前回の記事(『僕は依頼者が少ない』の断章)は,どれだけリアリティがあるかあまり自信がないのですが,基本的にあの甲野太郎君,頭は決して悪くないんです。むしろ,法科大学院の既修者コースを修了して司法試験にストレート合格した(という設定)ですから,むしろ頭は良い方です。それでも,司法試験の順位がブービー賞だったばっかりに,あんな残念な目に遭ってしまったのです。
本編の続きは,今週末くらいに書くつもりなのでご安心下さい。原作では『モン狩』をやる話ですが,甲野くん達にはちょっと違うゲームをやってもらう予定です。
それから,セクハラがどうのというコメントは削除しておきました。そういうのは余所でやってください。
本題に入ります。愛知県弁護士会による,3月18日付け『適正な司法試験合格者数に関する決議』が公開されました。
http://www.aiben.jp/page/frombars/topics2/705shiken.html
決議文及び提案理由は,いずれも弁護士業界の現状に対する強い危機感が反映されたものとなっており,この問題に関心のある方には是非一読をお勧めしたい内容になっているのですが,提案理由の最後に奇妙な一文があります。
「しかしながら、現在2000人程度の合格者数を、一挙に500人程度とすることには、弁護士の適正人口を実現すること自体の効果とは別に、様々な問題が生じ得ることも考慮しなければならない。
例えば、3000人の合格者を供給することを前提として開設された法科大学院制度との兼ね合いは、困難な問題である。法科大学院のために法曹養成制度があるのではなく、法科大学院は望ましい法曹養成制度のためにあることからすれば、あるべき法曹制度が優先することは当然のことである。しかしながら、法科大学院関係者、特に法科大学院で学ぶ若者達が現に存在していることも無視することは許されないことであり、合格者の減員は、あまりに急激であってはならない。即ち、国家政策の転換をはかる場合はそれなりに慎重さが求められるものであるから、直ちに500人にすることが正しいとは言い切れない。」
愛知県弁護士会は,法科大学院の修了を司法試験の受験資格から外すべきだという意見書を公表しているくらいですから,この種の問題については既に腹をくくっているものと思っていましたが,この期に及んでずいぶん歯切れの悪い意見書を公表したものです。残念ながら,会内でも未だにこういう意見の持ち主が残っているようですね。
しかし,法科大学院制度との兼ね合いについては,そんなに「困難な問題」なんて存在しないんですよ。以下,意見書にいう「法科大学院で学ぶ若者達」の運命について,制度設計のパターン別に考えてみましょう。
パターン1:概ね現状維持のまま推移した場合
法科大学院制度については現状維持,ただし司法試験の合格者数については漸減というパターンを想定しておきますが,現実の司法試験合格者数にかかわらず,現在の法曹界で受け容れられる新人の数は,既に年間1,000人を割り込んでいるというのが実務界の共通認識と考えてよいと思います。
そして,今年(平成25年)に法科大学院へ入学した人の場合,順調に法科大学院を修了できれば,既修者なら平成27年度から,未修者なら平成28年度から司法試験を受験できることになりますが,おそらくその頃には,予備試験の合格者数も年間400~500人前後にまで増えている可能性が高いです。予備試験の受験者数も順調に増えていますし,過去問の蓄積が出来てくると予備校の授業も精度が上がり,受験生も適切な対策を立てやすくなります。
予備試験は難しいと言われていますが,法律実務基礎科目はかつての前期修習で行われていた教育内容から出題されているので,コツさえつかめば得点源にできます。民訴法228条4項(いわゆる二段の推定)さえ理解できていれば確実に得点できる問題が2年続けて出題されるなんて,他の司法試験科目ではあり得ないですからね。
