南区の映画館で、嬰児の他殺死体が発見されていますし、昭和31年(1956年)11月15日付の産業経済新聞 大阪版によれば、急行の三等洗面所の くず入れに 乳児死体が捨てられていました。詳細は、私が書いた下記ブログ記事参照。
http://supplementary.at.webry.info/200706/article_2.html