黒猫のつぶやき

法科大学院問題やその他の法律問題,資格,時事問題などについて日々つぶやいています。かなりの辛口ブログです。

「父親」ならきちんと止めようよ・・・。

2013-08-09 19:24:08 | 法科大学院関係
 「社会に何を訴えたいのかまるで分からない」「誰が読むんだ」と大評判の日弁連会長ブログに,どうでもいいけどちょっと印象的な話が載っていましたので,御紹介します。

http://jfba.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/post-0bc6.html

 この記事を書いているのは福原哲晃副会長(大阪弁護士会所属)ですが,福原副会長には自分の息子と言ってもよいくらい親密にお付き合いしている,トルコ人のファーティ君という青年がおり,そのファーティ君が最近ご結婚されたそうです。
 それ自体は別にどうでもいいのですが,そのファーティ君が日本の弁護士を目指して挫折したという話が,とても印象的でした。以下,黒い太字が記事の引用部分,それ以外が黒猫のコメントです。

「法学部を卒業した彼は、某国立大学大学院に進み、その後、突然、日本の司法試験にチャレンジしたいと言い出したのです。日本の弁護士資格を取って、トルコとの交流に役に立ちたいというのです。動機において私の影響もあったとは思いますが、日本の司法試験は、外国人には日本人以上にハードルが高く、とても頑張れとはいえません。」

 単にハードルが高いだけではなく,合格しても大半はろくなことにならないですからね。とても「頑張れ」なんて言えない状況にあることは,日弁連の副会長さんでも自覚しているんですね。

「しかし、ロースクールで学べば7~8割は合格する、と彼は信じたのです。」
 えええええええええええええっっっっっっっ!!!???
 日本の大学教授は,外国人留学生にまでそんなウソを言いふらしているんですか!? しかも,そんなとんでもないウソを信じ込ませてしまったんですか!? これはもう十分国際問題ですよ!

「色々と「父子の会話」をしましたが、彼の信念は変わらず、」
 どんな「父子の会話」をしたのか,とても気になるところです。きちんと「日本のロースクールは詐欺だ」と教えてあげたのでしょうか。

「1年間、私の事務所に籍を置いて、傍ら予備校に通い、関西の某私大ロースクールに入学しました。トルコからの留学生としては初めての出来事であったと思います。」
 関西の某私大というと,おそらく関関同立あたりではないかと思いますが,今時そんなロースクールに入学して法曹を目指すというのはちょっとねえ・・・。
<参考データ>
・関西大学法科大学院
平成25年度入学者28人(入学定員100人) 平成24年度司法試験合格率12.0%
・関西学院大学法科大学院
平成25年度入学者34人(入学定員100人) 平成24年度司法試験合格率14.5%
・同志社大学法科大学院
平成25年度入学者40人(入学定員120人) 平成24年度司法試験合格率19.2%
・立命館大学法科大学院
平成25年度入学者57人(入学定員130人) 平成24年度司法試験合格率18.2%

「しかし、それからが彼にとって苦難の始まりで、彼の日本語力をもってしても、実務レベルで日本の法律を理解することは実に大変だったようです。たまに誘って栄養をつけさせたり、近況を聞いたりしておりましたが、次第に勉強の話には触れなくなり、遂に10か月足らずで断念するに至りました。」
 日本の法律を理解するのが難しいというのもあるとは思いますが,恐るべきロースクールの現実を知ってやる気をなくしてしまったのではないですか?

「彼の挫折は、応援した私にとってもまことに残念な出来事でしたが、それだけ、外国人にとって日本の弁護士資格を取得することの難しさを教えてもらったような気がします。」
 日本の弁護士資格を取得することは非常に難しいです。司法試験もありますが,高いお金を払って無駄の多いロースクールの講義に耐えるのは,外国人にはその必要性を到底理解できない苦痛でしょう。

 なお,記事によるとファーティ君は,その後トルコ航空に就職し嫁さんをもらったようですが,これはロースクールのおかげではなく,もともと語学力があったからでしょう。
 ロースクール入学者の多くは,このような就職先にも恵まれず,貧困の中で社会の片隅にひっそりと消えていくことになります。このように意味のない苦難を味わいたくなければ,間違ってもロースクールには近づかないことです。



1 コメント

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権威に従うこと=素直、ではない (カイ・ジョージアン)
2013-08-10 11:17:57
おかしいと思うことををおかしいと声を上げることが素直なのであって、権力者だから、偉い人だから従うというのは単に迎合するだけであって、自分の信念に従っていない以上、少なくとも自分の心に素直とはいえないのです。
 日本のロー生の多くも「ロー制度の矛盾、教授の不正、不当」に対して黙認し、それが美徳だと勘違いしています。
 法科大学院制度など、普通の感覚を持つ一般人に説明したら、「自分の身内に志願者がいたら絶対止める」と言いますよ。
 7、8割合格のふれこみも嘘、多額の学費の上にさらに予備校投資、学校の講義はない方がよっぽどまし、
これに下位校だと受験資格はく奪可能性のイエローカード付きですから、あいた口がふさがりません。
 日本人は、権利意識が希薄で本当におとなしいですよね。だからこそ、ロー制度も法曹人口増加も不要だというのです。
こんな自爆人生ゲームに手招きする閻魔さまが、なんと社会的信用性の高い大学教授ですよ。
 人間不信にもなるでしょう。
 昔、グラマが言っていたのを思い出しました。
「先生と呼ばれる者ほど馬鹿はなし!」
少なくとも、ロー関係者はそうでしょう。