ちょっと話が逸れましたが,法曹実務界では予備試験合格者に対する評価が高いのは周知のとおりですから,就職はおそらく予備試験合格者の方が優先され,法科大学院修了者の就職先はその残り物しかない,ということになります。
そうすると,今年は約2,800人が法科大学院に入学したというものの,そのうち無事法曹界に就職できそうな人は,多く見積もっても500人くらいという計算になります。残りは法科大学院を中途退学するか,司法試験に三振するか,司法試験に合格しても就職先が見つからずに弁護士登録自体を諦めるか,即独して年収70万円以下の「食べていけない弁護士」の立場に甘んじるか,新人を教育する気などまるでないブラック事務所で死ぬほど酷使されて廃人になるか,いずれにせよろくな運命は待っていません。
「法科大学院で学ぶ若者達が現に存在していることを無視することは許されない(キリッ)」なんて格好を付けてみても,実際の「若者達」には,既に切り捨てられる運命しか待っていないのです。
パターン2:制度の移行期間を設ける場合
次に,法科大学院修了を司法試験の受験資格から外すが,法科大学院の在校生や修了生に配慮して,現行試験(法科大学院修了者のみが受験できる司法試験)と新試験(法科大学院修了を受験資格としない試験)を並行実施する,というパターンを考えてみましょう。
このような制度が採られる場合,司法修習の受け入れ体制などを考慮すると,おそらく当初は新試験の合格者数500人,現行試験の合格者数1000人あたりからスタートして,現行試験の合格者数を徐々に減らしていくといった措置になるのではないかと思いますが,仮にこのような制度になった場合,現行試験の合格者はほとんど誰も就職できないのではないかという問題があります。
旧試験と現行試験が並行実施されていた頃は,旧試験の方が実務界における信頼度が高かったので,旧試験合格者が新試験合格者と比べて特段不利に扱われるといった問題は起きませんでしたが,上記のような形で現行試験と新試験を並行実施した場合,おそらく実務界は新試験合格者を優先して採用するでしょうし,法科大学院の在校生や修了者も,実力に自信のある人は現行試験ではなく新試験を受験することになると思います。
こうなると,並行実施期間中の現行試験は「ニート試験」などと呼ばれることになり,その存在意義は大いに疑問視されることになるでしょう。とても「現に法科大学院で学ぶ若者達」の実質的な救済策になるとは思えません。
パターン3:移行期間なしで新制度に移行する場合
現行試験を並行実施しても意味がないのであれば,いっそのこと制度の移行期間は設けず,法科大学院修了を受験資格としない新試験のみを実施する,というパターンも考えられます。法科大学院在校生には苛酷な措置のように見えますが,もちろん在校生や修了者も新試験を受験できますので,彼らの法曹になる機会が失われるわけではありません。
現在でも,法科大学院生のうち実力のある層は入学後も予備試験合格を目指して勉強しているわけですし,彼らは現行司法試験と予備試験がともに廃止され新試験に移行することになっても,黙って新試験に乗り換えるだけでしょう。新試験の合格者数が1,000人程度になるのであれば,むしろ新試験になってくれた方がいいという人もいるかも知れません。
このように考えると,法科大学院の在校生等に対する特段の配慮は不要であり,パターン3のように特段の経過措置を設けず,法科大学院修了を司法試験の受験資格から外す(もちろん司法試験の受験回数制限も撤廃する)というのが,最も現実的で妥当な解決策ではないかと思われます。
もちろんこの場合,法科大学院を修了すれば簡単に司法試験に合格できると思っていた人は期待を裏切られることになりますが,現行制度下でも別に合格が保障されているわけではありませんし,そういう甘い考えで法科大学院に入ってくる人は,修了しても「これでは司法試験にも絶対合格できない」なんて言われてしまうレベルの人が多いです。
近年では,公認会計士試験の合格者数が一気に削減されたことがありますが,その際にも受験生に対する特段の配慮は一切なされておらず,法科大学院生にのみ特段の配慮をすべき合理的な理由はありません。法科大学院生やその関係者からは,きちんと司法試験に3,000人合格させ,その全員の就職を保障しろなどという意見が出されるかも知れませんが,そのような「救済」が現実的に不可能であることは,実際には誰しも分かっているでしょう。
なお,パターン3で法科大学院の大半が廃校に追い込まれた場合,法科大学院の教職員は当然失職することになりますが,まさか彼らの就職先に配慮すべきなんてふざけた主張をする人はいませんよね? 仮にいたとしても,彼らは「法曹養成の中核的機関」としての役割を果たせないからその職を追われるのであり,法科大学院制度の失敗に当然責任を負うべき立場の人たちですから,もちろん法的保護には値しませんし,そのような人たちを保護すべきという意見が一般国民に広く支持されることもないでしょう。
このように,法科大学院制度との兼ね合いで考慮すべき「困難な問題」などは存在しません。ただ,現実を直視するのがつらいというだけの話です。
ちなみに,法科大学院関係者の立場にも配慮しなければならないというのは日弁連も使っている論理であり,その問題があるから簡単に法科大学院制度の廃止などできないというのが山岸現会長その他日弁連執行部の主張らしいですが,このように弁護士業界があくまで法科大学院制度の存続にこだわり続ける場合,弁護士業界はいよいよ国民に愛想を尽かされ,上記のいずれでもないパターンが選択されてしまう可能性があります。例えば,
パターン4:司法書士を「司法士」に改称して弁護士と同等の権限を与え,司法士と弁護士を対等に競争させる政策が採られた場合
この場合,司法士試験は現在の司法試験ないし予備試験と似たような形式に変わり,予備試験の受験者は司法士試験に流れることになるでしょう。裁判官や検察官は司法士から任命されるか,あるいは独自の任用試験が行われることになります。このパターンでは,質の低下により国民の信頼を失った弁護士はおそらく司法士に太刀打ちできず,将来的には弁護士という資格制度そのものが消滅することになります。
まさかそんなことはあり得ないと主張する人もいるとは思いますが,法科大学院制度により優秀な人材の相当数が司法試験を離れて司法書士に流れていること,そうして司法書士になった人たちがあわよくば弁護士に取って代わろうと目論んでいること,日司連が司法書士の名称を「司法士」に改称し,権限をさらに拡大することを求めてロビー活動を行っていること,彼らが弁護士の質の低下を大義名分に掲げていることは事実です。
これまでにも何度か指摘してきたことですが,法科大学院制度を維持することによりこれ以上彼らに隙を見せ続けるなら,最終的には弁護士業界そのものが司法書士(司法士)に乗っ取られてしまう危険性も考慮しなければなりません。
本編の続きは,今週末くらいに書くつもりなのでご安心下さい。原作では『モン狩』をやる話ですが,甲野くん達にはちょっと違うゲームをやってもらう予定です。
それから,セクハラがどうのというコメントは削除しておきました。そういうのは余所でやってください。
本題に入ります。愛知県弁護士会による,3月18日付け『適正な司法試験合格者数に関する決議』が公開されました。
http://www.aiben.jp/page/frombars/topics2/705shiken.html
決議文及び提案理由は,いずれも弁護士業界の現状に対する強い危機感が反映されたものとなっており,この問題に関心のある方には是非一読をお勧めしたい内容になっているのですが,提案理由の最後に奇妙な一文があります。
「しかしながら、現在2000人程度の合格者数を、一挙に500人程度とすることには、弁護士の適正人口を実現すること自体の効果とは別に、様々な問題が生じ得ることも考慮しなければならない。
例えば、3000人の合格者を供給することを前提として開設された法科大学院制度との兼ね合いは、困難な問題である。法科大学院のために法曹養成制度があるのではなく、法科大学院は望ましい法曹養成制度のためにあることからすれば、あるべき法曹制度が優先することは当然のことである。しかしながら、法科大学院関係者、特に法科大学院で学ぶ若者達が現に存在していることも無視することは許されないことであり、合格者の減員は、あまりに急激であってはならない。即ち、国家政策の転換をはかる場合はそれなりに慎重さが求められるものであるから、直ちに500人にすることが正しいとは言い切れない。」
愛知県弁護士会は,法科大学院の修了を司法試験の受験資格から外すべきだという意見書を公表しているくらいですから,この種の問題については既に腹をくくっているものと思っていましたが,この期に及んでずいぶん歯切れの悪い意見書を公表したものです。残念ながら,会内でも未だにこういう意見の持ち主が残っているようですね。
しかし,法科大学院制度との兼ね合いについては,そんなに「困難な問題」なんて存在しないんですよ。以下,意見書にいう「法科大学院で学ぶ若者達」の運命について,制度設計のパターン別に考えてみましょう。
パターン1:概ね現状維持のまま推移した場合
法科大学院制度については現状維持,ただし司法試験の合格者数については漸減というパターンを想定しておきますが,現実の司法試験合格者数にかかわらず,現在の法曹界で受け容れられる新人の数は,既に年間1,000人を割り込んでいるというのが実務界の共通認識と考えてよいと思います。
そして,今年(平成25年)に法科大学院へ入学した人の場合,順調に法科大学院を修了できれば,既修者なら平成27年度から,未修者なら平成28年度から司法試験を受験できることになりますが,おそらくその頃には,予備試験の合格者数も年間400~500人前後にまで増えている可能性が高いです。予備試験の受験者数も順調に増えていますし,過去問の蓄積が出来てくると予備校の授業も精度が上がり,受験生も適切な対策を立てやすくなります。
予備試験は難しいと言われていますが,法律実務基礎科目はかつての前期修習で行われていた教育内容から出題されているので,コツさえつかめば得点源にできます。民訴法228条4項(いわゆる二段の推定)さえ理解できていれば確実に得点できる問題が2年続けて出題されるなんて,他の司法試験科目ではあり得ないですからね。
ちょっと話が逸れましたが,法曹実務界では予備試験合格者に対する評価が高いのは周知のとおりですから,就職はおそらく予備試験合格者の方が優先され,法科大学院修了者の就職先はその残り物しかない,ということになります。
そうすると,今年は約2,800人が法科大学院に入学したというものの,そのうち無事法曹界に就職できそうな人は,多く見積もっても500人くらいという計算になります。残りは法科大学院を中途退学するか,司法試験に三振するか,司法試験に合格しても就職先が見つからずに弁護士登録自体を諦めるか,即独して年収70万円以下の「食べていけない弁護士」の立場に甘んじるか,新人を教育する気などまるでないブラック事務所で死ぬほど酷使されて廃人になるか,いずれにせよろくな運命は待っていません。
「法科大学院で学ぶ若者達が現に存在していることを無視することは許されない(キリッ)」なんて格好を付けてみても,実際の「若者達」には,既に切り捨てられる運命しか待っていないのです。
パターン2:制度の移行期間を設ける場合
次に,法科大学院修了を司法試験の受験資格から外すが,法科大学院の在校生や修了生に配慮して,現行試験(法科大学院修了者のみが受験できる司法試験)と新試験(法科大学院修了を受験資格としない試験)を並行実施する,というパターンを考えてみましょう。
このような制度が採られる場合,司法修習の受け入れ体制などを考慮すると,おそらく当初は新試験の合格者数500人,現行試験の合格者数1000人あたりからスタートして,現行試験の合格者数を徐々に減らしていくといった措置になるのではないかと思いますが,仮にこのような制度になった場合,現行試験の合格者はほとんど誰も就職できないのではないかという問題があります。
旧試験と現行試験が並行実施されていた頃は,旧試験の方が実務界における信頼度が高かったので,旧試験合格者が新試験合格者と比べて特段不利に扱われるといった問題は起きませんでしたが,上記のような形で現行試験と新試験を並行実施した場合,おそらく実務界は新試験合格者を優先して採用するでしょうし,法科大学院の在校生や修了者も,実力に自信のある人は現行試験ではなく新試験を受験することになると思います。
こうなると,並行実施期間中の現行試験は「ニート試験」などと呼ばれることになり,その存在意義は大いに疑問視されることになるでしょう。とても「現に法科大学院で学ぶ若者達」の実質的な救済策になるとは思えません。
パターン3:移行期間なしで新制度に移行する場合
現行試験を並行実施しても意味がないのであれば,いっそのこと制度の移行期間は設けず,法科大学院修了を受験資格としない新試験のみを実施する,というパターンも考えられます。法科大学院在校生には苛酷な措置のように見えますが,もちろん在校生や修了者も新試験を受験できますので,彼らの法曹になる機会が失われるわけではありません。
現在でも,法科大学院生のうち実力のある層は入学後も予備試験合格を目指して勉強しているわけですし,彼らは現行司法試験と予備試験がともに廃止され新試験に移行することになっても,黙って新試験に乗り換えるだけでしょう。新試験の合格者数が1,000人程度になるのであれば,むしろ新試験になってくれた方がいいという人もいるかも知れません。
このように考えると,法科大学院の在校生等に対する特段の配慮は不要であり,パターン3のように特段の経過措置を設けず,法科大学院修了を司法試験の受験資格から外す(もちろん司法試験の受験回数制限も撤廃する)というのが,最も現実的で妥当な解決策ではないかと思われます。
もちろんこの場合,法科大学院を修了すれば簡単に司法試験に合格できると思っていた人は期待を裏切られることになりますが,現行制度下でも別に合格が保障されているわけではありませんし,そういう甘い考えで法科大学院に入ってくる人は,修了しても「これでは司法試験にも絶対合格できない」なんて言われてしまうレベルの人が多いです。
近年では,公認会計士試験の合格者数が一気に削減されたことがありますが,その際にも受験生に対する特段の配慮は一切なされておらず,法科大学院生にのみ特段の配慮をすべき合理的な理由はありません。法科大学院生やその関係者からは,きちんと司法試験に3,000人合格させ,その全員の就職を保障しろなどという意見が出されるかも知れませんが,そのような「救済」が現実的に不可能であることは,実際には誰しも分かっているでしょう。
なお,パターン3で法科大学院の大半が廃校に追い込まれた場合,法科大学院の教職員は当然失職することになりますが,まさか彼らの就職先に配慮すべきなんてふざけた主張をする人はいませんよね? 仮にいたとしても,彼らは「法曹養成の中核的機関」としての役割を果たせないからその職を追われるのであり,法科大学院制度の失敗に当然責任を負うべき立場の人たちですから,もちろん法的保護には値しませんし,そのような人たちを保護すべきという意見が一般国民に広く支持されることもないでしょう。
このように,法科大学院制度との兼ね合いで考慮すべき「困難な問題」などは存在しません。ただ,現実を直視するのがつらいというだけの話です。
ちなみに,法科大学院関係者の立場にも配慮しなければならないというのは日弁連も使っている論理であり,その問題があるから簡単に法科大学院制度の廃止などできないというのが山岸現会長その他日弁連執行部の主張らしいですが,このように弁護士業界があくまで法科大学院制度の存続にこだわり続ける場合,弁護士業界はいよいよ国民に愛想を尽かされ,上記のいずれでもないパターンが選択されてしまう可能性があります。例えば,
パターン4:司法書士を「司法士」に改称して弁護士と同等の権限を与え,司法士と弁護士を対等に競争させる政策が採られた場合
この場合,司法士試験は現在の司法試験ないし予備試験と似たような形式に変わり,予備試験の受験者は司法士試験に流れることになるでしょう。裁判官や検察官は司法士から任命されるか,あるいは独自の任用試験が行われることになります。このパターンでは,質の低下により国民の信頼を失った弁護士はおそらく司法士に太刀打ちできず,将来的には弁護士という資格制度そのものが消滅することになります。
まさかそんなことはあり得ないと主張する人もいるとは思いますが,法科大学院制度により優秀な人材の相当数が司法試験を離れて司法書士に流れていること,そうして司法書士になった人たちがあわよくば弁護士に取って代わろうと目論んでいること,日司連が司法書士の名称を「司法士」に改称し,権限をさらに拡大することを求めてロビー活動を行っていること,彼らが弁護士の質の低下を大義名分に掲げていることは事実です。
これまでにも何度か指摘してきたことですが,法科大学院制度を維持することによりこれ以上彼らに隙を見せ続けるなら,最終的には弁護士業界そのものが司法書士(司法士)に乗っ取られてしまう危険性も考慮しなければなりません。
今まで他業種の国民を愚弄してきた罰だと思います。
ちなみにオイラは司法書士でも行政書士でもありません(笑)
今の法科大学院関係者といい弁護士会といいみっともないですね…弁護士の中にも黒猫さんのような方がいらっしゃるの少しは救いですが…
文句があったら予備試験を受けたらいいだけです。
ローにお金を上納できない若者及び中年が存在していることは完全に無視されて、あっという間に減員されたってのにねえ。
ハコモノ事業を延命させたいだけなのにロー生をダシにする。ホント腐ってるわ。
本当にロー生が可哀想だと思うのなら、ローに賛同した人達が責任取って、自腹で学費返してあげればいい。
そうこうしているうちに、被害者は増えます。
私の友人は、三振してロースクールで借金を抱え、今仕事を2つ掛け持ちしています。
ロースクール受験資格要件強制が今もあるのは、国や推進派の責任だけではないと思います。
これまでロースクール受験資格要件強制制度について、ロースクール出身の弁護士は、母校への感謝の念と制度としてロースクール受験資格要件を後輩達に押し付けて借金地獄にすることが妥当かを区別せず、反対の声を上げず、中には、ロースクール賛美の声を上げていました。
その意味で、私も含めて、私達先輩弁護士が声を上げなかったという意味で加害者であると思います。
後輩達は制度の中にあり、なかなか声をあげられません。私達、国民の権利の似ない手である先輩法曹が後輩達のために声をあげる責任があると思います。
その一貫として、私は、パブリックコメントの投稿を、原発反対運団体や反対運動家、金曜行動仲間、労働組合などに抗議の声を呼びかけています。
組合としてロースクールに反対の声をあげると力強い言葉を頂きました。
ロースクール受験資格要件強制に対して声をあげる時は今だと思います。
また不適切な書き込みが2件続いています。
甲南ローさんの上です。
早急の対応をお願いいたします。
パターン1、あるいはパターン2が現実的なのでは?パターン3はずっと以前から続けられています、弁護士の隣接専門職は資格統合とか、専門分業が開放されたり今まで足踏み状態だったものが加速して国民にとってもそのほうがメリットが大きいと思いますけどね。
パブコメで言い足りないことあったら,
意見はジャンジャン追加して,ロー教育の杜撰さをもっと,アピールしようね。
「第1 法曹有資格者の活動領域の在り方」
<意見の主旨>
○冒頭で「法曹有資格者の活動領域…の広がりはいまだ限定的といわざるを得ない状況にある」との認識のもとに,「各分野における法曹有資格者のニーズを多角的に分析する」する必要があると述べてられているが,このような法曹養成制度検討会議の認識と方向性が,「法曹有資格者の需要(ニーズ)」は―たとえ潜在的であれ―未だ存在するとの前提のもとに,当該需要の「掘り起こし」を進める趣旨であるとすれば,「法曹有資格者」が著しく供給過剰状態にあるという現実から目を背けるものであって,根本的に間違っている。
<理由>
「第1 法曹有資格者の活動領域の在り方」に係る「問題の所在」として,「弁護士を始めとする法曹有資格者の需要が見込まれる官公庁,企業,海外展開等の活動の領域拡大のための方策について検討する必要がある」と述べられているが,「何を今更寝ぼけたことを言っているのか?」と驚愕するか,怒り狂うのが,圧倒的多数の良識ある法曹有資格者の現実認識である,と思われる。
司法制度改革審議会(佐藤幸治会長)が志向した「司法改革」は,たかだか10年で,その破綻が誰の目にも明らかとなった。その破綻の端的な表れが,和田吉弘委員が正当に指摘されているとおり,深刻な「弁護士の就職難」と,危機的な「法曹志願者の激減」である。司法制度改革審議会が主唱した,法科大学院制度を中核とする法曹養成制度の制度設計自体に,随所に致命的な欠陥があったが故に,司法試験に3回失敗し,志なかばで挫折を余儀なくされた膨大な数の「司法試験難民」を発生させ,かつまた,法曹資格を取ったけれど弁護士登録ができない未登録者(いわゆる「けれど族」)が,年間300人ないし400人ほど出現するといった事態に至っている。それ故に,近時,大学受験予備校のデータ等に示されるとおり,法学部の不人気・敬遠傾向が顕著に現れ,既に「法曹界における人的基盤の空洞化」が高度に進行してしまっている,ということである。
このような事態の発生は何を意味するか。
それは,森下忠氏(広島大学名誉教授・弁護士)が「法曹養成制度の改革」と題する論考(判例時報2174号19頁以下)において正当に指摘されているとおり,有識者として,司法制度改革審議会の構成員に選任された審議委員らに見識が欠けており,彼らが立案した法曹養成の制度設計が間違っていた,ということである。「改革審の委員は,独自の判断力と意見を有しないのに,『アメリカ(米国)の制度を見ならえ!』とばかり,国情の違いを無視して進軍ラッパを吹いたのである」(森下・前掲論考)。その結果,多くの若者・人材が,実務には何の役にも立たない学者教員の授業を中核として提供し続ける法科大学院に多額の授業料を巻き上げられた挙げ句に,「人生航路」を大きく狂わされて,絶望のなかで路頭に投げ出されてしまったのである。
このような誰の目にも明らかな,司法制度改革審議会(佐藤幸治会長)の失敗・失策,その失敗による司法制度への重大な打撃・悪影響を,政府において十分に自覚し,その反省の上に立って法曹養成制度検討会議を構成しなくては,「司法の再生」は不可能であり,再び国家の大計を誤ることになる。
しかるに,政府は,司法制度改革の方向性を誤らせた「A級戦犯」として本来国民の批判に晒されるべき,司法制度改革審議会委員の井上正仁氏(元東京大学法学部教授)を法曹養成制度検討会議の委員に加え,同人の厚顔無恥な発言を許し,「出来レース」の多数派工作を図るなどして,同じ過ちを繰り返そうとしているようにしかみえない。政府は,法科大学院関係者のエゴ・利害の擁護と自己保身しか頭になく,法科大学院関係者の経済的エゴイズムの権化・利益代表者と目される,井上正仁氏とその見解に同調するだけの鎌田薫氏を,即刻,司法制度改革審議会から退場させて排除することもせず(特別利害関係者を会議体から排除することは会社法369条2項等の規定を待たずとも普遍的な法理である。),かつ,法曹養成制度検討会議が,深刻な「弁護士の就職難」と,危機的な「法曹志願者の激減」という現実を目の当たりにしながら,なおも「各分野における法曹有資格者のニーズを多角的に分析する」などといった,全く「不毛な」旗印を引き下ろさないというのであれば,今後,日本の司法界・法曹界は,益々回復不能なまでに破綻ないし危機的状況に陥ることは必定である。